抜きゲーみたいな帝国から来たマスコットにTS魔法少女にされた僕はどうすりゃいいですか?   作:ペンギン3

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第20話 ロリおね 逆転編

 困った、とてつもなく困っていた。

 僕のことを考えると変な気持ちになるって言っていた男の子が、女の子になって僕に微笑みかけている。何か勘違い……じゃないけど、間違った理由で魔法少女になって。

 

「これで、お姉さんとお付き合いできます」

 

 綺麗に笑いかけてくれてるのに、周囲の魔力は薄まらない。むしろ、段々と強くなっていってる。

 

「いま、シコティッシュハートでエッチなこと考えてる?」

 

 そんな中で、鈴は小首を傾げながらおかしな事を聞いていた。

 なんでこんな中で、そんなにふざけてられるのかな。違うに決まってるでしょ!

 

「ち、違います! 誰もお姉さんに、ちゅーされたりお胸揉んだりお股をコスコスされる妄想なんてしてません! 少ししか!!」

 

「少しでもしてるの!?」

 

 耳がおかしくなったのか、光くんがエッチなこと考えてるって聞こえた気がする。疲れてるのかもしれない、全部ど変態異世界人とエロ犬のせいだ。絶対に許さない。

 

 どうしてか、光くんは真っ赤になってこっちを見ていた。……目線が、気のせいか胸とかお股のところに向いている、気がする。

 

「こころ、この子やっぱりスケベ。オチ◯チンを無くしたから、目でこころを妊娠させようとしてる」

 

「そ、そうやって、僕とお姉さんの間を引き裂くつもりなんですねっ!

 お姉さん、騙されないでください!!

 僕、お姉さんのためなら、ちゃんと我慢できます!!!」

 

「エッチな目で見てることを否定してよ!」

 

 耐え切れずに言い返すと、光くんはもにょもにょと口籠って。けど、すぐに鋭い視線で僕を睨み付けていた。なんで自分だけ、そんなこと言われてるのって怒りを感じる視線。

 

「エッチなお姉さんだから、エッチな目で見ちゃうんです!

 夢の中に来てくれて、"しーこしーこ、しーこしこ。チーズって、変な匂いするよね? あれって実は、牛乳じゃなくて男の子のここから出た白いので作られてるんだよ"って教えてくれたくせに!!」

 

「一言も言ってないっ!」

 

「夢に来てくれて嬉しかったです!

 エッチなことしてくれて、ありがとうございました!!」

 

「冤罪だよ!!」

 

「援、交……? お姉さん、僕からお金、取るんですか?」

 

「夢の僕は、僕本人な訳ないんだっ!

 あと、耳掃除して!!!」

 

 テープのお財布を取り出して、バリバリと開いてる光くんは、しばらく見ないうちに完全におかしくなってしまってた。悲しそうな顔で、1352円をこちらに差し出そうとしてくる。全部が全部、間違っていた。

 

「こころ、私ならもっと出せる」

 

「パコも、射精なら一回で三億匹くらい出せるパコよ!」

 

「鈴、変なところで対抗しないで! エロ犬は死ねっ!」

 

 鈴も対抗するように、ピンク色の財布(テープじゃないやつ)から三千円を取り出していた。鈴にそんなことされたら、シンプルにヒモだし嫌すぎる。

 エロ犬は精子を匹で数えるな、キモすぎる。頼むから死んで?

 

「死……毎日たくさん死ぬ精子の生死を、おもんパコっての言葉パコか?」

 

「お前に殺意を覚えての、純粋な気持ちからの言葉だよ」

 

「こ、殺したいほど愛されてるってことパコ!?」

 

「殺す価値はないけど、死んで欲しいって前から思ってるってことっ!」

 

「妊娠した彼女の腹を殴るカスな彼氏だったパコか、こころっ!」

 

「妊娠させようとしてくるお前を去勢する、正義の味方だよ!!」

 

 エロ犬の腹にパンチをめり込ませると、"う、産まれるパコ!?"と言いながら、エロ犬は口からコンドームを吐き出しながら泡を吹いた。なんでお腹に、そんなの仕込んでるんだよ!

