抜きゲーみたいな帝国から来たマスコットにTS魔法少女にされた僕はどうすりゃいいですか?   作:ペンギン3

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第25話 多分130mくらいの高さ

 あれから、僕たちは光くんを家へと連れ帰っていた。

 本当はおんぶでもしてあげたかったけど、したら背中で無限に光くんがビクンビクンしてしまっていたので諦めた。ふらふらと歩く光くんを気に掛けながら、何とか帰った僕たちは……毎度の如く、お風呂送りになっていた。

 

「もう、大丈夫?」

 

「はい、お姉さん。お姉さんにイかされちゃうの、なんとか止まりました」

 

 あんまりな言い草をしながら、けれどもにぱーと笑う光くんを否定もできず、僕はため息混じりにシャワーを出していた。因みに、お風呂場には僕と光くんだけ。鈴は、お風呂の外の洗面所で、坐禅を組んで待機してた。何でも、光くんは元々男の子だから、自分の裸を見られたくないだとか。

 

 ……鈴、僕も男の子だよ。

 

「おねーさんの、裸……」

 

 そして、光くんもちゃんと男の子だった。身体は女の子だけど、心は男の子のまま。チラチラと視線が、僕の胸とか、アソコとかに行ってはビクッとして逸れていく。ダメなのに、勝手に目をこっちに向けてしまう。そんな気持ちが見え見えで、ちょっと可愛らしい。

 

「光くんも裸だよ」

 

 シャワーの蛇口を捻りながら、出てくるお湯の温度を調節する。……まだ冷たい。

 

「え、お姉さん!? き、聞こえてっ」

 

「うん、だってすぐ近くに居るから」

 

 エッチな自分を垣間見せちゃって、慌ててる光くん。咄嗟に胸とアソコを隠して、口をパクパクさせている。うん、やっぱり光くんだ。外で戦ってたときみたいな、エッチ過ぎる子じゃなくて、ちょっとエッチな男の子の光くん。あの時一緒に、エッチをしないと出られない部屋に閉じ込められた子に違いなかった。

 

「お、おねーさん、僕の裸、可愛いですか?」

 

「内緒だよ」

 

 エッチと謗られるかなって思ったけど、そんなことはなくて光くんは真っ赤になりながらも、ドキドキしてるのが伝わって来そうな表情で僕に問い掛けてきた。振って振られての関係だけど、光くんは聞かずにはいられなかったのかもしれない。

 

 今の光くんの身体は、どこからどうみても女の子のもの。でも、とってもロリな身体をしてる。全部が小さくて、全部がツルツルで、ちまちましている。可愛いとは思うけど、エッチな気持ちにはなれない。でも、正直にそう伝えても、純粋な光くんはそれで喜んじゃって、男の子に戻れなくなっちゃいそうだから。

 

「……残念です」

 

「うん、だから光くんも……いや、何でも無いや」

 

 僕をエッチな目で見ちゃダメだよって言おうとして、寸でのところで言葉を留める。だって、僕だって鈴とお風呂に入った時は、鈴のことをとってもエッチな目で見ちゃってたから。人のことは言えないのに、他人に注意するのは何か悪い気がして。

 

 ただ、光くんはとっても勘が良かったみたい。僕が言いたいことを察しちゃって、むぅって僕を睨んできた。……外で戦ってた時みたいな怖い顔じゃなくて、ふにゃふにゃな顔でだったけど。

 

「おねーさんが、す、好きな人が裸なんです! エッチな目で見ちゃうに決まってるでしょうっ!」

 

 プンプンとしながら、開き直ったみたいに僕をマジマジと光くんは見つめてきた。けど、真っ赤なのが治らなくて、湯船に浸かってないのに湯当たりしそうになっていた。やっぱり、光くんにはエッチなのは早すぎたんだ。だって、こんなにも純真なんだから。

 

「意地悪しちゃったね、ごめん」

 

「ほ、本当にイジワルです! ダメなのに、お姉さんのこと、もっと……っ」

 

「……本当にごめんね」

 

「っ」

 

 光くんが、僕の方は手を伸ばして……触れようとした瞬間に、ピタッと手が止まった。何気に、胸の方へと手が伸びていた。止まらなかったら、光くんは僕の胸を揉みしだいていたかもしれない。

 

「光くん?」

 

 何、しようとしてたのって意味で聞いてみると、光くんはプルプルと震えて。

 

「こ、今度イジワルしたら、エッチなことして対抗しますっ。僕は本気です!」

 

「……うん」

 

 女の子の身体になった僕とお風呂場に放り込まれて、光くんも混乱してるのかもしれない。エッチなのが、まだ抜け切ってないともいう。だから、こんなこと言っちゃうのも仕方ないのかもしれない。

 

 お風呂場の外から、"こころの処女は散らない。私が守るもの"って聞こえてきた気がした。エヴァにそんなセリフ、あったかな?

