魔立学園・パンデモ   作:DAMUDO

9 / 14
「アサギ・アカツキよ。このお話を読む上での注意ね。
まずこのお話はフィクションよ。これに出てきたことが全て本当と言うわけじゃないから。それだけは頭に入れといて。

そして、前回のあらすじよ。転校生が近々人間嫌いの連中から決闘を申し込まれるらしいから、私が転校生に魔法の使い方を教えてあげていたの。そしたら、ナチルとか言うのが決闘を申し込んできたの。態度が気に入らないから私が滅ぼしてあげるわ♪

刮目して見なさい♪」


だったら自信満々に宣言すんな!

俺が突如転校と言う名の強制輸送されてしまった学園・パンデモ。ここは、俺がいた世界とは別の世界、異世界にある学園だ。ここに通う生徒の大半は女子。そして、更に多くは人間ではない。

ここは、異世界の魔物達が己の能力を上げるための学園なのだ。

 

そして今、学園の裏庭で魔物達の戦いの火蓋が開かれようとしていた。

一人は、ツインテールと眼帯が特徴の女の子、アサギ・アカツキ。

もう一人は、金髪の三編みと赤い羽が付いたベレー帽が特徴のエルフっ娘、ナチル・フィアー。

彼女達は互いに互いを睨み合っていた。重い空気が辺り一帯を支配し、何かが起こればすぐに戦闘勃発しそうな静かな空間。そんな場所に何故かいる俺は端っこで小さく座って見守っていた。

 

なぜこうなったのか?まあ、全ての原因は俺にあるようなものだ。と言うかそうです。

簡単に説明すると、さっき説明したような学園に突如、俺と言う転校生が突然現れました。

能力も人脈も不明、でも人間。そこで、学園の生徒代表の六芒星とか言う六人の生徒の内、二人が反共存派だと言うことで、俺に決闘を申し込んできた。きっと、どさくさ紛れに俺を殺そうとしてるんだろう。そんな中、俺に二人の協力者が現れた。一人は羅皇紫電、六芒星の一人で、決闘の日をできるだけ遅らせてくれると協力してくれた。もう一人はアサギ・アカツキ、理由はわからないが決闘の日に向けて魔法の特訓を約束してくれた。

俺自身にも対抗できる術を見つけ、安堵するのも束の間、アサギと魔法の特訓をしている所に突如現れ、俺に決闘を申し込んできたエルフの少女、ナチル・フィアー。ナチルの行動にアサギが怒り、勝負することに。

こう言うことでした。え?男ならお前が代わりに戦えって?・・・無理です。俺が命捨てて勝負するより、アサギが戦った方が勝算ありますし、なにより俺に戦闘手段も何もないし疲れて満足に動けないですしおすし。

 

「ナチルとか言ったよね?あんた、反共存派でしょ?」

「ええ、まあ。正確に言えば反共存派の六芒星《戰皇女のシュラ》様の命令でその男と戦うだけであって、私はそこまで共存などに興味はありません。ただ、戦えれば満足です」

「・・・戦闘狂ってやつね」

 

ナチルの言葉に軽蔑の目で睨み付けるアサギ。

アサギはナチルのようなタイプが苦手なのだろうか?アサギの機嫌が悪くなっているのがわかる。

 

「無駄話もなんですし、さっさと始めましょうか。構えてください」

 

そう言ってナチルは剣を鞘から抜き出し、両手で持ち直し構える。

 

「私に構えなんてないわ。いつでも気に入らない奴を滅ぼせる為の私なりの経験よ」

「そうですか……、ではッ!!」

 

気合いの籠った声と共にナチルは踏み込んだ。

その、たった一歩でナチルは一瞬にアサギを自分の間合いに入れ、横に斬りかかる。

アサギは自分の胴に迫る剣の側面に魔力を込めた腕で掌打を当てて弾く。

弾かれた剣は軌道をずらされ、標的を見失う。その隙に、もう片方の腕で殴り掛かる。

しかし、アサギの拳をナチルは手首を捻るように受け流し、逆にアサギの顔にカウンターパンチを放つ。

アサギも負けじと、拳を受け止める。

互いに敵から距離を取る為に後ろに下がる。その時に、アサギは魔力弾をナチルにばら蒔き攻撃する。

それに気が付いたナチルは、袋をまさぐる。袋から数本の小さな刃物を投擲し、自分にあたる弾だけを的確に撃ち落とす。弾はそのまま爆散する。

まずは1ラウンド終了か?