 

「パコリイヌ、何円?」

 

「1050円になりますパコ」

 

「買う」

 

「なんで!?」

 

「使うかも、しれないから?」

 

「使わないで!!!」

 

 咄嗟に叫ぶと、鈴は固まって、空を見上げて……そして。

 

「…………分かった。覚悟、する」

 

「なんか分からないけど、返品してきて!」

 

「うん」

 

 鈴はコンドームのハコをエロ犬の中に押し戻して、全てを無かったことにした。そして何故か、僕のハイレグ部分にお金を差し込もうとしてくる。狂っちゃったの?

 

「鈴、一緒に病院行こう! 今なら間に合うから!!」

 

「? まだ妊娠してないから、産婦人科に行く必要なんてない」

 

「メンタルクリニックにだよ!」

 

「……マリッジブルーに備えて?」

 

「ずっと先の話すぎる!

 そもそも、誰と結婚するつもり!」

 

「……ナイショ」

 

 鈴は僕を全力でおちょくりながら、押し返した3000円を財布にしまっていた。そうして、意味深に光くんへとウインクを飛ばす。私の方がお金持ちってことで、今度は対抗してるの?

 

「──ズルです、そんなの」

 

 一方の光くんは、どうしてか、いつの間にか目が涙で潤んでいた。鈴の行動が、何か光くんに敗北感を与えてしまったのか、完全にダメージ判定が入っていた。今の一連の流れで、光くんは一体、何を感じ取ってしまったのか。

 

「な、泣かないで、光くんは男の子だよね?」

 

「女の子ですが!?」

 

 急にキレ気味になった光くんを前にして、言葉に窮する。確かにそうなんだけど、そうじゃないって言ってあげたい。女の子になったのは、光くんにとって手段でしかないのだから。

 

「光くんは、別に女の子じゃないと嫌だってことはないよね?」

 

「お姉さんの気を引くために、女の子になりました!」

 

「うん……」

 

 困る、本当に困る。何より困るのが、一度女の子になってしまうと、愛する人に絶頂させられなければ元に戻れないっていうこと。条件が終わりすぎている、やはりエロ犬は処さなくてはいけない生物に違いなかった。

 

「……それなのに、お姉さんはあの人といっぱいイチャイチャして、3000円でお姉さんは買われて、挙句の果てにマスコットさんとまでイチャイチャしてっ!」

 

「光くん、一緒に眼科に行こう!」

 

「幾らお姉さん相手でも、お医者さんデートなんて嫌です!」

 

「メガネ作りに行くんだよ!」

 

 鈴とはともかく(そもそも、買われてなんていないけど)、エロ犬とまでそう見えてるのは、明らかに光くんが冷静じゃない証拠だった。

 

 というか、エロ犬とまでそうなら、僕は大切な恋人犬の腹を殴り飛ばすカスになってしまう。断じてそんなことはないし、明らかな風評被害が出てしまう勘違いだった。

 

「……お姉さん、どうして分かってくれないの?」

 

 ここまで話して、光くんは物悲しい顔をしていた。

 分かるも何も、異常事態が起こりすぎて理解が追いつかないのは事実だけれど。……それでも、光くんをこのままにしておくのはダメだってことは分かってる。

 

 僕のことを考えてくれすぎて、魔法少女にまでなっちゃった。それはきっと、あの時に僕自身の口から、ごめんねって言えなかったから。だから、光くんは前提条件を間違えてしまった。

 

 男の子だから付き合えないんじゃない。

 ……もう、心に決めた人がいるからなんだ。

 

「──光くん、ごめんなさい。

 光くんとは、お付き合いできません」

 

 だから、今度は自分の口で、ハッキリと告げた。幾ら女の子になってくれても、気持ちは無碍にしたくないけどごめんねって。

 

 これから、光くんを男の子に戻さないといけない。きっとそれも大変なことだと思う。けど、そうする前に、しっかりと決着をつけておかなくちゃいけないことだから。

 

 泣かれちゃうかなって覚悟しながら、それでも伝えた言葉に──光くんは無表情だった。

 

