ソードアート・オンライン 英雄達のレクイエム 作:オトマトペ
2016年
???
スラム街
ある一人の少年が走っていた。
「はっ・・・はっ・・・・はっ・・・」
彼は全身から血を流しながらも走る。だが、その脚もすぐに止まり倒れてしまう。血を流しすぎた故の失血死は免れないだろう。だが・・・この日、天は彼に
「大丈夫か。少年」
「だ・・・・れ・・だ」
「ただの通りすがりだよ。お前のその状態・・・死ぬ直前じゃねえか」
「・・・ハッ・・・・汚え・・・ガキ・・・・・の死・・・様・・には・・・丁度・・・いい」
「何言ってんだか・・・とりあえず放置すんのも目覚めが悪いし運んでやるよ」
「嘘・・・つけ」
「おいおい、これでも善良な日本人だぜ。人が死んでも何もないなんてことはねえよ。それにな・・・」
「ここで捨てる人生ほどそんなものはねえぜ」
少年はこの出会いにより今までとは異なる人生を歩むことになる。
♪$°
2018年
日本
東京南麻布
とある公園
私は毎日近所の公園で一人寂しくゲームをしていた。孤独を感じながら毎日ゲームに明け暮れる日々だった。家族からは私に愛情を向けられず冷え切っていていつ離婚してもおかしくなくて私は人の温もりなんて得られないんだ。今日もいつものベンチでゲームをしようしたときに珍しいことが起きた。一人の私と同じか少し上くらいの男の子がいつもの定位置に座ってゲームをしていた。しかも・・・
「なんだ?そんなジロジロ見て」
その顔は日本人の顔とかけ離れていたからだ。顔つきは目元に日本人の面影がある。だが、肌と髪、眼の色は外国で見るものに近いと感じた。色黒な肌に銀色の髪、ブルーサファイアを思わせるような目だ。その顔は他には見ない端正な顔だった。そして、この年代の少年には珍しいピアスが着いていたのだ。右の耳には十字架のようなものを、左の耳には鎖を垂らしておりその先には狼のような装飾が着いていた。ひとことで言えば気圧されたのだ。私の小学校ではここまで大人びた男の子はいない。気づけば口から勝手に謝罪の言葉が出た。
「いや、その・・・・ごめんなさい」
「もしかしてここ定位置か?すまねぇな場所取るような真似して。すぐにどくから」
男の子はやっているゲームを持ちながら立ち上がり私にすれ違うように横を通る。そのゲーム画面は私と同じゲームだった。私は声をかけようとするけど出来なかった。
『いつも、深澄ちゃんしか生き残らないもん。もうほっといてよ』
彼女達がつまらないと思っていたことに気づかなかった私も悪い。私と同じくらいゲームがうまい人なんていないんだ。そう思って一人泣いているとベンチに一枚のハンカチがおいてあった。多分あの男の子の忘れ物だ。今追いかければ追いつけるかな。私はそう思ってハンカチを持ち、彼を追う。男の子はすぐに見たかった。というか、公園を出てすぐのところに立ち止まっていたのだ。その先には・・・
「おい!不良が来たぞ!」
「逃げろ逃げろ!カツアゲされるぞ!」
三人の男の子達に煽られていた先程の男の子がいたのだ。彼の見た目は多分自前のものだし見れば分かるけど子供の残酷さは時として歯止めが効かない。男の子達は煽っている途中で私の方を見て驚く。
「女!?」
「しかも美人じゃん!」
「でも、泣き痕があるんじゃね?」
そうだ・・・私は泣いた後の顔でそのまま来たから当然泣き腫らした目の状態で追ってきたんだった。
「雅樹が女を泣かした!」
「「な〜かした!!な〜かした!な〜かした!な〜かした!」」
男の子は私を出汁にして雅樹と呼ばれた男の子を煽る。その男の子達の圧に当てられたのかはたまた元々流しきってなかった涙が出て来たのか。涙が止まらなくなってしまい、ポロポロと泣いてしまう。
「うっ・・・・ひぐ・・・・ぐす」
その男の子達もまさか私が泣き始めるとは思ってなかったのか。途端に焦り始めた。
「お、おい何も泣くことないだろ」
「別にお前に言ってるわけじゃ・・・」
「お前ら・・・俺に言うだけならまだ分かるがよ」
雅樹と呼ばれた男の子は先程と違って低い声を出す。その顔は自然に怒りの表情が浮かんでいた。
「俺の見た目じゃあ悪目立ちすんのもわかるし受け入れていたが・・・俺の所為で他人に迷惑振り込むのは大嫌いなんでな・・・これ以上続けるなら・・・」
両腕の骨を軽く鳴らしながら男の子達に近づきこう言う。
「痛い目を見てもらわねェとな」
「ひっ!?」
「もう行こうぜ!こんな奴ほっとけばいいんだ!」
男の子達は走り去っていった。でも、私はまだ涙が止まらなかった。
「・・・・ったく。あいつらは・・・・すまねえな。こんなことさせちまって。とりあえずこれで・・・・ってあァ?ハンカチがねぇ。落としたか?」
「グスッ・・・・・もしかして、これのこと?」
「おう、それだ。拾ってくれたのか?ありがとな。んでそれ使え」
「いいの?」
「そんなボロ泣きしてる状況を色んな奴には見せたかねぇだろ?とりあえずさっきの公園でな」
