クトゥルフ神話案件とヒーロー社会は相性が良くないと思います   作:とんたん

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巻きで行きます。



少女は見習い魔術師になる(強制)

 

 私、メアリー・ホプキンス10歳。

 昨日まで、極々普通の女の子だった。

 今は、何か巨大な機械のコクピットっぽい所に居ます。

 昨日の事は夢であって欲しかったのに……

 

 「あ、起きた?もうすぐ大学だからもう少しゆっくりしてね」

 

 操縦しているのはカナタ・サモンと名乗った女、自称私と同じ10歳だ。

 信じたくは無いけど、昨晩の出来事は事実なのだろう。

 それはそれとして、都会って凄いな。

 こんな巨大な機械の乗り物が有るなんて!

 ……いやいやいや、いくらド田舎育ちでも、これがおかしいって言うのは分かるんだからね!

 

 どこかの施設の敷地の中にはだろうか、広い中庭のような所に降り立った。

 今いる機械が霞のように消え去り、私はカナタに抱き寄せられて抱っこされて空中に居る。

 ……ちょっと前まで憧れていた、シュチュエーションなのが癪だ。

 カナタは空中から重力を感じさせず、ゆっくりと地面に降りた。

 

 「ほら、もうすぐだから、付いて来てね」

 

 やっぱり、私がおかしいのだろうか。

 いくら都会でも巨大ロボはおかしい、と思っていたのに、周囲の人達は何でも無いかのように普通にしている。大都会だとこれが当然の事なの???*1

 

 中庭と思しき場所を少し歩くと、古めかしい柱時計の前でカナタは止まり、時計の蓋を外して短針と長針を弄りだした。

 

 「これは、ド・マリニーの時計って言うアーティファクト、航時機さ。ここでは、隠秘学科や秘密図書館の有る空間に入るのに使っている」

 

 風景が歪み、別の風景と入れ替わった。

 屋外に居たのに、屋内に今は居る。

 

 「ようこそ!ミスカトニック大学隠秘学科へ!さぁ、学部長や教授陣に報告と紹介しなきゃだから付いて来て」

 

 職員室のような所へと案内された。

 そこから、カナタは今の私では理解できない、難しい話題を老婆や男達として内容が頭に入らない。

 神格、Y案件、ネクロノミコン、バルザイ、デウスマキナ、耳に残って離れない単語が頭の中で虫が這うように蠢く、奇妙で不気味な感覚で気分が悪い。

 名を誰かから聞かれた気がしたから、名乗った気がする。

 誰に聞かれたのだったかな?*2

 

 

 気が持ち直すと、そこは別の場所だった。

 

 「大丈夫?気は持ち直した?ダンウィッチの顛末を聞いて平常では居られなかったのは察するけど、この業界じゃよく有る事だから慣れてね」

 

 「慣れてね???何を???ここは何処???」

 

 「ここは私が借りているアパートメントだよ、あとで同居人紹介するね」

 

 「え、同居?同居するの?誰と誰が?」

 

 「やっぱり、ちゃんと聞いていなかったんだね。わかったもう一度、簡潔に説明するよ。まず、メアリー・ホプキンスはカナタ・サモンの内弟子となる事になったよ、これからビシバシ魔術の事を教えてあげるからそのつもりでね!」

 

 「な、何でですか?」

 

 「そりゃ、傍から見たら極悪ヴィランの私に、あんな啖呵を切った君を私が気に入ったからだよ。あんな事件が憎いんだろう?あんな事件の処理をした私が憎いんだろう?あんな不条理と理不尽と戦うんだろう?だったら、知識を蓄えて力を得ないと、なぁんにも出来ないよ。だから、私がその為の知恵と力を付けてやるって話さ。それに私が引き取らないと君、一生病院の精神病棟に居る事になる所だったんだよ」

 

 「一生、精神病棟……一生!?」

 

 「隔離病棟と言う名の監獄だよ、一定のレベル以上のあんな事件に、不幸にも巻き込まれた人が収監されるんだ。すんごいお金かけている無駄の塊、お金を出している人も職員も入れらている人も、誰も得をしない不毛な場所。力を認められている魔術師がバックに居ないと、不完全な降臨とは言え、神格を目撃しちゃったから、いくら君が正気を保っていたとしても、そこに入れられるか、秘密裏に消されるね」

 

 「う、嘘よ」

 

 バサリと、どこからか取り出した新聞を幾つか寄こしてくる。

 

 「一面見てみ?」

 

 各新聞の一面には、多少の違いこそあれど同様の事が記されていた。

 

 【ダンウィッチの悲劇!ヴィラン組織による核実験か!?】

 

 【閑散とした町で行われた、非道な実験!?】

 

 【ダンウィッチの生存者は絶望的か?ヴィラン組織の悪魔めいた陰謀!】

 

 「何よこれ、嘘ばっかりじゃない!」

 

 「そうだよ~今回は、架空のヴィラン組織が、使われたみたいだね~」

 

 あまりにも簡単に肯定するカナタの姿を見て、これが彼女の言う『よくある事』だと理解する。

 国・政府も噛んでいるのだ。

 確かに、戦うと宣言した。

 だが、途端に不安になった。

 

 「私、ギフト*3が不明だし、魔術の才能が有るかも分からないし。大丈夫なのかな?」

 

 「え?大丈夫!大丈夫!あのね、確かにギフトも魔術の才能も大事ちゃ大事なんだけど、最重要って訳じゃないの。じゃあ何が大事かって言うと、フィジカルとスタミナと知識なんだよ。それと気合と根性ね、それらが兼ね備えていれば、大抵の事は何とかなる!」

 

 「あ、それなら、何とかなるかもしれない」

 

 後に私は、このやり取りを、後悔することになる。

 あと、よくよく思い返してみれば弟子になると了承した記憶が無いのである。

*1
当然ながら、魔術で対処済みである

*2
変な超常の存在じゃなくて、学部長に聞かれたから安心してね

*3
日本で言う所の個性




次から日記風と時間・舞台を元に戻します。
ようやく、ヒロアカと絡みます、向こうからしたら絡んでくんな!と言いたいでしょうが。
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