SCP-████-JP 学園都市キヴォトス   作:サイト8192

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これを読んでいる誰かへ。
急ぎで作りましたが以下の添付資料に出てくる固有名詞の意味の早見表です。活用して下さい。

SCP-████-JP=学園都市キヴォトス
SCP-████-JP-A=生徒
SCP-████-JP-B=ロボットの住民
SCP-████-JP-C=動物の姿の住民
SCP-████-JP-D=ミレニアム近郊に存在する廃墟内のロボットやドローン
SCP-████-JP-E=ゲマトリア
SCP-████-JP-F=先生
立体発光現象=ヘイロー?
SCP-███-JP=高異常性無限倉庫

事案████-101=連邦生徒会長の失踪
事件記録████-1=?
事件記録████-42=アビドス高校とカイザーとの抗争
事件記録████-49=狐坂ワカモとの戦闘とその失敗?
調査記録████-389=天童アリスが発見された調査

SCP-████-JP-A-5094=連邦生徒会長
SCP-████-JP-A-7392=空崎ヒナ
SCP-████-JP-A-8836=狐坂ワカモ
SCP-████-JP-A-9221=小鳥遊ホシノ
SCP-████-JP-A-9222=砂狼シロコ
SCP-████-JP-A-9223=黒見セリカ
SCP-████-JP-A-9224=奥空アヤネ
SCP-████-JP-A-9225=十六夜ノノミ
SCP-████-JP-A-9226=宇宙服の少女

SCP-████-JP-A-9989=天童アリスの身体
SCP-████-JP-A-9989-α=天童アリス
SCP-████-JP-A-9989-β=ケイ
SCP-████-JP-A-9989-γ=?

SCP-████-JP-E-1=黒服

記憶改竄=記憶の捏造…?
記憶処理=記憶を消す事…?

ヴァルキューレ警察学校公安部所属███潜入捜査官



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ファイル:SCP-████-JP_(学園都市キヴォトス)/メモ

 

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ファイル:SCP-████-JP_(学園都市キヴォトス)/メモ

 

 ※注意:以下のメモの内容はSCP-████-JPの報告書が執筆された最初期の頃に執筆されたメモです。当時の執筆者はまだ研究員としての充分な報告書の執筆能力を有していなかった為、アイテム番号ではなく特定の固有名詞や抽象的表現を多用している点に留意して下さい。

 

こんな感じで大丈夫……かな?SCPの報告書なんて初めて書くから、ちゃんと出来てるか心配……Lisa.AICから教えてもらいながら書いたけど……。正直、全く自信が無い。もし、このメモを誰かが読んでいるなら、初めて書いたSCPの報告書だから、多少見苦しい所があっても許してほしい。まぁ、私以外の誰かがこのメモを読んでいるとして、それが財団の人間だったのなら、財団はまだ続いている訳だから、その頃には、かなり内容が修正とか加筆されてるかもだけど……。

 

そもそも日本支部のオブジェクトという扱いで良いんだろうか……とすら思う。SCP-████-JPの中枢部があるサンクトゥムタワーのある位置は韓国のソウル特別市の北緯37.48530931642276, 東経127.0366142の位置を指し示しているから、JPじゃなくてKOの方が良いのかも……とも思ったりする。でも、この状況を確認したのは日本支部だから、これで合っているのかな?。それともJPでもKOでもなくCNだったりするんだろうか。Lisa.AICはJPで大丈夫って言ってるけど……。まさか私がSCP報告書を書く日が来るなんて思いもしなかった……けど、私しか居ないんだから、こればっかりは、しょうがない。

 

全てを思い出して、そして、この異常な事態に気づいたのは、ほんの4ヵ月前。私はトリニティ総合学園に初等部の頃から通っていて、つい5ヵ月前に中等部から高等部に進学したばかりだった。私のSCP-████-JP-Aとしての名前は[データ削除済み]。歳は今年で[データ削除済み]才。

 

