時は第二次世界大戦
ユーラシアのどこかの秘境に大穴が人知れず出来た。
その穴からとある一族が現れ、その地に根付いた。
その一族とはーーーーーー
「もっと早く来るつもりだったんだがなぁ……」
おかげでバスに乗るのがギリギリになってしまった。
これから俺は日本の国直営の高校、高度育成高等学校に入学する。全寮制の高校で、60万坪もの広さを持つ。三年間外部との接触を断つ代わりに就職率・進学率100%を誇る高校である。
正直言って、高校にそこまで求める必要があるのかわからんがな。それより就職率100%の大学の方があった方がいい気がする。
まぁ、それは置いておいて、三年間外部との接触を断つというのが問題だった。
俺には妹がいるのだが、自分で言うのもなんだがすごくブラコンである。どんだけかと言えば、一緒に寝るのは当たり前。家にいる時はずっとくっついてくる。ついこの前までシャワーも一緒に浴びていた。
本当は言い聞かせて辞めさせるのが普通なんだが、俺も大概シスコンだから強く言えないし、別のわけもあって強くは言えないのだ。
バスがギリギリだったのもギリギリまで妹が引っ付いて離れてくれなかったからなのだ。来年には妹も入学するのでそれまでの我慢と言い聞かせてやっと離れてくれた。
「バスに遅れてたらどうなってたんだろうな」
まぁ、入学式に参加しなかったら在籍を許されるわけないんだがな。ん、なんとか席が空いていてよかった。
空いている席に座り、読む暇のなかった知り合いからの手紙を取り出した。
「全く、なんで巻物で出すんかな。読めるからいいが、字が達筆すぎて普通は読めんだろ」
取り出した巻物には縦書きでミミズのような、慣れてないと読めない字で書かれていた。
んーと、なになに
『久しぶり、というのは文としておかしいか。まぁ何はともあれ。まずは入学おめでとう。そっちにある学校というのがいまいち理解できていないが、要は教習所のようなものであろう。三年間外との関わりを断たれるのは大分おかしな場所だと思うがな。
さて、こっちは例の件以降落ち着いている。まだ完全に安心はできないが、少なくとも我々は自由気ままにハンター活動が出来る。今更だが、あの時は申し訳なかった。我々もまさかあの状態で正常だとは思わなかった。改めて、あの時は本当に申し訳なかった。
三年後、また会えるのを楽しみにしている。妹さんも一年後に入学するというから、またお前たち兄弟に会えるのは四年後になるな。
だらだら書いていてもなんだから、これで最後にする。入学おめでとう。頑張ってこい。
追伸
また会えた時にちょっとしたサプライズを予定している。楽しみにしてろよ。』
達筆で複雑難解に書かれてるが、要約するとこうなる。
慣れてきたとはいえ、読み解くのは意外にも疲れる。
それにしても、サプライズってのはなんだろうな。卒業後と言わず外出許可を貰えるなら今年か来年に訪ねてみるか。
巻物を読んでたため好奇の目に晒されたが、変な視線には慣れてるので無視して、外に視線を向けてボーッと時間が経つのを待っていた。
何やら道中騒がしかったが、俺には関係ないことだろう。
目的地につき、クラス表を確認するとDクラスとあった。体育館と思わしき場所で入学式に参加し、教室に移動した。
しかし、一応を周りを確認しながら移動していたが。なんだこの監視カメラの量は。国直営ということで犯罪が起これば大問題なのだからカメラが多いのは頷けるが、それにしても多すぎる。
もしかしてこれ、犯罪防止及び犯罪現場の録画といった目的はもちろんあるだろうが、それより生徒の採点の目的が大きいのか?
