現チ神   作:Imymemy

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未来はwowow

 なーにが転生だ期待させやがって。中世風剣と魔法の異世界ファンタジーな世界が転生先かと思ったのに生前と殆ど変わらない現代じゃねえか!

 

 俺のことを転生させた神様に悪態をつこうとして、それから少し考え直した。

 

 ……よくよく考えれば死ぬ危険があるようなファンタジー世界より、死ぬ危険の少ない安心安全な現代の方がすごく恵まれているんじゃないか?

 

 ありがとう神様!

 

 

 赤ん坊生活やっぱクソだわ、スキップ機能くらい付けてくれよ。

 

 今は多分2歳か3歳くらいか? 自我というものを取り戻したというか理解したというか、記憶が戻ったのがつい最近。いわゆる物心がついた時~って言葉が当てはまる時期だと思う。

 

 過去の記憶に当てはめてみて、ここが日本であることを悟る。国ガチャSSRの日本が生まれって大盤振る舞いなんじゃないかと思うくらい幸運な出来事だった。

 

 それに今世のご両親はどうにも中々の美男美女だ。自分の将来の容姿にも期待ができる。

 お金にも困っていない家庭みたいで平和すぎるぜマジ。

 

 

 幼稚園に入った。

 

 クソガキどもが楽しそうにワチャワチャと遊んでいるが、精神年齢的にその輪の中に混ざる気分にはなれなかった。

 

 毎日やらされている歌も勉強も苦痛で仕方がない。歌うのは気恥ずかしくて辛いし、勉強も簡単すぎて辛い。と言っても難しい勉強をしたいわけでも無いので、与えられた勉強は程々に終わらせてボーっとすることにする。

 

 幼稚園で唯一の癒しと言えば美人の先生を見ることだ。

 

 若くて包容力がありそうで美人、常に笑顔ないい先生だ。クソガキに纏わりつかれても楽しそうにしている辺り、性格の良さが(多分)透けて見える。

 

 ただボーっとしているフリをしながら先生の姿を見ていた俺を見て、他の子どもたちと遊ばせようとするのは勘弁してほしい。

 

 

 ご飯の味が薄い。

 ラーメンからあげ焼肉牛丼ハンバーガー。ラーメンからあげ焼肉牛丼ハンバーガー。

 濃い味が恋しい。

 

 グリンピースとかニンジン嫌いなのに食わせるな!

 

 海藻にキノコに野菜に……週に何度か貰えるデザート、特に果物の持つ甘みや酸味が身体に沁みるぜ。

 

 親の話を盗み聞きしたところ、そろそろ味の薄い食事も卒業だという。親の料理は多分上手で美味しいとは思うが、嫌いなものは嫌いだった。

 

 

 ああ忘れてた、チートだチート。

 

 転生した時にワガママを言ってチートを貰ったんだった。あんまりにも平和で忘れてたワ。

 

 チートのトリセツは無いが、俺が望んだやりたいことは一通りできると神様が言っていたのを思い出す。

 

 幼稚園のお昼どき、食事を終えて楽しそうに外で騒いでるクソガキの群れを傍目に、チート能力の開発を始めることにした。

 

 むむむ……ふんっ!

 

 眼に力を込めて美人先生を睨みつける。するとどうだろう、俺の瞳に映る先生の服が透過し、素肌が見えるようになる。

 

「う、ぅぉぉぉぉっ!!!」

 

 小声で歓声を上げながら、園児を追いかけ外を駆け回る先生の姿を目で追う。

 

 しかしそれも長くは続かない。

 透視能力は先生の服だけではなく素肌を貫通し、皮膚の下に存在する血管や臓器を視界に映す。その姿はさながら走る人体模型だった。

 

 慌てて目を逸らし、久しぶりに感じる吐き気を抑えるために口元に手を当てる。

 

 余りに力み過ぎて見たくないものまで見てしまったようだ。

 

 とはいってもチート能力が使えるというのは間違いないようだ。よかった~、こういう暇つぶしが無きゃ子供ライフなんて苦行を素面で過ごすのは無理だ。それこそ俺の精神が狂ってしまう。

 

 

 本日やることを全て消化し、後は両親のどちらが俺を回収するまで待つ時間となった。とはいっても両親は共働きなので、先に仕事を終えた方が俺を回収しに来るだろう。

 

 いつもの感じからすると、おそらく今日は母が回収しに来る日だ。週終わりということもあって仕事が忙しいのか、金曜日は幼稚園が保育をしてくれる時間ギリギリまで来ないのだ。

 

 園内の絵本を粗方読み漁り、DVDで流されている何とかマンの映画にも興味のない俺は、普段はしない幼稚園を散策してみることにした。

 園児を監視している先生がたの姿も少なくなり、残りのごく少人数の先生が預かった園児の面倒を見ているが、流石に全員は見切れないようで忙しそうにしている。

 

 とはいっても幼稚園なんてさほど広いわけでもない。園児には入れない部屋も多くあり、大して面白いわけでもなかった。

 

 室内でやることが無くなった俺は、何人かの園児たちがしているように外に出て遊ぶことにした。

 

 人気のない砂場の上でしゃがみ込み、泥団子でも作ろうと手元に砂をかき集める。集まった砂の山に手をかざし、先生を透視した時と同じように念じてみる。

 

 ふんっと力めば、手のひらを中心にして水がだばーっと砂の上に降り注ぐ。なんだなんだ、蛇口の栓をひねって水を出すより簡単じゃないか。

 

 そうして俺の手から出てきた水が混ざった土をこねくり回して泥団子を作る。

 

 30分ほど時間をかけて、黒光りする泥団子を太陽にかざしてウットリとする。我ながら惚れ惚れとするような中々いい泥団子が出来たもんだ。

 

 

 友達が出来た。いや本当に友達なのか?

 

 幼稚園でずっと1人で遊ぶ俺を見て危機感を持ったのか、美人先生が別の園児を連れてきて遊ぶように仲を取り持ち始めた。

 

 連れてきたのは同い年の女児。

 周りのクソガキどもと比較しても明らかに顔面レベルが高く、将来が非常に期待できる容姿をしている。その上コミュ力もかなりあって空気まで読めるようで、殆ど初対面みたいな俺に何だかんだと話しかけてくる。

 

 良い人選してるなと先生を心の中で褒めるが、別にそう言うことをしてほしいわけじゃないんだよとも思う。

 

 話しかけてくる女児に対して適当に相槌を打ちながら画用紙に絵を描く。将来は画家でも良いな、幼い頃から絵を描いてりゃ俺でも上手くなれるだろ。

 

「うわーお絵描き上手!」

「じょうずー!」

「色の使い方も綺麗ね!」

「きれー!」

 

 美人先生と女児が交互に俺の絵を褒めてくる。

 

 全肯定botみたいに褒めてくるのは決して悪い気がしないが、正直ちょっと恐怖を感じる。

 

 俺の何だコイツら? みたいな視線は一切効いていないのか、俺のやることなすこと全てになにかしらの肯定を返してくる。

 

 怖いよこの人たち……

 

 

 これ以降卒園まで、美人先生を含めた先生たちの監視の目が厳しくなって常に先生が近くにいるようになる。

 

 更に俺の周りを他の園児たちがウロチョロするようになったため、貰ったチート練習をする時間が無くなった。

 

 

 妹が生まれた。可愛いもんだ。

 

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