私は昔から強い違和感を持ってた。鏡に写る自分の姿を見てそれが、まるで本当の自分ではない様な……日々の何気ない生活も、どこか現実とは思えない様なそんな違和感があった。現実なのに非日常的な……そんな感じ。高等部に上がっても、それは変わらなくて……むしろ、酷くなった。私はそれを周りの子に悟られない様に、できるだけ普通に過ごした……つもり。でも、たぶん、できていなかったんだろう。だって友達って呼べる人は1人しかいないし……。たぶん周りから見たら根暗に見えたんじゃないかな……幸い、いじめとかには合わなかったけど……。

 

私にとって唯一、安心できたのは初等部の頃から住んでいる鉄筋コンクリート製の小さなビルのアパートだった。住宅街にあるごく普通のアパート。両親がキヴォトスに通う私の為に一室を借りた。元々、少し人気のない場所に建ってるからか、私以外には他に住んでる人はいなかったけど……。でも、どこにでもある普通に少し古びた感じのアパート。だけど、なぜか、すごく、この建物見てたり中に入ると落ち着いた……。違和感と同じでなんでかは分からない。

 

だけど、ようやく、違和感の正体も落ち着いた理由も分かった。4ヵ月前、学校からの帰り道、ヘルメット団と不良が珍しく私のアパートの目の前で戦闘していた。私は怖くてアパート1Fの階段の下のスペースに隠れてた。私の居た場所は、構造的にはアパートの玄関に入ってすぐにある階段の下で、そこは本当に簡単な物置ぐらいにしか使えない様な、ちょっとしたスペースがある程度の空間だった。アパートの入口には扉とかは特にない。シャッターはあるけど閉まっている所は見た事なかった。まぁ、よくあるアパートの入り口って感じだと思う。

 

そこに、どこからかロケット弾の流れ弾が1発飛んできた。そのロケット弾は階段の登り口近くの壁を壊した。私は怖くて怖くてただ、その場から動く事ができなかった。気づいたら、朝になってた。私は疲れて殆ど無気力気味に、そのまま部屋に戻って、シャワーを浴びてまた学校に行く準備を始めた。それで身支度と朝ごはんを食べてから学校に行こうと、階段を下りてた時にふと思い出した。昨日そう言えばロケット弾が当たったところに大きな穴が開いちゃってたなって。それで階段を降りたタイミングでその穴の様子を確かめようと思った。酷い様なら業者を呼ばないといけないし……それとちょっとだけ好奇心があったかもしれない。壊れた壁の向こうはどうなってるんだろうって。このアパートの1Fには2世帯分位の部屋が入りそうな位の大きさの外からは入れない何も無いデッドスペースがあって、ロケット弾は丁度、そのスペースへの壁を壊した感じになってたから。

 

それで階段の下まで降りて、壊れた壁の穴の先を見て……その先にあった物を見た。壊れた壁の向こうには、このアパートの2世帯分の部屋くらいの広さがある照明も何もないむき出しの鉄筋コンクリートに囲まれた部屋があった。暗くて最初は良く見えなかったけど、すぐに目が慣れて、その中央に大きなコンクリート製の箱があるのに気付いた。大きさは6畳の部屋くらい。真ん中には頑丈そうな金属製の扉がひとつ。気づいたら私は引き込まれる様にその箱の前まで移動してた。それで扉に描かれてるマークを見た。

 

マークを見て……それで、その瞬間に私は全部を思い出した。違和感の正体も落ち着いた理由も…私は[データ削除済み]なんて名前じゃない。私の本当の名前は[データ削除済み]。歳も[データ削除済み]才なんかじゃなくて2█歳...…いや、この姿で過ごした年月を入れると[データ削除済み]才...かも?性別も女じゃなくて男だったし、そもそもSCP-████-JP-Aじゃなくて私は人間。人間の筈だった。それが気づけば、こんな姿に変わっていて何年も過ごしていた。性格も結構、いや大分、変わっちゃってる気がする。私が今まで感じてた違和感の正体はこれだった。私が私ではなくなってた……。でも、それだけじゃない。

 

私は本当なら、学生なんかじゃない。ちゃんと大学も出てるし成人もしてた。日本の██県██市の出身で[編集済み]小学校、[編集済み]中学校、[編集済み]高等学校、[編集済み]大学……ちゃんと全部卒業したし覚えてる。大学の企業説明会に来てた警備会社の面接を受けて、それが実は財団のフロント企業で、何の因果か財団で働く事になって、施設警備員として色んなサイトに配属されて勤務してた。企業説明会の面接の時に趣味でやってたサバイバルゲームの話をしたのが良かったのかな……?

