機動戦士ガンダムSEED DESTINY 虹を追う少年 1
「ようこそお越しいただきました。ギルバート・デュランダルです」
「ムルタ・アズラエルだ。こちらは護衛のキラ・ヤマト少佐。事前に通達してあるが、言い訳の準備は出来ているか」
「資料を用意してあります。こちらへ」
用意されたテーブルに置かれた資料に形だけ目を通す理事。前日のうちに本当の情報は全て吸い上げてある。ノルマの未達以外は問題無いと理事は判断しているが釘を差す意味でのパフォーマンスは必要だろう。護衛が大変だから勘弁して欲しいのだけどね。
「MSに随分とリソースが注がれているようだ。理事国からのノルマを無視して」
「申し訳ありません。しかし、先日のブルーコスモス過激派の物と思われるテロにより市民が不安を感じておりまして」
「隕石群による攻撃は聞いている。だが、態々最新鋭のザクを揃えずともザウートやガズウートで良いと私は考えている。コロニーの防衛だけならな。それとウィザードシステムだったか。それの早期警戒用の物を開発、量産したまえ。それこそが今の君たちに必要な物のはずだ。あとは、重機としても使うのだな。ドリルやコロニーの補修用工具などを用意するのだな。本来MSはそういう意図で作られたものだろう。我々のように、正しく扱いたまえ」
露骨に言わないだけでまた戦争がしたいのかと問いかける理事。答えは是。だが、表面上は否定するデュランダル議長。単純な復讐ではなさそうだが、キナ臭い。情報部に調べさせた方が良いな。
その後もチクチクと嫌味とNT能力で情報を抜いていく理事。それが半日ほど続き、翌日はアーモリーの工廠を視察することになって解散となる。
ホテルを用意してあると議長に促されるが、敵意に満ちた場所で休む気はないと断った。今も部屋の外に居る議長の護衛から殺意が感じられる。
苦労を知らないコーディネーターらしさ全開だ。閉鎖環境の弊害だな。それにテロがあったにしては呑気な空気が広がっている。面倒が起こりそうだ。
アザゼルに戻り、ブリッジに上がってナガイ艦長に報告を上げる。ナガイ艦長がため息を吐きながら理事に報告する。
「情報部からの報告ですが、何らかの特装艦がダイダロス基地からプラント方面に出港したと。現在、特装艦はロスト。おそらくですが、ミラージュコロイド装備だと思われます」
頭が痛くなる報告に理事も目頭を押さえる。
「到着予測は?」
「最速で明日の早朝。遅くとも明日の夕方には辿り着くはずです。それから、ザフトが内密に製造している新型MSとそれの搭載艦の内々の進宙式が明日行われる模様です」
駄目だ。これは襲撃が確実に起こる。向こうでもこちらでも実績がある。
「明日、我々がアーモリーの視察に向かった後に第1種警戒体制を発令。アザゼルはアプリリウスで待機だ」
理事が指示を出す。下手にアーモリーにアザゼルを移せば港でやられる。
「来ますか?」
「来る。G兵器の意趣返しもあるだろう」
そう説明すればナガイ艦長も嫌そうな顔をして納得してくれる。
「そんなに戦争がしたいんですかねぇ?」
「戦争はただの手段だな。目的はコーディネーターの抹殺。奴らにはそれしか考えがない」
ブルーコスモスの過激派はそれしか考えがない。倫理感どころか利益すら度外視で行動する。嫉妬と恐怖から。滅ぼさなければ、自分達が滅ぼされると本気で思っているのだ。
「MS隊もスタンバイさせておいて欲しい。視察中に襲われたらオレの機体も誰かが誘導して運びこんでくれ」
「シンに任せます。事前にアーモリーに運び込ませます。混戦が予想される戦場が初陣は不味いでしょう。最悪、ザフト側にも襲われるんですから。想定されるMSは?」
ユーラシアのMS開発事情と今回の作戦内容から想定されるのは
「最低がダガーⅡ、ですがこれはまずあり得ない。アクタイオンプロジェクトの機体の可能性が高いでしょう。最上でハイペリオン改だと思います。最悪全機ハイペリオンも考えた方が良い」
「アルミューレ・リュミエール持ちが相手ですか。厳しい相手になりますね」
「対応装備は積んでいないのか?」
理事の質問に艦長がすぐに答える。
「ユーラシア相手を想定していませんでしたからそれほどありません。ハイペネトレートレールガンが2丁だけですね。特殊弾頭のマガジンも4つです」
「積んであるだけマシだな。運用はどうする」
2丁しかないのなら射撃の上手い奴に回すしかないな。
「アオイとエディに回します。中は、まあなんとかしますよ」
ビームサーベルだけでもやれないことはない。
「頼むぞ、ヤマト少佐」
ええっと、ユーラシアと交戦中にプラント地上自治区に接近。警戒のために臨戦状態のザフト機が接近。ユーラシアの流れ弾がザフト機に命中した際の正しい行動は?