 

「思った以上にお強いですね、素晴らしい」

「別に……これぐらい普通でしょ」

 

俺は、その基準より弱いです。

 

「しかし、わかりませんね。貴女程の実力者なら学園に名が通っていない筈はないと思いますけど?」

「それは、あんたみたいな戦い好きの連中が勝手にやってるだけでしょう!私はそんなのに興味はないの!」

「勿体無いですね、貴女の強さなら次々と勝負を挑まれ、戦いの日々に身を投じることができると言うのに」

「私を……あんた達みたいなのと、一緒にするなぁああああ!!」

 

ナチルの言葉にアサギは怒りの混じった叫び声を上げる。それに呼応して、アサギの眼が妖しく輝きだした。

面と向かったら、射抜かれてしまうかも知れない眼でナチルを睨み、体をとてつもない魔力が覆っていた。俺の様な少しかじった程度の素人でも、凄まじいと感じることができる魔力の質だ。

 

「貴女……魔眼をお持ちでしたか。これはぁ、とてもぉ、楽しくなってきましたぁぁ!!」

 

ナチルは、アサギの眼が魔眼だと認識すると、徐々に冷静そうな無表情の顔を崩していき、目を開き気持ち悪い笑みを浮かべた表情に様変わりしていた。極度の興奮を覚え、その快感を我慢ならんと待ち望む顔。ぶっちゃけ、女の子がしちゃいけない表情をしていた。

 

アサギは怒りで体を震わしている。戦闘狂、戦い好き、この言葉に極度に反応し、言葉にならない顔をしていた。アサギの過去に何があったのだろうか?助けてやりたい、俺はどうすればいい?相手は、武器を持った戦士、おまけにアサギの嫌いな戦闘狂。きっと冷静では、いられないだろう。最悪、俺が……

 

「貴女の魔眼の力……私の体に刻みこんでみてくださいぃ!!」

 

ナチルはアサギに向かって走っていく。腰より下の方で剣を構え、身を屈めながら走るその様は正に、獲物を狙う【獣】の様だった。

 

「消えろー!」

 

アサギは両手に魔力を集め、大量の弾としてそれを放った。

魔力弾の雨がナチルを正面から襲う。

それをナチルは避ける……ことなく突っ込んで行った。

 

*スガガガーン*

 

次々と爆発が起こり煙が舞い上がる。その中から風の様にナチルが飛び出してきた。

装着していた甲冑はさっきの攻撃でとれて数が減っており、服も所々破けている。

しかし、その破けている所から覗く、彼女の白く美しい肌には傷一つ付いてはいなかった。あの攻撃の中に突っ込んでおきながら無傷とは、彼女が一流の戦士と言うことなのだろうか?

 

ナチルは速度を緩めることなかアサギに向かい、走り続けた。

そして、アサギの近くに迫ったその時、最後の一歩を 力一杯踏み込み、剣を突き出しながら突撃する。

 

「必殺・尖刀突苛(せんとうとっか)ッ!」

 

閃光の様な鋭い突きがアサギの顔面目掛けて放たれる。

 

*パッーンッ*

 

周囲に響く乾いた破裂音。辺りに飛び散り赤く汚す血。そして、その全ての現象の中心にある、頭部の無い体。

俺はその光景の始まりから終わりまでを目撃するはめになった。

 

「え……あ、アサ、ギ……?」

 

名前の主は返事をすることなくその場で崩れるように倒れた。

それを見下ろすように立っているナチル。返り血で顔を染めても、動揺の色など全く見せない、今まで通りの無表情で呟いた。

 

「あ、やってしまいました。……どうしましょうか?」

 

何を言ってるんだ、こいつは?

人を殺しといて、花瓶を割ってしまってどうしよう?みたいな困り方をするナチルに、俺は頭がすぅーっと何かが引いた後にじわーっと熱くなっていくのを感じた。

 

やろう、ぶっ殺してやらぁ!

 

頭が空っぽになり、無意識に立ち上がる。目線の先には、まだ無表情の困り顔をするナチル。奴に向かって歩を進める。

 

「なにかお困りかしら?」

 

その声を瞬間、俺の意識がはっきりして歩を進めるのを止める。

同時にナチルの足元一帯に魔法陣が紅く輝きながらを浮かび上がり、

 

その場所を木っ端微塵に爆破した。

 

*ズガーンッ!*

「ぬおッ!」

 

木々は揺らす爆風がその威力を物語る。俺も吹き飛ばされないように背凭れに使っている木にしがみついていなければならないほどだ。

 

「・・・」

 

弱まっていく爆風の中、少し目を細め周りの状況を確認してみる。

煙が舞っていて何がどうなっているのかはっきりとわからない。何か今の状況を把握できる物はないのか?

