ソードアート・オンライン 英雄達のレクイエム   作:オトマトペ

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1週間ちょい
リメイク前とペース変わんねえぞ!また一年掛ける気かバカヤロウ



剣士と鼠の邂逅

ソードアート・オンラインが始まってから一ヶ月たった。その間にも死者は2千人を超えていた。俺は未だに深澄を見つけることができなかった。深澄が行きそうな所や深澄が使う武器である鎌の強化素材を集めることができるスポットを回ったが未だに見つけることが出来なかった。

 

「チィ・・・何故見つからねえ」

 

そもそもプレイヤーネームは恐らくミトのままだとは思うが、ベータテスターと思われる奴に聞いてはいるが情報はない。迷宮区にはいるはずなんだが・・・

 

グラァ・・・

 

なんだ?モンスターの鳴き声?俺は思わず壁に近寄り隠れて曲がり角から顔を出す。そこには片手剣使いの同年代と思われる男が《ルインコボルド・トルーパー》と戦っていた。そいつはゴボルドの攻撃を最小限のステップで交わしつつ隙を伺い片手剣スキル下段突進技《レイジ・スパイク》を発動させてゴボルドの首を落とし撃破する。その剣筋はどこかで見たような・・・

 

グラァ!

「っ!?」

 

片手剣使いの後ろからコボルドがもう一体不意打ちしてくる。片手剣使いはソードスキルの硬直に入って動けそうにない。なら・・・

 

「シッ!!」

 

グルッ!?

 

俺は両手槍スキル突進技《トラスト》を発動させる。このスキルは一度発動すれば一瞬で標的まで移動し貫く技だ。そして、それと同時にノックバックのデバフもついていて喰らわせれば体勢を崩すことが可能だ。実際にコボルドに喰らわせてノックバックさせるが俺も硬直する。だが、これだけ時間が開けば・・・

 

「スイッチ!」

「はぁああ!」

 

片手剣使いはすぐに片手剣スキル単発技《バーチカル》で敵を斬る。コボルドのHPはすぐになくなり四散する。片手剣使いは剣を背負ってる鞘にしまおうとするがなかなか鞘にさせないのか諦める。

 

「フゥ・・・ありがとう・・・助かった」

「いや、気にすんな。ただ見かけただけだしな」

 

実際もしこいつがトラップに引っかかりモンスターに囲まれていれば恐らくではあるが見捨ててしまうのかもしれねえがな。片手剣使いはこちらに目線を合わせづらくなったのか視線を外す。

 

「喋り辛れぇからこっち・・・もしかして、俺の成りか?」

 

まあ俺の成りを見れば普通はしゃべり辛いてのも分かる。だからこいつもと思っていたが・・・そう思っていたが別の思惑がありそうだ。

 

「うお!?」

「頼むからこっち向いてくれ。別に取って食いやしねえよ」

 

片手剣使いの肩を掴み体ごと視線をこっちに寄せる。これで少しは話しやすくなってくれればいいんだが・・・

 

「お前に聞きたいことがある」

「はい」

「大鎌を使っている女性プレイヤーを見てないか?」

「ごめん。俺は見てないんだ」

「そうか・・・ありがとな。情報をくれて」

「それじゃあ・・・」

「待て」

 

片手剣使いは去ろうとするが呼び止める。こいつからこれ以上の情報を得られないが、情報屋とパイプがあるかもしれねえ。このゲームで完全なソロは相当の苦労がいるだろうからな。

 

「なんだ?これ以上は・・・」

「情報屋と通じたりしてねえか?そいつとのパイプ通してくれれば・・・こいつをやろう」

 

取り出したのコルの金袋中にはそれなりの金が入っている。片手剣使いはそれを見ると目の色を変える。だが、彼はすぐに首を振る。

 

「いいや。コルはいらない。ただ人探しの依頼ならいい情報屋がいる。そいつに話を通そうと思うんだけどどうかな?」

「相手は?」

「・・・・鼠だ」

 

鼠・・・鼠と言えばどっかで・・・・っ!?鼠のアルゴか!そいつのウワサは全然聞かねえからもう死んだかログインしてないものだと考えていたがこの世界にいるんだな。

 

「頼む!そいつに合わせてくれ!」

「あ、ああ。メッセージを送るためにも一旦迷宮区から出よう」

「そうだな・・・ありがとな。えっと・・・」

「キリト。ソロだ」

「ありがとなキリト。俺はタキだ。よろしく頼む」

 

キリト・・・この時はまさかあんなに長く付き合うことになるとは思ってなかったぜ。

 

☆¥%

 

第一層

トールバーナー

 

俺はキリトが泊まっている牧場の借り部屋にてソファに座っていた角の座椅子にはキリトが座っている。その時

 

コンココン!

