機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー   作:単眼駄猪介

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あまりにも某ガンダムに似たスーパーロボへのリスペクトがなってないサブタイトル()

前回は感想一杯貰えて超嬉しかったです。




明日を焼け!ブルーコスモス!

 

 

「ふふふ……好機だ。この映像があれば、プラントを討つ理由も十分だ」

 

暗い部屋で笑いながら独りごちる薄紫の口紅をしている男の名はロード・ジブリール。

 

前ブルーコスモス代表だったアズラエルの身綺麗かつビジネスマンらしい風貌とは違い、後釜のジブリールは如何にもカルト教団の宗主のような姿だった。

一般的な目線で言えば、不気味だの気色悪いだの趣味が悪いだのと不評の嵐だろう。

まあ、そんな事はともかく、ネオの送ってきたジンが破砕作業をするザフト軍の邪魔をする映像は、なあなあでコチラの主張を流して動こうとしない地球連合政府と軍を焚き付けるには丁度いいものだった。

しかし、世界の裏で経済を牛耳る【ロゴス】のメンバー達はそうは思わないようだ。

 

「アズラエルが何をしでかすか分からん。ワシとしては同意しかねる」

 

「まだ日和るか、この老いぼれ共め…!」

 

ジブリールは焦っていた。

前盟主であるアズラエルの功績がデカい分、後釜に入れられたジブリールは組織内での立場を維持するべく何かしらの手柄が必要だった。

しかし、未だアズラエルを超えられていない。

完全にアズラエルにコンプレックスを抱いているジブリールであるが、その結果として彼の頭には再びナチュラルとコーディネイターの戦争を起こすという考えに至っていた。

確かにアズラエルは戦争でブルーコスモスに貢献した。

しかし、戦争で手柄を立てられるかは当人の能力の問題なので正史を鑑みれば、彼にその才はあまりないと判断できる。

 

しかし、運命というのは酷いものだ。

ロゴスは結局、プラントへ宣戦布告を指示し時代は新たな戦争を迎える……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、地球へと降下し海上を泳ぐミネルバの甲板でグエムは海風に当たっていた。

別に好きな臭い、という訳ではなく風が運んでくれる心地良い涼しさが好きなだけなので、本当に場所はどこでも良いのだ。

 

「ここにいたのか」

 

「アスランか」

 

そんな彼の元に来たのはアスランであった。

 

「メカニック達がブチキレながらやってますよ。見に行かなくて良いんです?」

 

「それ、俺を殺す気だろオイ」

 

そう言うとグエムは艦内で娯楽品として提供されている安物のチューブに口をつけ、中身を飲む。

 

「コーヒー味か。そういやバルトフェルドのコーヒーは最近飲んでなかったな」

 

「アレを……」

 

グエムのこぼした言葉にアスランは苦笑するが本題はそれではないと早速、咳払いして場を取り直し話を始める。

 

「んん゛っ……それでなんであんな無茶をしたんです?」

 

彼の言う無茶というのは、ニトロブーストの事だろう。

大きな肉体への負荷、重度のオーバーヒート、使用後は必ずメンテナンスが必要な諸刃の刃をあの場面で使う必要はあったのか。

結果的にはそれがいい方向にいったのだから良いものの、途中でかなりピンチだったのを覚えているアスランの心配は当然のものだった。

そんな彼の問いに対して、今度はグエムが苦笑いしつつ答える。

 

「償い、というよりは自己満足だな。不本意とはいえテロリストの片棒担いだんだ。無駄に争い続けてコロニーを地球に落とした奴等の残党がいつの間にかカルト教団の一員になってさ…」

 

冷たいコーヒーを飲んで口を潤しながら、一息入れてグエムは続ける。

 

「キラ達と戦い抜いたりしたのだって、サンダーボルト宙域で殺し回った俺よりも若い子供達を思い出しての結果だ。後は巡り合わせが良かったんだろう」

 

「あの時の貴方は、俺にとってはひたすら障害物でしかありませんでしたね…」

 

若干懐かしむアスランにグエムは笑う。

 

「そりゃあ、そうでなきゃ守れないからなぁ」

 

