主人公のライバルオリキャラ(勘違い)に転生したので全力で原作合流を目指すことにした   作:富福

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今回は最初から潔視点で進みます。
よっちゃんとの異文化交流回です。


カルチャーショック

潔世一 side

 それから彼に案内されながら俺はひたすらさっき見ていた試合の感動を伝えた。言葉が伝わる上に同じサッカーをやっている、しかもあんなに楽しそうにゴールを決めていたんだ、サッカーの話題で盛り上がるのは間違いないはずだ。そう思ってたくさん話した。

 でも彼はどこか上の空というか、あまりこちらを見てくれないし返事もそっけない。なんだかそれが寂しくてなんとかこっちを見てほしいと思った。俺はまだ彼の名前も聞いていないことに。だが、

 

「俺は、ラッキーボーイだ」

 

名前を尋ねてもあだ名しか教えてもらえない、なんとか聞こうとしても「必要ない」と冷たく断られてしまった。

 それどころかからかわれてまた迷子にしてやろうかなんて意地の悪い脅しまでしてくる。ほんの10分前まではサッカーが強くて優しくて頼りになる年上のお兄ちゃんのようだと勝手に抱いていたイメージとのギャップからつい泣きだしそうになってしまった。

 

「あーもうこの程度で泣くとか世一君は本当に泣き虫ね~、ママの代わりによしよししてやろうか?」

「!ば、バカにすんな、こんなんで泣かないしっ」

 

 小さな子供をあやすような口調でわざとらしくこちらの頭を撫でるような仕草まで見せつけられて俺は慌てて服の袖で涙を拭った。お母さんには「目を擦っちゃダメよ」と怒られるかもしれないが彼には泣いているところを見られたくない。

 ちょっと前まではお父さんにテレビのサッカー中継のチャンネルを変えられただけで泣いてしまっていたが、流石に泣き虫は卒業したのだからと自分に必死に言い聞かせる。

 そうしてなんとか涙を止めても彼は涼しい顔でこちらまた前を向いてしまう。正直ムッとしたがそれでも俺はサッカーの話がしたかったし、なによりさっきの言葉に気になるところがあった。

 

「その、本当に運がいいからそんな呼ばれ方してるの?」

「・・・どういう意味だよ?」

「だって、えっと、ごめん上手く言えないけど、お前のプレーがただのラッキーだなんて思えないから」

 

 さっきの彼のゴールは確かに運がいいと言われればそうだろう、でもあれが単なるラッキーだなんて納得がいかなかった。

 あんなにカッコよくて、あれを決めたのが自分だったらと思ってしまうほどのゴールだったのに!

 

「その、本当に上手く言えないん、だけど・・お前はまるでどこにボールが落ちてくるかわかってる、というか多分、だけど、どこに落ちてもいいようにしてたんじゃないかな~て思った、から・・・」

「・・・」

「そ、それに!えっと、試合中ずっとお前のこと見てたけど、自分よりも身体の大きい相手に全然捕まらなかったし、ボール何回も拾ってた!あと、いつもいいとこにいて味方のフォローしてたし、スペース入るのも上手かったもん!」

「・・・」

「だから、その、あんな年上相手に負けないプレーできるヤツなんて俺初めて見たんだ!俺も通ってるクラブで学年上の相手に試合したことあるけどあそこまで離れてなかったし、だからさ本当にすごいなって思ったんだ!」

「・・・そうか」

「きっとさ、たくさん練習したんだろな~て、すっごい頑張ったからあんなプレーできたんでしょ?」

「・・・うん、まぁ頑張ったかな」

「やっぱり!え~と、だから、そのえ~と、あのゴールがラッキーなんて変っていうか、おかしいなって、その~・・・ってど、どうしたの!?なんか具合悪い?大丈夫!?」

「うん、もういい、もういいからマジでその辺で止めてください・・・推しがショタで必死にべた褒めしてくれるとか、もうこれだけで俺今日まで生きてて良かったよぅ(ボソっ)」

「え?なんて言ったの?」

「なんでもない、初対面の相手のプレーをそこまでガン見して一方的にアレコレいうお前に引いてただけだ。正直今すぐここでお別れしたいレベルでドン引きしてる」

「なんでだよ、俺褒めたじゃん!てかまた置いていくとか言うなぁ!」

 