 

「っ!」

「来たか・・・」

 

キリトが扉を開けフード付きのマントを羽織ったプレイヤーが現れる。

 

「久しぶりだな・・・アルゴ」

「そうでもないダロ?キー坊」

 

プレイヤーの呼び方の癖を聞いた限り間違いなくアルゴだ。

 

「んで依頼ってのハ?」

「ああ。正確には俺と言うよりこの人の依頼なんだ」

「キー坊のじゃないのカ・・・珍しいナ」

 

キリトは元の座椅子に戻りアルゴは向かいのソファに座る。アルゴの情報の精度はかなり高くかつ迅速に情報を仕入れてくるが、アルゴ自身のスタンスの影響で顧客の情報も売ったりするので彼女と話すだけでプレイヤーのプライバシーも関係ないので出来るだけ話すのに注意がいる。だがその姿勢はデスゲームとなったSAOでも健在のようだ。

 

「アンタが依頼者カ?」

「まあな・・・俺はタキ。よろしく頼む」

「アルゴダ。しがない情報屋だがヨロシクナター坊」

 

アルゴのノリは軽いがこうして出で来るだけでもありがたい。そしてこの呼び方はベータテストでも呼ばれてたのが懐かしい。

 

「情報屋か・・・・今後も必要な存在になってくだろうな。こっちで戦う連中も」

「モチのロンだゼ。オイラは正面切って戦うよりもこっちの戦いの方が向いているからナ」

「なら依頼がある。人を探してくれ」

「どんな人なんダ?具体的に教えてくレ」

「名前はまだ分からねえ。だが、分かりやすい特徴がある。鎌を使う女性プレイヤーだ」

 

深澄の特徴を言った瞬間アルゴは大分ニヤニヤする表情に変わる。

 

「ほお、女性を探しているのカ」

「どういう意味だ」

 

思わずジト目を向ける。アルゴの性格上探られると面倒くさいから探ってくるな。その思いが通ったか知らないがアルゴはそれを意に解さず続ける。

 

「いや深い意味はないヨ。一体どういう関係なんだろうなって思ってナ」

「残念ながらそれは言えねえ」

「お姉さんに言えないのカ?」

「そこまで年離れてないだろ?それにアンタの事だ。下手な事を言えばさらにそれを情報として売っていく気だろ」

「ありゃそこまで読まれてタカ・・・」

 

こいつ・・・食えねえ奴だ。いや、このくらいでないなら恐らく情報屋など出来んか。

 

「なんとかプレイヤー名がわからないか?名前が分からなくとも使っている武器が大鎌の時点で目立つからその線からも。何せロマン武器だし」

 

キリトからもお願いをしてくる。正直なところキリトもお願いしてくるとは思わなかったぞ。

 

「意外だな。会ったばかりの他人だろ?なぜ肩入れする?」

「ついさっき助けてくれたから・・・かな。もし動いてくれなかったら俺はダメージを受けてたかもしれないし」

「だが・・・アルゴを紹介してくれたからそれでチャラでもよかったんじゃないか?」

「まあ話を聞くとな・・・それでどうだ?」

「安心しろキー坊。その目撃情報なら既に上がってるヨ」

「本当か!教えてくれ」

 

まさか一発で情報が入るとは・・・流石は鼠のアルゴと言うべきか。

 

「本当だとモ。これはオイラが直々に見た情報だからナ。確かにお前が話してくれた情報と彼女は一致する。どうやら彼女はビギナーの女性プレイヤーと行動しているようダ。」

「ビギナーだと?」

 

ミトがビギナーと一緒だと?てっきりソロで攻略してると思っていたが、違うのか・・・通りで見つからないわけだ。

 

「場所自体はまだ分からないんダ。だからもう少し待っててくれないか」

「そうか・・・頼んだぞ。俺自身からも探す」

 

