機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー 作:単眼駄猪介
最近はリサイクル系の工場で働き始めて肉体労働で体中の筋肉疲労が凄まじい作者です。
寝る前にオロナミンC飲まなきゃ…
ちょい補足すると、アズラエルに対してオーブ国民は色々複雑な感情を持ってるけどかろうじて暴動を起こさない程度には信頼されてる感じです。
不信感はバッチリありますけどね。
ガバガバかもしれんけど、今後もよろしくお願いします。
オーブ連合首長国。
前大戦ではオーブが擁する宇宙に上がる為に必要なマスドライバーを巡り、国を連合に焼かれた国である。
そして今は復興に尽力し、現在は未だ回復中のものの次第に本来の姿を取り戻しつつあった。
「腕は訛ってないよな?」
「い、嫌だなぁ。仮にもセイラン家の跡取りがモビルスーツ動かすのが下手くそなんて言えないじゃないか」
そんなオーブだが、正史とは多少変わった所もある。
マスドライバーがあり、また軍事施設が集中していたオノゴロ島は再び軍事施設が建設されている。
そこのモビルスーツのシミュレーターに座り、一対一のタイマン戦闘をしているのはグエムとユウナ・ロマ・セイラン。
彼らの後ろや戦闘をモニタリングしている画面に釘付けの軍人達をよそに、ムラサメを駆るユウナと目立つように赤く塗装されたジンを駆るグエムは射撃の応酬が繰り返されていた。
地形データは森林地帯。
しかし、赤く塗られたジンは緑の海の中ではよく目立ち、そしてユウナのムラサメは変形する事で飛行が可能である。
至極当然として、すぐにグエムはムラサメのビーム射撃を浴びせられる。
だがそれで当たるド素人ではないグエムは右にステップし、マシンガンで上空のムラサメを撃つ。
光弾をヒラリと躱すユウナのムラサメだが、射撃戦では埒が明かないと変形してモビルスーツ形態でジンに肉薄する。
「うおおっ」
「思い切りは良くなったな!」
「何度もボコされたらね!」
ユウナの脳裏に蘇るのはカガリのフィアンセとしてキラ・ヤマトやアズラエルの元へ自己紹介する時の記憶。
自己紹介したのは良かったが馴れ馴れしい態度にアズラエルでさえ若干、顔をしかめるくらいに気持ち悪い光景にグエムが「カガリ嬢の男となるなら、モビルスーツ戦闘くらいは勝てないといけませんなぁ」と煽り、シミュレーターでド素人のユウナをボコしたあの日。
その日からグエムに目をつけられ、カガリ嬢の隣に立てる男になる為と建前を付けてシミュレーターに縛り続ける日々が続いた。
その結果として軍人達と良い勝負をするくらいには技量を上げ、精神的にも成長が見られた。
未だに坊っちゃんな所はあるが、ウナトが時折ユウナの事をまるで息子ではない別の何かを見るようになった、と言えばユウナが正史よりも変わった事は容易に分かるだろう。
無論、グエムからの主観であるのでウナトのソレに対する意味への解釈の確実性はないが……
「ボクも多少はやれるようになっただろ!?」
ムラサメがビームサーベルを抜き放ち、フェンシングのように軽快に突きを繰り返す。
ユウナは思っていたよりも格闘戦のセンスがあるようで、時折グエムもヒヤリとする鋭い攻撃を繰り出してくる。
しかし、やはり実戦の経験に勝るものはない。
ムラサメが突き出した腕をジンが無手の左腕で回避越しにパンチを当てて、ムラサメのバランスを崩す。
「だが、もっと技量を上げることだな!」
そう言うが否やマシンガンで殴り飛ばしたムラサメの右腕を蜂の巣にする。
ユウナは「うひぃ!?」と情けない声をあげつつも頭部のバルカンを撃って、グエムに牽制する。
だが泣きっ面に蜂の如く、ムラサメの顔面にジンの重斬刀が突き立てられ、ユウナの画面に
最後に何をされたのか分からなかったユウナはグエムに問い質す。
「な、何をしたんだ今!?」
「ん?重斬刀を投げただけだぞ?」
「当てられるのおかしいって…」
本日もユウナの負けで、密かに夕飯の奢り賭けていたオーブの軍人達は喜びと落胆の声を上げる者達で盛り上がりを見せていたりしていなかったりだとか。
「おい!ボクを賭け事の対象にするな!またボクの特訓に付き合うなら夕飯ぐらいボクのポケットマネーで奢ってやる!」
「「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」」
「愛してるぞー!ユウナの坊っちゃーん!!」
「ボクにはカガリがいるんだからやめろ!」
グエムに扱かれる事二年。
ユウナ・ロマ・セイランは、少しだけ精神的に成長していた。
強さとは、人を盲目的にさせる悪魔の魅了であるが、同時にその強さに並び立ちたいと憧憬を抱かさせ、時に憧れた者を大きく成長させる。
