機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー   作:単眼駄猪介

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どうも、GW中も仕事で書く時間があんまりねぇ駄戦士です
ジークアクスやシンデレラグレイ見るのも割と億劫()

さて前回の話になりますが、なんかユウナが良い感じになってますが、ちょっと肝が座っただけの小物なだけなので、原作通りビビるわ情けない所は変わらないです

それはそれとして一応、ゲームやアニメで履修済みの筈の種死の内容を忘れてるのは俺の愛が足りないのか、それともシンプルに種死が残念すぎるから…?



ミネルバ、出航せよ

 

キラとの会食から次の日。

グエムはオーブの工廠でアッシュアストレイの新たな姿にニンマリとした顔で喜んでいた。

本国に戻ってきたということで、一度ミネルバからモルゲンレーテの工廠にアッシュアストレイを移し、これからの戦いに向けて機体を仕上げてもらったのである。

 

「ティグリス・アッシュアストレイ()型……長ったらしいのはどうにかならなかったのかな」

 

そんな愚痴を漏らしつつ、しかしリニューアルされた己の機体に笑顔を隠しきれないようだ。

そんな彼にエリカ・シモンズは手に持ったアッシュアストレイの資料を手に、早速とばかりに説明を始める。

 

「さて、事前に準備はしてあったとはいえ、今はミネルバの修復に忙しいからささっと終わらせるわよ。あ、前のバックパックは廃棄したわ。やっぱり使ったら摩耗が激しすぎるわね」

 

「一時的でもサイコ・ザク並の加速とスピードが欲しかったけど、まあ無理か」

 

「そもそもアストレイのバックパックじゃ無理があるわね。量産に向けて作られたんだから、違和感ない程度の改造じゃ一回きりが限界だわ。補充もできないし」

 

そう言いながら睨むエリカにグエムは「その節はすんませんでした」と平謝りする。

頭の軽いやつである。

 

「はぁ…で、貴方の要望通りの改造を施したわ。まずはビームサーベルをバックパックから腰部のスカートアーマーに配置換え。バックパックには代わりに合計六本の新型ビームサーベル【直虎】を取り付け、OSにも色々新しいものを追加したわ。持ち方としては面白いけど……実用的なのコレ?」

 

説明する中、元々疑問を抱いていた所にエリカはグエムに問う。

そんな彼の答えはと言うと――

 

「カッコいいのもそうだけど、シンプルにシールドの耐ビームコーティングを剥がすのに楽だろ?扱いは難しいが、劣化を早まらせれる」

 

「確かにサーベル戦闘はシールドを使っての防御でしか防げない……でもやはり、核融合炉のパワーがあっても扱いは難しいわね」

 

グエムの手描きの絵を見てエリカはそう思う。

指と指の間にサーベルを挟むように待つなんて、試みとしては面白いが実用としては無駄に近いのではと。

 

「少なくとも回避させづらくさせるからな。範囲がデカいならその分を避けなきゃならんし」

 

「んー、私はパイロットじゃないからよく分からないけど、貴方が言うのならそうなんでしょうね。でもちゃんとデータはコッチに送ってよ?」

 

「モチのロン」

 

半信半疑、まあ当然だろう。

グエムもとやかくいうつもりはなく、続くを促す。

 

「スーパービームライフルは腕部に固定、取り回しは悪くなるけど機体と直接ドライブしてるから前と変わらない運用ができるわ。バレルは切り詰めたけどね」

 

「ビットとサイコミュシステムの方は?」

 

「ブーメランビットはジャスティスのデータを取り入れて作り上げたけど、問題はサイコミュシステムね。こっちも従来のガンバレルシステムを元にニュータイプの感応波を受信できるように試行錯誤してみたけど、駄目ね。脳波コントロールなんて、普通は脳が焼き切れるわよ。とりあえずガンバレルシステムのリミッターをギリギリまで解除したから、後は乗ってから調整してちょうたい」

 

資料のコピーを貰いグエムは改めてアップグレードされた己の機体のデータに目を通し、ふとかつての乗機が気になる。

 

「分かった。そういえばサイコ・ザクはどうなんだ?」

 

彼がそう問いかけてくるのは予想済みだったらしい。

エリカは1枚の写真をグエムに見せた。

 

「完全修復は無理。一度解体して新しく組み直す方針に変えたわ」

 

「そっか…」

 