俺はすぐさま部屋を出ようとするがアルゴに呼び止められる。

 

「待った待っタ。オイラとフレンド登録してからの方がいいだロ?」

「おっと忘れてた」

 

メッセージウィンドウに"Argoからフレンド申請が来ています。受理しますか?"と表示される。当然YESだ。このデスゲームに置いて恐らく一番最初のフレンドだろう。

 

「ホイ承認ト。んじゃ裏を取ってからまた連絡すル」

「・・・ああ。ついでだ。キリトにも申請は送っとくから受理しといてくれ」

「あ、ああ・・・」

 

俺はキリトの借り部屋から出ようとする。そう言えば・・・

 

「一つ聞きたい。なんでお前らはここまで来たんだ?」

「どう言うことだ?」

 

キリトが疑問の声を上げる。気持ち的には分からんでもないがこれは俺自身が気になってることだ。これに答えたのはアルゴだ。

 

「それはナ。オイラは責任を取りたいと思っタ・・・ただそれだけサ」

 

アルゴは俺の質問の意図を読み切り答えた。その目には覚悟の灯が灯っていた。それを聞いたキリトも意図に気づく。

 

「俺は・・・生き残るならやっぱり前線に出た方がいいと思ったから・・・かな。ただ漠然としてる」

「そうか・・・ありがとな」

 

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私とアスナがこのデスゲームに巻き込まれてから早半月か・・・その間にもアスナにもこのデスゲームを教えていく。アスナはまるでスポンジの様にどんどん技術と知識を吸収していく。彼女は日に日に強くなっていくのを見ていると私もうれしくなっていく。今は稼いだ分として大盛りのパスタを頼んで食べていた。

 

「ミト!今日の狩りも順調だったね!」

「ええ。アスナもスキルとか上がってきてるから私もうかうかしてられないわ」

「もうそんなことないよ」

 

アスナはこういうがもう彼女の実力はビギナーを超えている。でも、まだ心構えとかはまだまだだしちゃんと教えないとね。

 

「少しイイカ?」

「?」

 

いきなり声を掛けられて私はそちらを見る。そのプレイヤーはフード付きのマントを被ってはいるが、声からして女性だってわかる。

 

「あの貴方は?」

「オイラの名前はアルゴって言うんダ。そっちの紫のお姉さんに話があってきたんダ」

 

アルゴ!?・・・ってことは!

 

「まさか、鼠のアルゴ!?」

「にゃは、正解!」

 

まさか・・・ベータテスト時の有名人に声をかけられるとは思ってなかったわ。でも、どうして?私はこのゲームにおいてアスナ以外とは話してないのに。

 

「ねぇミト。もしかして知り合い?」

「そうよ。彼女も私と同じ予習・・・ベータテスターだったの。凄腕の情報屋よ」

「まさかそんな褒め言葉をもらうとハ、オネエさんも嬉しいネェ」

 

アスナの疑問に答えるとアルゴは茶化す。だけど、一瞬で意識を切り替えて情報屋としての顔を見せる。

 

「食べながらでもいいから本題に入ろうカ。まずなんだがミトと呼ばれたキミに捜索依頼があったんダ」

「誰から?私はアスナと今会った貴方以外と喋ってないから捜索されることはないと思うけど・・・」

 

まさかナンパ?・・・デスゲーム化してすぐなのにナンパするとは思えない。捜索願を出すとしたら雅樹・・・あり得ない。雅樹は夜までログイン出来ないと言ってたしその時間では茅場彰彦が見せたようなニュースはとっくの昔に流れていると思うしそこからログインはあり得ない。でも・・・

 

「その人のプレイヤーネームは?」

 

私はパスタを食べながら問う。フォークでパスタを巻こうとした時だった。

 

「プレイヤーネームはタキダヨ。聞いたことあるカ?」

 

ガチャン!!

 

気づけばフォークを取り落としていた。え・・・うそ・・・そんなわけない!

 

「ミト?」

「その人の特徴は!」

「特徴?銀髪で色黒の肌に青目ダ」

 

ほんとに・・・雅樹なの。なんで・・・いや今はどうだっていい。雅樹に・・・タキに会えるならなんでもいい!