前にいた世界の話は、裏切り行為を行ってしまったイザーク等を連れてオーブの地下施設に隠遁した際に三隻同盟の主要メンバーのほとんどには話していた。

その時の彼の顔をアスランは思い出しつつ、今の彼を見る。

あの時と同じだ。

思い出したくないものを思い出しているような、でもどこか懐かしそうにしているその目は、自分がなってしまうかもしれなかったものだと思うと末恐ろしくなる。

 

「だがアスラン。もしまた戦場に戻ると言うのなら、知り合いやキラのような友人を手にかける事を考えておけよ。根無し草の俺と違って軍人に戻る以上、お前は国の為に戦わなければならない」

 

「……国の為に…」

 

「理想が【ナチュラルの殲滅】でなければ、お前の親父さんが言った言葉は正論なんだ。それをゆめゆめ忘れるなよアスラン。俺みたいな復讐鬼にわざわざ堕ちる必要なんかないんだ」

 

そう言ってグエムは話を終わらせるように甲板から艦内に戻る。

そして、さっきから感じていた気配に手を乗せる。

 

「盗み聞きとは良くないな。罰として俺とシミュレーターに付き合いな」

 

「な、なんで分かってるんです…!?」

 

「……!……!!」

 

「シン、何を言っているんだ…??」

 

盗み聞きしていたらしいルナマリア達に、グエムは若干呆れて笑いつつ、しかしその口は笑みで優しく歪んでいた。

シンはどうやら興奮のあまり言語機能を失ったようで、そんなシンにレイがこれまでないほどに困惑していた。

限界越えてシンがハジケ飛ばないか心配になるグエムだが、シンの脳を焼いているのでお前が責任を取るんだよ状態である。

 

「さぁて、一人ずつ相手してやる!纏めて相手なんて器用な真似はできねぇからな!」

 

「ウッス!お願いします!」

 

「まあ、前大戦の英雄と手合わせなんて滅多にない機会だし…」

 

「…そうだな」

 

先程の暗い雰囲気を蹴散らすように、グエムは努めて明るい声で三人を導くのだった。

そんな彼らを見送ったアスランは、かつての仲間達を連想する。

後方任務に努めていると聞くニコル、今も尚、部隊を率いて前線で活動するイザークとディアッカ、今は亡きラスティとミゲル、そして今尚も行方不明のラウ・ル・クルーゼ。

 

「戦争は、やっぱり嫌なものだな…」

 

そう独りごちるアスランの声は、海風に流されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、これからのミネルバの動向はご存知かもしれないがオーブに寄港する事になるのだが、ここで少し今のオーブについて少しだけ話そうと思う。

何せ、前大戦でグエムの介入によって着地場所が微妙にズレたのだ。

今はまだ、この世界が辿る運命を根幹から変えるような事は起きていない。

これから起きるかも分からないが、少なくともオーブという国では本来の筋書きとは違う様相であった。

 

 

まず、オーブに移住した元ブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエル。

正史と大きく乖離した人物なだけに、その影響はオーブ国内だけでなく各国の政治・経済に影響を与えた。

ブルーコスモスの電撃引退からロゴスからの辞任という建前の離脱。

なまじ連合の勝利に貢献した英雄として名を馳せたと同時に、彼が元民間人の1パイロット等ではなく世界の裏側にも顔が利く清濁併せ呑む人物が為にロゴスは迂闊に手を出すこともできず指をくわえて彼がオーブに行くのを見るしかなかった。

裏社会ともある程度縁切りしたアズラエルはオーブで新たに起業し、元々囲っていた医療系の企業などいくつか誘致しリユース・サイコ・デバイスを利用した医療器具の開発に着手した。

無論、それだけで終わるアズラエルでなく、オーブ土着の企業などもグループの傘下に入る事を条件に資金提供したり併合などする事で一気に拡大化した。

 

端的に言えばアズラエルはオーブでお金儲けに成功し、なんならオーブ復興にも大きく貢献しているという、前大戦での彼の行動がなければ手放してオーブ国民からも英雄扱いされていただろう人物となった。

