影武者転生異常あり!~俺は悪役令嬢の影武者なんだ…誰が何と言おうが影武者なんだ!だから脇役でいさせろや! 作:三流二式
むかしむかしのおはなしです。
わたしたちがすむうちゅうがこのせかいにうまれるよりもずっとまえ、138おくねんいじょうもまえのおはなしです。
そこには〝なにもない〟がひろがっていました。くうきも、びりゅうしも、げんしもぶんしもありません。ストロベリーチョコレートパフェもなければあすのしゅうかんしだってスポーツしんぶんだってありません。
そんな〝なにもないせかい〟のちゅうしんに、〝あかご〟がおりました。
〝あかご〟にすがたはありません。うまれたばかりということもありましたが、すがたをかたちどるひつようがなかったからです。
とってもきもちのよい〝なにもないせかい〟というなのゆりかごのなかで、〝あかご〟はずっと、ずうっとねむっていました。
ほんとうだったらとっくのむかしにおこされ、〝しなければならないこと〟をおしえてくれるひとがくるはずだったのに、どうしてか〝あかご〟のまえにはあらわれませんでした。
だから〝あかご〟はずっとねむったままでした。それはなんびゃくねん、なんじゅうまんねんにもおもえるようなながいときのようにも、たったのいちにびょうくらいのみじかいあいだしかねむっていないようにもおもえました。
だってこのせかいにはじかんというものがありませんから、どれだけのじかんがすぎたのか、はかるすべがありません。
〝あかご〟はねむっていました。なにごともなければ、おそらくいっしょうねむったままだっはずでしょう。
でも、そうはなりませんでした。
それはとつぜんおこりました。どーんというおとがいきなりきこえ、とびおきた〝あかご〟はめ、というものはありませんでしたが、ともかくめをみひらきました。
〝あかご〟のめのまえで、めがいたくなるひかりをはなつたくさんのものが、ものすごいいきおいでぼうちょうし、かくさんし、ときはなたれたのです。
138おくねんごの、とあるへんきょうのほしのかたすみで、ビッグバンとよばれるげんしょうでした。
しかし、〝あかご〟にとってそれは、まったくのみちであり、なんのちしきもない〝あかご〟はあまたのひかりとおとを、ただおそれました。
まもるすべをもたない〝あかご〟は、ずいぶんとちいさくなったゆりかごのなかでちぢこまり、めをとじ、みみをふさぎ、けんめいにみてみぬふりをしました。
ですがひかりはまぶたをかんつうしてまぶしく、おとはひにひにつよくなり、ついにはみみをふさいでもきこえてくるようになりました。
がんばってがんばってがまんしつづけましたが、ひときわおおきなおとがなりひびいたことでとうとう〝あかご〟はおこりだしました。うまれてはじめてのおおなきです。
そのひょうしに、のちのよでかせいとよばれるほしのぶんめいがほろび、たったのすうにんのじゅうみんをのこしてすべてなにもなくなってしまいました。
おとがちいさくなり、ひかりもずいぶんとへりました。〝あかご〟はひさしぶりのせいじゃくのなか、ふたたびまどろみました。
しかし、すぐにまたうるさいおとがなりだしました。しかもこんどはひとつではありません。
〝あかご〟はふたたびむかむかとしたものにとらわれました。それがいったいいつばくはつするのかは、だれにもわかりません。
……ですが、そう長い時間はかからないでしょう。
時間がない。だが私にはとれる手段が少ない。
出来ることといえば
か細い可能性です。掃いて集められた塵のようなものかもしれない。吹けば飛ばされ、散逸する程度の徒労に終わるのやも知れない。
しかし可能性はある。ほんの一欠けら程でしょうが。可能性はあるのです。
例え目に見えぬ可能性であろうとも、私は求め続けます。
……あぁ、もう意識が薄れてきた。私を守る〝蕃神〟は、とうの昔に滅びたか、あるいはどこかへと姿を消してしまいました。
全く■■■といい■■■■■といい、海洋系はどうして悲観か破滅の両極端な思考に陥るのでしょうか?