私達は公園の中の私の定位置に戻った。私はしばらく泣いていたが、少し経つと涙は自然に止まって行った。そう言えば私・・・泣いてる姿をばっちり見られた。
「恥ずかし・・・」
「そうか?泣くなんて生きてりゃあるだろうし仕方ないだろ?」
「私の心の問題!にしてもある意味災難なのかも。まさか、ゲームするために公園に来たらこんなトラブルに巻き込まれるなんて思ってなかったし」
「ゲーム?ゲームするのか?珍しいな。女がゲームって・・・・何するんだ?」
「・・・モンスタートレジャー」
「まじか。それ俺もやってるんだ。だが友達がいねえから一人でしかやったことなくてな。一緒にやってくれねぇか?」
「私とやってもつまらないわよ」
「なんでだ?」
「友達にそう言われたから。いつも生き残るの私だけって」
私俯きながらそういう。所詮この男の子も私の友達と一緒。真に一緒に楽しんでくれない。しかし、少年は笑顔で答える。
「俺がそいつみたいにつまらないって感じるかわからないだろうが」
「でも・・・」
「まあ一回やってみりゃいい」
少年は少女とゲームをやり始めた。少女は最初すぐに少年はついて来れなくなると思っていたが、少年のゲーム技術は少女に匹敵するものだった。そしてゲームをクリアした時二人は喜んだ。
「すごい。本当に上手いのね。このコースはかなり難しいのに」
「確かにこれは難しかったぞ。でも、あんたと協力したからこそクリア出来たんだ。それにつまんなくなんかなかったし」
「本当!良かった・・・またつまらないとか言われたらどうしようかと思ったわ」
「そんなわけねーだろ。むしろ楽しかった」
「ふふふありがとう。良かったらもう一回「にいちゃん!」っ!」
二人に恐らく少年の弟と思われる男の子が走って来た。その男の子の顔は生粋の日本人の顔だ。だが、彼は兄さんと言っていた。つまり彼等は兄弟なのだ。
「いたいた!にいちゃんもうそろそろ母ちゃんがご飯できるって。」
「もうそんな時間か。んじゃそろそろ行くわ」
「待って!」
少年が去ろうとした時、少女が呼び止めた。
「また明日も遊べる?」
「ああ。また遊ぶか?」
「それじゃあ明日1時からここで」
「了解…そう言えばまだ名乗ってなかったな。俺は滝沢雅樹だ。よろしくな。」
「私は兎沢深澄よ。よろしくね」
彼等の出会いは極ありふれたものだろう。だか、それでも彼らにはこの出会いから何かが始まったのだろう。
♪$°
2024年8月31日
アインクラッド第10層迷宮区
『ベータテスト終了まであと1分』
アナウンスの言葉を聞いて4人のプレイヤーは先を急いだ。
4人の目的はフロアボスの姿を見るためにも足を早めるがそこで2体の《オロチ・エリートガード》が現れる。そこで盾持ちの剣士が剣を抜き指示を出す。
「一体は俺とモブリで引き受ける。タキとミトはもう一体の方を頼む!!」
「あんなクソ早い奴が2体とかツイてませんねぇ!ベルさん!」
盾持ちの片手剣使い・・・ベルに盾持ちの片手斧使い・・・モブリが叫ぶ。彼等は2人1組でそれぞれ相手取る。鎌を持ったプレイヤーが《オロチ・エリートガード》のヘイトを取り攻撃を受け止める。
「スイッチ!」
「ゼァッ!」
槍を持ったプレイヤーが《両手槍》スキル4連撃技《クワトロ・ランジ》で《オロチ・エリートガード》の胴体を突きHPを減らした。。《オロチ・エリートガード》は槍を持ったプレイヤーを刀で斬ろうとするが鎌を持ったプレイヤーがまたも受け止める。しかし、《オロチ・エリートガード》はニタリと笑うと、尻尾で薙ぎ払おうと攻撃はする。鎌のプレイヤーは突然の事で動けず攻撃を喰らいそうになる。
「ミトォ!」
両手槍を持ったプレイヤーが鎌を持ったプレイヤー・・・ミトと《オロチ・エリートガード》に割って入り槍で向かってくる尻尾を切り飛ばした。
「ありがとう。タキ」
両手槍を持ったプレイヤー・・・タキにお礼を言い、両手鎌スキル単発技《モーアー》で袈裟斬りにして《オロチ・エリートガード》を倒す。
「うしっしゃァ!もォう一体もすぐに潰すぞォ!」
「ああ」
『残り30秒です』
そのアナウンスが聞こえた直後残っていた《オロチ・エリートガード》は飛び入りして来た黒ずくめのプレイヤーに斬られポリゴンと化した。黒ずくめのプレイヤーはタキ達に目をくれず先へ行く。
「チィ!待ちやがれェ!!」
「すぐに追うぞ!せめてボスの姿は見るんだ!」
タキとミトはアナウンスのカウントダウンを聞きながら、先を急ぐ。タキとミト、そして黒ずくめのプレイヤーに第十層フロアボス《カガチ・ザ・サムライロード》が映った所でプレイヤー達は真っ白の空間に転移させられる。
『ソードアート・オンラインβテストは終了しました。正式サービスの開始は11月6日13時からとなります。ご協力いただいたβテスターの皆様、ありがとうございます。正式サービス開始をお待ち下さい』
「終わっちまったかァ・・・」
真っ白な空間でタキが呟く。
「正式版が楽しみだ」
これは後に起こる事件に於いて4人の英雄がその名を刻む事となるのはまだ先のことである。