抜きゲーみたいな帝国から来たマスコットにTS魔法少女にされた僕はどうすりゃいいですか?   作:ペンギン3

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第26話 珍宝殿の先端

 僕たちは慌てて変身して、光くんと共に家の外へと飛び出した。すると山側の方に──巨大なオチ◯チンが突如として聳え立っていた。

 

「何なのあれ!?」

 

 思わず叫ぶと、どこからともなく湧いてきたエロ犬が、顔をくちゃくちゃにしながら喋り始める。名探偵ピカチュウみたいな顔だった。

 

「あれこそが珍宝殿。NTR推進委員会の本拠地にして、オチ◯チンランドを破瓜させる勃起チ◯コだパコ」

 

「ふざけてるだろ!」

 

「事実パコ」

 

 エロ犬は、"まさか地下にあったパコとは。パコの勃起感知センサーを、埋没陰茎化することで逃れるパコとは!?"と叫びながら震え散らかしていた。地下にあの建物があったから、エロ犬は察知できなかったってことなのか。もしそうなら、全くもって役立たず過ぎる。

 

「あのこころのより大きいオチ◯チンを使って、ナニをするの?」

 

「その前置詞いる?」

 

「いる」

 

 絶対いらない、そんな確信を持って鈴の言葉を受け流した。今は言い争いなんて、している場合じゃないから。

 

「亀頭の部分があるパコよね?」

 

「最悪なことにあるね」

 

「あそこから、NTR電波を発生される魔力を射精するパコ」

 

「死んで?」

 

 どうしてそんなロクでもないことを思いついて、実行する建物なんて用意してしまったのか。今からでも改心して、こっちに来た異世界人全員テクノブレイクして欲しくて仕方なかった。

 

「つまり、あのオチ◯チンから、白いビームが発射されたら負け?」

 

「そういうことパコ」

 

 改めて口にされると、あまりにも終わってる状況すぎた。あれだけ必死に戦ってきたのに、唐突にオチ◯チンが地面から生えてきて世界が終わりかけている。このままじゃ、世界のみんなが発情して、頭がおかしくなってしまう。

 

 そんなの──絶対に許しちゃいけない。

 許されない発情だから!

 

「そ、んな。ぼ、ぼく、あんなの知らなくて……っ。僕が、あのオチ◯チンを勃起させちゃったの?」

 

 そして、唐突に突きつけられた一物に、光くんは動揺を隠せてなかった。多分、エッチな世界征服をしようとしてるなんてこと、聞かされてなかったんだ。ただ、僕を好きになっちゃった気持ちを利用されて、時間稼ぎをする駒にされてしまった。その事実が、余計に許せないって気持ちにさせる。

 

「光くん、分かってる。だから、今は力を貸して!

 絶対にあのオチ◯チンをへし折ろう!!」

 

「お、おねーさん……」

 

 光くんをまっすぐ見つめると、揺らめいていた瞳がしっかりとして、こくんと一つ頷いてくれた。本当は光くんを巻き込みたくなんてないんだけど、今は非常事態すぎてエロ犬の手さえ借りたい状況だったから。

 

「行こう!」

 

「はい!」

 

「うん」

 

 僕はあの空に高く聳え立つ、京都では許されないであろう違法建築物をキッと睨み付けた。そうして、決意を表明する。

 

「あんなオチ◯チンなんかに、僕たちは絶対に負けない!」

 

 そうして、僕たちは駆け始めた。世界を救うため、エロで世界を汚さないために。平和な日常に、みんなで帰るために!

 

 

 

 そうして、クソでかいオチ◯チンの中に突入した僕たちを待ち受けていたのは──大きな螺旋階段と、疎に襲いかかってくるおじさんだった。

 

「我こそは陰茎の恥垢を濯がんとする悦王ぞ! いざ、淫常に勝負──」

 

「詠唱省略、お姉さんはエッチなんです!」

 

「ん、んほぉーーーーーっ!!?!!!?

