機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー 作:単眼駄猪介
ジークアクス、観てきたけどガチで知りたいなら観に行った方が良い。
何度でも言おう。
ネタバレも我慢もできないのなら見に行くしかないんだッ!!
それでは本編をどうぞ!
クライマックスだぜぃ
サイコ・ザクの弾薬補給が終わり、再度出撃したグエム。
クルーゼとプロヴィデンスガンダムの事を考え、今度は実弾よりもビーム兵器を多めにマウントさせたが、それでも不安は残る。
「俺に、アムロ・レイのように動けるか?」
脳裏に浮かぶ画面の向こうでファンネルを叩き斬り、ジオングのサイコミュ攻撃を隙間を縫って避ける姿を想像する。
「……できる気がしねぇな」
それでもやるしかないんだよな、と半ば諦めの面持ちだった。
そんな彼の隣についてくる影が一つ。
「よっ、グエム」
「ムウ?」
見覚えどころか聞き覚えあり過ぎて反射的に答えてしまっていた。
「クルーゼがどこかにいる、ってお前にも伝えようと思ってな」
「そうか…なら、一人より二人の方が良いでしょ。知らないうちに死んでたりしてたらマリュー艦長になんて言えば良いのやら」
「そんな不吉な事言わないでくれよ…」
そんな軽口を叩く二人だが、勿論グエムの言葉が冗談な訳が無い。
ドミニオンとは敵対しなくなった為、アークエンジェルとドミニオンが並んで敵を蹴散らす姿は涙を禁じ得ないが、同時にムウの死亡フラグが立ってしまったという事でもある。
ドラグーンから網のように放たれるビームの嵐を、どうやって避けて本体に近付くか。
彼とのレスバに興じるのも良いのかもしれないが、キラに頼るというのは彼の精神衛生上、最後の切り札にしたい。
本当はまだ世界の闇なんて知らなくても良いのだ。
子供が背負うには、知ってしまうにはあまりにも業が深すぎる。
自分と会うときに限らず、周囲には明るく振る舞っているんだろうが無理をしているのは自分には丸わかりだ。
自分が理想の為に作られた命だと言われて、冷静でいられる筈がない。
自分の命が数多の命の上で生まれた存在なんて、信じたくないだろう。
「やっぱ、優しすぎる。もっと我儘で良いんだよ」
そう独りごちるグエムの心境は、弟を心配する兄であった。
まあ、とっくのとうにそんな感じの関係なのだが。
一方、三隻同盟の一角を担うクサナギはアークエンジェルとドミニオンの後方でミーティアをリフトオフした事によって、戦闘力が低下したエターナルの直掩をしていた。
「アサギ隊長!俺達、オーブに帰れますよね!?」
「クソッ、邪魔すんな!」
連合、ザフト共にお尋ね者として知れ渡っているオーブのクサナギはオーブ軍のモビルスーツ【M1アストレイ】の存在も知られている故に、連合とザフトからの攻撃は激しかった。
しかし、先陣を切るドミニオンとアークエンジェルの方がよりその火力を受けているので、それらに比べればまだ優しい方だろう。
それでも、減らない敵にオーブの兵士達の間には不安が広がる。
高い士気を持っていても、戦力差はどうしようもないのだ。
連合軍は情報が錯綜している為、混乱が生じているので比較的攻撃は薄いがザフトは誰も彼も敵だと言わんばかりに攻撃している。
「隊列崩すな!カガリ様が戻ってきた時、迎えられるようにしとくのがアタシ達の仕事だよッ!」
「そうは言っても…!」
「難しい話よね!」
三人娘のアサギ、マユラ、ジュリの連携と一部の強者によってアストレイ部隊はなんとか生き残れていたが、次第に散る者達も多くなっている。
ほとんど休まずに動いている三人娘は既に疲労が限界まで溜まっている。
しかし、彼女達を下がらせるとクサナギの被弾が増え、アストレイ隊も抑えられていた被害が増えるという悪循環に陥りつつある。
「グエムさんがいたらなぁ」
「アンタまで弱音吐いたらおしまいだよ、マユラ!」
一瞬、脳裏をよぎる自分達の師匠と言ってもいいグエム・タキオンの事を思い浮かべるが、所詮は想像。
今は建前上、敵対関係の彼の救援を期待するのは無理だ。
聞き及んだ話では、連合軍の中核を担っているとかなんとかと、凄い話を聞いているが故に、アサギは自分とグエムの差を感じていた。
「もっとアタシに力があれば…」
そんな思いを抱くアサギだったが、突如として隣にいたアストレイがビームに貫かれ爆散する。
目の前に重斬刀で斬りかかるジンをイーゲルシュテルンで怯ませ、シールドを手放した左手に抜き際にビームサーベルをジンの胴体に縦に叩きつけて破壊する。
しかし、その間に謎の敵が先程とは全く違うところからビームが飛び、切り結んでいたストライクダガーとアストレイを纏めて葬る。
