まぁ……飯炊きに専念しとけば大丈夫かなって   作:スターク(元:はぎほぎ)

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【危機】ベジータ王査察【しぬ】

1:イッチ◆EATkugi!

たすてけ

 

2:名無しの転生者

おう考えてやるよ

 

3:名無しの転生者

まぁ幾ら手段練っても脱出前に粛清されたら意味無いしな

 

4:名無しの転生者

そもそもどういう状況やねん街の食堂に星の統治者が訪問て

それも奴隷が経営してる所に

 

5:イッチ◆EATkugi!

話せば長くなるんだけど、そもそも俺を奴隷として連れてきたのベジータ王なんすよね

今までも何回か来てたりするんだけど、その度に心臓バクバクですわ

 

6:名無しの転生者

>>5

ファーww

 

7:イッチ◆EATkugi!

あっ不味い窓から見えたけど王子も連れて来てる

プレッシャーでイクっ

 

8:名無しの転生者

ベジータの好物って何かあったっけ

お好み焼き?

 

9:名無しの転生者

人参入れなきゃまぁ大丈夫やろ

……まぁ軽口は置いとくにしても、今までも乗り越えて来たんなら今回もいけるんとちゃう?自信持てって

 

10:イッチ◆EATkugi!

>>9

無責任なぁ!おまいらベジータ王を「ブロリー追放してフリーザにゴミみたいに殺された小物クズ」程度にしか思ってないだろ!!

実物を見たら二度とそんな事言えなくなるってのに

 

11:名無しの転生者

そら公式でお出しされてる王ってそれぐらいやし……何見たんやイッチは

 

12:イッチ◆EATkugi!

避難所で食料配給してた時、天井ブチ破って1人で突っ込んで来たんだよぅ……昼間だったから大猿の危険も無いって、皆油断してたタイミングだった

警備隊の迎撃とノーガード無傷でやり過ごして、民間人もろとも皆殺しだよ。もうトラウマなんてレベルじゃねぇよ鬼だよ鬼

 

13:名無しの転生者

それは怖い。ワイならチビる

 

14:名無しの転生者

流石は王族、示威行為のなんたるかを分かってらっしゃるようで

 

15:名無しの転生者

実際イッチは心から屈服させられたまってるもんな

とはいえ俺達に出来る事も無い……

 

16:名無しの転生者

とりあえず応援しとくわ。気絶しそうになったら呼びかけてやるから

頑張れイッチ、踏ん張れイッチ

 

17:イッチ◆EATkugi!

うぅ……ファム頑張る……

 

18:名無しの転生者

それがイッチの名前かぁ

 

 


 

 

その日。下級戦士でごった返す頃合いの筈の食堂の入り口は、普段来ない筈の上級戦士達によって封鎖されていた。それはもう厳重に、エリート達で固められて。

入れない客達からすれば、不平不満の声が上がるのも当然である。

 

「オイどういう事だ!まさか閉店か!?」

「ざっけんな、生きる糧を奪われてたまっか!」

「ここの飯が無ぇと仕事になんねーよっ」

「開ーけーろ!開ーけーろ!!」

「鎮まれぃ!」

 

それを一喝。1人の警護兵が、高らかにこの行為の正当性を名乗りあげた。

 

「今この店には、現王陛下及び王太子──即ちベジータ3世様と4世様が夕餉を摂りに来訪されているのだ!その邪魔立てする者は、反乱の意思ありと看做しここで処断するっ!」

「「「お、王が!?」」」

 

強者に従うサイヤ人にとって、ベジータ王の名は権威の象徴そのものだ。反骨心を抱いていたとしても、表立って逆らえる者はいない。

そうして喧騒から困惑に移行していく群衆の中で、その波に揉まれながら、食堂の主人を心配する者が1人。

 

「姐さん、大丈夫かな……」

「心配すんな。アイツの事だ、鬼女モードで寧ろ王様をKOするかも知れねぇぞ?」

 

同僚であるギネ。憂う妻を、隣でバーダックが慰めたが……しかし、彼女の顔色は冴えない。

 

「鬼女ねぇ……前に来た時も、それで上手い事やってくれるかと思ったんだけど」

「まさか鬼女でも負けたのか」

「そもそも()()()()()()のさ。小動物な可愛い姐さんのまま相手せざるを得ないんだよ、王様が来た時は」

「マジかよぉ」

 

そういう訳であった。

 

 

 

「よよよようこそお越しくださいまきた」

「真北だァ?」

「ましたぁっ」

 

なので現在、ファムはガックガクだ。断じて武者震いではない純恐怖由来の歯の根の音で、連れて来られたベジータ王子が煩わしげに耳の穴をほじる程だ。

そんな彼女と彼の機微など知った事かと、王は度外視して周囲を見渡す。伽藍堂な店内の状況を幾らか確認して、彼はとうとうその口を開いた。

 

「最高の物を出せ」

「はぇ」

「二度も言わせるな。貴様が出せる料理の中で最も美味い物を食わせろと言ったのだ」

「はいぃぃぃいい!!」

 

