魔族少女のエロタナティブ   作:アナリザンド

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追う者。追われる者

 

 

 

 時はわずかに巻き戻り、フリーレンと受験生たちが対峙しようとしていた頃。

 

「頃合いだな」

 

 老獪なる魔法使いデンケンは、湖のほうに出現した強烈なる魔力(におい)の主――フリーレンを木立の影から眺めつつ、すぐ近くのパーティメンバーに向けて言った。

 

「時間って、エルフ狩りの?」とラオフェン。

 

「どうするんだ。デンケン」

 

 周りに続々と集結しつつある、魔法使いたちの姿を横目にリヒターが言った。

 

 さきほど、フリーレンから放たれた雷撃は、大気を揺らし、朝早くから寝入っていた小動物や小鳥、あるいは魔物たちですら呼び覚ました。空高いところでは、屍誘鳥(ガイゼル)がゆっくりと旋回し、獲物を狙っている。

 

 フリーレンが強敵なのは、魔物ですら理解しているらしく、狙われているのはもっぱら、他の受験者たちのようである。

 

「フリーレンを倒す? 時間と労力の無駄だ。言っただろう。漁夫の利を狙うと」

 

「じゃあ、みんながやられたあとに、手傷を負ったフリーレンを倒すとか?」

 

「みな、頭に血がのぼっておる。あの伝説の魔法使いフリーレンに手傷を負わせることができるとは思えんな。それよりも、フリーレンがここにいるということは、パーティ全体としては、なんらかのシュティレを捕獲する算段がついたとみるべきだろう」

 

「カンネと、あとひとり誰だっけ」

 

「ラヴィーネ。三級魔法使い。魔法学校出身の確かいいとこのお嬢さんだな。そいつの生家から時々、魔法具の点検依頼がくる」とリヒター。

 

「オッサンって、まさか女学生好きなストーカーだったりする?」

 

 ラオフェンが、リヒターから身をひく姿勢をとった。

 ついでに、顔つきも引いている。

 

「誰がストーカーだ。誰が。それに俺はまだオッサンと呼ばれる年齢じゃない」

 

「オッサンじゃん」

 

「……オッサンか」

 

 オッサンと言われて、リヒターはちょっぴり傷ついていた。

 30を超えたくらいの彼は、ちょっぴり微妙なお年頃なのである。

 魂的にはまだまだ若者と思いたくもあるが、そろそろラオフェンのような、本当の若者とは異なる次元に住んでいることに気づきつつあり、そして認めたくもない年齢なのである。

 

「カンネとラヴィーネならば、儂らであれば容易くシュティレを奪えるだろう。フリーレンのように真の実力を隠しているということもあるまい」

 

「爺さん。フリーレンの真の実力って? 今だってすごいけど」

 

「気づかんかったか? 魔力制限だ。わずかだが魔力に揺らぎがある」

 

「HUDで見た感じだと、魔力数は100前後だよ。あれ? 魔力が全然減らない?」

 

「HUDは便利だが完全ではない。道具に使われすぎるな。ラオフェンよ」

 

「ふうん」デンケンの薫陶に、ラオフェンは不思議そうに肩をすくめた。

 

「デンケン。あてはあるのか?」

 

 湖から引き返し、森の中に再び歩んでいるデンケンに対し、リヒターは声をかけた。

 いま、この森の中には魔物の気配が充満している。魔力を持った生物も多数いる。

 

 ついでに言えば、焼肉臭が、魔力の粒子のように広がって、薄くバトルフィールド内を覆っている状況だ。

 

 その言わば、ヤキニクスキー粒子が、HUDを静かに狂わせている。たとえHUDを使っても、カンネやラヴィーネが人並に潜伏できれば、見つけ出すのは容易ではない。

 

「他の生物が、焼肉臭くなったのは、北西の方角だっただろう。フリーレンはそちらの方角から中心の湖に向かい、途中でなんらかの方法を使い、臭いを遮断したと考えられる。臭いの中心であるフリーレンからできるだけ離れようとするならば、そこから南西へ向かった可能性が高い」

 

「つまり焼肉臭くない場所を狙えばいいってわけか」ラオフェンが結論に辿りつく。それから思いついたように「爺さん。試験終わった後、高級焼肉の食べ放題おごって!」と言った。

 

「よかろう。だが野菜も食べんといかんぞ」デンケンは嬉しそうだ。

 

「こんだけ焼肉の臭いをかいでおきながら、まだ食べたいのか」

 