自治区は全部大西洋連邦の元、自治を認められてるから、いや、軍事協定の方はどうなっていたっけ?先に通達してなかったら無視されるんだっけ?ってことは、作戦前に確認をとった上で通達して、協働する?あれ?領域外だから侵攻扱いになる?
わかんねえ!士官教育ってこんなに難しい物なのかよ。MSの教練なんか目じゃないほど難しい。けど、合格しないとナガイ艦長とヤマト隊長に迷惑がかかる。亡命とか入隊とかで結構無茶して貰ったから、これぐらいで転ける訳にはいかない。
教本データを呼び出して状況に照らし合わせる。えっ、交戦規定がどうなるかは戦時協定次第?前大戦では協定が結ばれていないから現地指揮官の匙次第!?嘘だろ、テロリスト扱いでそもそも捕虜として扱われないから虐待がないとか。本気でルール無用の殺しあいをやってたのかよ。
うわ、パトリック・ザラ、本当にテロリストとして裁判を受けてる。なんでそんなことになってるんだよ。解説が欲しい。ネットで探せば何か出てくるだろ。
ええっと、あった。大戦直前、プラントは理事国の領土として扱われており、自治区ですらなく、評議会は管理が任されていただけで、プラントの住民は理事国に戸籍が置かれており、独立を目的に起こした紛争として処理。
現在は賠償問題を簡易にするために期間限定で独立させている。これは理事国が世界中に散らばっており、大西洋、ユーラシアなどの大枠では両者が戦争をしていたようになってしまうため、それを避けるために独立させて賠償させている状態なのか。
うん?ならこの例題だとどうなるんだ?ユーラシアからの攻撃だからザフトが反撃に出るのは大丈夫。戦闘領域の拡大はダメだけど、大西洋側が押し広げた場合は、えっと、あった、最初の状態か、自治区内に押し込まれた場合のみOKか。指揮系統は別々だけど、大西洋連邦側の指揮官が本国に連絡を入れて、そこから自治区側に通達が行けば指揮系統が統一されることはある。だけど、兵士としての質は低いので言うことを聞くかはわからない。その場合は自治区側に責任を取らせることになるのか。
結構厳しいけど、それが戦争に負けるってことなんだよな。お互いにボロボロならまだしも連合側には余裕があったから。
その余裕を生み出したのがアズラエル理事か。本人はナチュラルなのにコーディネーターに負けないぐらいに優秀で、MSの操縦技術ではヤマト隊長に匹敵するんだよな。あと、ヤマト隊長以外で唯一プラス系の特殊兵装が使えるんだよな。金持ちでイケメンで権力も持ってて幸せそうな家族も居て、完璧超人って人だよなぁ。何故かヤマト隊長と仲が良くて、その縁もあって今のオレがあるんだけど、ちょっと複雑。
オーブも戦争で酷いことになってる。中立を謳って、色々な勢力に武器を売るだけに留まらず、核運用を目的とした条約を無視したMSを開発して、ユーラシアにそれを咎められ、戦争を仕掛けられた。それに負けかけて、ユーラシアがやりすぎたお陰で大西洋連邦が介入できた。そのお陰でオレは今ここに居れる。
次の問題をしようと思った所で、爆発の振動が機体を揺らす。すぐにアザゼルから通信が入る。
『予想通り襲撃だ!すぐに隊長たちの元へ向かえ!』
「了解!イプシロン+との量子通信接続、HALOシステム起動、誘導を開始。シン・アスカ、デルタ・スカイ、行きます!」
オレのデルタを隊長のイプシロン+がMS形態で追ってくる。そのままアーモリー内に突入し、空中で隊長たちの合図を待つ。工廠の一部が爆発しているが、そこからガンダムタイプの顔をしたMSが3機姿を現す。あれが、ザフトの新型か。
