機動戦士ガンダムSEED ー霹靂の鬼は悪魔になれるか?ー   作:単眼駄猪介

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皆様はケバブを食べた事があるでしょうか?
自分はないです。
自分が住んでいるところでは見かけないので、どんなもんか気になるけどソースかけるならヨーグルトソースかな……(辛いの苦手)

ちなみに前話で漏らしたアンチ云々はぶっちゃけいるならちょっと嬉しくもある(笑)
創作ってアンチできてナンボって所ありますしお寿司。
まあ、それはそれとしてじゃあアンチしてるのになんで見てるんだって思うけども。





ケバブ

 

 

兵士は常に戦場に身を置くものだ。

だが、兵士とて人間であり娯楽に興じたり息抜きにフラフラと遊びに出かける事も必要である。

とはいえ、息抜きする場所が敵地のど真ん中というのは中々気が休まらないと思うが。

 

「まあ、流石にあんまり化粧品はないよね……」

 

「ミリアリアにできたらとだけあるし、申し訳ないけど我慢して貰うしかないな」

 

砂漠の虎が治める市街地で、キラ、カガリ、グエムの三人は買い出し兼息抜きに来ていた。

 

「俺はやった事ないけど男性でも肌のケアはするもんだし、最低限の物だけでも買ってあげたいな…」

 

「トールに可愛いところ、見てもらいたいと思いますしね」

 

「お?言うようになったな」

 

「おい!仲が良いのは良いけど、あんまりくっちゃべるなよ!?」

 

彼らが買い出しに来ているのは先日に起きた町の焼き払いによって食料や日用品がなくなり、それらを補充するためである。

義手義足のグエムはキラとカガリの保護者的立場に収まり(本人は苦笑いだった)目立たないように長袖の衣服でこの場にいた。

そんな彼は少しその時のことを騒がしく目的のものを探す二人を見ながら振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー約12時間前ほどー

 

 

 

 

「クソッ!町が焼け野原だ!」

 

明けの砂漠は焼き払われた町に絶望する。

家族が、恋人が、親がいる町を焼かれた。

だが、ムウのスカイグラスパーによる住民の発見によって彼らは一先ずは安心した。

話を聞けば事前通告があり、町民達は驚き慌てつつも避難を開始し告げられた時刻通りに町は破壊されたという。

しかし、着の身着のまま町から避難した上に貯蔵していた食料や弾薬は燃やされて明日の食うものすらなくなってしまった。

念の為とスカイグラスパーについて来たサイコ・ザクは、最初は避難民達に驚かれ警戒されたがVサインをすることで一躍子供達の玩具となった。

手に乗せて少し高い所に上げたり、機体のあちこちを探検する子供達にグエムは微笑みつつ、論争をするも強硬な姿勢を崩さない明けの砂漠の面々が軍用車両に乗り、追撃をかける姿にグエムは呆れる。

 

「本当に、御大層な思想だこと」

 

何が支配者からの独立だ、自由だ。

結局、ソイツ等がいなければ成り立たぬ人生だというのに。

グエムは哀れみというよりも、侮蔑の目で彼らを見ていた。

しかし、ここでカガリが死なれては困るのでムウに「俺が奴らを止めてきます」と言って機体を走らせる。

 

 

 

そこから先はまあ……お察しだろう。

明けの砂漠の男達は無駄死にをして、損だけして終わった。

この際に、ストライクも出撃して大事はなかったがそれでも流石は砂漠戦に慣れた兵士達。

サイコ・ザクの機動力をもってしてもバクゥとの戦いはキツく、グエムはキラが来なかったら損傷をもらっていたかもしれないと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー時は戻るー

 

 

そんな事があってここにいる。

グエムは場違い感を感じつつも、二人の関係に微笑ましく感じた。

真反対な性格で、しかしどことなく似ている二人。

その理由を彼らが知るのは先の話になるのだが、教えたくなるなぁ、なんてグエムは考えていた。

 

