機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー 作:単眼駄猪介
そろそろカクヨムのオリジナルロボ物も進めなければと邪気が頭をよぎり、脳内しっちゃかめっちゃかな駄戦士です、こんにちは
水中戦主体かつ冒険物とか需要あるのかな……
それはさておき、グエムの強化回です
あの人が来ちゃった♡
そして中身が暗い雰囲気なんか吹っ飛ばす感じなんだけれど、あの人、シャアの如く色々解放されたらそういう事しそうだからさ……どうか許してくれませんか?()
個人的な解釈だけど、なんかはっちゃけそうだよなぁって…
尚、機体の強化はアラスカ以降にて……
温度差注意
『――――!』
「ああ……」
夢を見ていた筈なのに、とグエムは目の前の惨状を見て絶句していた。
目の前に繰り広げられていたのは連邦のジオングと偽物のガンダムが、ビームの応酬をしている光景だ。
そして首だけになったジオングと、頭と左腕を失ったパーフェクトガンダムがラストシューティングの構図で撃ち合うも、パーフェクトガンダムは外す。
偽物はどこまでも偽物、という事だろうか。
これを描いただろう作者の皮肉な展開にグエムは久方ぶりに爆笑しつつ、ガンダムという概念全てに土をつけるパーフェクトガンダムにグエムは哀れむ視線を向ける。
「狂気から生まれたガンダム……いや、お前はザクで十分だ。名前なんて……」
『――』
場面は変わり、Zの名を冠したガンダムが発光しながら何かを呼びかけていた。
人であって人ならざる者達に対して――
『それ以上はいけないグエム』
「レヴァン・フゥ!?」
吸い込まれかけた所で、聞き覚えのある声に正気を取り戻したグエムは思わずその声の主の名を叫ぶ。
振り向けば、確かにそこにはかつて
「貴様、俺に憑きやがったか!?」
『どうやら、そうみたいだね。レヴァン・フゥと呼ばれた人間の残滓が今ここにいる』
「…俺にロゴスでも潰させるつもりか?」
グエムが最初に懸念したのは物語の本筋を無視した決定的な分岐点を生み出す行為。
レヴァンが
『それをするのはあくまで生きている人間が行う事だ。意思を継ぐのも、それを断絶させるのも残された者達が判断する事だ』
「………」
『久方ぶりの再会だ。この殺風景な場所で話すことではない。模様替えをしよう』
そう言いながらパチンと指を弾くと、何も無い真っ暗な空間から青い空の下に緑あふれる草原に移り変わる。
そして傘付きのテーブル、そこの置かれた椅子に座るレヴァンの姿は妙に様になっててグエムは苦笑いを浮かべる。
「それで、アンタは死に損ないの人間の所の夢に出てきてどうするつもりだ?」
そう質問するグエムに、レヴァンは少し考えた後に答える。
『何も。ただ君の行く道を見るだけだ。もう私はアナハイムを叩く夢は諦めたし、下手な事をすれば
「あの方ってなんだよ…」
『それは君も死んでから分かる。今は分からなくて良いさ。いや、生きてても会ってほしくない存在ではあると思うがね』
なんだか柔らかい表情で会話するレヴァンに、グエムは毒気を抜かれ立っているのもなんだか疲れるのでグエムも椅子に座る。
夢の中なのに、とかいうツッコミは無しで頂こう。
『君なら分かるんじゃないか?私達の物語を描いた者達の作品を見てきた君なら』
「……なんとなく察しはつく」
『それはともかく、こうして話すのもちゃんと理由もある』
「へぇ?」
それはなんだろうと想像するグエムだが、それは一先ず置いておいて話の続きを促す。
『君はニュータイプとして完全に覚醒しつつある。私が生きている間にそれを見れたら良かったが……』
「……そうか。俺がニュータイプに」
『ニュータイプは感染する、だったか。君の持つ記憶を読ませてもらった物の一つにあった言葉だ。肉体に素養があっただけに、別の世界で覚醒しようとしている。それが共感性なのか戦闘に特化した物なのかは分からないが…』
コイツ、俺の過去を見やがった、とやりたい放題のレヴァンにグエムは引きつつニュータイプに覚醒しようとしている事実に少しばかり嬉しくも悲しくもあった。
「んで、それだけを伝えるために来たのか?」
『いや。向こうを見ると良い』
グエムの質問にレヴァンは否定しつつ指を向ける。
その先を見ると、そこにはもう一人のグエムとなんだか見覚えのある女性と少女がデカいカエルを相手にてんわわんやしていた。