 

それが本当の私なのに。それが気づいたら、財団も日本も……いや、世界も全部が変わってた。服を着て人間の様に振舞ってる動物?人間のように振舞ってるロボット?トリニティ総合学園?学園都市キヴォトス?こんなの、前は無かった。人間が居なくなって、代わりにSCP-████-JP-A、SCP-████-JP-B、SCP-████-JP-Cが我が物顔で闊歩してる……。私が感じてた違和感の正体はこれだった。

 

違和感を感じて当然……だって知ってる世界が無くなっちゃってたんだもん……唯一の救いは、街並みが日本にそっくりだし言語も日本語で溢れてる所だろうか……いや、状況的には何も良くはないんだけど、でも、それのおかげで私の頭がおかしくならないで済んでる面はあると思う……これが、もしも全く見た事も聞いた事もない様な異形の世界だったら、耐えられる自信は正直ない……。

 

あと、アパートが落ち着く理由もわかった。だってこのアパート、私が住んでた財団職員用の寮そのままだったんだもん。そりゃ落ち着く筈だよ。1Fの構造は変わってたけど……前はこんなデッドスペース無かったし。

 

なんでアパートがここにあるんだろうか?他は全部変わっちゃったのに。それで言うなら私もそうだ。なんで、私だけが無事……無事ではないかもしれないけど、影響がここまで薄かったんだろうか?そもそも、一体全体、世界に何が起きたらこんな事になるんだろうか?いや、アパートがここにある理由は分からないけど、私への影響が少なかった理由だけは原理は不明だけど、説明つくかもしれない。

 

そもそもここまで読み返すと、なんで、アパートのデットスペースにあった四角い箱の扉に描かれてたマークを見て記憶が蘇ったのかが謎過ぎると思う。たぶん、その事に関するドキュメントは後で纏める事にはなるとは思うけど、それがいつになるかは、まだ良く分かんないから、後で自分でもあの時の事を思い返しやすい様に、ここにも書いとくことにする。

 

結論から言うと、あれはサイト8192で倉庫として使われてたSCPオブジェクトだった。アイテム番号SCP-███-JP。オブジェクトクラスはSafe。外見は精々、物置程度の大きさしかないのに扉を開けると、それ以上の面積の異常空間が広がっているオブジェクト。SCPオブジェクトとして珍しく、特に危険性は無いオブジェクトで、サイト8192ではこのオブジェクトを倉庫として活用していた。そして、その扉……扉と言うにはもう隔壁とでも言っていい様な重工な扉だけど、その扉には財団のマークが描かれてた。そして、そのマークを見て……触って……ようやく思い出す事ができた。

 

たぶん、私だけが影響が少なかったのは十中八九、このコンクリートの塊のおかげだと思う。

 

記憶が蘇った私はその日はとてもじゃないけど学校なんかに行く余裕も欠席を連絡する余裕も無かった。だから、3日後にようやく学校へと行って急な体調不良で気を失ってたって言い訳をしたらクラスの委員長に救護騎士団まで連れていかれて体を検査されたけど……まぁ、後日の出来事については重要じゃないから省いて、話を戻すけど、記憶が蘇った私はすぐにデットスペースを飛び出して、街へと走った。たぶん、すごく混乱してたから……。

 

走って走って街の色んな所に行って、それで改めて記憶が蘇った状態のこの目で世界が変わっちゃった事を理解して夕方に、異常を目にして徐々に積もって来た強烈な吐き気を抑えつつ、またアパートのデッドスペースへと戻った。

 

コンクリートの塊の前へと戻った後、私は塊の扉を開けて中に入って見る事にした。記憶が正しければ、扉の向こうにはサイト8192の倉庫が広がっている筈だから。この時、私が何を思って扉を開ける決心をしたのかは分からないけど、たぶん、怖かったんじゃないかな……って今思い返すとそう感じる。

 

