機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー 作:単眼駄猪介
人生初の0評価を受けた俺氏。
まあ、自分はまだ未熟だし付くのは仕方ないけど、思ってたのと違うから低評価はよく分からんと思ってるんですがどうなんでしょうか……後者じゃないと言ってくれ、バーニィ
ちなみに自分はゾイドみたいな四足ロボ嫌いじゃないですよ。
今はゾイドにあんまり興味わかないだけで普通にカッコいいなと思うッス。
でも人型の浪漫には負けるんだ……
モビルスーツってある意味、人間の写し身みたいなもので文明の利器で足りないものを補ってきた上でそれを更に工夫したり発展させてる訳だから、四足が強くて二足が弱いというのは好きじゃないです。
バクゥのスタイリッシュな姿は好きですけど、背中に乗っけてるのがレールガンかミサイルランチャーって辺り、やっぱり人型の方が人にとって扱いやすいよねって思いました、まる。
などと人型ロボへの愛を漏らしつつ、本編をどうぞ。
マリュー・ラミアス以下アークエンジェル組は、【明けの砂漠】と呼ばれるレジスタンス組織と交渉を始めていた。
軍として見ればザフトにも劣る彼らは、日々モビルスーツに効果の薄い通常兵器と地雷による罠で対抗していた。
正直、グエムは砂漠の虎が本気で潰そうと思えば殲滅する事など容易いだろうと、テレビ越しではなく肉眼で、その場にいて改めて実感する。
まあ、モビルスーツの中にいるからモニター越しなのだが。
「改めて思い返せば南洋同盟は、本当にヤバい組織だったな……」
サイコ・ザクの設計図自体は偶々、サイコブッダもといレヴァン・フウ僧正の元に辿り着いただけだ。
しかし、そこから実機を作りアナハイム社を潰すためにコロニーレーザーを奪取する所まで行くのは、宗教団体の恐ろしさを見せつけられたグエムにとって苦い記憶である。
そうならないだけ、今の明けの砂漠はマシだろうが……現実から目を逸らし続けているのには変わりはない。
グエムは目を曇らせたテロリストが嫌いだ。
グエム自身、流されてテロリストをやっただけに余計にテロリストという存在への当たりが強い。
南洋同盟はアナハイムのモビルスーツ工場を潰そうとしたが、アナハイムはモビルスーツだけでなく電化製品や様々な道具や日用品を製造している会社だ。
モビルスーツとは無縁で働いている社会人だっているのだ、月には。
それらも纏めて悪とし、コロニーレーザーで焼こうとした。
ただそれが悪だからと極端に決めつけて、無差別攻撃をする奴らに正義などあるはずが無いのだ。
テロリストなら尚更、むしろ殲滅されるべき存在だとグエムは考えていた。
だから、明けの砂漠のリーダー【サイーブ・アシュマン】からモビルスーツから降りろという言葉に応える筈もなかった。
そもそも、義手義足の自分にはモビルスーツから降りればちっぽけで無力で哀れな強化人間。
必要な事だと頭では分かっててもテロリストへの嫌悪はそう簡単に収まるはずもない。
「……すみません。あのモビルスーツのパイロットは訳ありですぐに降りることができないのです」
「砂漠の砂が嫌いなのかね?宇宙育ちは難儀だな」
明けの砂漠の一人がそう言い放つ。
事情を知るマリュー達と違い彼らはサイコ・ザクのパイロットの事を知らない。
だからそんな事を言えてしまう。
頭では理解できてもそれでも表情をしかめざるを得ないマリュー達。
そんな状況に、グエムも流石にこのままではまずいと感じた。
ここで交渉を失敗させると、キラの成長や
「おいサイーブ、俺は幻覚を見てるのか?」
「幻覚ならあの艦もそこでカガリがモビルスーツのパイロットをぶん殴ろうとしねぇよ」
砂漠という気候上、ヘルメットは暑苦しくてたまらないのかグエムは素顔だった。
なんなら襟元を開けて風が入りやすくしており、少しでも涼しくしようとしていた。
だがそんな事はどうでもいい。
明けの砂漠の者達はグエムの四肢に目が行っているのだから。
「おい、アレはオメェらがやったのか?」