『いやぁ、面白い。物語を読む側に立つというのはこんなにも面白いのか』
「お前、性格悪すぎるだろ」
『色々吹っ切ったと言ってくれ』
グエムはもう一人の自分がどんな世界にいるのか理解し、それをにこやかに見ているレヴァンに悪態をつく。
『どういう訳か、私が最初に残滓として目覚めたのもこの世界でね。実に愉快な冒険をしていたよ、君は』
「俺であって俺じゃない奴の話はやめてくれ。自分に嫉妬するとかみっともない事したくねぇから」
女性はあのポンコツ店主、目の赤い少女にしてはやけにナイスバディな彼女は某頭のおかしい魔法使いの自称ライバルだろうとグエムは地味にハーレムやってる別世界の自分に軽く嫉妬しつつ、それを自覚してやめるようレヴァンに告げる。
だが、彼はそれを無視して話を続ける。
『なんだかね、この世界の君を見て、そしてコズミック・イラの君を見て余生としてはこうして傍観者でいることが一番なんじゃないかと思えてきてね。でも話し相手がいないのは寂しくてね』
「おぉい、無視すんなよ」
『死者は死者らしくする事に決めたんだ』
「お前、本当は生きてない?」
もうなんて突っ込めばいいのか、とグエムは頭を抱えつつレヴァンの顔を改めて見ると、自分の記憶にあるレヴァンと今の残滓であるレヴァンで何か違うと感じる。
なんだか、憑き物が落ちたようなそんな印象を受けるグエムはそれが信じられなくて少し彼を眺める。
そんなグエムの視線を気付いている為か、わざとらしくこう言う。
『私の顔を見ても見えるのはレヴァン・フゥだよ』
「うっせぇ、ハゲ坊主」
『自分で剃っているんだ』
「そんなの知ってるわ」
『ちなみにさっきの世界の君はヘタレだったよ』
「んな情報いらんわ!?」
なんだか、奴に掌で踊らされるような感覚は相変わらずだな、と感じた事に、グエムはどこまでもコイツはレヴァン・フゥという人間だと改めて教えられた。
『では、最後に私から一つアドバイスしよう』
「いやお話早くない?」
『女は抱ける時に抱いとかないと、取られるから気を付けなさい』
「お前仮にも聖職者だろ!?そんな事言っちゃ駄目でしょ!?」
『首だけの私の兄弟は簡単な事も言えないのだが?』
「おまっ、卑怯だぞ!?」
『今度は麻婆豆腐でも持ってこようか…』
「わざとだな!?わざと言ってるよな!?」
ひたすらツッコミし続けるグエムだったが、いつの間にか目の前が白くなりそして―――
「愉悦部とかやめろ!」
ガバっと起き上がるグエム。
あまりにもショッキングな夢に、グエムは死んだらあんな風に吹っ切れてしまうのだろうかと思うと、なんだか言葉を失うとはこの事かとボヤいてしまうくらいにショックであった。
そしてまず感じたのは目覚めの悪さとやけに重く感じる体。
そしてドンヨリとした思考に、グエムは憂鬱になる。
「あー……目覚めが最悪だ…」
ゆっくりまた身体を横にすると、グエムは自分の体にのしかかる軽い重みに気づく。
「ん?」
それを掴めばスベスベな何かで、その先にあるだろうものを想像しつつ確認する。
「……マキナ?」
グッスリと寝ているマキナが、口の端から涎を垂らしながらグエムに寄りかかるように寝ていた。
何故、そんな破廉恥な事をしたのかと考え、その原因が自分であると記憶を探りながら答えを探し出したグエムは彼女を心配させた事に申し訳無さを感じる。
だが同時に、レヴァンの言葉が頭の中で反芻する。
「抱ける時には抱け、か」
一瞬、欲望のままにマキナを襲おうかと邪な考えが心を支配するがすぐにその考えは叩き出される。
豊満な素晴らしい肉体を持つ彼女を貪れたら……なんて考え始めると止まらなくなる思考を無理矢理閉ざして自分を殴る。
「馬鹿だろ俺。何考えてんだよ俺」
なんて言いながら割と本気で自分の顔をぶん殴り、湧いた欲望を鎮める。
義手なので殴った衝撃が付け根にも伝わり地味に痛くなる。
おかげで正気を保てたのは皮肉だろうか。
「やっぱアイツは碌でもない奴だ」
それはただの責任転嫁では?という指摘をしてくれる人物は当然ながらいなかった。
ーーー
ストライク撃墜から一日経過し、スカイグラスパーも一機が未帰還で艦内の雰囲気は最悪と言って良いものだった。
自分が招いた結果とはいえ、心に来るものがある……という感覚は一切なく、グエムは淡々としていた。