 若者の焼肉に対する情熱に、リヒターは羨望の念すら抱く。

 油っこいものは、そろそろダメになる年齢である。

 

 

 

 

 

 デンケンの推測通り、フリーレンが放っていた強烈な焼肉の残り香が薄い南西の森は、比較的静寂を保っていた。時折、遠くで響く戦闘の余韻や、魔物の咆哮が風に乗って聞こえてくるものの、先ほどまでの喧騒とは比べ物にならない。

 

「爺さんの言う通り、こっちは静かだね。でも、本当にあの二人組、こっちに来てるのかな?」

 

 ラオフェンは、木の枝から枝へと軽やかに飛び移りながら、周囲をきょろきょろと見回している。その動きは、まるで森の精霊のようだ。山岳地帯出身の彼女は、森というフィールドが自身の最も得意とする領域である。

 

「あまり飛びすぎるな。フリーレンがひきつけておるとはいえ、空からの脅威に対処できん」

 

「わかってるよ。心配性だなぁ」

 

 焼肉食べ放題の夢を胸に秘め、ラオフェンの言葉は軽やかだ。

 デンケンは、近場に見つけた小さな泉。というより水たまりに近いそれに視線を移し、軽く手でさらう。モノクルの奥から、じっと見つめる。

 

「これは……やはりな」

 

「水場がどうかしたのか?」リヒターが聞いた。

 

「僅かだが、水に魔力がこめられておる」

 

「んー。わかる?」「俺もわからん。カンネかラヴィーネの仕業か」

 

「きっと掛けた本人にすら感知できないだろう。それほどに微量だ」

 

「どうしてそんなことする必要が?」

 

「決まっておるだろう。多くのシュティレはフリーレン……盆地中央の湖を避けておるだろう。シュティレも生き物である以上、水場を探す。だが、魔力に敏感なシュティレは、魔力のこめられていない静謐な水場を探す」

 

「誘導してるってこと」とラオフェン。

 

「そのとおりだ。おそらく明け方近くから、近場の水場をつぶしてまわったのだろう。念入りなことだ。だが、ある意味近くに潜伏している証拠ともいえる。やつら、近いぞ」

 

 さしづめ、二重の陽動作戦といったところ。

 大きな陽動としては、フリーレンに受験生たちをひきつけて、その一方でシュティレを中心から遠ざける。そのあと、小さな誘導として、残された唯一の水場にシュティレが向かうように誘導している。

 

「どうするんだ? 結局、潜伏してるやつらを見つけ出すのは容易じゃない」

 

 リヒターが木に背中を預けながら聞いた。

 

「闇雲に探し回ったところで、徒労に終わる。小娘どもが鳥を捕まえる際に魔法を使う。その時まで待つのが得策だろうな」

 

「また待機するの? フリーレンが受験者たちを殲滅しちゃわない?」

 

「時間との戦いという意味では、そのとおりだろう。しかし、フリーレンもまた小娘たちと早々に合流するわけにはいかん。頃合いを見計らう必要があるだろうな」

 

「なんだか面倒くさいね」

 

「面倒くさくない戦いなど存在しない。ゆえに、戦わずとも勝利することが最善とされるのだ。覚えておきなさい」

 

「はーい。わかったよ」

 

「完全に孫だな。あんたら血縁ないだろ」

 

「わかっておらぬな、若造。血よりも濃いものなどいくらでもある」

 

 デンケン達は巨木の影に腰を降ろし、しばし休憩するのだった。

 

 

 

 

 

 デンケンが巨木の影に腰を下ろしてから、どれほどの時間が経過しただろうか。

 

 ラオフェンは木の枝の上で退屈そうに足をぶらつかせ、リヒターは相変わらず周囲への警戒を怠らない。森は依然として静寂を保っているが、ピリピリとした緊張感のようなものが漂っている。

 

 不意に、デンケンの片眉がピクリと動いた。

 モノクルの奥の瞳が、鋭い光を宿す。

 

「――見つけた」

 

 その呟きに、ラオフェンとリヒターが即座に反応した。

 

「ほんのちょっとだけ木々がざわついたね」

 

「HUDにはなんの反応もなかったがな。本当に見つけたのかよ」

 

 デンケンは静かに頷く。

 

「失伝した古い魔法の気配だ。ここから500メートルほど南下したところに奴らはおる」

 