サイーブがマリュー達にそう問うが勿論、否と答える。
「先程も言った通り、彼は訳ありなのです。詳細は信じてもらえないので伏せますが私達は彼に助けられています」
「……まあ、良いだろう」
動揺が収まらない明けの砂漠だが、なんとか話を続ける。
カガリと呼ばれた少女は、怒り半分、困惑半分でグエムを見上げていた。
コクピットからでもそこそこ目立つ金髪のボーイッシュな少女を発見していたグエムは思う。
「アレが、お転婆姫……」
目にすることが出来た事に対する興奮と、これから起きるだろう無鉄砲な行動にグエムは思わず額に手を当てて溜息をついた。
ーーー
日が落ち、砂漠に夜の暗闇がやって来ようとしていた。
アークエンジェルは明けの砂漠が基地として利用している場所でこれまでの戦いで受けた損傷を修理しつつ、羽を休めていた。
無論、夜になるまでにアークエンジェルにカモフラージュ用のシートをモビルスーツで被せたりしているのだが、それはどうでもいいだろう。
「お疲れ様、キラ」
「はい、お疲れ様ですグエムさん」
グエムはキラの顔色を見ると、まだ少し暗いが少しずつ前向きになっていると感じた。
もし、時間稼ぎに失敗してジョージ・アルスターが死んでいれば、フレイによって原作のようになっていただろうか?
そんな考えが横切るがすぐに振り払って彼に肩を組む。
「あう!?」
「少し外を歩こうぜ、キラ」
「えっ、でもラミアスさんからは艦内で待機って……」
「いいのいいの。都会育ちには砂漠なんて人生に何度も見れるもんじゃないしな。それに叱られても俺が責任取るからさ?」
にへら、と笑って誘うグエムにキラはそれもそうかと考え、同時にグエムに若干申し訳ないと思いつつ彼の配慮だと感じてついていくことにした。
ザッ、ザッと砂を踏みしめ丁度いい岩の上に二人は座って夕日が砂海に沈む所を見ていた。
「自然って雄大って言うけど、本当にそう思わないか?」
「……多分、僕もそう思います」
ちなみに、連合軍の制服を着た二人が目立たないはずもなく、たまたま見かけたカガリが岩陰に隠れて二人の会話を盗み聞きしていたりするのだが二人共気付いていない。
「こんなのを見ると、人が死ぬのがまるでくだらないことのように感じるよ。世界にとって俺達はちっぽけでいなくてもいい存在なんだって」
「…………」
「……人を殺した事を気に病むな、と言うには君は優しすぎて無理か。でも、全く気にしないよりは良い」
「えっ…」
「なんだよ?まさか俺やムウが非情な戦闘マシーンとか思ってた?悲しいなぁ」
そう言って悲しむグエムにキラは「違います!誤解です!」と慌てて訂正する。
それにグエムは笑い、それがフリであったことにキラは無言でポカポカとグエムの背中を叩く。
「ハッハッハッ!まあなんだ。改めて不殺っていうのは難しいだろ?」
「…はい」
叩くのを止めて姿勢を正すキラ。
彼はまだ子供だから、理想を語りそれを実行しようとする。
それは良い、ただそれをする場所が違うのだ。
とはいえまだ戦場の空気に慣れない彼にはそう言っても納得できるものではないだろう。
だからグエムはゆっくり彼と会話して少しずつ、戦士としての心構えをキラに教えていこうと考えていた。
無論、原作通りに不殺を貫くようになってもグエムとしては「原作の修正力か……」と思うだけで、それを強要するつもりはない。
「戦争ってのは殺し合い。だけどこの戦争はまるでお互いを滅ぼすまで続ける種族間戦争だ。これからキラはコーディネイターであるにも関わらず、コーディネイターを殺す英雄として祭り上げられるかもしれないし、むしろ恥だと言われて排除しようとしてくるかもしれない」
「ッ…!」
いきなり怖い話を持ち出されてキラは背筋に冷たいものが流れるが、それは盗み聞きしているカガリも同じである。
何も知らなかった、流されてストライクに乗ったヒョロガリがそんな目にあうなんて考えもしなかった。
「不殺をするな、とは言わないよ。けれども、時に不殺っていうのはさらなる憎しみを育てるんだ」