 

「じゃあ、座って。頭、流すね?」

 

「は、はい……」

 

 シャワーが温かくなって、光くんの髪から洗い始めると、さっきまでの威勢はどこかに行って、とても静かになっていた。椅子に座った後は、膝に両手を置いて、ギュッて内股になって。

 

「痒いところ、無い?」

 

「な、ないです。……お姉さん、お風呂屋さんみたいです」

 

「違うよ?」

 

 光くんのことだから、エッチな意味じゃないのは分かってる。でも、お風呂屋さんは、明らかに間違ってるから。せめて床屋さんみたいって言って欲しかった。

 

 それを分かって欲しくて、ツインテールが解かれた光くんの髪を、ゆっくりと洗っていく。女の子がお風呂の時間が長いのは、髪を洗うのが大変だからなんだって、光くんの髪で理解しながら。

 

「……お姉さん」

 

「何かな、光くん」

 

「──お姉さんって、男の子だったんですか?」

 

 唐突な問いかけに、手が止まってしまった。だってそれは、光くんが知ったらショックかもしれないって思って、言ってなかった事だから。

 

「どうしてそう思ったの?」

 

「……僕って一人称と、女の子が好きなこと。あと……すごいエッチだったから」

 

「エッチじゃないよ」

 

「エッチです!」

 

 僕をなんだと思っているのか、そこだけは譲れないと光くんは強弁していた。譲ってよ、そこだけは。

 

「でも、それでも、お姉さんがお兄さんだったとしても……女の子のままで居てくれるなら、それでも良いって思ったんです」

 

「そっか」

 

 光くんの中でも、僕に対して葛藤があったんだ。でも、それでもって思ってくれたから、余計に執着しちゃったのかもしれない。

 

「うん、そう。僕は男の子だよ」

 

「やっぱり……」

 

 納得したような、それでいて困惑したように、でも、と小さく呟いていた。多分、どうして魔法少女になったんだろうって疑問があるんだと思う。

 

「僕が魔法少女になったのは、完全に耳が悪くてガバガバなエロ犬マスコットのせいだから……男の子に、戻るつもりだよ」

 

「……そう、ですか」

 

 なので、概要だけ話した。細かい話は、僕の頭が狂いそうになってできないけど、これくらいなら伝えられるから。一番伝えたかったのは、僕が男に戻ろうって思ってる事だったし。

 

「だから光くん、光くんも一緒に戻ろう? その時に、友達になりたいなって思ってるから」

 

 僕の呼び掛けに、光くんはちょっと考えて。髪のシャンプーを洗い流す間は、ずっと考え続けていた。そうして、ボソリと光くんが口にしたのは、僕の呼び掛けに対しての答えじゃなかった。

 

「お姉さんの間は、お姉さんって呼んでもいいですか?」

 

「いいよ」

 

「なら、お姉さん」

 

 逆に、こっちに質問しようとしていた。何かなって尋ねると、光くんは緊張気味にそれを口にした。

 

「おねーさんは、エッチなことってダメって思いますか?」

 

「それ、いま答えないとダメなのかな?」

 

「はい」

 

 ダメなんだ、じゃあ答えてあげないといけない。馬鹿馬鹿しく思えても、光くんは真面目な目をしていたから。

 

「エッチなことって、恥ずかしいよね?」

 

「はい」

 

「考えるとダメって思っちゃって、後ろめたくて、ソワソワして、なのにエッチな気持ちだけはいっぱいになっていって」

 

「……はい」

 

 思えば、光くんが錯乱して魔法少女になっちゃったのも、その気持ちが制御できなくなったからかもしれない。この気持ちへの向き合い方を、男の子に戻る前に知っておきたい。そう考えたからこそ、こんなことを聞いてきたのかもしれなかった。

 

「でも、捨てられないから、向き合わなくても付き合っていく必要があるんだ、その気持ちと」

 

「付き、合う?」

 