写真にあるサイコ・ザクは剥き出しのコックピットのみ。

修復が不可能な理由をエリカは語る。

 

「まず、そもそもまだ私達はチタンセラミック複合材でさえ、コピーしても製造に時間が要するわね。異世界の技術なのもそうだけど、シンプルにオーブで作るには現状コストが高い。貴方の機体に使ったガンダリウム合金なんかもっと高いわよ。本当に特大サービスだったのよアレ」

 

「うへ…」

 

見せられた製造コストの暫定価格を見て絶句するグエム。

脳裏には前世でのアルバイトや給料なんかの諸々の金額がよぎり、それ以上は思い出すのを制限する。

メンタル的に耐えられる気がしないからだ。

 

「全身にチタンセラミックなんて冗談じゃないわ。モルゲンレーテどころかオーブを潰す気?って話になる」

 

「やめて……やめて……」

 

ちょっと泣き出したグエム。

みっともないのはさておき、機体の新造には了承したグエムはとある事を聞く。

 

「そういや、マユとトールは?」

 

少女の名前とかつてほんの少しの間だが共に戦った少年兵の名を受けてエリカは今日の二人の予定を思い出す。

 

「マユちゃんとトール君なら、確か今の時間ならどっちも病院にいるわね」

 

「分かった。会いに行ってくる」

 

二人の居場所が分かったグエムは資料をエリカに返却しつつ、モルゲンレーテから去るのだった。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでずっと読んできてくれた読者諸君、またガンダムSEEDを見たことがある読者ならトール・ケーニヒという少年の事はご存知だろうが、改めて彼について軽く説明しよう。

前大戦において、ストライクのパイロットであるキラ・ヤマトとは中立コロニー【ヘリオポリス】から付き合いのある友人である。

軍事機密を偶然とはいえ見てしまった結果として建前上は志願兵として連合軍に参加し、そしてキラの目の前で撃墜された。

生存は絶望的かと思われたが、オーブ軍が彼を保護し治療を施していたとキラやグエムが知るのは戦後の事だった。

 

「よ、トール」

 

「お久しぶりです」

 

病室に入り、挨拶するとトールも応える。

しかし、その見た目は痛々しい。

顔は無数の切り傷のせいで顔を形成する皮膚が歪に変形しているし、特に足は炭化して既に切除済みで歩くこともできない。

発見当時、下半身は重度の火傷で不随に、上半身もパイロットスーツが守ってくれたとはいえ熱と炎、そして砕け散って刺さった鉄片などで血まみれの姿は、とてもではないが救命し生存できてもキラ達のような子供にはしばらく見せられないものだったと彼の担当医師は語っていた。

そして、そんな致命的な大怪我を負って長く生きられる筈もなく余命2年から3年と告げられた。

正史と違い人生の終わりの間際にお別れや後始末を行えるだけ、本人的にはマシかもしれない。

だがしかし、己の運命を悟り穏やかな様相を見せるトールに恋人であったミリアリアが彼の生存を諦めきれるはずもなかった。

けれども現実は非情である。

やはりというか、刻々と彼の命の灯火は消えようとしていた。

ミリアリアの知り合い、キラの友人ということでかつて敵対していたディアッカ・エルスマンや彼を墜とした張本人アスラン・ザラも彼の見舞いに来て、ミリアリアを頼むとの旨をトールから頼まれている。

特にディアッカに。

 

「……改めてみると、あの頃から僕もグエムさんも変わりましたね」

 

「そりゃ、二年もすればな」

 

未だに包帯に身を包まれ絶対安静のトール、謎の現象で視力低下と運命の道筋を変えるために自らを変えたグエム。

度入りのグラサンをかけたグエムの姿は、それはそれで様になっていた。

 

「家族を殺して、子供を守れず、そして二年も経ってるのに未だこの世界の未来を子供達や若者に背負わせてしまおうとしている。とんだ駄目な男だよ俺は」

 

「それでも、そうやって今でも戦場に立とうとしている貴方のおかげであの時の僕らは助かったんです。そんなに自分を責めないでください。それに、どうにかしようという大人は貴方だけじゃないでしょう?」

 

「……そうだな。ちょっと弱気になり過ぎてたかもな」

 

脳裏に浮かぶのはパイロットとして身を立てたシン・アスカや今も他の政治家と議論をしているだろうカガリ。

自分一人がいれば何かを変えられるなんて、傲慢にも甚だしい。

 