扉を開けて、その先に倉庫があったら……確定しちゃう。まだ、記憶が蘇ったってだけなら、世界じゃなくて私だけがおかしくなったって事もあり得る。こうなる前に流行ってた異世界転生物のアニメみたいな事が起こった可能性もある。でも……扉を開けて、その先に記憶通りの倉庫があったら、確定しちゃう気がした。世界の方に何かが起こったって事に。もちろん倉庫ごと私の身に何かが起こって別の世界へって事も考えられなくはないけど……なんとなくだけど、それは違う気がする。

 

扉の向こうは暗闇が広がってた。記憶の中の倉庫はいつも灯りが点いていて、こんなに暗い事はなかった。だから、私はすぐに入るのは諦めて自分の部屋に懐中電灯を取りに行った。扉付近ですら暗すぎて床もまともに見れなかったから。でもこういう時に限って探し物は見つからない物で、私の部屋には懐中電灯は無かった。あったと思ったんだけど、見つからなかった物はしょうがなくて、私はすぐに部屋を飛び出して近くのコンビニに走って行って懐中電灯と電池を買った。それで、懐中電灯を準備して、ようやく私は塊の中に広がっている暗闇の中に足を踏み入れる事が出来た。暗すぎて怖かったけど、それよりも、何が起こっているのか知りたい気持ちの方が強かった。

 

幸か不幸か、そこは紛れも無いサイト8192の倉庫だった。記憶と違うのは、照明が点いていない事と、あとは積み上げられた複数の物資の幾らかかが、倒れていた事だ。まるで凄い地震でも起こった後かの様な……そんな感じ。

 

私はその状況を目の当たりにした後は、とりあえず、倉庫内の電力を非常用発電に切り替える事にした。一応、この倉庫には何度も来た事があったし、施設警備員として何年も務めてたから、そういう装置の存在は聞かされてた。あと、闇に包まれた倉庫内を歩いて気づいた事だけど、電力は完全には失われてはいないみたいで、倉庫内の幾つかの装置はランプが点灯してたりしてた。たぶん、世界に何かがあった後に部分的に施設機能の維持に必要な最低限の部分は非常用発電に切り替わってたんだろうと思う。

 

マニュアルを見つけて、それから非常用発電の装置を慣れなかったけど、なんとか操作して電力はすぐに回復した。すぐとは言っても非常用発電の場所まで辿り着くのに2時間以上はかかったけど……暗いし物音一つしないから物凄く怖かった……。

 

電力が回復すると、すぐに私を見つけて話しかけてきたのが、Lisa.AICだった。Lisa.AICは倉庫内の監視カメラで私をすぐに見つけて館内放送用のスピーカーを使って話しかけてきた。Lisa.AICは私の事が誰だか分からなかったみたいで最初は異常存在が侵入してきたと思ったらしくて押し問答があったけど……まぁ、今の自分は異常存在なのには変わりないか……。とにかく、Lisa.AICに私が[データ削除済み]施設警備員だという事を必死に説明して、それから倉庫の外で起こってる事を説明した。Lisa.AICはそれでようやく、私の話を聞いてくれる様になって、私の話が本当かどうかを確かめる為に探査ローバを動かして倉庫の外を確かめに行って、それでやっとLisa.AICが私の事を信じてくれる様になった。

 

その後はLisa.AICと状況確認とか、なんでこうなったのかについての話をした。それで、私の記憶とLisa.AICの記録を照らし合わせて見て分かった事が1つ。私の記憶が途切れた所とLisa.AICの記録が途切れてる箇所がほぼ同時って事だ。

 

私は記憶では、記憶が途切れる時にしてたのは、█████主任研究員に荷物を倉庫に置いてきてほしいって頼まれたから、それを了承して、荷物の入った手押しカートを押して倉庫の中に入った。倉庫に入る直前に、倉庫の前にいる守衛にIDと来た目的を伝えて、それと、その守衛が同僚の施設警備員だったから、ちょっとした雑談をその場でして、その後に倉庫の中に入った。倉庫に入った私は荷物を指定の場所に置いて、それで戻ろうと歩いて扉の前まで行って、そしたら、急に大きな地震みたいな揺れがして……そのまま倉庫内の照明が落ちて……そこで私の記憶は途切れた。今思うと、この倉庫は外部からの、あらゆる刺激には反応しないって言う性質を持ってるって聞いてたから、この揺れがたぶん異常だったんだと思う。