「なに!?」
「なにこれなにこれ!?」
マユラとジュリが動揺するが、アサギは一瞬だけ見えた灰色の砲台のようなものをイーゲルシュテルンとビームライフルで狙い撃ちする。
しかし、機敏な動きで避けられ撃ち返される。
「う!」
なんとかシールドで防ぐが、後ろからの衝撃に思考が止まる。
「アサギッ」
「ジュリ!?」
ジュリの声で下手人を知るが、しかしそれは自分の命を守る為だと理解した。
理解するしか無かった。
「ジュリ!?」
他方からこれでもかと滅多打ちにビームで撃ち抜かれ、断末魔をあげることなく光の玉に変わる。
「誰が!誰がジュリを!」
マユラが血眼で探すが下からのビームがアストレイの左腕と左足を貫く。
「ああっ!?」
「マユラッ!」
これ以上は殺させない、という覚悟を抱いてマユラのカバーに入る。
「フッフッフッ……そこらの雑兵とは違うとはいえ、中々に筋は良い。だが、ここで終わりだ」
マユラを庇うアサギの前に現れたのは、グレー色のガンダム。
背中のドラグーンを収納しつつ、目の前の子羊を狩らんとその瞳を瞬かせる。
「させるかよッ!クルーゼッ!」
そこに乱入するのはムウのストライク。
続くようにサイコ・ザクも現れ、プロヴィデンスと互角に戦いを繰り広げる。
「そこの!さっさと逃げろ!お前達には無理だッ!」
「グエムさん!」
「アサッ……おぉっ!?」
久しぶりに聞いたその声に、思わず叫ぶアサギ。
それにグエムは驚くが、ドラグーンの攻撃を避けるのに集中してアサギの事は頭の外に追い出す。
「アサギ!早く撤退して!さっきので推進装置がエラー吐きっぱなしなのよ!」
「わ、分かった…!」
後ろ髪を引っ張られる思いであったが、アサギはマユラ機を連れてクサナギへと帰投する。
しかし、これは英断だ。
臆病なんかではない。
方や型落ち、方や最新鋭と異世界の機体の戦いは、安定した性能を目指した量産型では太刀打ちできない領域にあるのだから。
ーーー
緑の光を避けながら、サイコ・ザクはザク・マシンガンによる弾幕を張る。
流石というべきか、クルーゼが操るドラグーンは機敏に反応し弾幕を回避する。
「…!」
だがまだ慣れていない為か動きが甘い。
強くなるために、仲間を守るために何時間もシミュレーターに籠もっていたその経験と知識は伊達ではない。
そう言わんばかりに、サイコ・ザクのビームライフルがドラグーンを撃ち抜く。
「若干、直線的!慣れてないから一部はオートか!?」
「やってくれる…!」
サイコ・ザクの見せつけたドラグーン落としに、クルーゼは笑う。
それは喜びというよりは、威嚇に近い笑顔だった。
とはいえ、クルーゼとてこの程度で冷静さを失う男ではない。
そして、会敵してからずっと感じているムウの気配を背後から察知する。
「ラウ・ル・クルーゼッ!!」
「そろそろ君にもご退場願おうか、ムウ・ラ・フラガッ!」
ストライクがビームサーベルを抜き放ち、プロヴィデンスに斬りかかるも
反撃にプロヴィデンス最強の火力を誇るビームライフル【ユーディキウム・ビームライフル】が、ストライクの顔面を狙って放たれる。
「ぐぅっ…!」
「埒が明かないか。いや、慣熟飛行もしてない私が悪いというだけか」
すんでで顔を横にそらしビームを避けるが、体勢が崩れたことで二機は距離を取る。
そんなプロヴィデンスの後ろをザク・マシンガンとグレネードランチャーを当てることで注意散漫させる。
「ぬゔっ…!」
「クルーゼ、もうやめちまえよ!」
「何を!」
唐突にオープンで話しかけられ、クルーゼは思わず反応する。
その間にもサイコ・ザクのビームライフルがプロヴィデンスに牙を剥く。
それを軽快な動きで回避し、ドラグーンによるオールレンジ攻撃を行う。
無論、ストライクにも複合兵装に積まれたビーム砲で近寄らせないよう牽制しつつ。
「世界を滅ぼして、明日を迎えてお前は何をする!?」
「死ぬだけさ!言ったはずだ!私はクローン!そこのムウ・ラ・フラガの父親、アル・ダ・フラガのクローンであると!」
「クローンだからなんだッ!俺なんか四肢を義体にされてるんだぞ変態仮面ッ」
あらゆる方向からビームが取り通う空間で、グエムはニュータイプ能力と知識、経験をフル動員させてビームの雨を避ける。
天パならこの合間に攻撃を差し込むのだろうな、と思いつつ自分には無理なので回避に専念するグエムは、そのせいでクルーゼの別の呼び名で呼んでしまう。
が、しかしクルーゼも余裕があるわけではなく些細な事は気にしていられなかった。
「それがその機体の力か!ならば君も分かるだろう!?世界は傲慢と欲望に満ちている!それに振り回された君なら分かるはずだろうッ!?」