「もし、少しよろしいですか?」

 

「ふぇ?なんだ?」

 

そんな彼に誰かが声をかけてくるなんて思いもしなかったので、変な声を出しつつ声から女性であるだろうフードを深く被った人物に視線を向ける。

フードの裾から漏れ出るようにロングの金髪が太陽の光に照らされて眩しく感じるグエムは、素人目でも手入れされているのだなと感想を漏らす。

 

「綺麗だな…」

 

「え?」

 

素っ頓狂な声を出すのは今度は相手のようだ。

グエムは苦笑いしつつ、顔を隠すということはそう言うことだろうと考えてキラ達に一言伝えて彼女についていく。

誘うように路地裏に入ったのを見ていたからだ。

路地裏の誰もいない比較的静かな場所で立ち止まった女に、グエムは問いただす。

 

「それで、俺になんのようだ?」

 

声をかけられるということは既に正体がバレているか、もしくは隠しているこの義手がバレたか。

どのみち、面倒臭いことになりそうだと思っていたグエムだが女の答えに思っていたものとは違い、肩透かしをくらった気分になる。

 

「貴方宛に、ちょっとした贈り物です」

 

そう言って手渡してきたものは手紙。

「では」と言ってその場を立ち去る女に戸惑いつつ手紙を開けて見ると、その内容は自身の事についてとサイコ・ザクについてだった。

 

「……ムルタ・アズラエル」

 

差し出し人の名前を見ると、グエムは苦笑いを浮かばざるを得ない。

やはりというか、コンタクトを取ってきたのは想定内であるのだが流石は商人というべきか。

サイコ・ザクの装甲材や使われている動力についても追求されており、なんなら核融合炉の可能性を予想している。

コーディネイターによって掠れているようで、その実、天才ともいえるその商才は伊達ではない。

 

改めてアズラエルの凄さに気付いたグエムだが、正直本人がいる上での交渉を考えている為、手紙に記された場所に行くことはない。

それよりも、さっきの女性についてもグエムは気になっていた。

どこか変な感じがしたのだ。

以前にも聞いたことがあるような声で、それがどこだったか悩んだが結局思い出せずキラ達に合流することに決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケバブはチリソースが一番だ!」

 

「いやいや!ケバブはヨーグルトソースをかけてナンボだよ!チリソースなんて外道な!少年、ヨーグルトソースをかけたまえ」

 

「何やってんの…」

 

「ぐ、グエムさん…」

 

キラ達がケバブ屋にいたので、そちらに行くと既にケバブソースの論争を始めていた。

カガリとサングラスをかけた男とのケバブにかけるソースの話で喧嘩する姿は本当にシュールだ。

何故なら、その男は――

 

「「ああー!?」」

 

そんな事を考えている内にチリソースとヨーグルトソースがごちゃ混ぜになったケバブが、キラの前で爆誕したのだった。

 

「ありゃ……キラ、本場のケバブはソースなしで食うらしいから、俺の食いな」

 

「え?あ、いやでもせっかくだし食べてみたいです」

 

「ハッハッハ!それならそれでいい!」

 

ケバブは皆で美味しく食べる。

それが一番なのだ。

既に買っておいたケバブを口に含みながら、美味いと独り言ていると、一人の男が現れる。

 

「蒼き清浄なる世界の為にー!」

 

「敵かッ」

 

アサルトライフルを手にした男が、コズミック・イラといえばな台詞を吐きながら乱射する。

 

「死ねぇ!コーディネイターッ!」

 

コーディネイターへの恨み節を叩きながら攻撃する奴らに、グエムは自前の拳銃で撃ち返す。

グエムは義手義足の身体だが、初めてでも白兵戦くらいこなせなければあの地獄は生き残れない。

 

「フンッ」

 

パンッ、パンッと拳銃が火を吹き、最初に撃ち始めた男を射殺する。

 