 フリーレンの陽動、水場の魔力操作、そしてこのタイミングでの魔法発動。おそらくフリーレンが絵を描いたのだろう。そして、そのすべてをデンケンは読み切り、予測通りに進んでいる。

 

「慎重に向かうぞ。油断はするな。相手はフリーレンの薫陶を受けている可能性がある」

 

 デンケンの号令と共に、三人は音もなく動き出した。ラオフェンは先ほどまでの退屈そうな表情を一変させ、好奇心に満ちた目で森の奥を見据えている。同年代の魔法使いと戦うのが愉しいのだろう。べつに戦闘狂というわけではなく、ラオフェンはただ若いのだ。

 

 リヒターは硬い表情のまま。仕事には粛々と取り組むというのがオッサンの所作だ。

 

 森の中を慎重に進むこと数分。

 

 ラヴィーネとカンネの魔力の気配がかすかだが感じられるようになってきた。

 特に水場に遺した、かすかな残り香。カンネの魔力は、隠蔽されきっていない。

 しかしながら、カンネとラヴィーネが別れて行動するのも難しかったのだろう。

 各個撃破を狙われてしまう。

 

 いまもふたりは連れ立って、水場からなるべく離れようとしている。

 そして、動けば動くほど――魔力は探知されやすい。

 

「爺さん、私が先行する。高速で移動する魔法(ジルヴェーア)を使えば、すぐに追いつける」

 

 ラオフェンが、逸る気持ちを抑えきれないように言った。

 

「いや、今は三人で向かったほうがよかろう。数的優位を利用しない手はない。それに――」

 

 デンケンがそこまで言いかけた時だった。

 ガサリ、と進行方向の少し先、その左手から木々の密集した茂みが大きく揺れた。

 三人は咄嗟に身構える。魔物か、あるいは別の受験者か――。

 

 いや、少なくとも魔力をまったく感じ取れなかった。

 相手は、熟練の魔法使いである可能性が高い。

 デンケンは、わずかに手を後方にやり、ラオフェン達を下がらせる。

 

 茂みから現れたのは、予想外の人物だった。

 

 いつものひらりとした軽装に身を包み、どこか所在なさげに周囲を見回す、美しい魔族の少女――リーニエだった。その手には何も持っておらず、一見すると戦う意思があるのかすら判然としない。ただ、そのピンク色の髪は、薄暗くなってきた曇天のなかでさえ、非常に目立つ。

 

「……!」

 

 デンケンは内心で舌打ちした。アナリザンドの連れの魔族。このタイミングでの遭遇は、計算外もいいところだ。ラヴィーネたちを追う上で、これ以上ない障害となり得る。

 

 リーニエもまた、三人の存在に気づき、わずかに足を止めた。その表情は相変わらず読み取りにくいが、眉間にわずかな皺が寄っている。リーニエは、敬愛するレンゲ神の気配を探して森を彷徨っていたのだ。ラオフェンの魔力はレンゲと似ていて小さい。人違いならぬ魔力間違いだった。焼肉臭のせいで鼻が馬鹿になっていたのだ。こんなところで神ではなく人間と遭遇するとは、時間の無駄でしかない。

 

「リーニエ。こんなところでどうしたの? アナリザンドは?」

 

「探しものしてる。アナリザンドは置いてきた」

 

 どうやら、ラオフェンはリーニエと知己の仲らしい。

 それなりに気安い声をかけている。

 探し物とは、おそらくシュティレのことだろう。

 

 これならば――。交渉は可能か。

 デンケンは考え、おもむろに口を開く。

 

「リーニエ殿。我々も探し物がありましてな。もし差し支えなければ、このまま通していただけるとありがたいのだが……。あるいは、リーニエ殿も我々と手を組むというのはいかがかな? この試験、協力できる相手は多いに越したことはないだろう」

 

 言葉とは裏腹に、デンケンの視線は鋭くリーニエの実力と意図を探っている。できれば戦闘は避け、穏便にやり過ごしたい。それが無理なら、味方に引き込む。それも叶わなければ――。

 

 リーニエは、デンケンの言葉に、ほんのわずかに反応を示した。

 

「手を組む? 意味がないよ。私は神を探している」

 

 魔族の言葉は通じない。正確に言えば、文脈を無視する傾向にある。独り言のように、自分だけが理解していればいいとなってしまう。

 

 突然飛び出した『神』というフレーズに、デンケンは意味がわからず混乱した。

 

(神……? 何かの隠語か、それとも魔族特有の不可解な概念か。いずれにせよ、厄介なことこの上ない。ラヴィーネたちを指している可能性も……いや、それはないな。やはりシュティレか)