「とりあえず、元気そうで良かったよ。また俺は戦場に呼ばれてね。もしかしたらコレが最後になるかもしれないからな」

 

「そう、ですか」

 

テレビで国外情勢は聞いてはいたが、やはり戦争は確実に起きるのかとトールは確信する。

そう長くはないとは思いたいが、トールもこれが最後の別れになると思うとやはり寂しく感じるものだ。

 

「またな、トール」

 

「お元気で」

 

ほんの少しだけの面会。

太陽の光も見れない密室での会話は静かに終わりを迎えた。

そして、これが二人の最後の会話だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールの次に会いに行ったのはマユと呼ばれる少女だった。

名前からしてお察しだとは思うが、グエムとしてはその少女を見ると本当に当人なのか悩ましくなるものであった。

右手を失い、グエムが付けているものと同じ義手であるのは良い。

しかし、髪は抜け落ちたかのように白髪で彼女には【マユ】という名以外の記憶はなかった。

これではそっくりさんだったというオチもありえて、グエムはシンに彼女を会わせるに日和った。

彼女にもシンと会わせることで記憶を思い出したり、何らかの反応を示すならともかく、何も反応がなかった場合を考えるとシンへのメンタルの悪影響を鑑みて会わせないと判断せざるを得なかった。

これから戦争に身を置く事となるのに、ショックを与える等という非道な真似、グエムに出来るはずがなかった。

 

「あ!グエムさん!」

 

「元気だったかー?マユちゃん」

 

「はい!マユラ姉さんやアサギ姉さん達によくしてもらってます!」

 

記憶を失い、身元も分からない彼女を引き取ったのはアサギとマユラであった。

彼女達も長い付き合いの親友ジュリを失ったのにも関わらず、彼女の事を引き取ると自分が引き取る事を考えていたグエムに言ったのだ。

自分の事も分からない上に一人ぼっちの方が辛い、と。

結果として女しかいないから私生活で特に悩む事もなかったのだろう、マユは精神的には安定していた。

とはいえ、腕の方はそうはいかず時折幻肢痛に悩まされている。

まあ、コレに関しては時間に任せるしかないのだが。

それはそれとして、グエムが何故マユに慕われているかと言うと……

 

「お土産のお菓子、家に帰ったらゆっくり食べろよ?」

 

「わーい!」

 

お菓子をくれる良いお兄さんをしているからである。

ただ、グエムは時折自分を通して他の誰かを見ているのを感じている。

それがシン・アスカなのか、それとも前の世界での彼らなのか。

それが分かるのは目の前の少女のみだ。

 

「義手の調子は?」

 

「おかしくなった時はアズにゃんが新しいのを用意してくれるから大丈夫!」

 

いつの間にかアズラエルはアズにゃん呼ばわりされているのだが、これはマユだけの特権である。

グエムが言おうものなら軽く中指を立てられるのは間違いない。

彼の娘とも仲のいい彼女は、純粋かつ天真爛漫な性格は少しは丸くなったアズラエルの毒気を抜くには十分だった。

「仕方ないですねぇ」とアズにゃん呼びを許すアズラエルの姿は、かつてはブルーコスモスの盟主だった事を考えると考え深いのと同時に笑いを誘うものであったが。

 

「そうか。まあ、モビルスーツにも乗って頑張ってるもんな。壊れても仕方ない」

 

「うん!」

 

そして、リユース・サイコ・デバイスの技術を使う以上、そういった事から離れる事もできない。

勿論、最初はグエムは反対したが身寄りのないマユ、しかもいくら高性能でも義手の彼女ではマトモな職に就くのは無理ではないだろうが難しい。

治療と自衛手段の獲得、職の提供という意味でもグエムはそれを許さざるを得なかった。

無論、アズラエルがマユを兵器に仕立てようとするのなら付き合いが長くなるアズラエルでも殺すが。

 

「戦争、始まっちゃうんだよね…」

 

「え?」

 

ふと、マユがそうこぼす。

それにグエムは驚くが続けて出てきたマユの言葉に納得する。

 

「マユラ姉さんが、連合に動きがあるってアサギ姉さんと話してて、忙しそうだったから。あ、わざとじゃないよ!」

 

「いや、マユは悪くない。それに、そういう話は早めに聞けたほうが覚悟ができるもんさ」

 