 

Lisa.AICがしてた記録も私と同じ物だった。Lisa.AICはこの時の私を監視カメラで見てたそうだ。そして、あの揺れと照明が落ちる様子も。Lisa.AIC曰く、Lisa.AICも照明が落ちた瞬間に機能が停止したんだそう。それで私がここに来て、再起動したって感じみたい。

 

ちなみに、AICが倉庫に居るなんて話は初耳だったから結構、驚いた。だってAICはこんな倉庫には普段は居ない筈だから、聞いたところによると、Lisa.AICはO5評議会からO5への就任要請が来てたけど、それを断ったら懲罰人事的にこの倉庫の備品管理の役目を命じられてたらしい。O5への就任要請なんて断って当然なのに、それで懲罰人事を受けるなんて酷い話。だけど、それのおかげで異変の影響を受けなかったから、今思えばやっぱりO5の就任要請なんて断って正解だったと思う。

 

情報を共有したLisa.AICは私を姿も喋り方も性格も結構、変わっちゃってるけど、[データ削除済み]施設警備員だって認めてくれた。私しか知らない情報を色々、私が話したから。

 

その後、私とLisa.AICは結局の所、何が起こったのかという話し合いをした。結局、何が起こったのか、可能性が多すぎて分からなかったけど、この時にすぐに決まったのは次元座標測定器とかいう大きな機械の延長コードを探査ローバに接続して、探査ローバ―の上に特殊センサーを置いて、倉庫の外に出す作業だった。Lisa.AIC曰く、これでここが地球とは違う異世界なのか、異常空間か、それとも……地球なのかが分かるらしかった。それで結果は……私はここが異世界だとか異常空間だって言って欲しかった。それならまだ、気持ち的には楽だから……。でも、結果は私が内心で薄々と思ってた通りの最悪の結果だった……ここは紛れもない地球だった。平行宇宙だとか、何かのSCPオブジェクトとかで作られた異常空間とかではなく、紛れもない私が産まれて住んでいた地球だった……。それはつまり……私が変わってしまっただとか、私や倉庫に何かがあったのではなく……それ以外、世界に何か異常が起こったという事……。

 

Lisa.AICは私に長距離無線通信機を持って倉庫の外に出てLisa.AICが指定する幾つかの場所で財団が定めてるという緊急時用の暗号通信を発信する様に指示を出してきた。私たち以外に財団職員が残ってるのなら、何処かが必ず応答するって。私はそれを了承して倉庫の中にあったバイクに機材を乗せて私が行ける範囲でキヴォトスを西に東に南に北に移動して、1週間は駆け回った。でも……私からの問いかけに答えた所は何処にもなかった。一応、今も3日に1回のペースで通信を送る事にしてるけど、Lisa.AICは現在までに一度も通信への応答がない事で、暫定的に財団が壊滅状態にあるって判断した。あと1ヵ月はこの状態が続く様なら暫定的な判断じゃなくて、たぶん確定的な判断になると思う。

 

私は決めなくちゃいけなくなった。Lisa.AICは財団が外部にはもう存在しないって判断した。私が唯一の財団職員だって……それで、非常事態プロトコルに従って臨時に私に財団の全権が与えられるって……ただの施設警備員の私が財団の最高責任者?ははは……悪い冗談もよしてほしい……。でも、Lisa.AICは至って本気で、私が決めた方針には従うって……。

 

Lisa.AICは私に財団の全権を与えるって決めると、次々とただの一介の施設警備員じゃ知り得ない機密情報を私に教えてきて、その上で今の知り得る情報(私の調査内容とかSCP-████-JP内のインターネット上の情報とか)とかも加味して財団がどうなってるかの推測を披露した。Lisa.AIC曰く、何かが起こって財団は壊滅した。それも徹底した壊滅で、世界終焉シナリオが発生した時に人類と文明を復興する役割を持ってるSCP-2000を起動させる暇も無い程に……。そして、私達が生き残ったのはこの倉庫、SCP-███-JPが持つ異常性のおかげだって。