「やるねぇ」

 

「ちぇ、ヘッドショット狙った筈なのに目ん玉に当たってらぁ」

 

褒める男に鈍ったかな、と当て勘の修正をしなければと予定を立てるグエム。

一般客もいる中、無差別に放たれる弾丸は次第に、一般客に変装していたのだろうザフトの兵士達によってまばらになっていき、鎮圧されていく。

 

 

暴徒は【ブルーコスモス】と言う元は環境保護団体である組織の一員……であるかどうかはともかくとして、反コーディネイター感情を煽るあまり良い噂がない組織である事には違いない。

そして、ブルーコスモスの象徴たるスローガン【青き清浄なる世界の為に】という言葉はもはや宗教を連想させる。

故に容赦などある訳もなく、キラが拳銃を投げて気絶させた奴の足を撃ち抜く。

 

「ぎゃあっ!?」

 

「おいおい、それは少しやり過ぎじゃないかね?」

 

男……いやバルトフェルドがそうグエムを諌める。

 

「寝たふりで後ろから撃たれたくないのでね。それに俺のケバブを台無しにしてくれやがった礼です」

 

その返しにバルトフェルドは苦笑するしかない。

グエムから視線をキラとカガリに移し、彼は「あちゃー」と漏らす。

 

「これはこれは……うちに来て綺麗にしよう。不可抗力とはいえ、巻き込んでしまったコチラとしてはそれくらいしないと申し訳がない」

 

「べ、別に私は平気だ!」

 

「平気じゃないだろ。そんな姿のままで帰ったら明日はチリソースとヨーグルトソースの臭いがしそうだ」

 

「なにー!?」

 

平気だと言うカガリにグエムが茶化す。

その言葉に軽くブチ切れるカガリだが、結局の所、バルトフェルドの温情にあやかる事になった。

 

 

 

 

 

ー数分後ー

 

 

「アイシャ、帰ったぞ」

 

「お帰り、アンディ。あら?お客さん?」

 

隠す気のない軍用車でバルトフェルドの住んでいる屋敷に連れてこられたグエム達は、屋敷の中に入るとアイシャと呼ばれた女性が迎え出る。

 

「こちらの不手際でね。この子を綺麗にしてやるのと新しい服を用意してやらないといけないんだが……頼めるか?」

 

「フフッ……素材は良いから、楽しみだわ」

 

「えっ、ちょ!?」

 

あっという間に連れ去られていくカガリに、残されたグエムとキラはポカンとした感じで見送った。

 

「さて、僕達はゆっくりと待つとしよう。コーヒーは飲めるかい?」

 

「あ、じゃあ一つお願いしよう」

 

「ほう、若そうなのに舌が肥えているのかな?」

 

「不味いのを何度も飲んだことがあるんで、よっぽど酷くなきゃ飲めますよ。あ、彼にはジュースか水を」

 

「あ、すみません…」

 

「謝ることはない。君みたいな年齢はコーヒーよりもジュースの方が好きだろうしね」

 

オレンジで良いかい?と聞くとキラはそれで、と答えてコップを受け取る。

そして、コーヒーを淹れ始めるバルトフェルド。

 

「それで、ここに招いてどうするんです?バルトフェルドさん?」

 

「えっ!?」

 

「もう少しくらい待っていてくれても良かったのに」

 

テヘペロ、とでも言いたげな顔にグエムは本日、何度目なのか分からない苦笑を浮かべる。

 

「少なくともキラを驚かせるのには成功したみたいですよ」

 

気付けなくて致し方ないだろうが、とキラを擁護しつつグエムはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 





念の為、先に言っておきますがこの世界のアズラエルは男です。
某赤い悪魔さんの正妻みたいに行き遅れのビジネスウーマンではないです()

次回はバルトフェルドとの哲学問答……よっしゃ、バルトフェルドを曇らせれるぞ(ニチャァ)

読了ありがとうございました。

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