 人が必死にプレーの感想を言葉にして伝えてたのに彼はなぜか口元を手で押さえて震えていた。もしかして急に具合が悪くなったのかと心配したらものすごい勢いで顔を上げてまた意地悪なことを言ってからかってくる!本当にこいつは性格が悪い、サッカーをしている中でこんなに口と性格が悪いヤツは多分この先も彼くらいしかいないだろうな。

 でも彼のサッカーをすごいって思ったのは本当に本当なんだ、だからこそどうしても一番気になった部分を聞いておきたかった。

 

「あのさ・・・」

「ハァ、なんだよ、まだなんかあるのか?もう十分なんだが」

「・・・その、なんでお前は自分でゴールを決めなくて味方にアシストばっかりしてたんだ?」

 

 その瞬間、ピクと彼の肩が震え表情が強張ったように見えた。

 

「別に、変じゃないだろ。ゴール前にいる味方にパス出すくらい・・・」

「でもわざわざ味方に渡さなくてもそのまま自分で決めれば良かったのに、特に最後のゴールの時とかさ」

「いやーあの状況じゃ無理だろ、うん無理無理」

「本当に?」

「・・・しつこいな、無理だって言って「無理じゃないでしょ」・・・は?」

「絶対無理じゃなかった、あそこで決めれば自分のゴールで勝てた。なのになんで味方へのアシストなんか選んじゃったの?」

 

 それは俺にとって心の底からの疑問だった、彼は間違いなく自分でゴールを決めることを喜んで望んでいた。それなのになんでそのチャンスを味方()なんかに譲ったの?

 

「俺なら絶対自分でゴールを決めてたのに」

 

 なぜかわからないけど彼のプレーを頭の中で思い返せば自然と俺自身のゴールが思い浮かんでくる。今まで見てきた中で一番わかりやすい、クラブのコーチが見せてくれたお手本よりもずっとしっくりくるものだった。

 そんな俺の言葉に少しの間俯いたと思うと彼は前を向いたまま静かに口を開いた。

 

「お前は、サッカーは好きか?」

「?もちろん大好きだよ」

「じゃあ自分でゴールを決めるのは好きか?」

「うん、俺がゴールを決めて勝つのが一番楽しい!」

「そうか、俺もだ」

 

 そう言って彼は自分の上着のポケットから何かを取り出した。スッと目の前に差し出されたそれは旅行中にお父さんが持っていたドイツのお金だった。

 

「これはこの国の金でユーロって言うんだ、この10ユーロで大体レストランでランチ一食分くらいは買える」

「へーそうなんだ」

「俺はこいつをさっきの試合で稼いだ」

「え?」

「さっかお前が見てたのはこの辺の連中がやってる賭け試合だ、賭け試合ってわかるか?ようはサッカーで勝った方が相手から金を貰えるっていうシンプルなルールさ」

「そ、そんなことしていいの!?サッカーでお金取ったりして、お父さんが子供がだけでお金あげたり貰ったりしたらダメだって言ってたのに!?親に怒られたしないの!?」

 

 俺がお小遣いを貰って自分で買い物とかするようになってから、一番最初にお父さんとお母さんから真剣な顔でお金を使う上での約束をさせられた。絶対子供同士でお金のやり取りをしない、奢ったりあげたりなんてしちゃいけないって、それは絶対トラブルの元になるからと何度も言い聞かせられたんだ。

 それにサッカーでお金を賭けるなんてことも、そんなことしたらきっと怒られるだけじゃすまない。

 なのになんで彼は・・・

 

「まぁ褒められることじゃないな。でもこれで稼がないと俺は盗みをするか、ゴミを漁るか、飢え死にするしかないんだから仕方ない」

「ぬ、盗み?飢え死に?」

「俺の家はクソ親父が毎日酒飲んで働きになんか行かない、母親はずっと前に出て行った。だから俺しか金を稼ぐ人間がいないんだ」

 淡々と、なんでもないようにとんでもないことを話す彼の横顔を呆然と見つめる。

「ガキの俺がまともに働ける仕事なんてない、警察も税金を払ってない貧乏人なんか厄介者としか見てない、だから俺はサッカーの賭け試合で金を手に入れないと今日の飯も食えないって訳だ、笑えるだろ?」

 