大なり小なり、それがなんであれ、ユウナ・ロマ・セイランという人間に影響を与えたグエムの強さは着実に
ーーー
一方、ミネルバ組は各々で今のうちにできる事をしていた。
買い物であったり、オーブのグルメを楽しんだり、それぞれ束の間の休みを楽しんでいたがシンだけは、故郷でもあるオーブに上陸してから少し憂いを見せつつもオノゴロ島を散策し、いつの間にか、かつて無力だった自分が前大戦で駆け抜けた道筋を辿っていた。
「ここは…」
そして見つけたのは小さな慰霊碑。
ポツンと花に囲まれて置かれた慰霊碑は、少しでもあの戦争を忘れないようにとでも言うようにあった。
しかし、シンの受け取り方は少し違った。
「こんなので……こんなちっぽけなものであの戦争をなかった事にしようってのか…!」
グエムへの憧れから、無闇矢鱈に感情を爆発させないように自制している彼だったが、それでも彼にとってはアスハによって自分の家族やあの時に爆発の周りにいただろう他の一般人を殺した罪人であった。
そして、この小さな慰霊碑で済ませようという魂胆にシンは抑えていた怒りを漏らしたのである。
「こんなのを作ったって、どうせ人はまた花ごと吹き飛ばすんだ…!」
独りごちる、といってもかなり大きめに出たその言葉は、彼の後ろから現れた一人の青年とも少年とも言える人物が「それでも」と言う。
「それでも、僕は、僕達は花を植えるよ。何度でも」
「!?」
「アハハッ……ごめん、驚かせちゃったかな?」
急に声をかけたことに申し訳なさそうにする青年に、シンは先程の怒りを引っ込めて「いえ、自分こそ大声を…」と謝り返す。
「確かに人はまた愚かな争いを繰り返すのかもしれない。でも、だからこそ何度でもその争いを繰り返さないように皆に伝え続けなきゃならないと、僕は思うんだ」
「伝え、続ける…」
ふと、青年の後ろを見ると帽子を目深に被り、サングラスをかけた女性が控えていた。
失礼しますわ、と一言シンに断り花を慰霊碑の前に置く女性。
そして二人は手を合わせ、黙祷を捧げる。
しばしして、青年はシンに問う。
「実は、僕たちもここに来るのは初めてなんだ。でも、小さな慰霊碑があって気になったんだ」
「そう、なんですか」
当時の亡くなった人達の事は知らないようだが、青年達の冥福を祈る気持ちは強く感じたシンは、少しでも忘れないようにしてくれる人がいると感じて、ほんの少し嬉しく思う。
「今日は僕の大切な人が久しぶりに会うんだ。僕達は行くね」
「あ、はい……その、ありがとうございます」
「感謝される程のことはしていないよ。むしろ僕は……」
口ごもる青年だったが、女性からの催促でシンに会釈して立ち去る。
その青年と入れ替わるようにグエムがそこに現れた。
「よお、シン」
「グエムさん!?」
なんでここにいるのが分かったのか。
そう不思議に思うと同時に目をかけられている事に少し嬉しくなるシン。
場所が場所なだけに素直に喜べはしないが……
「アイツな、キラって言うんだけどフリーダムのパイロットだったのさ」
「えっ!?嘘でしょ!?」
まさかの事実にシンは驚愕を露わにする。
「ホントさ。ストライクのパイロットもアイツが最初にやったんだ。友人を守るために嫌々ながらな」
「嫌々って……映像を見ましたけど、とてもそうは見えなかったですよ…」
「確かにそうだな。だが、あの頃は必死に戦ってたからな。フリーダムの時の手加減ができるような器用な子じゃなかった」
「……キラさんも、色々あったんですね」
ふと脳裏に蘇るのはオーブを守ろうと空を舞うフリーダムの姿。
ほんの少ししか見ていないが、連合の
その後、家族を失った事の記憶が強いが微かに思い出したフリーダムの記憶は、キラなりに思う事があっての行動なのだろうと大いに察せた。
「嫌でも戦わなきゃならない時がある。彼の場合はソレだっただけ。シン、お前は自分が戦うと決めた決意を、己の意思を見失うなよ。カッコよく言うのなら
「原点……俺は…俺みたいな、家族を失うような悲劇を起こさない為に、この手に力を求めたんだ…」
ゆっくり噛みしめるように、自分の原点を語るシン。
それにグエムは真剣に彼と向き合う。
「なら、それを忘れるなよ。今の君はインパルスガンダムのパイロットであり、ザフトの軍人だ。ザフトにいる以上、ザフトの為に戦うのは軍人として当たり前だが、戦う覚悟ってのはお前自身の中にしかない。戦う理由を他者に任せるなよ、シン」
「肝に銘じます…!」
フッ、とグエムは嗤う。
自分は周囲に流されてダラダラとカルト教団について行ったクセに、上から目線か……と自嘲したのだ。
だが、彼の前でみっともない顔はできない。