「イプシロン+からデータが送られてきた!?無人なのに何が、マップ情報、くそ、合図ってこれかよ!」
原因は分からないけど、今の状況でマップ情報が送られるなら隊長たちの位置しかない。だけど、位置が悪い。HALOシステムに位置情報を送り、単独で移動させ、トリモチ弾を装填してきたバズーカを3機のガンダムタイプに向かって連射する。黒い機体がシールドで防ぎ、青い機体が肩部のアーマーで受け止め、トリモチが瞬時に固まり動きに制限をかける。デッドウェイトになったバズーカを残った緑色の機体に投げつけながらビームサーベルを抜く。
「コロニー内でライフルは使わせない!」
頭部バルカンで黒い機体のライフルを破壊し、緑の機体が切り離したバックパックの正体に感づいて持っていたサーベルとシールドを投げつけて撃ち落とす。そして緑の機体から放たれたビームライフルを左腕で受けてコロニーに当たらない様にする。
機体はまだ動く。システムが自動で左腕へのエネルギー供給をカットし誘爆を防ぎ、機体の動作を補正してくれる。問題はシールドを失い、有効な武装もサーベル1本でトリモチで動きが鈍っているとは言え、戦えるか?
それでも抵抗するために残っているビームサーベルを構え、上空から3機に降り注ぐビームを見て、上空を見上げる。そこには赤色のザクと白色のザクが次々とビームを放っていた。すぐにオープンチャンネルで怒鳴りつける。
「馬鹿野郎!コロニー内でビームを撃つなんて何を考えてるんだよ!こっちが気を使ってるってのに!」
オレの言葉にようやく気づいたのか、赤い方のザクの射撃が止まる。だが、白い方のザクの射撃は止まらない。それどころかグレネードまで投擲する。その時点でどういう目論見なのかは理解した。出来るだけ早く仕留めることで被害の拡大を抑えようとしているのだと。だけど、そのせいでまだ生きている人間が死んでいく。
段々怒りが込み上げてくるのを押さえつけるのが大変だ。そんな状態も、コロニーに大穴が開くことで落ち着く。たぶん、陽電子砲による物だと思われる砲撃で。大穴から空気が流失し、それに引っ張られるのをスラスターを全開にして踏ん張る。それでも腕を喪失したことでバランスを崩しかける。
『シン、掴まれ!』
そこへ隊長のイプシロン+がWR形態で飛んでくる。スラスターをオーバーヒートさせる覚悟で吹かせてイプシロン+に飛び乗り、牽引用グリップを握ってロックする。
「これからどうすれば?」
『アザゼルに帰投する。理事を降ろして状況を確認してからだ。デルタはどうだ』
「左腕以外は、スカイパックのスラスターがオーバーヒートしているだけです」
『初陣にしては上出来だ。判断も間違っていない。良い兵士になれる素質はある』
「ありがとうございます!」
港から外に出るとそこでは戦闘が続いていた。ザフト機の残骸が大量に浮かぶ中をビームの球が飛び回り、ビームマシンガンをばら撒いている。
「ハイペリオン」
『いや、観測されるエネルギー量が多すぎる。核動力か』
ハイペリオンが核動力ってどうやって止めれば。そう思っていたのだが、ハイペリオンの1機が爆散する。イータ・ロングの持つレールガンによる射撃のようだ。あんな武器があったのか。
『シン、装備ぐらいには目を通しておけ。専用装備って訳じゃないぞ』
「すみません、隊長。ハイペネトレートレールガンがあんなに威力があるなんて」
『対ハイペリオン用の特別製の弾丸だ。用意できたのは少ないが、抑えられるはずだ。だが、ザフトとプラントが不味い。コロニーを徹底的に狙っている』
『ヤマト少佐、私の事は良い。少しでも被害を抑えろ』
『ですが理事』