 ──頭にロリおねエッチが流され込まれる♡ 陰茎山に包囲されたチ◯コが、勝手に降伏して射爆了する♡ このままじゃ一人射精が止まらなくて、陰王になってしまうぞ♡」

 

 必死に階段を登りながら、襲い掛かってくるおじさんを薙ぎ倒す。因みに、詠唱省略とは、威力を落とす代わりに即座に魔法を使える様にする術式のこと。おじさんたちは今、オナニー禁止し過ぎて敏感なおじさんと化しているので、これだけで十分なのだ。色々と最悪すぎる。

 

 

「ウケケ、我は三大性器と名高いアクメノムラクモを所有するス(ごい)サ(お)ノミコトである! チンの前に亀頭を平伏し、我が一物に拝謁する栄誉を──」

 

「詠唱省略、お前は今日からアークメクジラだ!」

 

「そ、それはグレイスの!? くっ、あーーーーーっ!?!?

 ──唐突にチ◯コから、透明のお汁が止まらない♡ アクメノムラクモでアクメさせる前に、アクメさせられてる♡ くっ殺マ◯コにする筈が、くっ殺チ◯ポにされちゃって、我のヤマタノオロチが平伏してる♡ このまま男の娘になっちゃう♡」

 

 階段を踏破する度、出てくる変態のバリエーションも増えてくる。けど、クソ最悪NTR魔法の準備で忙しいらしくて、数自体は大したことがない。ただ、下半身を露出して現れるので、鈴と光くんにとっては地獄みたいな環境だった。この塔の奴ら、みんな死んでくれれば良いのに。

 

 

「吾輩こそは淫獣の王にして、NTR推進委員会内で最強と謳われる魔羅ライオンだ! 貴様ら未開拓人のマ◯コをマ◯コウ開拓団として開発し、マ◯コウ国として独立させてくれ──」

 

「詠唱省略、ハイレグレオタードを見てると、もう我慢できねぇ、膣内に出すぞ!!」

 

「ぐ、ぐぅぅぅうっ!

 み、未開拓人如きが、吾輩のチ◯コから射精を促し暴発されるとはっ! だが、笑止!! 一度射精した程度で、吾輩のチ◯コは頭を垂れぬ!!! 見よ、この雄々しき一物を! 我が一物は亀頭占いにすら用いられる逸品ものぞ!!」

 

「じゃあこうする!

 ”ば、ババア何勝手に部屋に入ってきてんだよ! 思春期の息子が部屋を閉め切ってたら、シコってる最中なんだよそれは!! 見ろよっ、この無惨に萎えたチ◯コの姿をよぉ!”」

 

「あっ、ま、待て! 連続行動など、吾輩以上の絶倫とでもいうのか!? そんな事実、卑猥で卑劣すぎるだろうがっ!! ぐあああああ!!!」

 

 そうして、襲いかかってくるおじさんたちを薙ぎ倒しながら、馬鹿みたいに長い螺旋階段を僕たちは必死に上り続けて──そして。

 

 

 

「ククッ、NTR四天王がヤられたか。

 奴らめ、存外役に立たなかったな。

 未開発人如きにヤられるとは、NTR推進委員会の面汚しよ」

 

「三人しか居なかっただろ、いい加減にしろっ!」

 

 意味不明な階段をひたすら上らせれた疲れとストレスから、僕は眼の前の人物が誰かも分からないままに叫んでいた。何だよNTR四天王って、NTR全く関係ない性癖の奴しか居なかっただろ、バカかっ。

 

 叫んで、余計に息が荒くなる。鈴も光くんもここまで上げってきて疲れてたので、一緒に息を整えて。

 

「……どうして、こうなっちゃったパコね」

 

「それが定めが故に」

 

 そうして、僕達が息を整えている間に、エロ犬が目の前のおじさんと話を始めていた。エロ犬の声には何故か、悲しげな労りが混じっていた。おじさんもまた、僕達なんて気にせずにエロ犬を睨みつけていた。

 ……知り合いなの? 全身黒コーデの、このダークネスなおじさんと?