グエムは誤魔化すように笑う。
「君の敵になるのは連合だけじゃない。オーブやそこらの傭兵だって敵になる時が来る。戦争自体を忌むのは当然だが、だからって敵を憎しみ、虐殺するような事はやるなよ」
そう言ってグエムはシンの肩を叩き、彼をグイグイと引っ張る。
「んじゃ、キラんち行くか!」
「ええっ!?」
まさかのお誘いにシンは目を白黒させる。
今日は驚愕してばかりだ、と思考の隅でそう思うがフリーダムのパイロットと会食など、さっき別れたばかりなのに気まずいじゃないかとも思う。
「なーに、あんまり過去の事をほじくらなきゃアイツは優しいからな。丁寧に対応してくれるぜ?ああ、勿論キラにさっきの話は秘密な?」
「オレ、グエムさんがキラさんにぶん殴られても知りませんよ…」
結局、なんだかんだでなあなあで連れて行かれるシンであった。
気まずい再会であったものの、キラの人となりを改めて知りシンは尊敬に値する人だと感じた。
そして、そんな人の兄貴分だとキラからそう評価されるグエムにシンはよりグエムのようになりたいと、憧憬を強くするのだった。
尚、余談だがミネルバのオーブ出航時、グエムはタリアから小言を聞かされる羽目になったのだがグエムの自業自得である。
各個人、思い思いの日を過ごした一方で。
セイラン家の屋敷にて、ウナトとユウナは連合軍の上層部の一人と秘密の会談を画面越しながら行っていた。
「ザフトのミネルバを招き入れるとは、条約締結前に何をしているのかね」
「それに関しては大変申し訳ない。しかし、我々もあの艦にアスハ嬢が乗っているなど予想だにしていなかったのです。翻意など全くございません」
「………まあ、それについてはよかろう。オーブから出立する時間を報告さえしてくれれば、今はそれでいい」
「はい、そのように致します」
ウナトとて、オーブという国に愛国心はある。
しかし、前大戦の時と同じ轍を踏む事はないと彼は考えていた。
シンプルに言えば、連合軍が怖いのだ。
ザフトの3機のモビルスーツを強奪する程までに力を回復させた連合軍に、再びこのオーブが戦火に焼かれることなどあってはならない。
勿論、私利私欲がない訳では無いがウナトが持っている愛国心は本物であった。
だが、彼は残念ながら愚鈍であった。
オーブという国が秘める、彼さえも知らない秘密が多く眠る獅子の国を連合が同盟による条約締結で済ませるはずがないと、格上に尻尾を振る事しか頭にない彼の思考回路では予想に至る事はできなかった。
一方、後ろで控えているユウナはというと、連合との同盟は賛成ではあったものの、ここまで頭を低くする必要はあるのかと少し自分の父の態度を疑っていた。
ユウナはオーブに愛国心はない。
権力や利益を得れるなら尻尾も振るし、喜んで媚びへつらおう。
ついでに言えば、フィアンセであるカガリへの独占欲や正史と変わらぬ女らしさを強制しようとする所も変わらない。
だが、自分の身への危険を感じる時は人一倍感じる質だった。
それが今回、父への懐疑心となって表れたが現状、ユウナにできる事は特にない。
今はとりあえず、父の後ろに立っているだけだ。
ひたすら暇な時間をボケっとして立っていたユウナだったが、会話を終えたらしいウナトに声をかけられる。
「ユウナ、お前は明日のミネルバを追い払うパトロール艦隊に乗って連合に我々を意思を見せつけろ」
「ん…?あっ、はい!父上!」
呆けていた顔をキリッと引き締めてウナトの言葉に従うユウナに、ウナトは笑みを浮かべる。
「本当ならもう少し後に華を持たせてやりたがったが…同盟国に疑われている現状、お前に頼むしかない。すまんな」
「いえ、父上の頼みとあらばやってこなすのが息子としての務めでしょう。では、自分は明日に備えますね」
「うむ」
部屋から退出するユウナを満足そうに見送るウナト。
しかし、どこまで父の思い通りになるのやら、ユウナはそう思うのだった。
シンは原点回帰を、ユウナは成長を、キラには安寧を、アスランには……さっさとカガリとくっついてくれませんかね()
まあそれはさておき、しばらくハーメルン内の他作品を読みまくって、程よくモチベが戻ってきたので書き上げました。
基本、ライブ感も思い付きで書いてるからやっぱガバガバというか、去年辺りから人物への解像度下がってる気がしてて文才あれど凡人だなって思う日々。
仕事の関係上、おっちゃんアーカイブとか頭バカにしてノリで書いてる奴とか完全に放置になりそうですが、この作品だけは完結まで進めるつもりなので応援よろしくお願いします!
まあ、そんな事を書きつつモンハンや仮面ライダーガウとブルアカのSSを倉庫に控えてるのはなんなんでしょうねぇ()