 はっ!と口元を歪めて彼は言うが俺は全く笑えない、まるで信じられない話だ。

 だって親が子供にお金を稼がせるなんて、そんなのウチの両親と全然違う。お父さんは仕事でお金を稼いで、お母さんは家で家事や料理をして、子供()は学校に行き放課後はサッカークラブで練習をする、それが当たり前だと思っていた。

 もちろん家によって親の性格が違うことくらいは俺にもわかる、でも今まで身近に彼みたいな話は聞いたことがない。

 

「そんでそれは俺だけじゃない、この辺に住んでいる奴らも似たようなもんだ。だから必死に勝とうとする、その中で俺みたいな年下のガキが一人だけゴールを決めまくって目立てばさっきお前を囲んでたような連中に目を付けられて、夜道でリンチに遭って半殺しだ」

「・・・」

 

 俺はもう何も言えなかった、あまりにも世界が違いすぎる。

 そこで彼は最初に対面した時から初めて俺と目を合わせてきた。

 

「どうだ、これで納得したか?」

 

 こちらを見つめてくる彼の瞳には怒りでもない、悲しみでもない、どこかこちらの反応を試すような感情が浮かんでいる。

 なんと返事をするべきかすぐにはわからなかった。上手く言えないけど、可哀そう、とかそんな言葉は彼に対して言ってはいけない気がしたのだ。でも、じゃあなんと言えばいいのか・・・

 

「・・・じゃあ、ゴールを決めて嬉しそうにしてたのは、お金が手に入るからだけなの?」

「・・・気になるのはそこなのか?」

「だってあの時のお前は本当に楽しそうだったじゃん、それに他の奴にアシストしてた時は、その、微妙っていうか、悔しそうな顔してたし・・・」

「お前マジでどんだけ俺のこと見つめてたんだよ・・・表情までガン見とかマジストーカーみたいな野郎だな」

「ストーカー!?ち、違うよっ、それだけお前のサッカーがすごかったってことで、」

「はいはい、本当に世一君は俺のこと好きねー」

 

 こっちは真剣に聞いているのにまた彼は意地悪をしてくる!

 

「でもそうだな、確かに俺は今に満足なんかしてない」

 

 ここまで言われたら流石に文句を言ってやろうと思った瞬間、こちらを見つめてくる彼の表情はからかうものじゃなくて、とても真剣なもので俺はまた言葉に詰まった。

 

「お前の言う通り俺だって自分のゴールで勝つのが好きだ、他の奴にパスなんか出したくねぇよ。あの瞬間だけが今の俺が生きてて満足できる時間だからな」

「だったら、」

「でもさっき言った通り今は無理なんだよ、この不自由な世界で好き勝手生きていくには俺は無力すぎる」

 

 そう言いながら彼は手に持っていたドイツのお金をグシャリと握りつぶした。お金は大事にしなさい、なんてお母さんに言われたことが頭に浮かんだけどそんなこと今はどうでもいい。

 彼の、その目に宿っているのは、あの時(ゴールの瞬間)と同じものだったんだ。

 

「だからな、いずれ俺はこんな場所から絶対に出て自由になる。もっとサッカー上達してバスタード・ミュンヘンっていうクラブに入ってストライカーとしてプロになって、俺の望みを全部叶えてやる、それが俺の未来だ」

 

 バスタード・ミュンヘン、そのクラブは俺も知っている。このドイツで一番大きいクラブであり俺が初めてテレビで観てからずっと憧れている世界一のストライカー、ノエル・ノア様がいるチームだ。今夜見に行く試合にも出場する。

 彼はそこに入る、と言い切った。叶えたい、でもなく夢、でもなくそれを叶えるのが当然の未来であるかのようにだ。

 そんな彼に対して胸から沸き上がったのは、負けたくない、という強い感情だった。

 

「俺だって、将来はノア様みたいなストライカーになるっ、そんで日本代表になってW杯で優勝するんだっ」

「はっ、日本はサッカー弱小国だろうが、そんな国で碌なストライカーが生まれるかよ」

「そんなこと関係ないし!日本が弱くても俺が誰よりも上手くなって変えてやればいいんだ!」

「それはそれは大きく出たなぁ、だがそんなこと言って結局高校生の県大会の準優勝ぐらいがせいぜいじゃないか?」

「違う!俺は高校生になってもゴール決めて勝って優勝すんの!そんでプロ選手になる!」

「ふーん?でもまぁ気にするな、そこで負けてもまだプロになる可能性が途絶える訳じゃない、お前がストライカーとしてそこそこ活躍できれば見ていてくれる人間もいるだろうさ」