ファムに拒否権は無い。強気に出られる余地などない、この状況では尚更。

そもそもあの女将とも言える人格は、オーバーフローした恐怖の知覚を理性が諦め、超集中状態に入り感情の大部分を破棄する事で発現する物だ。しかしベジータ王というトラウマ源が目の前にある現状においては、常に恐怖の高まりを()()()()()()()以上、その人格が封じられるのも当然と言える。

 

つまり?──ファムは弱気な素の根性だけで、王族を持てなさなければいけないという事。

 

(結局スレじゃ良案は出てこなかった!幸いベジータ王の注文は前と同じ、なら前と同じようにやれば………いや、ダメだ!前と同じ品を出したら絶対殺される、何かしら違う所を見せた上で満足させないと多分きっと絶対詰む!!前来た時は朝だったから塩味の効いた肉+卵のコンボで押し切ったけど、夜の場合の需要は何!?豪華な物を食べ飽きてる王族でも満足できる庶民の夕飯って何!?!?諦めるな、考えろ、考えるんだ私……!)

 

纏まらない思考をそれでも高速回転させ、下がる打開策。そんな奴隷の様を見て鼻を鳴らしたのは王子の方のベジータだった。

 

「不服か」

「……えぇ、まぁ。飯なんぞ腹が膨れりゃそれで良いでしょう」

「それもまた一つの正解だな」

 

自分たち以外誰もいない広間、その中央の席で親子は向かい合う。

息子の口から出た食堂全否定の文言に対し、王から否定は無い。それに調子付いたように、ベジータは捲し立てた。

 

「大体、何ですかあの怯えるしか能の無い奴隷は。一緒の空間にいるだけで反吐が出そうだ、待つ時間を鍛錬に費やした方が余程未来(さき)がある」

「と言うと、またトレーニングルームに戻りたいと?」

「中断させられてまで連れて来られましたから──まぁ、腹の空くタイミングではありましたが」

 

ビクついたファムを王子は嗤う。己の事を詰られ恐怖したのだと思い、彼は一層この場に居る意味を軽んじていく。

 

「現に時間を無駄にしています。王宮じゃ待たずともすぐ出てくるのに……父上、もう私h「息子よ」……?」

「見ろ」

 

しかし止まった。王が制した。いつもの威厳を誇示するような口調ではなく、ただ促すような声音で。

彼の視線の先には、一心不乱に動き始めたファムの姿が。

 

「臆すは戦闘民族の恥。それは事実──だが、怯えながら戦うも才能だ」

「怯えながら戦う……?」

「その点、あの者は見倣うに値するとは思わんか?あれほど慄いておきながら、しかし己の厨房(戦場)に確と向き合ってあるではないか」

 

何か思い付いたのか、恐怖を押し除けそれに全力を注ぐ姿。それを瞳に収め、ベジータ王は微笑む。まさか、と王子は訝しんだ。

 

「勘違いするな。俺は俺の(きさき)しか愛さん、彼奴はその埒外ぞ」

「……失礼しました」

「俺はただ敬意を払っているだけだ。1人の戦士として、あの女をな」

 

やがて響き渡るは油の音。熱され、滾るそれが肉を包む音。

ふと漂って来たその香りに、とうとう王子の鼻腔が揺らいだ。

 

 

「お待たせしましチャッ」

 

 

数分の後、差し出されるは()()。見ないその姿形に、王子はそれを最初は食べ物と認識できなかった。

しかし、あぁ。この香りは、紛れも無く腹を内から擽る物で。

 

「この料理は何というのだ」

「タトトタトンカツでしゅ」

「タトトタ?」

「トンカツですっ。惑星イベリコン産の(ロース)肉を、卵・小麦粉を絡めて揚げた物となります!」

 

既に切り分けておりますので、こちらのソースを付けてお食べ下さい。そう言われるままに食器で触れれば、なるほど断面が見えないほど鋭くスライスされていた。見えた断面から立ち上る湯気、よく熱された肉が醸し出す。

 

「……この黄色い部分を剥いで食えば良いのか?」

「イエソノママデ」

「丸ごとか……」

 

嗅覚はOKサインを出すものの、視覚と理性がそれを拒む。どうしようかと視線を彷徨わせた末、半ば助けを求めるようにベジータは父王を見た。

 

「……………ッッッ!!!」

「えっ」

 

ガツガツ。サクサク。バリバリ、ゴクゴク、ムシャムシャ。

ベジータ王は食いまくっていた。躊躇いなく黄金肉を喰み、食いちぎり、米をたいらげ、汁*1を口に含む。合間合間にサラダを頂き、また肉にソースを乗せて米と掻き込む。

一心不乱。まるで先程の女の様が乗り移ったかのようだ。

 

「え、えぇ……くそっ儘よ!」

 

これ以上なく“例”を見せられては、躊躇うほどに王子の名が廃る。いよいよ覚悟を決め、彼もまた肉をその衣ごと噛んだ。

 