進学率・就職率100%を謳ってる学校だ。それぐらいのことをしてくるだろう。自由時間になったら監視カメラの数や位置を確認するか。
教室に移動して、座席表を確認すると1番前だった。しかも真ん中。これ、席交換できたりするかな?できても誰も代わりたがらないか。はぁ……。
他のクラスメイトも全員教室に入り、各々交流を始めていた。誰かと接するのは苦手だ。初対面となれば尚更。
「はぁ……困ったな」
「何が困ったの?」
「ん?」
つい口から口が漏れ出ると、それを聞いた右隣のクラスメイトに話しかけられた。
「あぁ、人と接するのが苦手なんだよ。話すこと自体は問題ないんだが、どうも自分から話しかけるのが苦手でな」
「あぁ、なるほどね。わからないでもないね。てか、自分からコミュ障なの言うんだねw」
隣のクラスメイト(ちなみに女子)が可笑しそうにふふッと笑う。
「笑顔可愛いんだな」
「は、はっ!?///」
やべ、声に出してしまったか。
「えっと、すまん。声に出して言うことじゃないよな。すまん」
念の為2回謝る。
「えっと、ば、場合によるんじゃないかな?///普通は思っても言わない方がいいと思う……私は別に構わないけど///…」
頬をほんのり赤く染めて髪をいじりながら言う。
聞こえないようにいったんだろうが、聞こえてるんだよ……。
「……そっか。場合によるのか。これから気をつけるよ」
「うんそうした方がいいよ。っと、自己紹介がまだだったね私は……」
彼女が自分の名前を言おうとすると
「みんな!ちょっといいかな」
チームを率いてそうな男子が大きな声でクラスメイト全員に喋り始めた。
どうやら交流のために自己紹介をしようとの事だ。
この時点でこの男子がクラスの中心なのが確定したな。
「この学校がどんな試練を出してくるが知らんが、あいつを中心として突破できるといいな」
「えっ?試練?それって……」
隣の女子が聞きたそうだったが自己紹介が始まったため諦めたようだ。
ちなみに今のところクラスの中枢になりそうなのは最初の男子、平田洋介と万人受けする仮面をかぶってる女子櫛田桔梗、後は気の強そうな軽井沢恵とまだ自己紹介してこれまた気の強そうな優等生みたいな女子ぐらいか。
能力の高そうな金髪の男子もいるが、見ればわかる。あれは天上天下唯我独尊といったタイプだ。
その後はガラの悪い刈り上げの男子がなんか喚いていたが丁度先生が来たためみんな席に着いた。
その先生はこのクラスの担任で名前は茶柱佐枝。これまた気の強そうな人だ……。
さて、ここからは先生の話と思考をメモしながら聞こう。
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……さて、集中してたからクラスメイトの反応を確認してないが、まぁいいか。
メモは……大事な所はしっかりと書けてるかな。資料もあるから中の情報ともすり合わせをするか。
さーてと、見た感じ1番気になるのはこれか
『ポイントであらゆる物を買える』
国直営の学校の教諭だ。普通の学校に比べて失言には厳しいはずだ。それなのにこの言葉だ。資料にはあらゆるとまでは書いてないが、これは文字通りと受け取っていいだろう。
次に気になるのはポイントの量か。毎月の1日に振り込まれるが……
グラッ
「うおっ」
「ちょっと!無視しないでよ!」
隣の席の女子が俺の肩を揺らして大きな声で話しかけてきた。
しまった、集中しすぎて聞こえてなかった。それをそのまま彼女に話して条件付きで無視してしまった事を許してしまった。
その条件は
「考えてた事を教えてくれたら許してあげる」
との事だ。他人の意見も欲しかったからそれは好都合だった。
今日はこれで終わりみたいだ。監視カメラの確認をしたいから歩きながらでいいか。と聞くといいよと言ってくれた。
歩きながら俺は話していた。
「おそらく毎月の1日にもらえるポイント増減する」
「えっ?本当に?」
「憶測でしかないけど、まずは『監視カメラの多さ』。これは異常だ。次に『実力で生徒を測る』テストで点数が100点と0点を同じに扱うのは不満が出るはずだ」
後者を考えると成績でポイントが変わりそうだが、監視カメラの多さも考えると素行も点数がつけられる可能性がある。
何より、毎月十万ポイントを支給してたら単純計算で毎年3億6000万の出費だ。それプラス教員と各施設のスタッフの給料に施設維持などもある。
なら成績で生徒への支給額を減らして出費を減らそうとするはず。
「これがそう考えた理由だ」
「なるほど……。みんなに教えた方がいいかな」
「それは任せる。俺から言おうとは思わない。この学校に入れたんだ。なら自分で気づくべきだ。進学率・就職率100%の学校が怪しくない訳がない。国直営とはいえ疑ってかかるべきだ」
「それは……確かに。でも、それなら私に教えたの?」
俺の矛盾した行動を彼女は突いてきた。
「ここまで言っておいてだが、俺は自分勝手だ。どうでもいい奴は無視するが、気に入った奴は助けたい。この学校にも退学というシステムはあるはずだ。気に入った奴に退学して欲しくないから。他人の意見も欲しかったのもあるがな」
この女子は今日初めて知り合ったが、気に入った。これから仲良くなりたい。
「そ、そっか。気に入ってくれたんだ。な、なんか照れるね///」
彼女は熱くなっている顔を手で仰ぎながら言う。
「そ、そういえばまだ自己紹介してなかったね。私は松下千秋。あんたは?」
自己紹介をされたのならこっちも返さないとな。
「俺は
俺は右手を差し出して名前を告げた。
「うん。こちらこそよろしく」
彼女、松下千秋は俺の手を取って握手をした。
「こんな(バケモノ)だがよろしく」
何それwと彼女は笑った。
思いつきの見切り発車なのであまり期待しないでください。