「だから負けないって言ってるだろ!そういうお前だって大会で負けて泣いても知らないからな!」

「残念だが俺はその頃にはバスタード・ミュンヘンのエースで新世代世界11傑に選ばれている予定だ、つまりお前のずっと先を行っている・・・と、くだらないことを話している内についたぞ迷子ちゃん」

 

 え?と彼の言葉に周りを見渡すと確かにこれまで歩いていた薄暗い雰囲気の通りではなく、事前に旅行誌で見ていた観光地の風景が広がっていた。

 彼との会話に夢中になっていて気付かなかったがいつの間にか目的地の観光スポットまでたどり着いていたみたいだ。

 周囲にはよくわからないが多分お洒落な街並み、というやつとそれを楽しそうに見ながら歩き回っている他の観光客がたくさんいてとても賑やかだ。ほんの少し前まで場所とはまるで別世界だったんじゃないかと思ってしまうほどに雰囲気が違う。

 

「おい、何ボーっとしてんだ。早くお前の親を探せよ」

「え、あ!そうだった!えっと、お父さんとお母さんは・・・!」

 

 雰囲気の違いに戸惑っていたら後ろから呆れたような声をかけられてようやく俺はなんのためにここに来たのか思い出した。

 慌ててお父さん達を探すが観光客で賑わっている人ごみの中でそれはかなり難しかった。余りに人が多く眩暈すらしそうになったその時、突然後ろから腕を引っ張られる。

 

「こっちだ」

「え?どうしたの?」

「いいからついてこい」

 

 そう言って俺の腕を引っ張る彼につられて人ごみの中に進んでいく、彼の先導にされるがままに歩いていくと不思議と人にぶつかることなくスルスルと間を通り抜けていった。

 一体どこを目指しているんだろう、と思いながら見た目以上に強い力になんとかこけないよう必死になっているとすぐに人ごみから抜け出した。そして彼は足を止める。

 

「なんなんだよもぉ・・・て、あ!お父さーん!お母さーん!」

 

 人ごみを抜け顔を上げた先には、焦りを浮かべた表情で必死に周囲で何かを探しているかのような、おそらく逸れた自分を探しているんだろうお父さん達がいた!俺はたまらず二人の元まで走り出した。

 

「じゃあな潔世一(主人公)、次会う時は望み通りお前の人生に立ちはだかってやるから青い監獄で待ってろ」

 

 彼がそう言って背を向けていたことに、両親との再会に安堵していた潔は気が付かなかった。

 

「世一!母さん世一がいたぞ!」

「え、どこに!?あぁよっちゃん、良かった見つかった!」

 

 こちらに気付いたお父さんとお母さんが泣きそうになりながら駆け寄ってきて、俺を二人で抱きしめてくれた。

 

「どこに行ってたんだ世一!逸れたら危ないと言ってただろう!」

「すっごく心配したのよ!・・・よっちゃんどこ怪我してない?事故とか危ない目に遭わなかった?」

 

 俺を抱きしめた後お父さんに怒られて、けどその後すぐに心配する言葉に申し訳ないって気持ちになった。きっとたくさん心配して俺のことを探し回ってくれたんだろうな。無事に出会えて本当に良かった。

 それもこれも彼のおかげだ、意地悪だったけど彼が助けてくれたからお父さん達に会えたんだ。

 

「ごめんねお父さんお母さん、でも俺大丈夫だよ。ここまで道案内して連れてきてくれた子がいたから」

「え?誰かが案内してくれたのかい?」

「うん、ホラあそこにいる金髪の、てアレ?