『構わん、やれ』
『ああ、もう!シン、アザゼルまで一人で戻れるな!』
素早くステータスに目をやってオーバーヒートが解消されているのを確認する。これなら大丈夫なはずだ。
「はい!」
『行け、こっちは何とかする。戦闘データは後で見せてやるから大人しく戻れよ』
イプシロン+から離れると同時に、隊長が一気にハイペリオンに向かって全速で飛び、傍でMSに戻ったと思ったら一瞬でハイペリオンが爆散した。
「えっ、何をやったの」
望遠で覗こうと考えたけど、大人しく帰れと言われた以上大人しく帰る。アザゼルは幾らかの被弾があったようだけど、問題なく戦闘を継続している。
「こちらデルタ・スカイ、シン・アスカ。着艦許可を」
『アスカ准尉、アズラエル理事はどうしていますか』
「隊長のイプシロンに乗っています。帰還するはずだったのが、理事の命令でそのまま交戦中です」
『ええ、理事が乗ったまま!?あっ、はい。艦長が話を聞きたいそうで、回します。それから着艦許可、右舷に着艦してください』
アザゼルの右舷の格納庫のハッチが開かれる。戦闘中だから自動着艦システムは使えない。相対速度を合わせて機体にも艦にも負担をかけないように着艦用のネットに包まれる。
『アスカ准尉、理事が乗ったまま戦闘をしているのは本当か』
「はい、通信記録をそちらに回します」
すぐに通信記録を艦橋に回して見てもらう。ナガイ艦長が頭を抱えているが、オレのせいじゃないし。
『状況は理解した。いや、状況は終了した。ハイペリオンは全機落とされた。ヤマト隊長もすぐに戻るそうだ。それと追撃命令も出た。ザフト側も最新鋭艦で追撃するそうだ。パイロットは第1種警戒態勢、整備員はすぐに動ける機体から整備と補給だ。艦の方はエンジン回りを優先。装甲板は適当でいい。武装は最後だ。急げ!』
艦長の命令に格納庫内が静まり返る。着艦作業を素早くこなすために所定の位置について全機を確認してから整備順を決めるからだ。次々とキマイラ隊の先輩方が戻ってくる。右舷側は全機戻ってくる。整備順が読み上げられていき、ギース先輩だけ呼ばれない。落とされたんだ。
『ギースはどうした!』
隊長が確認の声を上げる。
『コロニーを庇って機体は大破、脱出後に爆散。本人は軽症で現在は医務室です!』
よかった、生きてる。
『整備長、損耗度は』
『ハイペリオン12機相手に良く持った方です。ほぼ全機中破、シンのデルタがマシな部類です。すぐに出れるのはヤマト隊長だけです』
『ヤマト隊長のイプシロン+の補給を優先。武装の換装も急げ。修理はデルタとイータを優先。直援に当たらせる。イプシロンは後回しだ』
艦長の命令で整備が始まる。オレも機付きの整備員に消耗の報告と整備の注文を付ける。最後の踏ん張りで股関節辺りから異音がしているからそこを重点的に、左腕は肩からごっそり換装して貰う。
『シン、5分後に追撃に関するブリーフィングを始める。セッティングの要望を出したらそのままコックピットで待機だ』
「了解です。あっ、バルカンは弾を抜いておいて。ちょっとでも軽くしておきたいんで。シールドも小さい奴で。サーベルはこの試作のハイパーと予備でノーマルを。あとはビームライフル、それからスカイパックに追加の冷却材を積めないですか?オーバーヒートするまでが早くて」
「空冷式を強引に変更してるからな。0Gパックの方が使いやすいぞ」
「瞬間速度が欲しいんで。なんとか出来ないですか」
「今からじゃ間に合わん。追加の冷却材を積む。バランスは崩れるからOSを弄るぞ」
「頼みます」
セッティングを頼んだ後は隊長から送られてきたハイペリオンとの戦闘データを確認する。