「ああそうさッ!仲間からお願いって形の協調圧力に屈して、クソ宗教の尖兵に成り下がった!そしてアンタと同じように、そうさせた奴に復讐したさッ!」
「ならば、私を止める理由はあるまい!ここでジェネシスが撃たれれば、世界はより憎しみ合い、殺し合う!そして迎えるのは人類の破滅!」
「ああそうさ!人類はクソッタレだ!だけどな、守りたい奴等が、死んで欲しくない奴らがいるから俺達は戦ってんだッ」
「そんなもの、知らぬさ!」
「だろうね!天涯孤独を貫き通そうとするクローン様は言う事が違う!」
片方は完全に罵っているが、そんな中でもグエムは一基ずつドラグーンを落としていく。
先読みをして進行方向に置き撃ちをするが、命中率は半分程度だろうか。
アムロ・レイのようには上手くいかないものだ。
そして、ストライクも出来るだけの事をしようとするが、ここは戦場である。
ザフトの機体が接近し、苦戦しているように見える味方の為に攻撃してくるのは至極当然と言えよう。
「このっ、邪魔を!」
「く、クルーゼ殿!ぐわあぁっ!?」
蚊帳の外に置かれているムウらを余所に、グエムとクルーゼの舌戦は続く。
「人は滅ぶ!滅ぶべくしてッ!」
「いつかは滅ぶさ!かつて太古の昔に繁栄を極めていた恐竜が隕石によって絶滅したように!」
「それが人の手によって終わるだけの事!」
「仕向けさせたのは誰だよッ!」
「私さ!そして私にはあるのだよ、人類を裁く権利がな!」
「そりゃそうだろうな!だが、アンタは人を裁くにはまだ多くの経験が必要だッ」
「経験?ハッ、老い先短い私にそんな悠長にはしていられないのだよ」
お互いにビームを撃ち合う。
しかし、どちらも防ぐか避ける。
ドラグーンはクーリングタイムに入り、クルーゼは白兵戦をサイコ・ザクに仕掛けていた。
「だが、それは最近の研究でほとんど無関係だったと言われたッ!なら、生きろよ!今までやれなかったこと、やればいい!俺にはもうできない事を!」
「今更、今更止められるものか!それに人は滅びの道を選んだ!あの核攻撃はなんだ!結局は連合も滅びを望む者達が多くいる!コーディネイターを滅ぼせと、怨嗟の声を上げる者がな!」
「世界の歪みによって歪められた奴等なんていちいち気にしてられるか!それこそ知るわけがねぇ!敵になるなら潰す!そうでなきゃ意識にも留めない。それが人なんだからな!」
「それが滅びの道へと切り開くのさ!」
「そうだな!だが、そうではない奴等もいるしいざ自分の身に関われば意地になっても生きようとするもんさ!人の底力舐めんなよッ」
「ならば見せるがいい。この私に!」
「ぬわっ!?」
何度も何度も光刃が交わるが、唐突に繰り出されたプロヴィデンスの鋭い蹴りがサイコ・ザクの腹を蹴る。
吹き飛ばされるサイコ・ザクと交代するように、ストライクが割り込む。
「グエムはやらせん!」
「フッ、できるかな?」
対峙して5分か。
もしかしたらそれよりも短いかもしれない。
ストライクとプロヴィデンスの性能差はどうしようもない程に開いており、最終的に中破し後退せざるを得なくなる。
改めてサイコ・ザクと対峙することになったプロヴィデンスだったが、消耗したのにも関わらず、今なおもその強さを維持していた。
そして、アークエンジェルに特攻を仕掛けてきたナスカ級に身を張って進路を変更させ、ナスカ級と共にストライクはその身を散らした。
ーーー
ジェネシス発射までの、最後の戦いはあと少しで終わるにも関わらず、戦場にいる誰もがこの時間を長く感じた。
まるで、終わらぬ戦争、永久の闘争の中にいるように感じているようだと。
後にそう述べたり、日記に残す者達が多くいた。
そして激闘の最中、鬼と天帝、自由が相まみえる。
前々から予告してた三人娘ロシアンルーレットの結果はジュリでした。
忘れてた?俺も直前になるまで忘れてた()
ちなみにクルーゼの内心としては、ボアズを核使わず攻略したので光堕ち直前で核をプラントにプレゼントしかけたからやっぱ駄目だな、人類。
って感じで軽くブチキレてる。
闇のイデ様かよ……そうだったかもしれん()
どのみちあの人にレスバに勝つ事は無理なんで、グエムはぶっちゃけることしかしてない。
ちなみにグエムの「俺にはできない事を〜」の所は地味にクルーゼに効いてる。
多分、自身の闇とは関係ない、しかも普通なら当たり前に持ってる四肢を持つ肉体に嫉妬されたら戸惑うというか、少し心が揺さぶられてそうな気がする。
まあ作者の憶測&解釈なんで、気にしないでくだせぇ
次回、SEED編最終回となります。
明日を掴め、サイコ・ザク!
追記
ムウらへんの描写は次回に軽くやります
ガバガバの作者の目ん玉にどうぞ、スローイングブラスターをお撃ち込みください…