「グエムさん…」
食堂に行けば、泣いた後らしいミリアリアが目を腫らしながら水を飲んでいた。
一先ず落ち着いたらしい。
そして彼女を見ていたサイはグエムの登場に少し気まずそうながらも挨拶する。
「その、こんにちは」
「……こんにちは」
自分の心の反応に対しての気まずさと、未だ意気消沈としているミリアリアを見てどう声をかけるべきか考え、やはり自分には何か言えることはないと考える悩む顔が露わになっていた。
しかし、なんとか挨拶だけは振り絞るように声に出せたグエム。
彼もキラのMIAにショックを受けているのだろう、と自己解釈したサイとカズイはその場から立ち上がりミリアリアを連れて自室へ戻る。
「……なんでこんなに気持ちが凪いでいるんだろうな。悲しいと感じる筈なのに、罪悪感で押し潰される筈なのに」
それとも、ソレが俺の本性か。
なんて考えつつ、コック長から食事を受け取り食べ始める。
そんな彼の隣に黒髪の女性、ナタル・バジルールが座り彼女も食べ始める。
まあ、その意味に察せないほどグエムも馬鹿じゃない。
「私物の整理、ですか」
「ああ。子供達に頼むのは、酷だ。だから貴方に頼らせて欲しい」
「分かった。まあ、初めてだけどやるだけやっとく」
「……死んでいないとは思わないのか?」
至って普通に答えるグエムに、ナタルは他の面々と違う反応を不思議に思ったのかそう問いかける。
そんな彼女にグエムはため息混じりに、そして無表情で答える。
「そう信じても、帰ってこない奴は帰ってこないんだ。脱出してそのまま宇宙で果てる、なんて身体が不自由な人達なんかが特に起きていた」
一年戦争後、ア・バオア・クーから脱出した俺は、沈む艦から脱出した兵士達の末路の多くを見てきた。
その中には勿論、仲間だった人達のも含まれる。
「何度も泣いたんだろうな……次第に泣く事が無駄だって思うようになって、俺の体も涙を流す事をやめちまった」
「…すまない」
「いいさ。端から見れば俺の反応は非情だって思われても仕方ないからな」
「……フラガ大尉にも、会っておいてくれ。貴方からも彼に休むように言って欲しい。ヤマト少尉がMIAになった時からスカイグラスパーに張り付いて整備員達を酷使していてな…」
「分かった」
ナタルの頼みを了承したグエムは、食べ終わるとそのまま格納庫に向かう。
まずはムウのメンタルをケアしなければならないと考えて。
格納庫に向かうと、疲労困憊な整備兵達がスカイグラスパーの周りで倒れていた。
中にはそのまま眠りこけてしまっている者もいる。
「スカイグラスパーの調整――」
「ムウ、もうやめて差し上げろ」
「グエム!」
ムウも寝ていないからか、目に隈を作っており、その姿は痛々しい。
「ざまぁないよな。ちょっと調子に乗ってこのザマだ。だが次はバッチリ調整したスカイグラスパーで…」
「ムウ、寝ろ。寝て頭を冷やせ」
「寝ていられるかよ!」
冷静にムウを諌めるグエムだったが、それが気に障ったのかグエムの襟元を掴んで怒鳴る。
「お前も機体を万全にしてザフトの追撃に備えておけ!」
「もう、奴等は来ない。追撃部隊の主要戦力の大半が撃墜されたんだ。バスターもそのパイロットも此処にいる。アークエンジェルを追うことは無意味だ」
「お前…!」
掴まれて尚も怯えず無表情で淡々と話すグエムに、ムウは激情のままにグエムを殴った。
「ぐぅ…!」
顔を殴られ派手に吹き飛ぶグエム。
四肢を義肢にした影響で、本来の体重よりも軽いグエムはムウの想像以上に吹き飛んでグエムの後ろにあった物資の入った箱に突っ込む。
「ッ!?」
「フラガ大尉!?何やってんです!?」
大きな物音にマードックが駆けつけると、箱の山の中にグエムが倒れているのを見つけて唖然とする。
一方でムウは、グエムの体の事を忘れて殴った事を思いまして顔を青褪めていた。
「フラガ大尉……」
「あ、う…グエム!」
正気に戻ったムウは箱に埋もれるグエムの下に駆け寄り、無事を確認する。
「すまん!大丈夫か!?」
「なんとか。それで、気分は晴れましたか?」
「ッ……本当にすまない…」
幸い、落ちたのは空箱だったのでグエムに大きな怪我はなかったがグエムの言葉にムウは人生で一番大きな後悔をした。
「どうかしてたよ、俺は……」