グエムの脳裏に浮かぶのは沈むムサイから放り出された兵士達。
そして、救難ポッドを連邦のモビルスーツ【ジム】に撃ち抜かれる光景や救助が間に合わずモビルスーツという殻の閉じ込められたまた、爆炎に消えるゲルググが思い浮かぶ。
それだけではない。
損傷が原因で機体が帰還前に爆散して目の前で死に様を見せられて発狂する友軍機だっていた。
記憶に蘇るア・バオア・クーでの戦いは、宇宙の地獄だった。
そして武装がなくなったモビルスーツ隊の最後の意地とばかりに、サラミスやジムに特攻する大馬鹿者達。
嫌な記憶を思い出す事で表情にもそういったものが出ていたからか、キラが心配そうにグエムを見ていた。
「ああ、すまん。とにかく、不殺であるのは構わないよ。けれども、不殺の使い所を間違えるなよ。命をかけた場所に殺したくないなんて言いながら戦われたら、相手としては殺意しか芽生えないし、それで味方が死ねば全部お前のせいだって憎悪を向けられるんだ。それを全部背負い込める、なんて思うなよ」
「………」
「割り切れ、といって割り切れるなら苦労しないよな……」
「でも、こうして話せただけでも気が楽になりました。ありがとうございます、グエムさん」
会話が終わり、アークエンジェルに戻る二人。
「ひぇぇ。さみぃ…」なんてグエムが漏らしつつ、駆け足でアークエンジェルに戻る二人を人知れず見送るカガリはグエムに対する印象が変わっていた事に気付く。
「まるで、兄貴みたいだな。グエムって奴」
義手義足という、異様な姿を始めた見た時は哀れんだ。
だが、それでも今のように歳下に気を使える所を見ると本当にそう思えてしまうのだ。
尚、一人で外に出ていたことをキサカに軽く説教されるのは別の話。
ー深夜ー
砂漠という土地柄あって砂漠の夜は夜目がきくものでも見通しづらい夜の闇が、彼らに纏わりついていた。
しかし、視線を上に向ければそこは美しい星々の煌めきが見れた。
アークエンジェルの甲板でそれを見ながら横になっていると、グエムの横に三つの人影が見える。
「ここで何をしてるんです?」
「あ、ラミアス艦長。どもっす」
「おいおい。俺達も忘れちゃ困るぜ?」
「ムウにバジルール中尉も……」
明けの砂漠とのコンタクト時に、グエムが険しい顔付きで明けの砂漠を見ていたことは三人にとって印象深かった。
それ故にサイーブとの協力関係を結んだ後にグエムの所在を聞いてここまで来たのである。
尚、有名な「やめてよね」のイベントが潰れた今、グエムは星空を見つつ前世でのそのネタを使ったイラストなんかを思い出してニヤけていたのだが表情筋が死んで口だけ口角が上になってる状況は、割とシュールであるが。
それはさておき、理由を問われたグエムは寝そべり直して答える。
「星空を見てるだけですよ。宇宙じゃいつでも見れるけど、地球で見る星空は中々ないだろうし」
まあ、寒いから毛布めっちゃ巻きつけてるんですけどね、と付け足すグエムに苦笑する三人。
「でも確かに、軍に入ってからは夜空なんて見なくなってたなぁ」
「確かに……たまには見上げるのも良いわね」
懐かしむムウとマリュー。
ナタルにも同意を求めると、ナタルは「そうですね」と珍しく穏やかな表情を浮かべていた。
彼女にとっては幸いなことに、砂漠の暗闇でその表情は見られなくて済んだが。
恐らく、見られていたらムウに弄られていただろう。
少しばかり、長閑な雰囲気の下で夜空を見ていた四人。
だがそんな雰囲気を霧散させる無粋な報告が、マリュー達に届く。
「明けの砂漠が町の方に行った?」
そう言われて言われた方向に視線を向ければ、暗くも赤い光源が見えた。
グエムは穏やかな時間ももう終わりか、とガックリ肩を落とすのだった。
兄貴分としての地位を確立しつつあるグエム君。
あれ、初っ端の頃はなんかこう、荒んだ感じのキャラだった気がするんだけどなぁ……
まあ無問題!()
やるって言っときながら曇り成分が足りないし、バルトフェルド隊長達にはめちゃくちゃ曇ってもらおうかな……
読了ありがとナス!