 

「何処にいるの?今すぐ教えて・・・」

「あ、アア。元々そのつもりだしナ。向こうの方にも連絡を入れとくヨ」

 

アルゴはメッセージウインドウを開きメッセージを打つ。その相手は言わずもがなだろう。すぐにメッセージが帰って来る。

 

「アリ?早いナ。てっきり結構かかるかと思ってたのニ・・・愛されてるなミーちゃん」

「そ、それならいいんだけど・・・」

 

面と向かって言われると恥ずかしいじゃない。そこでアスナが疑問の声を上げる。

 

「ねぇミト。タキって人は知り合いなの?」

「そうよ。リアルで小さい時からね・・・このゲームにはログインしていないと思ってたから現実に戻らないとって思ってた。本音を言うとこのゲームに巻き込まれてない方がよかったんだけどね」

「そうなんだ。ミトもやっぱり私より親密な人がいたのね」

「私だって今までぼっち生活をずっと貫いて来たわけじゃないわ。で、勝手かもしれないけどタキと合流したいの。いい・・・かな?」

 

このゲームは一度きりの命だ。なら一人でも人数が多い方がいいしタキなら私も安心できる。だからこそ・・・合流したい。

 

「もちろんよ。ミトのそういう顔って何気に初めて見たかも」

「そういう顔って?」

「まるでそのタキ君に恋してる顔だもん」

 

アスナに言われるくらいに私の顔は分かりやすくほころんでいるのかな。

 

「よし、それじゃあ合流なんだが明日の18:00にホルンカで集合でいいカ?」

「問題ないわ。タキにもそう伝えといて」

 

明日にはタキに会える。ただそれだけで私は胸が踊った。

 

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数日後

キリトの借り部屋

 

「お前ら・・・他の場所でやれよ」

「いいじゃんカ。ここタダみたいなもんだシ」

「世話になるぞ。キリト。共通の合流場所はここしかねえし」

「さいですか・・・」

 

とりあえずキリトはほっといて今はアルゴだ。

 

「彼女達の居場所は分かったゾ。今はホルンカに逗留しているゾ」

「だが本当にホルンカにいるのか?あそこには強化素材とかも無いんだぞ」

「だがそこにいるのは間違いないサ。プレイヤーネームはミトだったゾ。合流地点はホルンカの村に18時と言っておいたがその時間でいいカ?」

「問題ねえ」

 

ホルンカ・・・確か周りにいるモンスターはネペント族とフィールドボスである《ジャイアント・アンスロソー》の2種類。《ジャイアント・アンスロソー》は厄介だがベータとパターンは変わってないのは確認済みだ。上手く行けば合流できるだろう。

 

「そうか・・・いくらだ?」

「今回はミーちゃんとも言葉を交わしたし1000ダ」

 

情報には対価を・・・こいつの情報は正確であれば付き合っていくのも悪くねえか。トレードメニューを出しアルゴに1000コルを払う。

 

「ありがとな」

「毎度。今後も御贔屓にナ」

「キリトもすまねえな。場所貸してくれて」

「いや、いいさ会えればいいんだし。ついでなんだが、俺も一緒に行っていいか?」

「キリトも?どうしたんだ?」

「俺もホルンカに行きたいんだ。俺もやりたいことがあるから」

「まあ、構わねえよ」

 

キリトが剣を装備しながら言う。まさかついてくるとはな・・・こいつはこいつで・・・

 

「お人よしだな」

「そうじゃないよ」

「それじゃ、会えることを祈ってるゾ」

 

アルゴと別れキリトと共にすぐさまホルンカに走った。もうすぐだ。もうすぐで・・・深澄と会える。最後に合ったのはSAOを買いにいった1ヶ月前だ。その時はまさかこうなるなど想像出来なかった。あいつに会いたい・・・触れたい・・・失うのなんざもううんざりだ。

 

 

 

☆¥%

 

 

 

 

 

 

 

 

アインクラッド第1層

ホルンカ

ネペントの森

 

 

俺とキリトは《リトル・ネペント》を狩りながらホルンカに向かっていた。《リトル・ネペント》は単独ではそこまでの脅威ではない。問題は数と実付きと呼ばれる個体がいることだ。数は一度の出現で2体か3体出てくる。そしてその中に混じっている実付きは倒されると実が破裂し音と煙で仲間を呼ぶという厄介な能力がある。よって実付きと出会ったら戦闘は避けるべきものだと言われている。

 

「そう言えば・・・ミトって子のこと信頼してるんだな」

「当たり前だろ。あいつは俺にとって大事な奴だ」

「へえ・・・そいつは会ってみたいな」

「会うか?向こうもビギナーと一緒だからちょうどいいだろ」

「それは・・・」

 

こいつ変なところでビビるな。このゲームにおいて何か他人に距離をおこうとしたきっかけがあるんだろうか。ここで目の前に3体の《リトル・ネペント》が出現した。

 

「数が多いな。これじゃあ先に進むのも一苦労だ」

 

シュウウウウウウ!

