波乱のテスト返しの後私はシスターフッドの定例報告会議に参加するため大聖堂に向かっている。
大聖堂にある資料保管室と書かれた部屋へと入る。
中は聖典や表に出している範囲の魔術に関する資料などが本棚の中に保管されている。
その奥の扉の前に立ち専用の【鍵】の魔術を使う。
これは受信側と送信側の2つの術式からなる魔術で術者が正しい送信側の術式を使うと受信側の術式が起動する仕組みだ。
術式の起動を確認した後近くの壁を引くと開いていく2階への階段が現れた。
そこを登っていくと白い長机が置かれた部屋に入る。
そして私の席に座った。
すでに今回の参加者は全員揃っているようだ。
ここにいるのは各部門の代表「統括」である。
「あら、お久しぶりですねサイカさん。復帰おめでとうございます」
そう喋りかけてきたのはヒロだった。
「いや、遺憾ながらまだ復帰じゃない。5人中3人が不合格という結果を出したからな」
「え!?嘘でしょ、あなたにに回そうとしてた仕事結構あつたのだけれど〜」
「それは災難だったね。それはそうと君が作った 月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)は好評だよ。すでに量産を始めているよ」
そんな事を言ってきたのは追求者統括 魂球キズクだ。
そもそも魔術師とは基本的に研究者である。
魔術を手段として根源へと至らんとする者のことだ。
我々魔術師の家系は代々それぞれのやり方でその方法を模索してきた。
今でこそ私のように道具としての魔術や戦闘のための魔術を研究している者も多いがそれでも根源へ至らんと日夜研究を進めている。
そんな魔術師の中で特に研究に力を割いている魔術師たちを率いており実験の監督も行っているため唯一3年生以外がつくことが許されていない役職だ。
私が持論だが私の含め魔術師の家系の連中はどこかネジが外れてる奴や倫理観のおかしい奴がいる。
そう言う奴らが暴走しないように抑える役目でもあるのである意味最も重要な役職だ。
「あなたがいないと執行者の指揮を私が取らなければならないのですが?いつになったら帰ってきてくれるのですか?」
今トリニティの気品を感じる(皮肉)喋り方をしているやつは守護者統括 跡守ヤチヨだ。
こいつは今私のかわりに執行者の仕事の振り分け等もしてくれているのだが度々こうして嫌味を言ってくる。
だがやつも本気ではないので無視をしている。
これで今回の会議の参加者は全員である。
どうしてこの会議にサクラコ様がいないのか?
それはこれは魔術協会からの情報を共有したりするための会議だからだ。
魔術協会とは我々魔術師の家系の者やシスターフッドの中からスカウトされた者か所属する組織でキヴォトス中の魔術師が生徒、非生徒問わず所属している。
逆にここにスカウトされなかった者は基本的に魔術とはユスティナ聖徒会が残した技術を用いたり過去の資料を研究し蘇らせたものである。
という表の事しか知らないのだ。
そしてサクラコ様は魔術協会に所属していないためここにはいないのだ。
一通り談笑したあとヒロが進行役として会議が始まった。
「え〜と、まず最初に魔術協会から来た連絡を伝えます。
数ヶ月前アビドス自地区で強大な魔力を観測直ちに魔術師を派遣するもすでにもぬけの殻だったものの残された資料や装置を回収し解析中
また資料には"ゲマトリア""
ゲマトリア…新手の魔術師集団か?