 

「久しいな、パコリイヌよ。

 パ国会中継から流れてくる貴様の姿が、毎日尿路結石に苛まれるが如く不快だった」

 

「……何故、パコ。オホックスフォード大学の性治部部長で、カチンコチンコ学科首席として将来を欲情された君が、どうしてここまで道を過ってしまったんだパコ。未だに、悪い淫夢なんじゃないかと思うパコ」

 

 雰囲気は悲しげなのに、口に出されている言葉がカスすぎて、全く頭が情報を処理できない。こいつらは大学で何を学んでるんだ……。

 

「ククッ、貴様がそれを尋ねるのは笑止というものだな、パコリイヌよ」

 

「パコ?」

 

「我は貴様が憎かったよ。何ら苦労もなく裕福な家系に生まれ、欲しいものは全て手に入れ、マ◯コを嵌め、チ◯コを舐め、早漏のクセに皆から人気があった貴様がな」

 

「早漏じゃないパコが!?」

 

 大学で一緒だった、多分そんな仲なんだと思う。それから、エロ犬が皆に人気があったのは多分何かの間違いだ。こんな頭がおかしいやつ、どう考えても保健所送りなんだが。もしかすると、晒し者とかにされたりするのが、異世界での人気の定義なの?

 

「──だが、それも終わる。

 貴様のような輩が評価され、持て囃される世の中を変える、その一歩目の始まりだ」

 

「……NTR推進魔法は人口問題を解決する、アナルからマ◯コに膣内回帰する魔法じゃなかったのパコか」

 

「馬鹿め、だから貴様は愚かしいのだ。方便を真に受けるとは、実に──」

 

「おじさん!」

 

 二人の会話に、割って入った声がした。ギョッとして、隣を見る。

 だって、その声は隣から聞こえてきて、明らかに一緒にここまで来た子の声だったから。

 

「光、くん?」

 

「おじさん、僕を騙してたんですか! 魔法は好いた人を取り戻すためのものだって、そう教えてくれたのも嘘だったんですか!!」

 

 おじさんは初めて、エロ犬以外に目を向けた。光くんへ、どこか憐れむような視線で。

 

「嘘ではない、貴様が勝つのならば、またとも思ったのだがな……」

 

「だったら、どうしてっ」

 

「──我が取り戻すための魔法が、これだったのだ」

 

「……え?」

 

 おじさんの謎めいた言葉に、光くんは言葉を詰まらせた。僕も、意味が分からない。このクソバカ頭悪すぎ魔法のどこに、何かを取り戻す要素があるのだろう。エッチな世界を作って、終身名誉チン皇帝として君臨しようってことなの? そうだとしたら、死ねばいいのに。

 

「どういうこと、パコ」

 

「答える義務など、無い」

 

 エロ犬を見下しながら、おじさんは光くんを見遣った。最後に、といった風に。

 

「今ならば、我の下に来ることを許す。貴様の願い、慟哭、実に心地よかった。その功に免じて、共に新たな淫世界の開闢を開く権利を与えよう。

 ──どうする、弱きものよ」

 

 おじさんの誘いに、光くんは俯いて。手をギュッと握りしめて、何かを耐えるようにする。僕達は何も言わず、そんな光くんを見守った。

 だって、和解できたんだから。光くんはごめんなさいって、言ってくれたんだから!

 

「……確かに、僕はお姉さんを自分の恋人さんになってほしくて、魔法少女になりました」

 

 この場の全員が、その言葉を黙って聞いていた。期待と不安と信頼が揺蕩う中で、光くんの言葉は紡がれていく。

 

「僕なりに頑張って、お姉さんを誘惑して、えっちな気持ちにさせて、イってもらいました。お股を濡らしたおねーさんは、世界で一番えっちな女の子でした」

 

 でも、それはそれとして、ブルブル僕が震えちゃうのは抑えられなかった。何で僕、みんなの前で辱められてるの? 光くん、そこは本当に語らなきゃいけない部分なのかな? 必要ないなら、語らなくても大丈夫なんだよ?

 

「でも、お姉さんにはもう、好きな人がいて。身体は屈服してくれても、心は堕ちてくれなくてっ。僕が幾ら頑張っても振り向いてもらえなくて、辛かった。けど……でもっ」

 

 光くんは僕をエッチ扱いしながら、俯いていた顔を上げた。

 ──凛々しくて、格好いい。エッチなことをしてる時の光くんよりも、ずっとずっと男の子らしい顔をしていた。

 

「僕、気が付いちゃったんです。おねーさんで妄想する時、両思いえっちじゃないと気持ち良くないって。お姉さんとのラブラブエッチが、僕が一人エッチする時に一番気持ちいいんだって!」

 

 なんてこと言ってるの!?

