今回は執行者のお仕事です
私はトリニティ自治区の端の方へ来ていた。
【気配遮断】を使いつつ例の魔術師のいる豪邸風の建物を監視していた。
「…」
今回の魔術師はオーパーツの解析を行おうとしており近日中にここに運び込まれるらしい。
本来の予定では運び込まれてから襲撃を行う計画だったが私が参加できないとなり繰り上げになったらしい。
オーパーツの奪取を行う別部隊から通信機で連絡が来た
「こちら突入部隊ゴルフ01全小隊の配置完了を確認」
「了解、ゼロアワーに作戦案A1003号を開始する」
そういったあと私は通信を切って腕時計を見る。
刻一刻と予定時間が迫る。
あと10 .9.8.7.6.5.4.3.2.1.0
ドカン
予定時間通りに遠くで爆発が起きた。
私も【結界】や【探知】を使って警戒しつつ屋敷へ侵入する。
ドアを開けた瞬間私に向かって銃弾が撃ち込まれる。
しかし【探知】で事前にわかっていた私は銃弾を避け雇われの警備兵と思われる彼ら、彼女らに【投影】で生み出した黒鍵を投擲する。
魔力を纏った黒鍵は彼らを守る神秘を貫通し体に突き刺さり無力化する。
「ヒイッッ」
そんな声が相手から漏れる。
当然だ生徒ほどではないとはいえ彼らも神秘を纏っている。
彼らも普段の戦闘では血など見ないので毎日ドンパチやってる割には、いや、毎日ドンパチしても命の危険がないからこそ出血という命に関わるものに耐性があるものは少ない。
しかし、私も相手が見せた隙を逃すほどお人好しではない。
近い相手には拳を叩き込み。少し離れた相手には投影した黒鍵を射出して無力化していく。
そうやって敵を無力化しながら廊下を走り抜けると大きな扉があり扉を開けるとそこには大きなドーム状の部屋だったそしてそこの中心には床に描かれた巨大な魔法陣が置かれ周囲には様々な資料や道具が散乱した机や様々な道具屋本を収納した棚が並んでいた。
扉をくぐると資料や道具を確認する。
どうやら今回のオーパーツは成功すれば自身の肉体を魔力と結びつけることで不老長寿に到れるかもしれないものでありここはそれを使うための祭壇のような場所らしい。
しかし、そのオーパーツは扱いを間違えると呪いを大量に撒き散らすため禁忌指定されており魔術協会の監督下に無い実験や研究は禁止されている。
逆に言えば許可さえ取れれば魔術協会の魔術師が結界を張るなどの対策を取った上での実験は許されるのだ。
しかし、ここの主である魔術師がそれをしなかったのはおそらく非合法な手段で手に入れたからだろう。
証拠品を回収し【探知】によって感じ取った魔術師のもとへと走ったその間にも警備はいたものの簡単に無力化出来た魔術で強化された肉体のスピードにほとんどの敵が対応できずまたこちらの動きに対応してきたごく一部も結界を貫通するほどの火器は持っていなかった。
そうして例の魔術師のいる部屋へとたどり着いた私は鍵のかかったとびらを蹴り壊し中へ入った。
次の瞬間私の視界を炎が覆い尽くした。
私はそれを結界で防ぐとその魔術を放ってきた魔術師を見る。
彼はまだ抵抗するつもりのようだ。
「死ねエエェェ」
そう叫びながら様々な魔術を放ってくる。
しかしそのどれもが私の結界を貫くほどではなかった。
私はやつに黒鍵を投擲した。
それを防ぐためにやつは攻撃をやめ結界を張る。
私はその隙を逃さず接近し魔力を纏わせた八極拳の打撃を打ち込んだ。
この技は小さい頃から習っていた八極拳を実践の中で使いやすく改良した人体破壊術だ。
拳に纏った魔力は打撃を強化するだけでなく体内で暴れ内部破壊を引き起こすことによって相手を死に至らしめる。
「クソ…クソクソクソクソクソクソクソクソクソー!」
私の技を受け血を吐き倒れたあと叫び始めた。
「あと少し、あと少しで不老の存在に慣れたというのに!貴様だ貴様が私から夢を奪ったんだ、私はいずれ根源に至る存在だと言うのに…許さんぞ、許さんぞ!…クソ…」
その言葉を最後にやつは事切れた。
魔術師は私を含めどこかネジが外れている。
私はこの男を殺したというのになんとも思っていない。
この男は自らが不老となり根源に至るまで生き続けるためならと周囲に下手をすれば命に関わるようなレベルの呪いが振りまかれるリスクを無視した。
我々は基本的に魔術と言う神秘に心を奪われた研究者だそれ故か私達魔術師は時々倫理より憧れや欲を優先してしまう。
だからこそ私は倫理から外れた行いが横行しないように自戒しなければならないというのに…私は他者を大義や、己の正義のためならどんな犠牲もいとわないだろう。
もし多数と少数どちらかしか救えないとき私は多数を救いもしそれを邪魔するのなら少数側を皆殺しにすることさえあり得る。
そんな人間だ。
だからこれはあくまで私の考えだが魔術師をあまり信頼しないほうがいい。
さて、気が滅入る話はここまでにしよう。
私も明日以降に備えなければ。