機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー 作:単眼駄猪介
先遣隊と合流し、アークエンジェルの物資&避難民は無事離脱。
で、今回はヘリオポリスの少年達の話と一気に飛んで地球軌道上まで行きます。
フレイのイベント潰れちゃったけど、健全的な男の友情でキラ君のメンタル安定しかけてるからお茶の間を凍りつかせる事はないッ!
………キラが┌(^o^┐)┐ホモォにならなければ、うん。
ちなみに最近、物を整理してたらクソ懐かしいゲームソフトを発見したのでプレイしてるんですよね。
【Gジェネクロスドライブ】っていう、古いゲームなんだけどね……っぱ楽しいわ……
先遣隊と無事に合流し、物資の補充とアークエンジェルの船員も補充できたが、未だクルーゼ隊の追撃は続いていた。
しかし、先遣隊のメビウス隊とアークエンジェルの部隊がその悉くを退けた。
とはいえ、キラの動きは少しぎこちないものである。
それもそうだ。
相手の無力化を中心とする戦い方は、もう少し先の話であるのに既にそういう動きをしているのだから。
まあ、グエムによる影響であるのだから、グエムは彼の覚悟を否定するわけにはいかない。
「親友と敵同士、か。俺達はキラになんちゅう酷な事をさせてたんだろうねぇ…」
「第三者だからこそ、俺は何となく気付けましたが……まあ、俺としては彼からハッキリ相談してくれただけでも嬉しいですよ。抱え込むクセが付いたら、直すのにとんでもなく時間がかかりますから」
「へぇ…言うねぇ」
食堂で駄弁るグエムとムウ。
実年齢を聞いて仰天したムウであるが、同じ前線に立つ仲間としての意識からグエムとは普通に打ち解けていけた。
その為、今のように食事を共にすることも起きるようになった。
「しかし、ヘリオポリスの子供達がついてくるとはね」
「まあ、彼らもキラの事をほっとけないからでしょう。それなりに覚悟があると思いますよ」
「その点、カズイって子は流されやすい子だったんだな」
「本人には言ってやらないでくださいよ?聞いたら絶対に無理しちゃいますから」
こうして楽しく食事をしたのはいつぶりだろうか。
ムウもグエムも、厳しい戦場での寡黙な食事を当たり前としてしまい、こんな楽しいかったのだろうかと思ってしまうくらいには明るい雰囲気ではなかったんだと、改めて自覚する。
「フレイって子は父親であるアルスターさんと共に帰り、避難民はシャトルでオーブに返還。でも、シャトルを飛ばせるタイミングが第八艦隊と合流後ってちょっとなぁ…」
「どのみち宇宙はザフトの庭だ。そういや、グエムのサイコ・ザクだっけか?アレは宇宙での運用しか考えてないだろ?地上に降りたらどうするんだ?」
避難民の話からサイコ・ザクの話に移り、グエムは死んだ目でムウを見る。
微かに驚きの表情を出しているグエムに、相変わらずたまに表情筋が死んでるなとムウは苦笑いを浮かべる。
「な、なんだよ…」
「いや、なんで宇宙運用というのが分かったのかなぁって。ま、見れば普通に分かるか」
「まあな。俺も伊達に戦争やってないさ。それに背中にあんなの背負ってるのに地上で満足に動けるはずないしな」
ごもっともです、とグエムは賛同する。
しかし楽しく話す二人の脳裏にはキラの事を考えていた。
「アラスカに着くまで、僕もついていきます」
自分の意思でそう言った彼に、喜びと同時に心配があった。
親友と殺し合いをしていたという、現実の非情さに憂鬱な気分な所で放たれた彼の意思表示。
ムウもできる限り、彼の願い通りにしてやりたいと思ったが戦場で甘さを見せれば死ぬのは自分である。
とりあえず、余裕があればそうしようという風に決めたがグエムとしてはできれば不殺主義にならないで欲しかったというのが実情ではある。
実際、彼の不殺主義によって死んだハイネ・ヴェステンフルスは彼の迂闊さもあっただろうが、武装を破壊された状態で敵に殺されている。
それは味方でもありえた話で、自爆覚悟の特攻をすれば死ぬのは自分達の帰る戦艦や仲間である。