まあ、アズラエルとて後出しになるとはいえオーブの民間人に被害を出してしまったり国自体を侵略してしまった事に一応、罪悪感はある。

フォローは確実に、そして丁寧にしなければならないと彼なりに復興に手を貸していた。

その結果として現オーブ政府にも口を出せてしまう程になってしまったのはなんとも言えない世界の不条理を感じさせるが。

カガリ・ユラ・アスハの弟、キラ・ヤマトのナチュラル用OSのパテント料でオーブを買い戻した話は、オーブ国民の中でも噂として有名であるが現状目立っているのはアズラエルである。

そんな彼がいればどうなるのか。

 

特に変わってはいない

 

意外かもしれないが、セイラン家に関しては大体放置していた。

アズラエルとしてはこれからはカガリがしっかり国を動かしてもらわなければ困るのである。

だって国の運営とか面倒事を増やしたいわけがない。

とはいえ、碌に帝王学を学んでいないカガリの為に自分の娘共々、世話を焼く事は多々起きるようにはなったが。

 

 

 

さて、次に前大戦で生き残ったカガリの友人であるマユラ・ラバッツとアサギ・コードウェル。

こちらはカガリの精神的な支えになるのと同時に、国内でも誇り高きエースパイロットとして名を馳せていた。

そんな彼女達が目にかけている少女がいるのだが、それは後で話すことにしよう。

とにかく、現在の彼女達はカガリの友人としての関わりを保ち続けてはいるものの、1パイロットでしかない彼女達は応援する事しかできない。

流石にそこら辺の弁えはあるのだ。

それだけでも、カガリにとっては心の支えになったが。

 

 

結局、アズラエルがいつでも口出しできるという事以外はあまりオーブで変わった事はないだろう。

だがしかし、アズラエルの存在によってアサギらが目にかけている一人の少女の人生を大きく変えたのだから、決してコレを語った事は無意味ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、オーブに入国し帰国したカガリを真っ先に迎えたのはセイラン家の御曹司ユウナ・ロマ・セイランである。

その父親であるウナト・エマ・セイラン(タヌキ)もその後ろに控えていた。

アズラエル?彼は自宅で優雅にティーパーティである。

 

「お帰りぃ〜マイハニー!!」

 

「おまっ、こんな所でやめろ!」

 

心底嫌そうな顔でカガリはハグしてこようとするユウナを押しのける。

彼女の心は今もアスランにあるのだ。

とはいえ、ユウナとの許嫁の約束もあるが故に完全に無碍にすることは難しい。

結局、ユウナの圧に押し負けてしまうがそこで助け舟としてグエムがユウナの頭をデコピンで退治する。

 

「あでっ!?」

 

「嫌がってる女の子に無理矢理ハグするのはむしろ気持ち悪がられるからな、お坊ちゃん」

 

「ぼっ、僕とそんなに歳は変わらないだろっ」

 

「ストライクでジンに乗ってる俺に勝ってから言いな。なんならカガリにも勝てや。男の子でしょ!」

 

まるで子供……というか兄貴と弟の喧嘩のような内容に、カガリと共にミネルバから降りたタリアとアーサーは苦笑いを浮かべるしかなかった。

尚、喧嘩の中心にいるカガリが鶴の一声で止めていた。

 

「見苦しいものを見せてしまい、大変申し訳ない…」

 

と、謝罪するのはウナト。

非公式の場とは言え、息子のみっともない所を見せてしまったのだからセイラン家の面目は丸潰れである。

実際、ウナトは申し訳なさそうな表情の裏で息子の痴態を晒させたグエムに殺意を向けていた。

 

 

とはいえ、目の前のザフトの軍人は地球へ落ちようとするユニウスセブンを砕いて被害を軽減する事に貢献した者達である。

内心では、これからの連合との条約の前に厄介な……と苦々しく思っているが同時に連合への土産になると笑顔の裏で策謀を張り巡らせていた。

 

そんな彼らとは別に、護衛としているアスランはやはりというか、複雑な感情を抱えてユウナを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





グエムのユウナに対してのマウントはカガリやアズラエルがバックにいるからこそできるマウントなので、他の転生者諸君は気を付けるように!(誰に向けて言ってんだ)

次回はオーブでのんびりするミネルバ組とグエム達を描いたらシンのSEED覚醒になりますな!
ユウナの下りもそこら辺で触れていこうかと。

読了、ありがとナス!
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