「殴られるのは、初めてじゃないんで、受け身はしっかりできてる筈ですよ。マリュー艦長もムウさんの事を心配してるだろうし、顔を見せてから休んでくださいね?」
「ああ…」
いつつ…、と呻きながら立ち上がり今度はキラとトールの遺品整理に向かう。
その背をムウとマードックは静かに見送る事しかできなかった。
【一時間後】
「グエムさん?」
キラの士官室に入ってきたのはマキナだった。
一人で暇なのでアークエンジェル内で許可されている場所を散策しつつ、グエムを探していたのだが途中でナタルに会い、居場所を聞いてここに来たのだ。
「マキナか。なんだ、構ってほしいのか?」
「子供扱いはやめてくれません?」
「十六歳は十分子供だわ」
「十九歳もそんなに変わらないと思うんですが」
「今年で大人になるから良いんです〜」
マキナの方に振り向く事なく、キラの少ない私物を整理するグエム。
そんな彼の肩にはキラのペットロボであるトリィが乗っていた。
程なくして整理を終えたグエムはソレを脇に置いてマキナの方に振り向く。
「さて、終わったぞ」
普段と変わらない様子を見せるグエムだったが、マキナはグエムの顔を見て凍りついていた。
「お、おいどうした?固まっちまって…」
そう言う彼の問いに、マキナは見たことを素直に言葉にして伝える。
「泣いてる…」
「え?」
泣きたい感情も壊れてしまって泣けないと思っていたものに、予想外の事を言われたグエムは困惑する。
が、それで狼狽えてはからかわれると思いグエムは子供を叱るような物言いで嘘だと彼女の言葉を否定する。
「嘘でしょ?怒んないから…」
「むぅ…!」
信じていない、と丸分かりな態度にマキナは怒りながら彼の頬を掴んで引っ張る。
「いででででっ!?何すんだテメェッ……」
怒鳴ろうとして痛みを訴える頬の痛みを誤魔化そうと擦ろうと手を触れると、その勢いが墜落するミデアの如く落ちる。
その理由は明白だ。
「本当に泣いてる……」
濡れた感触、久しく感じる涙の味。
「は、はは……クソッタレ……」
「泣ける時に泣いとかないと、後が大変ってよく聞くけど、グエムさんならよく分かるんじゃない?」
同室で暮らす以上、自分の事について話すのは同居するのに必要な最低限の信頼関係の構築だろう、ということで自分の事はある程度、話していたがグエムはそうじゃない、そうじゃないんだと呻くように言いながら、彼女の前で尻餅をついて座り込む。
「俺は本当に何も感じてなかった。なかった筈なのに…今更泣きやがってよ…みっともねぇ…!」
「私も、修羅場は何度もくぐって仲間が死んだ事があるけど……泣く事がみっともないなんて私は思わないよ。どんな涙だって、それは人を成長させるものなのだと、私は思うから…」
「あああ゛あ゛ぁ……ッ」
マキナが自らグエムを抱き締め、そんな彼女の優しさにグエムは恥を捨てて彼女を強く抱き締めながら泣く。
「……グエムのずっと抱えてた物、どうせならここで一杯吐き出しちゃわない?誰かに話すだけでも、気分はスッキリする筈だし」
少し時が経って、静かな部屋でマキナがそう切り出した。
彼女の言葉にグエムはまだ少し流れる涙を拭いながら、憑依転生してからの事を話した。
なんだかやけにスラスラと出てきてグエムは不思議に思ったが、それだけ色々溜まっていたんだろうと解釈し、そのまま今日までの事を話し続けた。
勿論、前世の日本人だった頃の記憶や思い出に関しては変わらず秘密だ。
話したら話したらで厄ネタにしかならないのだ。
当然の判断である。
そうして話し終えて、泣き止んでようやくキラの部屋から移動する時には既に時刻は夜だった。
周囲からは皆を落ち着かせる為に落ち着いているように見えていて、でもその実、その人が一番悲しんでいる王道なシチュは普通にイイ…
無意識な思い込みとか、色々と原因はあったけど閉じていたグエムの悲しむ心を否応なくこじ開けたキラとアスランの対決は良くも悪くも全員に影響を与える形になりました。
つまり、これからは無表情タイムがなくなったりする……いやあんまり存在感無いなコレ。
一応ちゃんとグエムを成長、させれてるよな…?(自信なし)
ちなみに良い雰囲気出してるけどマキナとはまだやめないか!案件に至ってないゾ(いらない情報)
読了ありがとナス!
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