ん?今、なにか光の様なモノが見えたような……

その疑問を確信に変えるように次々と一瞬の光が現れては消え、現れては消えていった。

今、間違いなく彼処で二人は戦っている。

 

爆風で舞い上がった煙は次第に止み、中から身体中に傷を負いながらも無表情を保っているナチルと、左目を輝かせながら余裕の笑みで魔力弾を放つ、無傷のアサギの姿があった。

 

「アサギ!お前無事だったのか!?」

 

理解できない現象を目の当たりにした興奮が俺を奮わせる。

そんな俺の声に反応を示すように横目で俺を一瞥すると、

 

「説明は後で。今は私がこいつを倒すところを見てて!」

 

そう言いながら、両手で魔法陣を展開し、炎、雷、土の一斉掃射をナチルに放つ。爆撃の如く放たれた魔法攻撃がナチルを呑み込んだ。

 

「お、おお……」

 

その場所の草木にメラメラと火が燃え、黒く焦げ、悪臭が漂う。

モクモクとあがる黒い煙からはナチルの動く影が確認できない。

 

「や、やったのか?」

「そんな簡単にはやられませんよ」

「ッ!?」

 

突如聞こえてきたナチルの声は煙の中からではなく、その後ろから聞こえた。

 

「おー熱い熱い、痛い痛い」

 

服を叩いて埃を落としながら、煙の後ろからヒョコッとナチルが現れた。彼女の服は更に破け、かなりセクシーな感じになっている。どうしよう……、男として、しっかりと焼き付けておくべきか。それとも、目をそらし何も見なかったことにするか。……けっこう肌綺麗だなー。

 

「目、潰されたくなかったらさっさと目を瞑りなさい」

「気持ち悪い目で此方を見ないでください。不快すぎて、精神が不安定にナリマス」

 

あ、バレてた。二人からの容赦の無い言葉責めにゾクゾクできる俺がいる。これもストレスしか溜まらない学園生活で得たスキルだ。嫌なことに快楽でも覚えないとやってられない。ホント……マジで……グスン。

 

「貴女の魔眼……能力は一つだけではないのですか?」

「それがなにか?」

「だとしたら、初めての事例ですよ。基本、一つの魔眼に能力は一つが当たり前と言うのが世界の常識ですから」

「へーそう。興味ないわ」

 

へーそう。初めて知ったわー……てことは、アサギが死んじまった様に見えたあれも魔眼の能力の一つだったってわけか。

すごいな!これならナチルに勝てるじゃないか!

 

「アサギー!頑張れー!」

「うっさい」

 

怒られた。

理不尽な物言いに俺の精神はズタボロです。

 

「・・・時間切れ、ですか」

 

突如、ナチルの口から漏れた呟き。それが合図だったと思わせる様なタイミングに……

 

「その勝負、待たれよ!」

 

その場所に澄んだ男の声が響き渡る。

激戦の真っ只中に発せられた声にいち早く反応したのは、他でもない、この俺だった。何故なら、その声の主は今一番俺がぶん殴りたい人物、

 

「紫電」

「またせたな、少年」

 

羅皇紫電その人だった。

ドヤッと決め顔をする紫電。俺は、この状況に終止符を打ってくれるであろう人物の登場に深く感謝……すると思いで?

 

「ふざけんな!なにがまたせたな、だ!お前が決闘日を延ばすとか言ってたから安心しきっていたのに、宣言したその日に決闘日告げられることになって、挙げ句アサギとナチルがバトルし始めるし、もうぅ……なんなんだよ!!」

 

ぶつけてやった。俺の胸に溜まっていた物を吐き出すように、こうなった原因を責める。

疲れて動けなくなってるけど気にしない。怒りで我を忘れてるから元気です。

 

「ふっふっふ、少年。やはり無理だったのだよ延期は」

「だったら自信満々に宣言すんな!」

「かっこよい所を見せて少年の好感度上げたかったことはわかってくれ!」

「必死に言うのやめて~!無理だから!上がるわけないから!」

「目標は……諦めなければ……叶うのだ」

「俺がそのふざけた幻想をぶち壊す!」

 