 

悩んだけど、とりあえずは、私だって施設警備員とはいえ財団職員なんだから報告書は書こうと思った。その後の事は何も決めてなかったし、私しか居ないんだから書く意味なんてあるのかなとも思ったけど……。

 

でも、報告書を書く為にLisa.AICに教わったり一緒に色々と調べてたら、だんだん、私も考えが纏まってきた。

 

こんなの間違ってる……私はそう思った。

 

私は財団の皆が必死に命を危険に晒してでも世界を守る為に頑張ってた事を知ってる。収容違反が起きて死んじゃった私と同じ施設警備員の同僚も居る。中二病を拗らせて収容されてたなんていう笑える過去を持っててもフィールドエージェントとして活躍してた████さん。████さんには、よくカフェテリアでフィールドエージェントの大変さの愚痴に付き合わされた。毎日忙しそうにサイト内を移動してるのを見かける███博士。資料を抱えながらエナジードリンクとスニッカーズを食べながら移動してるのを見た事もある。私に倉庫に荷物を置きに行ってくれって頼んできた█████主任研究員……。私はただの一介の施設警備委員だったけど、みんな、みんな、みんな、世界を守る為に頑張ってたのは、よく覚えてる。

 

それがこんな訳の分からない事で無意味になるなんて良いわけない。私だってただの施設警備員とはいえ財団職員としての自覚はちゃんとある。私がここで、諦めて財団の歴史を終わらせる事はもちろんできる。でも、それは財団職員として示しがつかない……そう思った。

 

私は財団を再興させる事を決めた。Lisa.AICはそれに意味はあるのかって聞いてきたけど、やっぱり何度考えても、こんなの間違ってる。

 

財団を復興させ、最終的には失ったあの世界を何としても取り戻す。方法はまだ全然、分からないし、いつ達成出来るのかも分からないけど、どちらの目標も何としてもやり遂げる。

 

Lisa.AICは私の方針に賛成してくれた。Lisa.AICもやっぱり財団に作られた存在なんだなって思う。彼女も今の状況には思う所があるらしい。

 

とりあえず、最初にやるべき事は財団の再興。

 

ただ、私一人だし、お金も無いし……財団の復興なんて事がほんとに出来るのか分からなかったけど、最近やった実験でSCP-████-JP-A個体に対して記憶改竄処置が有効な可能性が示されてる。これを上手く使えば、SCP-████-JP-A個体を財団職員として雇用する事が可能になるかもしれない。それが出来れば、人員の方は少しづつ増やせる様になる。数は力。人を増やせるなら財団を復興させる事は夢物語じゃないかもしれない。人間の職員じゃないけど……こればっかりは、人間が居ないんだから仕方ない。

 

でも楽観視は何一つできない。むしろ状況は最悪……。人手は将来的に何とかなるかもしれないとしても、財団を運営するお金をどうすのか。物資も問題。今は倉庫の中に沢山の物資があるけど、物資は使ったり、時間が経てばどんどん減ってっちゃう。消費したり壊れたり……。コンピュータとか武器とか化学薬品程度の物資ならSCP-████-JP内なら、お金さえあれば補充するのは簡単かもしれないけど、記憶処理剤、記憶改竄ができる機械、スクラントン現実錨、カント計数器etc……たぶん簡単には補充できない物は結構多い……。財団が開発した物なんだから当然と言えば当然なんだけど……。補充する手段を何とか見つけないと……。特に今あげた記憶処理剤、記憶改竄ができる機械、スクラントン現実錨、カント計数器とかは財団が活動する上で必要な物。これが補充できなくなって今ある物を全部、使い潰すのはまずい。記憶処理剤なんかは、実験とか財団の活動を隠蔽するのに絶対に必要な物だし、記憶改竄ができる機械とスクラントン現実錨に至っては、これがなきゃSCP-████-JP-A個体を財団職員として雇用する事すらもできなくなっちゃう……そうなる前になんとかしないと……。

 