前向きに考えよう、と暗に言うグエムにマユは苦笑いしつつしかしその通りだとも思う。

 

「またしばらく会えないけど、元気にしてろよ。もし戦場に出されそうだったらアズラエルに泣きついたって良いんだから」

 

「あはは……それは皆に申し訳ないから…」

 

「まだマユは子供だ。殺し合いの戦場なんて来なくたって良いんだからな」

 

「…うん」

 

歳としては大体15くらい。既に大人への道を進み始めている年齢だ。

そんな彼女を戦いの道に引き込むというのはあまりにも外道だ。

まだまだ遊び足りないだろう子供に、キラやシンのように争いの道に導くなどあってはならないのだ。

……しかし、彼女に付けられた義手のせいでそうはいかないかもしれない。

グエムは後悔と苦悩を抱えながらマユと別れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝、モルゲンレーテの工廠にて完全に修復されたミネルバは、きな臭いオーブの情勢から逃げるように出立する流れとなった。

 

まあ数日間の間に大西洋連邦の言いがかりにも近い、ユニウスセブン落としの犯人の引き渡しや犯人が用いたモビルスーツが【ジン】であったことからザフトの自作自演ではないのかという疑いを難癖のように、いやまさに難癖つけて疑いをかけたのだ。

ザフト、もといプラント政府には大西洋連邦の一方的な要求とその後の宣戦布告には寝耳に水であった。

まあ、話が聞けない上に理解もしようとしないのだから評議員にしろ本国の防衛に携わる軍人にしろ、宣戦布告に対して背景に宇宙猫を背負っていたのは容易に想像できる。

ミネルバがオーブで傷を癒す間に起きた出来事は、ミネルバのクルー達にも大きく士気に影響を与えた。

故郷である本国がまたもや【核】の脅威に晒されたのだ。

新兵器による防衛に成功したとはいえ、明らかにプラントを全滅しようとする意思にプラント側も徹底抗戦せざるを得なくなった。

激怒する者、恐怖し困惑する者、無関心である者と、プラントの国民達は動揺を隠せずにいた。

この中で無関心である者が極少数なのは、まあ想像に難くないだろう。

 

そんな中でユウナはカガリと共にミネルバへ謝罪に来ていた。

 

「すまない。地球を救ってくれた英雄だというのに、オーブは君達を裏切る様な真似をしてしまった」

 

「私の力不足だ。本当に申し訳ない!」

 

頭を下げる二人にタリアは仕方ないと二人に頭を上げるように言う。

 

「オーブが焼き払われたあの過去を繰り返したくないという気持ちも分からなくはないわ」

 

結果としてオーブはザフトの敵に回ってしまったが、しかしだからといってオーブの判断が間違っているわけではない。

 

「我々を歓迎してくださった恩は忘れません」

 

そう言って彼女らとは別れた。

ユウナは思う。

今の所、父の言う通りに事を進めている。

しかし会議でもカガリに言われた通り、ほとんど言いがかりを正当化させ宣戦布告した大西洋連邦の態度は正直、信じるに値しない。

そんなカガリの発言を言いくるめはしたが、しかしこれでザフトが快進撃をすればこの同盟はオーブにとって厄災となる。

そして、まるでかつてこの国を訪れた大天使【アークエンジェル】を彷彿とさせる【ミネルバ】とそこに雇われたグエムの存在は、そうであると言っているように感じた。

そして今日、ユウナは決断する。

最悪、父は死んでも自分さえ生きていれば家は存続させられるのだ。

逆に自分が死んでも父が生きていればなんとかなるだろう。

だから、博打に出ることにした。

グエムとのシミュレーションでの戦いは、自分の想像など軽く越えて来るのだから。

そんな彼が、何の意味もなくあの艦に乗るはずもない。

 

妙に確信めいた予感が、ユウナにあった。

 

 

 

 

 

 





マユの設定については色々憶測や考察でごっちゃだからオリ設定でSEEDで13歳、種死で15歳の設定にしました。
十三歳くらいならまだ幼い感じでも種死頃には軍にいても多少は納得いくし、携帯電話としては古い機種ながらガラケーを持たせてもらったという点でも小学生の高学年くらいならあり得るし…

トールはあの末路ではどう足掻いても脇役が精一杯なので、退場予定に。
い、生きてるだけでもマシってよく言うし()

そろそろオリロボにも手がつきそうで頭グッチャグチャになりそうで怖い()

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