 そんな言葉で遮りたかったけど、何でかダークネスおじさんとエロ犬はひどく真面目な顔でその独白を聞いていて、何でか鈴までその言葉に頷いていた。狂ってないのは、僕だけなの?

 

「だからっ、おじさんとも戦います! 僕は自分の性癖に従って、お姉さんが幸せになってくれる様に!!」

 

「偉い」

 

「そう、エロいパコ! よくイったパコよ、光くん!!」

 

 光くんの言葉、それは僕への思いやりに満ち溢れていて。なんか明らかに狂ってたけど、それはそれとして良い子な光くんでいてくれてることに、少し胸が熱くなる。

 

 僕も、鈴やエロ犬と一緒の気持ち。光くんは偉いし良い子、その事実を胸に光くんの隣へと並んだ。

 

「おねーさん」

 

 僕を見つめるその瞳には、初めて会った日の時と同じ、正義感に満ちた光に溢れていて。

 

「一緒に戦おう、光くん」

 

「はい!」

 

 その言葉に呼応するみたいに、鈴も僕の隣へとやってきてくれた。負けない、なんて心強い言葉を口にしながら。

 

「もし、あの人たちを止められなかったら、世界が酷いことになる。折角こころと通じ合えたのに、身体だけの関係になっちゃう。そんなのはイヤ、だから私もっ」

 

「身体は交わしてないからね? まだ、心だけの関係だから」

 

 鈴の言葉を訂正しつつ、でも正しいと頷いた。鈴が一番大切な女な子になったのに、ここで負けてしまったら僕たちは引き裂かれてしまう。NTR推進魔法だとか、カスみたいな物のせいで。

 

 ──そんなの、絶対に許されないNTRだから!

 

「ククッ、性癖の導きならばやむを得まい。その欲情の赴くままに、我を蹂躙してみせろ」

 

「おじさん、おじさんが寂しいって分かってるのに……ごめんなさい!」

 

「良い、私は勝つ故にな。

 淫世界を実現し、その気高い性癖を、そこのTS魔法少女と貴様をまぐわらせることで実現させてやろう」

 

「勝手なこと言って、光くんをエッチな道に誘うな!」

 

 おじさんの視線を、光くんから遮らせる。具体的には、僕が光くんの前に立つことで。だから、おじさんの視線は僕のと重なって……。

 

「TS魔法少女か、これも業とでも言うべきかな」

 

「……どういうこと」

 

 意味深に、おじさんはそんな言葉を溢していた。こんな変態おじさんの言葉になんて、意味はないはずだけど……光くんが言う通り、少し寂しげな表情が過っていたから。

 

「フッ、敵の性器と言葉に穴を貸すものではない」

 

「耳を穴とかいうの、最悪過ぎるっ」

 

「……なるほど、パコリイヌが目を付けるわけだ。確かに似ている物だな、悪趣味な」

 

「は?」

 

 このおじさんが言ってることの意味は、微塵も分からない。けど、おじさんは僕を、そしてその背後の光くんを、何故か悲し気な目で見ている。それが、どうしてだか胸に刺さる感じがした。

 

「ションベン、君はまさか、まだあの時のことを引き摺っているパコ?」

 

「我の名は、そのような穢らわしいものではないっ。ふざけた仇名、二度と口にするな!」

 

 そして、おじさんは僕たちに向けた視線とは違い、エロ犬を本当に穢らわしい物を見る目で睨み付けた。

 そうして、尊大に、高らかに自ら名乗りを上げた。そうするべきであると、思っているように。

 

「我が名はベーション、齢30に至りマスターの名を冠した魔法使いである! 我が名を、讃えよ!!」

 

「マスター、ベーション!」

 

 光くんの呼び掛けに、おじさんはニヤリと笑った。それが、戦いの合図となった。最後の最後まで、最悪すぎる異世界おじさんとの戦いが切って落とされた瞬間だった。

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