はぁはぁ、疲れた。吐き出す物吐き出せてもう満足だ。

 

「ふっふっふ。さて、待たせてしまったな、ナチル・フィアーよ」

 

ぜーはーぜーはー言ってる俺を見て朗らかに笑うと、紫電はナチルの方に顔を向け話始めた。

 

「いえ、それほど待ってませんでしたのでお気になさらず」

「そうか。では早速だがナチル・フィアー。今すぐ戦いを止めてもらおうか」

「六芒星に魔眼使い。二人を一度に相手するのは楽しそうですねぇ。出来ればこのまま戦っていたいです」

 

俺は眼中に無しか。

 

「何を言っている?手練れはもう一人居るだろう?」

「はい?」

 

おお、さすが紫電。俺のことを忘れてはいなかった!

 

「先程から貴様の後ろで構えているぞ」

「ッ!!?」

 

俺じゃなかったのね。なんとなくそんな気はしてた。

ガッカリした俺は、そのもう一人の手練れの顔を拝もうとそっちに顔を向けるとそこには、

 

竜が、いた。

 

「ッ!?貴女は!」

 

そいつは、持っている槍の先をナチルの背中に構え、何時でもナチルの心臓を突き刺せる様にしていた。その顔には図りきれない怒気が滲み、体から怒りのオーラがあふれでており、見ているだけで生きてる心地がしなかった。

そいつの顔を見るなり、ナチルは驚きの声をあげる。どうやら、そいつのことを知っているようだった。

しかしッ!俺は更に驚いた。それこそ声が出ないくらい驚いた。何故なら、そいつは俺の友人…

 

ライラ・ネオルドだったからだ。

 

通常でも強面なのに、あからさまに不機嫌なのだからその怖さに拍手が掛かるのは当たり前だ。

はっきり言って、友人としてあんな顔はやめてほしい。

 

「何時の間にいたんですか?視界に入るまで存在に気付きませんでしたよ。それにしても……すさまじい殺気ですねぇ。早く逃げ出してしまいたいくらいですよ」

「・・・」

 

そう言ったナチルの顔には冷や汗が静かに流れており、膝も小刻みに震えていた。

あの戦闘大好きのナチルを逃げ出してしまいたいと思わせるなんて、どんだけなんだよライラっち!前にみたカワイイシーンが嘘みたいだよ!

 

「退いて、くれるな?」

「・・・はい、そうさせてもらいます。しかし、一言よろしいですか?」

 

ナチルの言葉に紫電が頷くと、ナチルも一礼し俺の方を向いて口を開く。

 

「決闘日は来週の日曜。時間は……午後3時にしましょう。場所は南館でよろしくお願いします」

 

それだけ淡々と言い残すとそそくさと、その場から去っていった。

・・・あれだけ凄まじかった戦闘が嘘かの様に、呆気なく終わってしまった。

 

「嵐のように来て、嵐のように去っていったわね……ぁッ」

「おい!アサギ!」

 

突如その場にアサギが座り込んだ。俺は必死に体を動かして近くに寄っていく。

 

「アサギ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫。ちょっと疲れただけだから心配しないで」

 

アサギはすごく疲れている様な顔色をして辛そうに見える。

アサギにはあまり、ダメージが無かったように見えたけど、魔眼とやらがそれほどまでに体力を奪う物なのか。

 

「本当に辛くないのか?苦しかったら保健室連れてくぞ?」

「・・・なに背中擦ってるの?」

「え?辛いかなーって思って……」

「そう。……保健室は良いから、もうちょっとやっててよ」

「うん、わかった」

 

なんだかアサギの顔色も良くなってきた。

俺を助けてこうなっちゃったからな。アサギの力になれてるなら嬉しいな。

 

「ふふっ♪」

「どうした?」

「なんにも」

「そうです「うわーーーん!!」うっ!」

 

突然ライラが泣きながら俺にタックルしてきた。

 

「アダッ!」

 

俺はそのままぶっ飛んで頭を打つ。

そのままライラに乗られる体制で倒れる。

 

「い、イタタタタぁ」

「うわーーーん!」

「うっさいわボケッ!」

*ゴチン*

「「イタッ!」」

 

目の前で泣きわめくライラに拳骨をお見舞いする。しかし、こいつが石頭なのか殴った拳が痛い。

 