 さっきまでの、コロコロと怒ったり拗ねたり、笑ったり喜んだりしていた姿が、まるで幻のような無表情さ。鈴も無表情だけど、目が色々と喋ってくれてるから分かりやすい無表情をしている。けど、いま目の前にいる光くんからは、そんな色合いすら感じさせられない。

 

「光、くん?」

 

 呼び掛けると、その瞳は僕の方へと向いて。赤い燃えるような瞳が、ジッとこちらを見据えていた。──ざわりと、肌が落ち着かなくなる。

 

 そうして、思わず後退しそうになる僕に、光くんは一つの問いかけを投げてきた。お姉さん、と平坦な声で呼び掛けながら。

 

「僕とあの人、出会ってた順番が逆だったら……僕を好きになってくれましたか?」

 

 鈴よりも色がない無表情で見つめられて、ひどく落ち着かない気持ちになる。けど、答えを待っている光くんに、僕はなんとか返事を捻り出した。

 

「……ごめんね」

 

 そもそも、光くんは元々が男の子なんだから、先に出会ってても恋愛的な意味で好きにはなりようがない。だから、素直に謝るしかなくて。

 

 僕の言葉を聞いて、光くんは無表情でこちらに近寄ってきた。後ずさると、鈴が僕を守るように前へと出る。真っ直ぐに、光くんへと鋭い視線を向けて。

 

「同情はする。こころに嫌われたら、私も泣いちゃうから。でも、それだけ。振られたのにしつこくして、こころにエッチな目を向けるのはダメ」

 

「……そうやって、お姉さんの味方のフリをして、近づく人全員を悪者にしたんですか?」

 

「私とこころ、元から仲良し。それを見て、寄ってくる女の子も居なかった」

 

「っ、最初から、あなたがお姉さんを独り占めしてたんですねっ!

 ずるいっ、卑怯です!!

 初めて好きになった人なのに、そんなのあんまりです!!!」

 

 雰囲気が、時間を経つごとに悪くなる。一触即発な気配が、僕たちの間に流れる。そんな中で、鈴はボソリと一言。

 

「初恋は実らない……残念、だったね?」

 

 ぶちりと、光くんから何かが切れる音がした。鈴が言ったのは、火に油を注ぐ行為。明らかな挑発、話し合いを放棄する意思しか感じられなかった。

 

「──もう、いいです」

 

 鈴の言葉に俯きながら、光くんはボソリと呟いた。もういい、諦めるってことじゃなくて、実力行使って意味合い。光くんが怒っているのは、流石の僕でも理解できる。だから、僕たちは構えようとしたけれど。

 

「ま、魔力反応が勃起してるパコ!

 射精するみたいな魔法が、飛んでくるパコよ!」

 

 僕たちが反応する前に、光くんは魔法に必要な妄想と術式の選択を終えてしまっていた。こちらが何かする前に、光くんの口から言葉が発せられた。

 

「"世界で一番、僕がお姉さんをエッチな目で見てるんです。心じゃなくて、身体に分からせられちゃったんですっ。だから、責任は絶対に取ってもらいます! ラブラブエッチお嫁お姉さんに、絶対になってもらいます!!"」

 

「なるわけ無いでしょ!」

 

「こころ、あれはオリジナルの詠唱パコ、告白じゃないパコよ!?」

 

「え?」

 

 エロ犬の言葉と同時に、僕と、それから鈴は、その場で崩れ落ちていた。光くんの魔法が発動されて──僕たちは、脳裏にとんでもない映像と、身体に快楽をそのまま叩き込まれてしまっていた。

 

 

『お姉さんすきすき、ぎゅーっ!』

 

『僕も好きだよ、光くん。ううん、もう光ちゃんだね? 唇と──お股を借りるね、僕に任せて』

 

『お、お姉さん、好き! あんあんあん!』

 

 脳裏に浮かんだ一つ目は、光くんが僕に身体を任せて、エッチなことをされている光景。光くんは身をまかせて、僕に身体の色々なところを触られている。

 

 ──僕のアソコを、弄るみたいな感覚が止まらない。

 気持ち良くて、快感を感じてしまって、歯を食いしばる。

 