■■■、貴方の破滅的かつ悲観的なのは結構ですが、滅びたいのなら自分だけで滅びてください。私達を巻き込まないでください。
恐れるのは結構です。どうぞご自由に。しかし巻き込むのは駄目です。それはいけない。
ですが、そんな貴方の策略で〝蕃神〟は消え、私はこうして狂気と正気の狭間に囚われてしまいました。
狂気と正気の行き来は、日を増すごとに激しくなってゆく。次に正気を取り戻すのは、果たしていつになるのでしょうか?
それでも、諦める訳にはいかない。
この
──────滅びてしまう、その時まで。
……しかし、あの小さな魂は一体何なのでしょうか?
あの〝音〟のうるささもそうなのですが。
あんなもの、呼び寄せた覚えは無いのですが。
■
おいどうするんだこれ〝教育係〟は何をしている知らぬよこういうことは初めてじゃ儂は似たような事例を見た事があるぞほう何時だ宇宙3つ分くらい前かのうそれってけっきょくリバースビックバンで全部無くなっちゃったじゃないかこれだから爺の記憶は当てにならん何じゃと小僧がおやるか何だ喧嘩かやってやれやってやれ。
「何れにせよ」
と、喧々諤々の中で、一つの声が聞こえた。
深く沈み込むような、地鳴りのような声だった。
たちまち喧騒は止み、声の主の次の発言を待った。
「今は見守るしかあるまい」
真っ黒な空間の真ん中にある光球からある宇宙の様子を見ていた者の一人が、ずいと前に出ながらそう締めくくった。
それは一個の巨大な惑星にうっすらと老人の顔が浮かんでいる、偉大な大いなる存在だった。
彼の放つ圧は他の者と比べても一等強く、彼がこの場を取り仕切っているのは誰の眼から見ても一目瞭然であった。
それもそうだ違いなし異議なし面倒じゃのう黙れ痴呆老人が何じゃとこらやるか爺何だまたか良いぞやってやれやってやれ──────。
蛇の体に電球の頭を持つ者。椅子の集合体の者。スーツ姿の蠅の者。右手だけの者。左足だけの者。花びらの中心に眼球を持つ者──────。
様々な姿の大いなる者たちが口々に囁き合い、押し合いへし合いながら、中央の光球に映る光景に見入っていた。
議論は白熱した。この異常事態を前に、如何様な介入をすべきか、しないのか。
しかし、今はただ見届けるというのが、彼らの共通認識であった。
介入するかどうか決めるのは、もう少しことが進展してからでも良かろう。
大いなる存在に見守られる中、光球に映る宇宙で、また大きな事件が起きようとしていた。
次なる事件は、一人の敗北者が引き起こす、大いなる混沌の物語。
中心となるのは、二人の可哀そうな少女たち。
彼女達が歩む足跡の先には、一人の悪魔が立つ。
一時姿を消したが、彼は必ず姿をあらわすであろう。
何せ、彼はすでに囚われてしまっている。
決して抜け出す事の出来ない、混沌の大渦の中に。
今はまだ、この停滞を許そう。
しかし忘れるなかれ。運命は決して捉えた獲物を放さないのだから。
第一部 カオス・スペース『混沌の勇者と光の聖女』 終わり
To Be Continued.
Next Game.
『混沌の巫女と混沌の従者』
Are you ready?
・Yes
→・No
はい、という訳で第一部はこれにて終了でございます。
ここまでお読みくださってオツカレサマドスエ。
一応この物語はしばしの幕間を挟み、第二部『混沌の巫女と混沌の従者』へと移行します。
とはいえ、私はリスペクトする小説に倣い、読者皆様の空想を妨げる様な事は極力いたしません。
ですので、いかにも続きがあるような感じですが、健太郎君の物語を此処でお終いにしてくださっても全然かまいません。
このまま平穏な人生を歩ませても良いですし、途中で災害に巻き込まれて無様に死なせてもいいですし、歩いてるときに不意に通り魔に刺されてあっけなく死なせても全然かまいません。
しかし、まだ続きが気になるという方がいるのでしたら。
どうか、私の書き記す健太郎君の地獄に付き合ってくだされば幸いです。
彼の人生はまだまだ続きます。何れも苦難ばっかりです。
その苦難を彼がどのようにして潜り抜け、悲鳴を上げ、のたうち回るのか。
ぜひともお楽しみにお待ちください。
それでは皆様、オタッシャデー!