それはそれとしてホシノ、俺たちサクサクになろう。
「ただいま。」
「おかえり、シロコせんぱ……い?うわっ ! ?何っ ! ?そのおんぶしてるの誰 ! ?」
「わあ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」
「拉致!?もしかして死体!?シロコ先輩がついに犯罪に手を……!」
「みんな落ち着いて、速やかに死体を隠す場所を探すわよ !体育倉庫にシャベルとツルハシがあるから、それを……。」
「……。」
教室に入るなり、蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。ついでに私は死体扱いされてしまう。
「あの、一応生きてます…」
「うわぁ!死体が喋った!」
(トサッ)
「いや……普通に生きてる大人だから。うちの学校に用があるんだって。」
「え?死体じゃ、なかったんですか……?」
「拉致したんじゃなくて、お客さん?」
「えっーと、うん。初めまして!」
私は元気よく挨拶をする。こういうのは第一印象が、大切だからね!
「わぁ、びっくりしました。お客様がいらっしゃるなんて、とっても久しぶりですね。」
「そ、それもそうですね……でも来客の予定ってありましたっけ……。」
なるほど、イマイチ私が誰か分かっていないようだね。
こほんと咳払いをして注目を集める。
「【シャーレ】の顧問先生です、よろしくね。」
「……え、ええっ!?まさか!?」
「連邦捜査部「シャーレ」の先生!?」
「わあ☆支援要請が受理されたのですね !良かったですね、アヤネちゃん!」
「はい!これで……弾薬や補給品の援助が受けられます。」
「でも私が噂で聞いてた先生と全然違うわよ?聞いた話だと先生は背が高くて顔が怖いって……」
(東先生だ……)
「ん……私が聞いた話は優しそうなおじさんって……」
(須藤先生だ……)
「あ、あはは。それは他の先生だよ。先生は何人かいるけど、【シャーレ】の顧問は私だけなんだ。」
「ふーん、よりにもよってなんだか頼りない先生が来たのね」
グサリと少女の言葉が胸に刺さる。
「セ、セリカちゃん……あ、早くホシノ先輩にも知らせてあげないと。あれ?ホシノ先輩は?」
「委員長は隣の部屋で寝てるよ。私、起こしてくる。」
ダダダダダダダダダッ!
「?!」
「じゅ、銃声!?」
突然前触れもなく銃声が響き渡る。
近くで、とかでは無い。明らかにこちら側……アビドスの校舎に向けて発砲している。
「ひゃ一っはははは!」
窓の外から恐らく襲撃者であろう者の高笑いが響く。
「攻撃、 攻撃だ! ! 奴らはすでに弾薬の補給を絶たれている ! 襲撃せよ ! ! 学校を占領するのだ!!」
タタタタタタタタタッ!!
「わわっ ! ?武装集団が学校に接近しています ! カタカタヘルメット団のようです !」
「あいつら……!!性懲りもなく!」
この子達の反応から見るに、手紙にあった襲撃者もあのカタカタヘルメット団のことだろう。
「ホシノ先輩を連れてきたよ !先輩 !寝ぼけてないで、起きて!」
「むにゃ……まだ起きる時間じゃないよ一。」
ホシノ先輩と呼ばれているピンク髪の少女は眠そうに目をこすっている。
「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃を!こちらの方はシャーレの先生です。」
「ありゃ~そりゃ大変だね……あ、先生?よろしく一、むにゃ。」
「先輩、しっかりして ! 出動だよ ! 装備持って ! 学校を守らないと!」
「ふああ一……むにゃ。おちおち昼寝もできないじゃないか一、ヘルメット団め一。」
……大丈夫なんだろうか?
「すぐに出るよ。先生のおかげで、弾薬と補給品は十分。」
「は一い、みんなで出撃です☆」
「私がオペレーターを担当します。先生はこちらでサポートをお願いします。」
「うん、分かった。任せて」
とにかくまずはカタカタヘルメット団をどうにかしよう。
私はシッテムの箱を取り出す。
「いよいよ出番ですね!先生!」
アロナが嬉しそうに言う。
「うん、それじゃ、任務開始だ。」
「カタカタヘルメット団残党、校外エリアに撤退中。」
「わあ☆私たち、勝ちました !」
「あははっ!どうよ 思い知ったか、ヘルメッ ト団め !」
「皆さんお疲れ様でした。学校に帰還しましょう。」
なんとかカタカタヘルメット団は撃退することに成功した。
が……
(ゾワッ)
な、なんだろう。なんだか、急に寒気が……誰か私の噂でもしているのかな……?
「……それで、須藤先生。」
冷ややかな声が電話越しでも怒りを主張してくる。
「佐藤先生がいない……その理由を教えて頂きたい。」
「ごめんね、東先生。」
この子は恐らく何を言っても許してはくれない。だからこそ正直に私は言う。
「失念してた。」
須藤先生(♂︎) 48歳
キヴォトス外では有名な政治家。温厚ではあるものの頭はよく切れるため、反対派から「狸親父」とよく言われていた
【大人とは子供達の未来を作る責任を負うべき】という理念に基づく