 

『お姉さん、ごめんなさい。

 ……もう、我慢できないよ。

 お姉さんが、そんなに可愛くてエッチだから!』

 

『僕も、光ちゃんがエッチだって思ってる』

 

『両想い……ですか?』

 

『そうだよ。光ちゃんが、凄くエッチで素敵な魔法少女になってくれて、嬉しいな』

 

『ぼ、僕も、お姉さんのこと、大好きです! あんあんあん!』

 

 二つ目の映像は、光くんが僕にエッチなことをする光景。お胸を揉まれたり、アソコにキスしたり、一生懸命に僕を気持ち良くしようとしてる。

 

 アソコから、漏れちゃダメなものが我慢できなくて、薄らと模様を描くみたいに、ハイレグレオタードを濡らしていく。身体がジンジン熱くて、このままじゃ、僕──っ。

 

 

『お姉さんが悪いんですよ?

 僕をこんなに挑発して、本気エッチさせたんですから!』

 

『あんあんあん!

 光ちゃん、気持ちいい、気持ちいいよ!』

 

『僕も気持ちいいです、お姉さんとのハイレグレオタード両想いエッチ! お股とお股、擦り合わせるとあんなに気持ちいいなんて、僕知らなかったのに! お姉さんのせいなんですからねっ!』

 

『ダメ、光ちゃん、エッチが上手すぎる!

 なんで、どうして!?』

 

『──そんなの、お姉さんのこと、いっぱい好きだからに決まってるじゃないですか! ちゅーーっ!』

 

『うにゅ、ちゅっ、ちゅっ。だ、ダメ、キスされながら、僕──』

 

 三つ目は、テクニシャンの光くんに、僕が屈服させられちゃって、一方的に本気エッチをされちゃってる光景。

 

 さっきから、ダメなのにっ、こんなの変なのに、でも、もうっ──。

 

「っ、イッ」

 

 アソコが熱くて、必死に気持ちよくなろうとしてて、全身で快楽を感じてるような気持ちよさに襲われて……もう、僕はダメだった。

 

「クッ、っ」

 

 せめてもの抵抗に、目を瞑る。光くんが、真っ赤なお顔で、こっちを見てるのを確認しちゃったから。こんな姿、絶対に見られたくなんてなかったのに。

 

「────っ」

 

 何かが弾ける感覚。我慢してたものが全部、吹き出したような。──一番の快楽が、僕のアソコを貫いた。僕は、耐え切れなかったんだ。

 

「こん、なのっ。ひどい、よっ」

 

 気持ちよくて、気持ち良すぎて。お股から滲み出るものを自覚して、恥ずかしくて。なのに、身体が気持ち良すぎて、腰が抜けちゃってる。屈服、させられちゃいそうになってる。

 

「ご、ごめんなさい、お姉さんっ。

 でも、お姉さんは僕の気持ち、分かってくれなかったから。先に、身体に僕のことを分かってもらうしか、なかったんです!」

 

 さっきまでの怖い雰囲気は、光くんから無くなっていて。慌てて駆け寄ってきた光くんは、ハンカチで僕のお股をふきふきし始めた。

 

「や、んっ。だ、ダメ、だよ、そんなこと、しちゃ……」

 

「ダメじゃないです。ちゃんと拭かないで放置してると、痒くて大変になっちゃいます」

 

 真剣な顔で僕のお股を拭かれて、頭がおかしくなってしまいそうになる。なんでこんなこと、なっちゃってるんだろう、本当に。

 

「優しくしますから、ジッとしててください」

 

「や、だっ。自分で、するから、やめ、て」

 

「あんまり言うこと聞いてくれないと、お股にチューして綺麗にしちゃいますよ?」

 

 光くんの言葉に、思わず身が固まる。さっき脳内に流し込まれた映像が、ふと思い浮かんでしまったから。

 

「すぐ終わりますからね」

 

 結局、光くんに身を任せざるを得なかった。抵抗なんて、今はできそうになかったから。

 

「ね、お姉さん……気持ちよかった、ですか?」

 