WRで突っ込んで、バリアの発生器にビームサーベルを2本同時に同じ箇所に突き刺して発生器を破壊する。よし、ハイパービームサーベルを用意して正解だ。ノーマルと一緒に叩き込めば行ける。一気に飛び込むためのスカイパックもだな。
問題は的の小ささと、相手の武器なんだよな。ビームの垂れ流しか。隊長は綺麗に躱してるけどオレに出来るか?無理だな。こういう時は出来るものを引っ張ってくる。工作班長に通信を繋げる。
「ラファン軍曹、アンチビーム爆雷ってMSでも使えますか?」
『アンチビーム爆雷?何をやりたいかは分かったがこんな現場で出来ることじゃねえよ!精々自分で抱えて放り投げて使う程度だ。時限信管でな』
「余裕があれば1発を腰にお願いします」
『馬鹿か、シールドに括り付ける程度しか出来ねえよ。というか、MSが持てる程度の量なら追加の対ビームシールド程度に考えろ』
むぅ、良いアイデアだと思ったんだけどな。
『ブリーフィングを始める。総員傾注』
おっと、ブリーフィングが始まった。モニターにMS隊の面々の顔が写し出される。ギース先輩は医務室から参加している。
『現在、我々はプラントを襲撃したユーラシア連邦所属と思われる武装勢力を追撃している。大半の搭載MSを撃破したと思われるが、実際の所は不明だ。推定だが奪われた3機に加えて更に4機のハイペリオンが最大値だ』
うん、おかしくないか?戦場で見かけたアークエンジェル級っぽいのは大きさから搭載MSは12機だろう。けど、プラント宙域で既に12機落ちてる。無理矢理詰め込んでも14機、更に2機って。しかもザフトの新型を奪取するのに満載する物なのか?
『疑問に思う者も居るだろうが、奴らの目的は2つ、新型の奪取とコーディネーターに対する恨みを晴らすこと。つまり、特攻目的の者が居た。最初から帰還するつもりもなく、ただ一人でも多くのコーディネーターを殺すのを目的とした奴らが居たと言うことだ。そして傍受した通信から16機搭載してきたようだ』
なら全部で7機か。とは言え、こっちもぼろぼろだ。ザフトの方はどうなんだろう。
『ザフトの方だが期待するな。最新鋭艦だがアザゼルよりも足が遅い。既に距離が離れ始めている。MS隊も実戦経験の無いひよっこどもだけだそうだ。ハイペリオンの相手はさせられない。しかも核動力相手ではな。よって我々は露払いと足止めを行う。最低でも敵艦の足を奪う必要がある。ハイペリオンをアザゼルとオレ以外のMS隊で押さえ込み、その間にオレは足を奪いに行く。厳しい戦闘が予想される。各員、十分に注意しろ』
『整備班長よりMS隊に伝達。30分以内に行動可能なMSは隊長のイプシロン+、シン、ジュリア、トーマスのデルタ、キキンのイータ・ロングだ。その次にアオイのイータ・ロング、エディのイータ・ロングを予定。こちらは1時間以内だ』
『アオイとエディは後回しでイプシロンとアルファの整備を優先。数を揃えるのを最優先だ』
『了解しました』
アオイ少尉とエディ少尉は今回ハイペネトレートレールガンが使えないから後回しになるみたいだ。バリアが抜かれると分かってから集中的に狙われて疲弊もしてるだろうし、仕方ないか。
うん、あれ?進路が変わってる?他にも何人か気付いたのか首をかしげている。
『こちらキラ・ヤマト、進路が変わっているようだが何があった』
『アズラエル理事より追撃中止命令です。どうもザフト側の対応から援護は不要と判断された模様です。詳しくは艦長から説明があります。通信、回します』
対応の不備?この状況ならある程度は問題ないだろう?
