暴虐と平成とスライムがわちゃわちゃする話 作:Stuffing
「家臣と……」
「融合……?」
ソウゴが失くした変身アイテム――トリニティライドウォッチ。
予想の斜め上をいくその特殊効果に、リムルとアノスは顔を見合わせた。
「うん。俺の友達で将来は騎士団長になってもらう予定のゲイツと、あとなんかめっちゃ祝ってくれるウォズとね」
言いながら、ソウゴは仮面越しに遠い目をした。
「懐かしいなー……最初の頃とか、俺が変身するたびに祝ってくれたんだよね」
「祝え! 全ライダーの力を受け継ぎ、過去と未来をしろしめす時の王者――その名も仮面ライダージオウ。今まさに未知なる異世界へと降臨した瞬間である!!」
「――って感じで」
「ふむ。なかなかどうして面白い男だな」
「でしょ? それに結構強いしね。……ぁ、でもアノスにはあげないよ」
「案ずるな。俺には
「そこまで私を大切に思ってくれるとは嬉しいね、我が魔王。――それはそれとして魔王アノス、私のこれは芸じゃない。覚えておき給え」
「直属の聖歌隊がいるの?! すごい、羨ましいなー」
「クフフ、これは私たちも負けてはいられませんね。早速リムル様の素晴らしさを讃え祝福する聖歌隊を結成しなければ――」
「…………から来た」
盛り上がっていた一同が、リムルの呟きで一気に静まる。
「
「おい、そこのマフラーしてる奴!」
びしっ、とスライムの指先がソウゴの背後を示す。
何食わぬ顔で平然と彼とアノスの会話に紛れ込んだ、どこかパンクなカーキ色に身を包む謎の青年がそこに居た。
「私の名前はウォズ。我が魔王――常磐ソウゴの忠実なる家臣さ」
「お前かよ! ……で、どっから入ってきた?」
この執務室は
「我が魔王がこの世界で初めて変身なさったんだ。その祝福とあらば私が来ない理由もないさ」
「
「まぁ、ウォズのマフラーって瞬間移動できるからね」
「便利なマフラーだなオイ!!」
何気ないソウゴの呟きに、うち空間転移対策ってしてたっけ――と思わず頭を抱えるリムル。
「リムル様、ご命令とあらば排除致しますが――」
「……あ、もういいよ。別に」
ついさっきまで嬉々として『テンペスト聖歌隊』なるものをフルスロットルで考案していた自身の執事――原初の黒ことディアブロの発言に、もはや「考えるのやーめた」モードのリムルなのであった。
「――あ、そういえばウォズ、トリニティライドウォッチ知らない?」
いつの間にか変身を解除していたソウゴが、何気ない風を装ってウォズに問いかける。
「確か失くした、と言っていたね。恐らくだが、最低でもこの世界のどこかに私とゲイツ君が揃わないと使えないのだろう」
「じゃあ、ゲイツとツクヨミは……」
「残念ながら、こちらに来てからは見ていないね」
「……そっか」
どことなく沈んだ面持ちでソウゴが呟いた。
それも仕方ないか、と冷静さを取り戻したリムルは思う。聞けばソウゴは19歳、少なくともリムルのいた世界からすれば未成年である。自分一人で知らぬ世界に飛ばされ、頼れる家臣(友達?)も行方が知れない状況――不安になるのは当然のことだろう。
「だがウォズはこちらの世界に来ているのだろう。ならばお前の配下もこちらに来ていると考えてもいいのではないか?」
「アノス……」
泰然とした態度を崩さず、アノスが可能性を口にする。
「……うん、そうだね」
正直に言って根拠は薄い。
だが、その力強い言葉にソウゴは元気を取り戻したようで。
「うん――なんか、いける気がする!」
立ち上がったその表情は、晴れやかな自信に満ちていた。
その背後で心做しか安心したような柔らかい顔をするウォズと共に、リムルも内心でほっと息を吐いたのだった。
「それにな、ソウゴ」
晴れ晴れした顔で座り直したソウゴに、アノスが続ける。
「存外、お前の配下と俺の配下がこの街のどこかで会っているやも知れぬぞ。俺の配下は皆面白く気の良い連中だからな。悪いようにはするまい」
すると、そこで何かに気付いたようにソウゴが顔を上げた。
「……そういえば、アノスの配下の話ってまだ聞いてない気がする」
「ああ、確かに」
言いながら、リムルがどこか悪ぶった声を上げながらソウゴを見る。
「俺としてはゲイツ君と、あとツクヨミって子の話も聞きたいんだけどなぁ……」
「全然いいよ! ぁ、じゃあさ、配下トークしない? 王様のあるあるとか聞きたいし」
「では、私は茶と茶請けを持って参ります。シュナ殿に頼めばあるかと」
「なら私も同行しよう。我が魔王を楽しませる茶請けがあるか見極めねばならないからね」
「ねぇウォズ、それ自分が食べたいだけなんじゃ……」
騒がしくも楽しげな魔王達のお茶会は、夕飯の支度を終えたシュナが改めて呼びに来るまで続いたのだった。
あんまコメディ出来てないな……ギャグって難しいね。
次回、魔王様たちは一回休み。