 

 振り向いてそこを指させば、確かにそこにいたはずの彼の姿が無くなっていた。

 

 

 

 ドイツ旅行の時間はあっという間に過ぎ、今日は日本に帰る日だ。

 あの後俺はしばらく辺りを探したけど彼の姿は見つからなかった。お父さん達にサッカーが上手くて日本語が話せる年上の子に助けてもらったと話すと驚いて、お礼を言いたかったと言っていたのに。もちろん俺もだ。

 仕方なく諦めて、その夜には予定通りノア様の試合を観に行った。ノア様のプレーを初めて生で見れて俺はもちろん嬉しかったし興奮した、けど同時に彼のプレーが頭を離れなくてずっとモヤモヤしっぱなしでいた。

 

「世一もうすぐ飛行機の時間だけど忘れ物はないか?」

「うん・・・」

「もしかして助けてくれた子のこと考えての?」

「お母さん・・・うん、そうなんだ」

 

 俺が浮かない顔でいたのに気付いたお母さんが声をかけてくれた。それに俺はスタジアムの物販で買ってもらったノア様のポスターを抱えながらこの楽しかった旅行での唯一の心残りについて正直に打ち明ける。

 

「あの子に、結局ありがとうも名前も聞けないままになっちゃたから・・・、意地悪だったけどでも助けてくれたし、それにサッカー上手くてできれば一緒にやってみてかった・・・」

 

 あの綺麗なダイレクトシュートをもっと見たかった、そして俺もそれ以上のゴールを決めてストライカーとしてどっちが上手いか試合で決着を付けたかったのに・・・名前も知らないし国も違うからもしかしたらもうこれっきりになってしまうかもしれない・・・

 もうあの綺麗な彼に会えないなんてただただ悲しい、そんな気持ちで俺は一杯だった。

 

「そうか・・・なあ世一、その子は将来プロ選手になるって言ってたんだろう?だったら世一も同じようにプロ選手になれればいつかまた会えるんじゃないかってお父さんは思うぞ」

「ホントに?俺がプロ選手になればまた会える?」

 

 お父さんの言葉に俺はハっ、となった。

 そうだ、彼はバスタード・ミュンヘンのストライカーになるって言ってた、なら俺も将来プロになれば会えるじゃないか。同じチームに入れるとは限らないけど、でも俺が日本代表になって彼がドイツ代表になればW杯の舞台で戦える!

 今俺の中では自然とその光景が頭に浮かんできた。前にテレビで観たW杯の決勝戦、たくさんの観客に応援の声を向けられながらフィールドの上で向き合う俺達、その時こそきっと彼も俺もエースストライカーとして何も気にせずに全力でぶつかり合えるんだ!

 

「お父さんお母さん、俺絶対これからサッカーで日本代表になってあの子に勝つね!そんでノア様みたいに世界一のストライカーになる!」

「おぉ!世一選手の世界一宣言か、こりゃ将来が楽しみだな!」

「あらまぁ、お父さんったら気が早いわ。・・・でもそうね、きっとその子もたくさん努力してプロサッカー選手を目指しているはずだから、その子に負けたくないならよっちゃんもたくさん頑張らなきゃいけないわよ?」

 

 お母さん達には彼から聞いた話をそのまま全部教えた、二人は最初驚いた顔をしてそれからすごく真剣な顔で世界には色んな事情を持った子供がいるんだということを俺に教えてくれた。そういう子は俺と同じ年で学校に行かずに働かなきゃいけなくて、大人になったら少しでもいい仕事に就くために自分で外国語を必死で勉強したりするらしい。きっと彼が日本語を話せたのはそういうことなんだろう。

 俺は彼と違って優しいお父さんとお母さんがいて、学校に通って、サッカーでも乱暴な年長者に遠慮なんかせずいくらでもゴールを決められる。だから彼よりもずっとずっと恵まれている、でもだからといって負けたくなんかない。

 世界一のストライカーになる、この俺の夢は絶対誰にも譲りたくないんだ!

 

「うん、俺頑張る、まずは日本で一番になってあの子に会うよ」

 

 だからその時はちゃんとお前の名前を教えてくれよ?




という訳で、無事によっちゃんを送り届けるミッションを達成できました。
アニメで観た潔両親の顔を思い出して合流させたけどすぐに「ヤベェ俺が潔ファミリーの顔知ってたらおかしいじゃん(;'∀')」と気付いてその場からカッコつけて逃走しました。
この後成り主は家に帰ってからいつも通りクソ親父に殴られ、夜に前世の両親を思い出して少しだけ涙を流しながらサッカーボールを抱えて眠りにつきます。

そしてよっちゃんこと潔世一は青い監獄で知るはずだったストライカーのハングリー精神を少しだけこの時点で学びました。これが物語にどう影響するかはまだわかりません。

次回はいよいよ運命の自己証明の誕生回です。できればレイ・ダークさん登場まで書けたらいいな(-_-;)
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