『お疲れさん、急な変更で悪いなヤマト隊長』
『いえ、ザフト側の対応がどうしたのですか?』
『結論から言うと民兵もどきの為に犠牲は出せないとの判断だ。はっきり言えば私も奴らを味方と判断して同じ戦場には立ちたくない。これでレジスタンスならまだ我慢できたがね』
『それほどですか』
『ああ、アスカ准尉。この状況下での適切な艦内コンディションはなんだ』
いきなり話を振られた!?えっと、追撃中なんだから何時でも対応できるように
「第一種警戒体制、あるいは第二種警戒体制でパイロットは搭乗機で待機です」
『そうだな。その上で索敵網の構築まで出来れば尚良し。士官教育が完了していない准尉にすら分かることが奴らには分からんようだ。これでよく上位種等と言えるものだ。奴らには余裕と油断の区別が出来ないらしい』
12機のハイペリオンを見ていてそれはないだろう?
『恐らくだが、艦載機が奪取した3機しか残っていないと判断したのだろう』
そっか、そっちの可能性があったか。
『戦場でそんなぬるい考えの味方は味方じゃない。ハイペリオンとの戦闘中にそんな考えで動揺されて的になられても困るんだよ。幸い、理事も同じ考えだった為に追撃は中止して帰投することとなった。帰り道にユーラシアの連中が居ることはないだろうが、警戒は怠らん。偵察機を先行させながら第三種警戒体制。パイロットは順番に交代して休息をとれ。何もなければ9時間程で通常体制に移行する。以上だ』
『即応できるデルタ以外のパイロットはパイロットルームでの休息を許可する。班長、修理は先程の順で頼みます』
9時間か。3時間はこのままだな。セッティングは、このままで良いか。あっ、ビームカービンライフルだけ追加でマウントして貰っとこう。
はぁ?追撃に失敗したのは予想通りとして、ユニウスセブンが地球に向けて落下する軌道に乗った!?プラントの奴ら、ちゃんと管理しとけよ!
デルタ
ストライクの系列機。ストライカーパックの運用試験のために少量だけ生産された。運用にはアークエンジェル級が適当な為に戦後補充組が搭乗する。フェイズシフトムーバブルフレーム以外ほぼウィンダム。
スカイ・パック
大気圏高速飛翔用のストライカーパック。エールストライカーの発展型であり、航空力学に基づいた設計が行われている。武装類は付いておらず、完全に機動力の確保だけが目的のストライカーパックとなっている。宙間戦闘も可能だが扱いは劣悪の一言に尽きる。これを好んで扱うシンは注目の的である。
イプシロン
ベータの発展機。宙間戦闘用だったベータを地上にもセッティングの変更無しで対応できるようになった。またSFS機能の充実を目的に牽引用のグリップやワイヤーを装備している。
イータ
アルファの発展機。新換装システムであるジャケットアーマーの運用試験機。交戦距離に合わせたアーマーを着こむ形で運用される。ショート、ミドル、ロングの3つのアーマーを使い分ける。見た目は装甲を剝がされたナラティブガンダム。