私は多分、本当に運が良かったんだと思う。これでLisa.AICも倉庫も無かったら、絶対に詰んでた。今の状況になって、私はどうしても昔、偶然見る機会があったSCP-214-JPの事を思い出さざるを得ない。SCP-214-JP、あのVHSを作ったかもしれない二足歩行の喋る爬虫類の事を……。

 

あのVHSの内容が真実だったとして、二足歩行の爬虫類もきっと私と同じで自分達が居たって事を残したかったんだろうなって今ならその気持ちが痛いほど分かる……。でも、私は、あの二足歩行の爬虫類よりはもっと恵まれた状況に居る。あの二足歩行の爬虫類には、きっとあのVHSの内容を作る位しか時間も何も残されてなかった。

 

でも、私には幸運にも余力が残されてる。物資も使える設備も……。人類は居なくなっちゃったけど、あの世界を覚えてる私もLisa.AICも居る。ただの悪あがきなのかもしれない。だって人類はもう居なくなっちゃったんだから。でも、諦める事は私にはできそうにない。

 

今日、一旦この報告書ができたら、私はLisa.AICから記憶改竄処置を受ける予定になってる。今の私は一介の施設警備員が随時、Lisa.AICに教えてもらいながら、この報告書もやっと書いてる状態。能力不足なのは明らか……。だから、Lisa.AICに記憶改竄装置を使って、私の脳に必要な知識や情報、心構えを直接インプットしてもらう。これで、今よりはまともな事が出来る様になる。Lisa.AIC曰く、記憶改竄装置のこんな使い方は倫理委員会やO5評議会が認めない限りは、倫理的にやっちゃいけない禁忌の所業らしいけど、今は私が財団のトップなんだから問題ない。怖いけど……がんばる。

 

記憶改竄処置をやってから、この報告書を書くのも良かったんだけど、このメモを書く為にそれは遠慮した。記憶改竄処置を受ける前と後じゃ、感じる事とかに違いがあるかもしれないから、今のこの気持ちは文章にして残してから受けたかった。……一応、書いておくけどLisa.AICが私に記憶改竄処置を指示したとか、私をそそのかしたとかじゃ断じてない。これは私が自分の意志で決めた事だから、変な誤解はしないでほしい。

 

この処置を受けた後、私の役職は施設警備員からサイト8192のサイト管理官になる。まさかの一介の施設警備員からサイト管理官まで一気に昇進するなんて事があるなんて思いもしなかったな……。まぁ、昇進と言っても今の財団には私しか居ないんだけどね……。

 

このSCP-████-JPの報告書のオブジェクトクラスがKeterなのは、私とLisa.AICの覚悟の表れだ。Lisa.AICは最初、SCP-████-JPのオブジェクトクラスについてApollyonとかTiconderogaっていう私が今まで聞き覚えの無いオブジェクトクラスに該当するって言ってきた。Safe、Euclid、Keter、Explained、Neutralized、Decommissioned、Pending、Uncontained以外にオブジェクトクラスがあるなんて初めて知ったから、かなり驚いたけど、どうもそういうのがあるらしい。それで、ApollyonとかTiconderogaに分類されてるオブジェクトってどんなのか例も交えてLisa.AICに教えてもらったけど、確かに、SCP-████-JPはこういう分類に入れるのが正解なんだろうなって思った。だって実際に今、どうしようもないもんね……。

 

でも、私が無理を言ってSCP-████-JPのオブジェクトクラスは通常のオブジェクトクラスの中から選んでKeterにしてもらった。だってApollyonとかTiconderogaにSCP-████-JPを指定するという事は財団が収容できないと認めてしまう様な気がしてならないから……でも、それは許されない。だから通常のオブジェクトクラスの範疇に分類した。SCP-████-JPは特別なオブジェクトなんかじゃない。今は無理でも私達はいずれ必ず、SCP-████-JPを "収容" する。そして、いつの日か私達が失ったあの世界を取り戻す。

 

私やLisa.AIC、このサイトがある限り、私達は完全な世界終焉シナリオにはまだ至っていないって判断する。私達はまだ負けてない。

 

確保、収容、保護。

 

私達が知るあの、あるべき世界を取り戻そう。

 

-[データ削除済み]施設警備員

 

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