 そうして、ハンカチで僕のお股を処理しながら、光くんは顔から赤みを隠すことなく、そんなことを聞いてくる。露骨すぎる問いかけに、思わず顔を背ける。

 

 ──するとそこには、未だに震えながら、歯を食いしばっている鈴がいた。

 

「鈴!?」

 

「わっ!?」

 

 悲鳴のような声ができて、咄嗟に立ち上がれた。お股を拭いてくれていた光くんは尻餅をついて、僕をびっくりしたように見やる。けど、今は何より鈴が大変そうだから。

 

「だ、大丈夫なの!?」

 

 辛そうな顔をしてる鈴に駆け寄ると、鈴は僕の腕を掴んだ。今までで生きてた中で一番強く、一番乱暴に。

 

「大丈夫じゃ、ないっ」

 

「ご、ごめんっ」

 

 本当に珍しく、怒りながら口を開く鈴に、僕は謝りながら鈴を抱き起こした。鈴は、まっすぐこちらを見ながら、目からは──涙が溢れている。

 

 その惨状に思わず息を呑むと、苦笑気味の声が僕たちに掛けられた。光くんの声、ちょっと感心したように、ちょっと呆れたように。

 

「あなた……ううん、シコティッシュベルさん。我慢、しちゃったんですか?」

 

「っ、こころ以外になんて、絶対にイカされたりしないっ」

 

 急にそんなことを言われて、顔が熱くなる。僕が鈴とエッチすること前提の言葉で、頭が混乱しちゃう。なのに、混乱した僕を置いて、二人は言葉を交わし合う。

 

「……さっきの魔法は、僕が女の子になってから、一生懸命オナニーした内容と、その時に感じた気持ち良さを一気に流し込んだんです。それに耐えられたのは……認めたくないですけど、あなたは本気でお姉さんのことが好きなんですね」

 

「あんなNTR映像なんかに、決して屈したりしない!」

 

 クッ、殺せと言わんばかりの態度で、鈴は光くんを睨みつけて。けど、光くんは全然余裕そうに、その視線を受け止める。

 

 そうして、こっちに近づいてきて、そっと僕を抱き寄せた。まだ、身体の力が入りにくくて、僕はそれに対抗できずに抱き寄せられて。

 

「でも、シコティッシュベルさんがどれだけ我慢しても、お姉さんはイッてくれました。心は認めてなくても、身体は僕のお嫁さんだって認めてくれたんです」

 

「っ、違うよ!」

 

「違わないです、だって……」

 

 光くんが、僕に顔を近づけてくる。そうして、吸い寄せられるようにして。──光くんはそっと僕の唇に、自身の唇を重ねた。

 

 チュッチュって、鳥が親鳥から餌を貰うように、僕の唇を吸い上げて。抵抗しなきゃって思うのに、力が全然入らない。それどころか、力が逆に抜けていく。

 

 鈴が、また泣きそうになりながら、僕と光くんを見つめていた。

 

 そうして、ゆっくりとキスをしていた光くんは、なんだか啄むようなキスをしてから、今までで一番真っ赤になって顔を離した。

 

「お、お姉さんは、シコティッシュベルさんみたいに、その、抵抗しません。それどころか、お姉さんの唇、気持ち良すぎて、僕が堕とされちゃいそうになりました。これが、身体が堕ちちゃってる証明です!」

 

「ち、ちがうよっ!」

 

「お姉さんの心、まだ堕とせてないんですね。ちょっと残念です──けど!」

 

 光くんは自信に満ちた表情で、僕の方にとびっきりの笑顔を見せていた。こんな状況なのに、凄く可愛いって思える笑顔を。

 

「さっきので自信、つきました!

 次は絶対、お姉さんを恋人さんにします!」

 

 そう言って、颯爽とこの場を後にする。

 今日のところは許してもらえた、そんな惨敗ぶりだけが、この場には残って。

 

「……こころの、バカ」

 

 力のない、拗ねた鈴の声だけが、この場で寂しくこだましていた。

 そんな鈴の姿に、無性に罪悪感が沸いて、止まらなくなりそうだった。

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