 

まずはこいつらを片付けてとっとと深澄に会いに行く。その邪魔をするなら潰してくだけだ。俺はネペントに近づくために駆ける。ネペントは蔦を顔に当てようと攻撃するが、槍で受け流しつつ突進する。ネペントは大口を開け俺を噛み砕こうとするが遅すぎた。両手槍スキル上段突き《ライズ》を発動させる。この技は相手を跳ね上げるデバフ《浮遊》がある。このデバフは転倒とはまた違うデバフで転倒より決まりにくい分効果は絶大だ。《リトル・ネペント》の体は打ちあがり体勢を崩す。すぐさま追撃の単発技《ランジ》を発動させ撃破する。

 

「ふう・・・手助けは必要か?」

「大丈夫だ。心配ないよ」

 

キリトはその言葉通り片手剣スキル2連撃技《ホリゾンタル・アーク》でネペント2体を倒す。

 

「GJ・・・流石に安定したな。ここらの敵は多分倒しやすいほうだからか」

「まあな。もうそろそろこの層で稼げる経験値も限界が近いか。・・・にしてもネペントが「パァアアアアアアン」・・・今のは」

 

そのとき森に破裂音が響いた。つまりはネペントの実付きを割っちまったってことか!もしかしてミト達がやったのか!?ネペント達は俺を無視して別の方向に向けて走り出した。その方向には煙が上っている。俺はすぐにその方向に向かう。煙が上っている位置に着くとネペント達が崖下を走っているのを見つける。奴らが追っているのは鎌をもった女性プレイヤー・・・ミトだった。

 

「ミト?・・・何故あいつがネペントの大軍に追われてやがる!?」

「な、あの子が・・・」

 

キリトも思わず固まる。ネペントは崖下と崖上の両方に殺到していやがる。なら・・・

 

「キリト!お前は崖上の方を助けに行け!俺は崖下に行く!」

「わかった!ことが終わったら連絡する!それまで死ぬなよ!」

「てめぇもな!」

 

ミトが実付きを攻撃した?あり得ねえ!ベータの時に俺達は一回同じヘマをしたんだ。流石にこの状況でそんなミスをやるとは思えねえ。なら・・・ビギナーの方か!だが、ビギナーの姿が見えねえのは何故だ?いや今はどうでもいい!

 

シュウウウウウウ!

「どきやがれ!!」

 

すぐにでも助けに行きたいが《リトル・ネペント》の集団が邪魔だ。俺はここでは倒すことはせず、ミトを追うことを優先するが《リトル・ネペント》の集団がしつこく追ってくる。崖下に向かう棺桶もなく、ここから落ちれば、死ぬ可能性があり安易に飛び降りることができない。

 

 

 

 

 

 

いや・・・そんなこと考えてる場合じゃねェ。飛び降りたら死ぬっつーなら生身で飛び降りなけりゃいい。追ってきたネペント達に両手槍スキル下段技《ロウ》を発動させる。このスキルは《ランジ》より威力が低いが体勢を崩すことが可能だ。なおさら・・・・

 

グガ!?

 

俺を追うのに必死ならば余計に体勢が崩れやすい。先頭の《リトル・ネペント》の体勢が崩れたことで後ろの個体がそれに躓き転倒する。ここがねらい目だ。

 

「うぉらッ!」

 

目の前で転倒した《リトル・ネペント》を崖下に蹴り飛ばしその上に飛び乗る。そうすれば、コイツをクッションにして、

 

「ダメージを軽減できる!」

 

《リトル・ネペント》をクッションにして着地する。《リトル・ネペント》は衝撃で消滅する。俺のHPは少し削れただけで済んだ。だが、この衝撃で気づかないわけはない。

 

シュウウウウウウ!