故に、グエムは少しずつ彼に戦士としての心構えを教えていかなければと、考えていた。
ムウも似たような事を考えていたが、彼はメカニック達や艦の仲間達とのメンタルケアを兼ねたトークをメインとしている。
キラの事は二の次にしがちなムウは、グエムがいればなんとかなるよな、と適当に考えていた。
無論、これを聞いたらグエムはムウの顔を引っ叩いて説教が始まるのだが。
「あ、そういやサイコ・ザクのシステム辺りを調整してくれるってキラが言ってたな。じゃあ、ムウ。また後で」
「おう、行って来いグエム」
お互いに敬語を付けないで話し合う程度には、仲良くなった。
グエムはその事実に格納庫に向かうエレベーターの中で少しはしゃいでしまい、無重力空間なのも忘れて足も振り上げてダンッと壁を蹴ってしまったが、幸いにも傷はなくグエムの肝が冷えただけてあった。
ー数分後ー
格納庫についた俺は、高速でカチャカチャとキーボードを叩くキラの背に声をかける。
「おーい、キラ〜」
「あっ、グエムさん」
結構、集中してモニターを見ていた気がするが大丈夫なんだろうか?と思うが、彼の専門分野はプログラミングといった電子系だ。
多分、大丈夫なんだろう。
とはいえ、頻繁に彼にサイコ・ザクのソフトの調整はさせない方がいいな。
サイコ・ザクに内包されているデータがどんなものなのかは分からないが、どうせ碌なものがないだろう。
「ここの部分……サイコミュシステムって奴なんですけど」
少し躊躇いがちに画面のとある部分を指す。
しかし、サイコミュという名前自体に聞き覚えのある俺としては、有り得なくはない可能性に俺はクソッタレのサイコブッダの顔を思い出す。
「サイコミュ?おいおい、まさかサイコ・ザクにビット兵器まで付けようとしてたのか?」
「ビット兵器…?フラガ大尉のガンバレルみたいな?」
「ああ。人の特定の精神波を使って無線式の無人砲台を操る技術さ。ただ、俺の世界でも大型の物が多いし発展途上みたいなもんだけど……」
いやしかし、サイコ・ザクとてサイコミュを操れるほどの潜在能力を引き出す要素はない筈だ。
だが、ダリル・ローレンツがニュータイプと呼ばれる部類であるなら、リユース・サイコ・デバイスを使えば副作用でニュータイプになる、なんていうとんでもない理論を考えていた可能性も否めない。
しかし、あの世界のサイコミュシステムは……いや、これは口に出すのはやめておこう。
あまりにも悍ましすぎる。
「未完成なプログラムなんですけど、なんなのかなって…」
「なるほど。まあ、これはニュータイプと呼ばれる人じゃないと扱いきれない代物だから、今は気にしなくて良い」
「ニュータイプ…?」
「ソレはまた後でな。今はサイコ・ザクの調整をお願いできるか?マードックさん達にやってもらうには、ちと未知すぎるだろうし」
そもそも、ソッチ系の専門家があんまりいないのもあるし、ストライクとガンバレルの整備で手一杯の筈だ。
「とりあえず、接続するからフィッティング、頼むぜ」
ーーー
ハードはともかく、ソフトが未熟が故にほぼキラ専用のストライク。
地球軍の正式装備であるメビウス・ゼロはストライクの次に頼りにされ、尚且つ常に前線で戦っている為、消耗の激しい弾薬補充と砲身交換で忙しいだろう。
そんな中にもう1機、しかも別世界のモビルスーツのメンテナンスを行うのは現状のアークエンジェルの人員では厳しい。
補充要員も来たと言えど、まだ勝手が分からない所もある。
故に、簡単な整備とシステム面での調整・最適化ぐらいしかサイコ・ザクにはできない。
弾薬補充にしても、ザク・マシンガンは120mmという巨大な弾頭。
ジャイアント・バズとザク・バズーカはストライクのバズーカや鹵獲したジンのバズーカや弾で代用するとしても、威力低減などは想定しておかなければならない。
現状、サイコ・ザクは補給困難な機体である。
「どうです?むず痒い所とかありませんか?」
「特には……って前の世界でも言われたな」