「痛い~、叩くなんて酷いなぁ」

「目の前で泣き叫ぶのは酷いとは思わないのかライラさんよぉ?」

「君が心配だったんだ」

「え?俺が?」

「紫電から、君がピンチだと聞いて、殺されるんじゃないかって思ったら、いてもたっても居られなくなって、慌てて来て、本当に、心配したんだぞ!」

 

ライラが大粒の涙を浮かべながら声を荒げる。

そのまま、顔を俺の胸に擦り付ける。服が汚れるとか、角が痛いとか思ったけど、今はこの泣き虫戦士を元気付けることが先だ。

俺はライラの腰と頭に手を乗せる。すると、ビクッとライラの体が反応を示した。俺は気にすることなく頭を撫でるやる。そして、

 

「ありがとう」

 

たった一言呟き、口を閉じる。

こんな俺の為にここまで泣いてくれる友人はなかなかいない。だから精一杯の感謝の言葉を告げた。

 

「そうだ、感謝しろ」

 

顔を見せてくれないライラから小さな声が聞こえた。

それが可愛くて思わずクスクスと笑ってしまう。今度、お礼しなきゃ。

そんな和やかな空気に包まれ、今ある平和に浸っていると、顔に影が掛かる。

何かと見ると、アサギが俺を見下ろして立っていた。

相変わらずのでっかい胸とスカートからもろに見える縞パン。いやー眼福眼ぷ……

 

「いつまでくっついてんのよ淫獣!」

*グシャ*

 

次の瞬間、アサギの靴底が俺の顔面にめり込んだ。

 

「ぎゃああああ!鼻がー鼻がー!!」

「どうした!?顔か?顔が痛いのか?」

「だ、大丈夫だライラ。大丈夫じゃないのは……アサギ!いきなり何をするだー!」

「何をするって、公衆面前で抱き合うアホに注意しただけよ」

「ハッ!」

 

アサギの言葉で我に帰る俺とライラ。すぐに立ち上がり、少し距離を取る。スゴく恥ずかしい、死にたい。どうやら、ライラも同じ境遇の様で、顔を赤らめている。やったカワイイ、ギャップ萌えバンザイ!

 

「でさぁ、あんたに聞きたいんだけど……」

「ん?なに?」

「そいつ誰よ」

 

アサギが指差し示していたのはライラだった。

 

「ああ、こいつはライラ・ネオルド。俺の友達です」

「はじめまして、ライラと言う者です。以後、よろしくお願い致します」

「見ての通り、顔は怖いが良いやつだ。仲良くしてやってくれ」

「ふ~ん、友達、ね……」

 

アサギの強張った顔が少し和らいだ様に感じたのは気のせいか?

 

「はじめましてライラさん。私はアサギ・アカツキって言います。よろしく」

「あッ、アサギさんですね!よ、よろしくお願い致します!」

 

自己紹介をするとアサギはライラに手を差し出す。それに応じて、ライラも手を出して握手する。

ライラの喋りが変なのは新しい友達ができるから、舞い上がってるのが原因だろう。

いやー、いいね♪友情ですね、青春ですね!

 

「えと、貴方は彼とどういったご関係ですか?」

「ご関係もなにも、ただのとも「結婚相手です」……はい?」

 

俺が友達と言うタイミングに、こいつはなんて被せてきた?聞き間違いか?

 

「え、あ、いや、す、すみません、もう一度お願い「だから、結婚相手だってば」……そ、そうですか」

「そうですか、じゃねーよ!なに納得してんのライラ!アサギも適当なこと言うな!」

「え?本当のことよ」

「え?」

 

どゆこと?お兄さんさっぱりなんだけど?

この子の言ってることが理解できる人は今すぐ俺の所へ。

 

「もう、想い人持ちか……でもいい。私は友達だ。彼が愛情を優先しても、私の友情は変わらない。それで良いじゃないか……むしろ、友達として彼らの後押しをするのが本当の友情じゃないか。二人ともお幸せに、ははははぁ」

 

ライラさんが光を失った目でなにか呟いてらっしゃるー!!