 

気づいたネペント達が牙を向く。それは目の前に餌が放り込まれた動物のようだ。それに対し笑みを浮かべる

 

「お前ら、俺は今最高に嬉しいんだ。愛しい奴を見つけてそいつに会いてえ。邪魔をするなよ」

 

俺は一瞬目を閉じ見開く。この時俺の頭は切り替わりどこまでも冴え渡る。ネペントは襲いかかって来るがここは崖に挟まれている谷の一つ。囲まれているならまだしも、この広さなら俺の槍は充分以上に戦力になる。

 

 

シャア!

 

先頭のネペントが噛み砕こうと突撃するが俺はジャンプしネペントの上に乗る。ネペントは振り落とそうと暴れるが、その前に弱点である頭頂部の花とカズラの間の茎を攻撃する。そのネペントのHPは尽きるが、すぐさま別の奴に飛び移る。すぐに茎を攻撃、また飛び移るのを繰り返しネペントの壁を超える。

 

「超えさせてもらうぜェ・・・テメェら見てェなうざってェ奴はもうくるんじゃねェよ」

 

フシュ・・・

 

ネペントはなおも襲い掛かろうするが、俺からすればこいつらに構う時間もない。だが、その時だった。

 

グルル!

 

一際デカイ唸り声で巨大な影が上から追ってくる。少しバックジャンプをする。その影の形は鳥と猿と恐竜が合わさった見た目をする。そのモンスターの名は・・・

 

「ジャイアント・アンスロソーだァ!?」

 

思わず舌打ちをする。よりによって目の前にこんな大物が現れるとは最悪じゃねェか!いや・・・上手く行きゃあなんとかなる。

 

「ネペントは・・・まだついて来てるなァ」

 

ジャイアント・アンスロソーはβの時はプレイヤーがネペントを相手している時にポップしネペントを喰らい尽くしてからプレイヤーを攻撃するという変わったアルゴリズムを与えられたモンスターだ。だか、βと変更になってた場合どうする・・・後ろには数を減らしたとはいえネペントの集団だ。挟み撃ちになれば不味い。だが、ジャイアント・アンスロソーはネペントの集団を見つけ、目の色を変えた。

 

グオウ!

 

ジャイアント・アンスロソーは突撃してきた。ここは谷なので横に避けられない。なら股下を通るだけだ。俺はスライディングの容量で下をくぐる。ジャイアント・アンスロソーは俺には目もくれず、ネペントを追っていった。これで心置きなくミトを探せる。

 

 

 

 

☆¥%

 

 

 

 

 

 

 

 

ネペントを撒いた私は洞窟に身を隠していた。

 

「私の、せいだ・・・」

 

それは自身の行動に寄って引き起されたことだ。あのときもし私がレアアイテムにこだわらなければアスナは死なずに済んだかもしれないのに。私が目を離さなければ、アスナは実付きを攻撃してしまうこともなかったのに。あとからあとから後悔ばかりが浮かんでくる。極めつけは、

 

『・・・ごめんっ・・・アスナ・・・約束、守れない・・・っ・・・』

 

私とアスナのHPの残量、ネペント達の数に私は恐怖し心が折れてしまったこと。アスナのHPが消えるの見たくなくてパーティーを離脱したことが心の傷を広げていく。こんなんでタキに会いに行けるなんて思えない。いや・・・私()()()が会って言い訳がないそのとき一つの足音が聞こえてきた。その音はまるで死神が罪人の魂を奪いに来たように感じた。

 

「あぁ・・・・・ぁ・・・・」

 

もう私は戦えない。アスナを殺しておいておめおめとリアルに帰ることなんてできない。タキに合わせる顔もない。自分で死ぬ勇気もない私は誰かに殺してもらわなければ死なない。私の手から鎌が滑り落ちる。現れた影は最小限の鎧をつけ槍をもっている。人影の顔は洞窟内が薄暗くよく見えなかった。

 

「私・・・ここで・・・死ぬのね。」

「ここでは死なせねェ!絶対になァ!」

 

この声は・・・だけどありえない。だって彼は・・・人影の顔を見て私は確信する。

 

「雅樹なの・・・」

「ああ。やっと見つけたぞ。深澄」

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