 だったら、僕が思っている範囲で、そのことについて教えてあげたい。変に思い詰めちゃうより、開き直った方がいいってことを。エロ犬まで行くと終わりだけど、キチンと付き合えれば何とかなるから。それを、光くんに分かって欲しいから。

 

「うん、それは悪い事じゃないから」

 

 エッチなこと、ダメなのに気持ちよくて、我慢しててもムズムズが沢山になって辛くなってしまう。だから、余計に他の人になんて話せないし、向き合うのが怖いって思うのもわかる、僕だってそうだから。

 

 でも、光くん相手なら、恥ずかしがらずに言える。だって、もう取り繕う余地もないし、それに……ちゃんと年上のお兄さんがしたいから。僕も通った道だから、同じ困り事をしているなら助けてあげたかった。

 

「エッチなのは恥ずかしいし、周りの人には言えないけどね、まずは認めてあげることから始めてあげて」

 

「認めるってエッチなことを、ですか?」

 

「うん」

 

 恥ずかしがる事なく、僕は頷いて。エッチなのことなのに、僕は照れずに話を続けられた。だって、いま話しているのは大切なことだから。多分、こうして堂々していられるのは、鈴のお陰だと思う。

 

「友達にも家族にも知られたくなくて、自分一人で抱え込むしかない。だから、余計に苦しくなっちゃうよね」

 

「……はい」

 

「でもね、だからこそ、自分は自分の身体の味方をしてあげなきゃいけないんだ。エッチなムズムズも、ムラムラも、一人でいる時には我慢しなくて大丈夫なんだよ」

 

 明け透けに、これでもかってくらいにエッチなことを肯定する。僕も最近になって、ようやく認められたこと。それを、今はわからなくてもいいから、光くんにも伝えてあげたかった。

 

「……みんな、ダメって言ってるのに?」

 

「それはね、みんなエッチなことは恥ずかしがってるから。だから、取り繕うんだ」

 

「とりつくろう?」

 

「要するに、他の人に迷惑をかけなくて、こっそりするならエッチなのは大丈夫ってこと。みんな、そうだからさ」

 

 本当は、そんなことは人によって違う。けど、僕は言い切った。光くんはおかしくなんてないし、エッチすぎるなんてこともないよって伝えるために。不安の中にいる光くんに、安心して欲しかったから。

 

「……迷惑、かけてごめんなさい」

 

「うん、もう他の人にエッチな迷惑かけちゃダメだよ?」

 

「はい……」

 

 しゅんとしながら、頷いてくれていた。きっと、色々と初めてのことで、本当に訳が分からなくなっちゃってたんだと思う。だから、こうして話すとわかってくれる。最近は話が通じないことが多かったから、こんなことがすごく嬉しく感じてしまった。

 

「全部終わって、元に戻ったら友達になってくれるかな、光くん」

 

 だから、気にしないでって意味を込めて、全部水に流したことを伝えるために、そんな提案をして。

 

「……お姉さんは、イジワルだけど優しいです」

 

 光くんは、笑ってそれに頷いてくれていた。

 

 

 

 お風呂から上がると、鈴がジッと座禅を組んだままでいた。本当に何してるの?

 

「おねーさん、この人怖いです」

 

 その異様な姿に、光くんは僕の背中へと隠れた。本当に意味わからないもんね、鈴がごめんね、本当に……。

 

「こころと君が、お風呂場でエッチし始めたら、またあの魔法を使おうって思ってた」

 

「そんな酷いことを!?」

 

「酷いのは不倫えっちしてるこころだから」

 

「た、確かにそうですけど……」

 

「してないのに冤罪、掛けないで」

 

 一番酷いのは、変な妄想を膨らませてる鈴だった。そんな鈴を他所に、僕はバスタオルで光くんを拭き始める。早くしないと、湯冷めして風邪をひいちゃうか勝らないから。

 

「おねーさん、くすぐったいです」

 

「我慢して、すぐ終わるから」

 

 そうして、ゴシゴシと少し乱暴に拭くと、光くんは楽しそうに声を上げて。それが楽しくて、僕は光くんの隅々までバスタオルでゴシゴシした。時々、"アンッ"とか聞こえたけど、多分気のせいだ。

 

 そうして、それが終わった瞬間、鈴は僕の腕を掴んだ。まだ、自分の身体は拭けてないのに。

 

「鈴?」

 

「今度は私とお風呂」

 

「え?」

 