 

「そろそろ我も話に混ぜてもらえないか?」

 

さっきから話に入ってこなかった紫電が待ち飽きた様な顔で割り込んできた。

混ぜてくれって言うがね、これ以上なにか悩みの種が増えたら、精神退化して現実逃避しちゃうよマジで。

 

「なんすか紫電さんよぉ?こちとら色々起こりすぎてストレスがマッハなんですけどぉ?」

「まずは謝らせてもらいたい。本当にすまなかった。決闘日を延ばすことができなくて」

「・・・あーーー!!そうじゃん!忘れてたわ!お前ふざけんなよ!延ばすとか今朝普通に宣言したじゃん!自信満々な顔してたじゃん!延ばすどころか、本日付で申し込まれちゃったよ!殺される~~~~~ッ!!」

「いや、本当にすまないと思っている。まあ、こちらの話も聞いてくれ」

「言い訳か?ハイそうですかで聞くわけな「しっかり説明しろ!そんな曖昧な言い方じゃわからないぞ!」「あんたの理解力じゃ一から順に話さなきゃならないでしょうが!そんな面倒臭いことしたくないのよ!」……ごめんなさい。お話を聞かせてもらえませんか?」

 

なんだか、アサギとライラが言い争って様で嫌な予感しかしないので、お話を聞きましょうそうしましょう。

 

「ああ、聞いてくれ。少年に悪い話じゃないのだ」

「期待します」

「では聞いてくれ。少年と約束した後、部屋を出ていった我はすぐに行動に移った。しかし、反対派の連中は思いのほか早く計画を進行していたようで、我が今さらなにをしても手遅れだった」

「じゃあ、教えてくれりゃよかったのに」

「そう言う考えにも至っていたが、少年に話したところでなんの解決にもならないとわかりきっていた故に、話さなかったのだ」

「うッ……まあ、そうなんだけどさぁ」

「そこで我は思い付いたのだ!もう、最初から戦わせて勝っちゃえばいいさッと」

「かるっ!?」

「そして我は、すぐにある人物に協力を要請した。その人物こそ、我が一番の親友にして兄弟!そして、最強の男だ!その彼に君の特訓を頼んだのだ!……後は少年の友人であるライラ殿を誘って助けにきたのだ」

「・・・」

 

悪寒が走る。ゾワゾワっと全身を絶対零度の氷針に突き刺されたような絶対的な悪寒。

だってヤバイもん。紫電さんがここまでテンション上げて誰かを説明してんだよ?ライラとの件は普通になってるし。てことは、その親友(兄弟)ってのは……その……つまり、だ。

 

アッチ系のお人ってことじゃね?

 

「ファーハッハッハッハッ!!つまり、そう言うことだ!」

「誰だ!!?」

 

突如、豪快な笑い声がこだます。その笑い声は学園の屋上から聞こえ、上を見上げると、そこには沈みかけの太陽による逆光でシルエットになっている人影があった。

 

「むぅぅ、ッとうッ!」

 

人影は屋上からジャンプして飛び降りてきた。

*ズドーンッ!*

地面に着地すると地面が砕けた。おいッ!骨とか色々大丈夫かッ!?

人影は方膝着き、片手を地面に置いている。まるでター〇ネーターの様なポーズでした。

 

「君が噂の転校生か。話は吾輩の親友、紫電から聞いておる。吾輩にまかせよ!」

 

人影その場から立ち上がり喋りながら俺に向かって歩いてきた。そして、俺の目の前で立ち止まり、まかせよ!のところでビシッ!と上腕に力瘤を作り、アピールするようにポーズを取る。ボディービルダーですか?

 

「紹介しよう少年!彼こそ我と同じ六芒星、超人英雄テオ・レオナルドだ!」

「テオと呼び捨てで良いぞ!よろしく頼む少年よ!」

 

金色の肌。ツルツルの頭にオレンジ色の髪。厳つくも少しの優しさが見える顔に伯爵とかがしてそうなくるりんとしている髭。筋肉隆々のマッチョマンの腕は俺の胴ほどの太さ。身長も圧倒的でデカイ。着ている物は、ネクタイとブーメランパンツ……だけ。

 

どっからどう見ても変態です。

うわ、ブーメランパンツがテントを作ってるよー。

取り合えず現実逃避するよ。はい、白目~。

 

「ムッフフ、噂通りカワイイ顔をしているなぁ」

「そうだろそうだろ。フッフッフゥ」

 

ヤダーナンカキコエル。デモキコエナーイ。シラナーイ。

 

「貴様ァ!!いい加減にしないかぁ!卑猥娘がぁ!!」

「こっちのセリフよ、バカ爬虫類ィ!!」

 

・・・誰か助けろよマジで。

 

 

 

 

 

 

 




どうもDAMUDOです。

一ヶ月ぶりの投稿です。待ってた人、お待たせしました!
さぁ、いい加減ヘボ主人公は卒業してもらおうか!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。