「……前の世界、宇宙世紀ってどんなところなんですか?」
機体の調整を始めた二人だが、グエムは感触を確かめるだけだしキラはシステムを調整するためにキーボードを打つだけ。
無論、お互いに真面目にやっているがダンマリの空気は互いに嫌でもあった。
「んまあ、戦争が起きる前は色々とゴタゴタしてたけど平和だったよ」
嘘である。
グエムに宇宙世紀での日常生活の期間はない。
しかし、転生してきました等と正直に言ってもふざけているのかと信じてくれないだろう。
故に嘘をつく他ない。
「人種による差別とかはほとんどないし、なんなら環境改善に尽力してたね。でもまあ、ジオンっていう国が生まれちまってモビルスーツを手にして大はしゃぎで地球にまで侵攻して白い悪魔にイジメられちまったね。自業自得だけど」
「白い悪魔…?」
「なんの因果か、俺の世界にもガンダムって呼ばれるモビルスーツがあるんだ。あ、でもこっちのはストライクとかイージスっていうのが正式名称か」
「ガンダム……もしかしてストライクに似てたり?」
「おう。細部は違うがカラーリングとかはそうだな」
「へぇ…不思議なものですね。あっ、足の方弄ってみたんですけど、どうです?」
「ピリピリする」
「つまりこれをこうすれば……」
「あ、消えた……って痛い痛いッ!?ケツが!オ
汚い悲鳴が、格納庫に響いた。
そして時は第八艦隊合流まで進む。
小規模な戦闘をしつつ、サイコ・ザクを温存しながら戦うアークエンジェルに先遣隊はサイコ・ザクのパイロット、グエム・タキオンに疑いの目を向けていたが作戦だと伝えると、一先ず納得してくれた。
まあ、フレイ・アルスターの父であるジョージ・アルスターの鶴の一声とも言う。
なにはともあれ、サイコ・ザクの秘匿によって追跡を続けるクルーゼ隊は目的を理解しつつ、要塞アルテミスでの一件は名も知れぬ傭兵か、地球軍の試作モビルアーマーの類だろうと結論付けた。
ましてや、アークエンジェルの仲間になってるとは思いもしていない。
「君が、アークエンジェルの窮地を救ってくれたというパイロットか」
「はい、ハルバートン提督。自分はジオン公国軍リビング・デッド師団所属、グエム・タキオン准尉と申します」
場面は地球軌道上。
アークエンジェルの格納庫にて、グエムは数少ない地球軍の良心的存在、ハルバートン提督と顔を合わせていた。
まあ、ハルバートンが良心的存在とかそういうのは置いておいて少なくとも迷うキラに助言をしたという点だけでも、彼は大人としてマシな部類である事は察せれるだろう。
「ラミアス大尉から話は聞いている。アークエンジェルの救援、深く感謝する」
「…!?」
「は、ハルバートン閣下!?頭をお上げください!」
配下の男が頭を深く下げるハルバートンに慌てるが、下げられているグエムも目上の人が頭を下げている状態に困惑していた。
だがしかし、再起動をしたグエムはなんとか小刻みに震える手を抑えて「頭を上げてください」と言う。
それにハルバートンは応え頭を上げると、義手が差し出されていた。
「感謝は受け取りました。ですが俺も貴方の部下に助けられました。頭を下げるより、握手してもらえませんか?」
目上の人に頭を下げられるなんて気まずいですから、と付け足すとハルバートンは躊躇なく義手を掴み「改めて、ありがとう」と言った。
後にグエムはハルバートンについてこう語る。
「ハルバートン提督は、本当に尊敬して良い人だと思ったよ。でなきゃ、あんなガッシリ義手なんか掴まない。潔白という訳では無いが、彼は情熱的な人だと感じたよ」
その時の自分の表情は今になっても思い出せない、と少なくともグエムにとってもまた、ハルバートンとの出会いは何かを感じさせるものであったようだ。
主人公の容姿の元ネタ、ウマ娘のアグネスタキオンが見たら呆れてそうな、不快そうな顔というか、侮蔑の顔というか……
少なくとも似た顔で淫夢を言ってしまった主人公の罪は重い(責任転嫁)
次回は大気圏突入。
流石にサイコ・ザクに大気圏突入能力はないので……ナオキです……