「またミレニアムでも廃墟地域で魔力在反応を観測こちらは原因が判明しています。どうやらミレニアムの生徒が立入禁止区域にある廃墟に侵入。その後、不活性状態にあったヒューマノイドを目覚めさせたことによるもののようです。現在はシャーレの先生やエンジニア部等と交流が確認されておりなかなか手が出せない状況のようです。こちらに関しては魔術協会は要厳重警戒とし常に監視をつけるとのこと。また、もし暴走するようなことが有ればすぐに無力化し最低でも魔力への制限を設けるとのこと。ただし我々含め各学園の魔術師集団に対して人手の派遣の要請が来ています」
「ヒューマノイド?そんなものから魔術協会が厳重警戒するほどの魔力を感じたということは間違いなくオーパーツのたぐいたな。それでどこから派遣するんだ?うちか?審問官か?」
私がそう問うとヤチヨが答えた。
「あなたの所から2名、審問官から1名が派遣予定です。人員の選考は私とヒロが担当いたします」
「そうか、迷惑をかけてすまん。どうかよろし頼む」
そしてヒロが進める
「ではそう言うことで。次の議題に入らせていただきます。先日サイカ、より依頼のあったエデン条約についてです」
「もうわかったのか、流石だな」
私の発言にキズクが続く。
「私も気になっていたんだよ。
「はい、ただの条約であればその通りでしょう。しかし、エデン条約はただの条約ではありません。これはトリニティとゲヘナの抑止力を生み出すための一種の魔術的儀式であり一種の魔術契約でもあるのです」
(((!?)))
驚きが隠せなかったなぜなら私の解釈が間違っていなければ抑止力という一種の概念、力を生み出すと聞いて驚かないわけがない。
「抑止力てあれかい?人類や星が滅びそうになったとき動くっていうあの?」
キズクが驚きの声もを上げる。
私も少しは知っている。
抑止力…それは古い魔術も資料や魔術師の家系の中で言い伝えられてきた存在だ。
それは人類や星の滅亡を防ぐため抑止力と契約した使いを降臨させるとされている。
これらは自然発生した超常的存在であると認識されてきたのだ。
それを契約によって作る、それはつまり神を作ると言っても差し支えない偉業だ。
驚くのも無理もない。
私も口を挟む
「それじゃあ何だ?、ティーパーティーの誰かが魔術師と協力していると?」
「いえ、少なくとも彼女らはエデン条約が魔術的意味があると認識していないようです。これらは全て連邦生徒会長が用意した物のようです」
連邦生徒会長私たちですら理解不能な存在だ。
抑止力を生み出す魔術いやもはや魔法の領域の偉業。彼女の知識は一体どこから来たものなんだ?
「とにかく彼女の事を考えても理解できません話を戻しますと今回エデン条約によって生み出される抑止力は明文化されたルールのもとで運営されることになります。しかし、問題なのはティーパーティーのホストでありエデン条約推進派のナギサさんが抑止力について理解していないためどんな内容をルールに盛り込んだか分からないことにあります」
前述した通り抑止力は契約者を使いとして召喚することがある。
そしてその契約者は寿命を失い抑止力の使いと言うパーツになると考えられている。
もしこの契約者が正義実現委員会や風紀委員会に設定していた場合彼女達は寿命の無い抑止力のパーツの一つとして組み込まれてしまう危険性があるということだ。
「つまり私は今回の条約の内容を調べる必要があると思うのですがどうでしょうか」
とヒロが提案してくる。
「そうだなこのまま不干渉はリスクが高過ぎる」
私がそう答えるとキズクも続いた。
「僕も今回の件は最低でもルールの確認をすべきだと思うよ。しかし、魔術と一切関係ないナギサ様が魔法の如き物を再現できるほど再現性が高い物を作るとは、一体どんな頭をしているんだ?連邦生徒会長様は」
そして最後にヤチヨも口を開く。
「ああ、私も賛成だ。全く連邦生徒会長も抑止力の事を説明せずに消えるとは…」
「それでは我々はエデン条約の内容を探り必要が有れば干渉する。その方針でいきましょう」
その後も後進の育成などについての方針決定や、報告がなされた。
報告会が終わったあと私が出ていこうとするとヒロに呼び止められた。
「待ってください。あなたにはまだ話があります」
「何だ?」
「あなたは合宿に参加するのですよね?」
「ああ、そうだな」
「では今日中にやっていただきたい仕事があります」
私に仕事つまり魔術師それも大人の魔術師が何かしらやらかしのだろう。
「ご想像の通りとトリニティ自治区内にてある魔術師が許可なく魔術協会の定める禁忌指定の研究をしていることがわかりました。おそらく非合法な手段で手に入れたため隠れて実験を行なおうとしてると思われます。その