 もう入ったよと目で訴えると、鈴は一つ頷いて。手を離すと、あっという間に裸になってた。そっと光くんを、洗面所から出てってもらう。僕の彼女なのに、鈴は何してるのってジトっとした視線を向けると、鈴はまた頷いて。

 

「ナカには出さないから、安心して」

 

「生えてないくせに、一体何の話をしてるの!?」

 

「大丈夫、避妊もする」

 

「それは大事だけど!!」

 

 鈴も僕も、全然生えてない。いったい何の話をしているのか、さっぱりわからなかった。

 

「どういうこと?」

 

「聞いて、こころ」

 

「聞くけどさ」

 

 鈴は全裸のまま、その場で説明を始める。そっと手拭いを渡すと、僕をゴシゴシと拭き始めた。違う、そうじゃない。

 

「私はここ数日、ずっとこころのことを考えてた」

 

「うん」

 

「ずっと、エッチなこころのことを考えてた」

 

「……うん」

 

「いっぱいこころで一人エッチをし過ぎて、こころを見ると……変な気持ちになる」

 

 鈴が話を進める中で、今更ながらに気がついてしまった。──いつの間にか、鈴は無表情なのに顔が真っ赤になっていた。何なら、少し息も荒い気がする。

 

「…………鈴?」

 

「こころ──先っぽだけ、しよ?」

 

「鈴!?」

 

 何を言っているのか、理解できてしまった。だからこそ、びっくりしてしまって。

 

「光くんも居るんだよ!」

 

「でも、あの子の魔法のせいで、イかなかったけど、ムラムラが身体にずっと残ってる」

 

「そうなの!?」

 

「うん、ごめん、こころ……」

 

「謝らないでよ……」

 

 よく見ると、鈴の身体は赤らんでいた。特に、胸の先っぽはピンク色になっていて、どうしようもなく色っぽい。

 ……鈴を見ていると、僕までヘンになりそうだった。

 

「えっと、その、さ」

 

「うん」

 

 どうしようかって伝えようとした時──唐突に、大きな揺れが起こった。

 

「わっ!?」

 

「こころ、捕まって!」

 

 二人で支え合って、何とか転ばずに済んだ。揺れ自体は、三秒もなかったから。けど、その揺れは……単なる地震ではなくて。

 

「大変パコ、こころ、鈴!」

 

 ネットの掲示板で、パコチ◯コ勃起スレを建てていたエロ犬が、洗面所へと転がり込んできた。即座に処そうと思ったけど、エロ犬は本当に慌てふためいてたから、それもできなくて。

 

「つ、遂にNTR推進委員会の本拠地、珍宝殿が勃起したパコ!!!」

 

「は?」

 

 その報告を、僕と鈴は意味が分からないという顔で聞くしかなかった。

 

 

 

 

 

「喝采せよ、喝采せよ!」

 

 地方都市郊外地下にある珍宝殿にて、一人の男の哄笑が響き渡っていた。男は珍宝殿の螺旋階段、通称スパイラルチ◯コを登りながら、高笑いを続けていた。

 

「我らが望んだ時が来たのだ!」

 

 その男は、勃起しながらも、確かな足取りで頂上を目指していた。浮かんだ喜悦を、隠さないまま。

 

「パコリイヌよ、震えるが良いっ!!」

 

 まるで射精寸前の精子になった気分で、男は階段を上り続ける。その頂を目指して、それこそが男の使命が故に。

 

「スパイラルチ◯コの果てに、我が夢、我が愛液の形あり!」

 

 そうして、男は螺旋階段を上りきった。頂点には、Erectと文字が浮かんでいる水晶が二つあって。

 

「目覚めの時来たれり、勃起せよ珍宝殿!」

 

 男は二つの水晶、通称キンタマに魔力を注ぐ。すると、水晶は黄金色に光り輝き始めて。珍宝殿内の魔法使いたちの魔力を吸い取って、隆起を始めた、血流が股間を勃起させるが如く。

 

 地面が揺れて、大地が裂ける。まるで地球の処女膜を突き破るようにして、珍宝殿はその威容を地上へと見せつけた。

 

 夕暮れ時にそそり立った、恐ろしく景観を損ねる一つの塔。空から降り注ぐ陽光が、その塔の先端をピンク色に染め上げる。

 

 ──その塔は、巨大な一物の形をしている。

 ──世界を犯すための陰茎だった。





東京タワーよりは粗末
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