ザクリ。黄金が弾けた。

 

プシャリ。肉汁が噴き出。

 

ジュワリ。口の中に、()()が。

 

(あっっっっっっっ)

 

もう、止まらない。

 

「と、トレーニング後の空腹と聞きまして。ここはこう、ドッシリと腹に来る油が欲しいかと思われまして。やはり、その。えっと、ここは食感も含めて楽しめる、このトンカツが適任かと……あっ聞いてない」

 

身体が欲していた。戦闘と勝利だけを求めていた筈の肉体が、まさかそれ以外を……いや違う、()()()()()なんだ。存分に二者を味わう為にこそ、それを齎す体を万全とする。その為の食事を、栄養を、美味を欲していたのだ。

それを自覚してしまった以上は止まらない。なにせトンカツだけではない、油ぎった口内を潤す米も、全てを押し流す汁も、中和していく野菜も何もかもが調和の化身。一度口の中にできた異世界を崩すものかと、勝手に食指が進んでしまうのだから。

 

「───いいか息子よ」

 

そんな中でも、父王の声を聞き取れたのはある種の奇跡だった。

 

「この店をな。この店をいつでも独占出来るようになれ。下賎な邪魔者を残らず追い出し、1人で味わえるようになれ」

「いや出来るなら普通に客として来て欲しいんですけど」

「それがサイヤ人の王たる者として、()()()()()()()なのだ」

「せめて抜き打ちじゃなくて事前連絡が欲しいんですけど。聞いて下さいマジで」

 

うるさい。心からベジータはそう思った。味覚と嗅覚以外の全てが邪魔にすら思えた。

ああなってやるさ。次代の王として、宇宙の王として、お前のお小言なんかに邪魔されず思いのままに此処で食いまくってやる。ベジータ3世が何だ、フリーザが何だ破壊神が何だ!……と。

 

この日、ベジータ王子に一つの夢ができた。これはその瞬間だった。

 

 


 

 

「また来る」

「あの」

「なんだ?」

 

何かうまくいかなかった時には、イラついた時には此処へ来る。そうして慌てふためくコイツのザマを見て溜飲を下ろし、料理に舌鼓を打って満足する。それが俺の趣味だった。

しかしこの日の去り際、珍しく女は俺に楯突くつもりだったようで。

 

「る、ルール②。言ってもらえませんか」

「……貴様。奴隷の分際で感謝しろと申すか」

 

「ごちそうさま」という謎の呪文。此奴がこだわるそれを前回は無視したものだが、今回は引き下がれないらしい。凄まれてもなお、臆してなお、意志の光が奴の目から消える事は無かった。

 

「わ──私にじゃ、ありません。食べ物にです!」

「……!」

「料理は、食べ物は私達の血肉へ直結するんです。そこに感謝さえ示さなくなったら……味を楽しむ資格は、私達にはありません」

 

…理解できん。弱者は喰われて肉となる、そして我が糧となる。そこに何の感謝が必要だというのか、まるで意味が分からない。

だから俺は容易く“様”など言わん。口が裂けても、ただの食糧にそんな事など───

 

───故に。これは食べ物ではなく、勇気を以て進言してきたお前に免じての事である。

 

()()()()()()。励むが良い」

「……!ありがとうございましたっ!!」

 

奴はそう叫んで頭を下げた。最初からそうすれば良い物を、何が彼女を突き動かすのやら。

疑問に思いながら、王子と上級戦士を引き連れて俺は征く。下級戦士共の海を割り、王たる威厳を示しながら。

 

 


 

 

38:イッチ◆EATkugi!

……た……助かった……!

 

39:名無しの転生者

乙!イッチよう頑張った!!

 

40:名無しの転生者

なんだかんだ有能よなイッチ

俺たち要る?ってレベルだし

 

41:イッチ◆EATkugi!

要る要る要る要る要る要る要る要る

前回でギリギリだったのに今回吐き出す所が無かったら多分発狂して熱したフライパン放り投げてた

 

42:名無しの転生者

王族の前でそれは不味過ぎるwww

 

43:名無しの転生者

まぁ何よりだよ、これで王様のご機嫌も取れて脱出に首の皮一枚繋がった

ギネとの話はどうなってる?

 

44:イッチ◆EATkugi!

その話ね、取り敢えずカカロット誕生までは待とうかなっtあーっ!!

 

45:名無しの転生者

うわぁびっくりした

 

46:名無しの転生者

急に心荒げるのやめろよ

この掲示板、書き込み者の心理状態も反映されるんだから

 

47:イッチ◆EATkugi!

ご、ごめん。でもウッカリしちゃったの思い出して

ああもう、ルール②に気を取られ過ぎてまた()()()君の事をベジータ王に聞きそびれた〜!折角のチャンスだったのにー!!

 

48:名無しの転生者

ビート?

DBHのアバター??

 

49:名無しの転生者

そっちのDB世界には実在すんのか

 

50:イッチ◆EATkugi!

へ?

ビート君って公式キャラなん???

*1
味噌

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