 

「もし、貴殿のおっしゃる神がシュティレを指すというのであれば、ここではない別のところを探すのはいかがか。突然、多人数で押しかければ、神も怯えて飛び去ってしまうかもしれん」

 

「おまえは神を狙っているのか?」

 

 リーニエの魔力がわずかに高まった。

 表情は変わらなかったが、怒気が見える。

 リーニエは、デンケン達がシュティレを狙っていることは理解していた。

 シュティレを捕獲している者が、レンゲ神であれば、襲われるのは神ということになる。

 

(まずい……。この小娘。強いな……。三人で戦えば勝てるだろうが、時が奪われてしまう)

 

 今もラヴィーネ達の気配は遠ざかっている。

 早くしなければ、見失ってしまうだろう。

 

「何か誤解があるようだが……。我々はシュティレを追っているのであって、貴殿のいう神とやらを追っているわけではない。ここは引いてもらえると助かるのだが」

 

「同じことだよ。ここからすぐ近くに、女の魔力の気配がする。数はふたつ。そこに神がいるかもしれない。確かめる必要がある」

 

(やはり、ラヴィーネたちのことか?)

 

 なぜ、実力のない小娘を『神』と称するか、そして魔族がパーティメンバーでもない人間に手を貸すかはわからないが、デンケン達にはわからない絆のようなもの、縁があるのだろう。

 

 もはや交渉の余地はなかった。

 

 デンケンは知らず、杖を握る手に力がこもる。

 いざとなれば、リヒターと連携し、この魔族を迅速に無力化するしかないか――。

 

「――ねえ。爺さん」ラオフェンが声をかけた。「ここは私に任せてよ」

 

「ラオフェン、おぬしでは勝てん」

 

 デンケンの声には、抑えきれない焦燥感が滲んでいた。

 ラオフェンの実力は認めていないわけではない。若輩ながら、その軽やかな体捌きと身体能力は目を見張るものがある。だが、相手は魔族。それも、アナリザンドが連れているほどの存在だ。単純な力量差は歴然としている。

 

 魔力の量も、魔力探知も、魔力隠蔽も。

 彼我の実力差はハッキリしている。万に一つも勝ち目はない。

 

「わかってるよ。そんなことは……。でも、リーニエとは一回戦ったことがあるんだ。あのときは模擬戦だったけど、このフィールドなら、もしかしてって思ったんだ。今はふたりを追わなきゃでしょ。迷ってる暇はないよ」

 

「う、む……」

 

(確かにラオフェンの言うとおりかもしれん。この魔族、道理で説得できる相手ではなさそうだ。それに森が得意なフィールドというラオフェンの話も嘘ではない。この森という地の利を活かせば、あるいは時間を稼ぐことくらいはできるやもしれん)

 

 危険な賭けではある。

 

 魔族であるリーニエのデータは少なく、ネットに転がっている知識だと、七崩賢アウラの最側近であったこと、和睦の姫君であったこと、膨らみかけであることくらいしか載ってない。

 

 目算ではAtoBらしい。

 

 だからなんだという話だが、しかし、今は何よりラヴィーネたちを追う時間が惜しい。

 

(……賭けざるを得んか)

 

 デンケンは、数瞬のうちに思考を巡らせ、決断を下した。老獪な彼にしては、珍しく分の悪い賭けだったが、他に選択肢はなかった。

 

「よかろう、ラオフェン。だが、深追いはするな。あくまで足止めだ。危険を感じたらすぐに退け。よいな?」

 

 その声には、普段の彼からは想像もつかないほどの、案じる響きが混じっていた。

 

「うん、わかった! 任せといて、爺さん!」

 

 ラオフェンは力強く頷くと、リーニエに向き直った。

 

「まごまごしている暇はない。リヒター、我々は先を急ぐぞ!」

 

「人使いの荒い爺さんだ。それに孫孫してるのはあんただろう」

 

 デンケンは、一瞬だけラオフェンの背中を見つめた後、きびすを返し、リヒターと共にラヴィーネたちが向かったと思われる方向へと、森の中を駆け出した。その動きは、老齢を感じさせないほどに迅速だった。

 

 今はただ、ラオフェンが稼いでくれるであろう時間を信じ、己の目的を遂行するのみ。

 

「おまえのせいで失格になったら怨むぞ。ラオフェン」

 

 リヒターがデンケンの後を追いながら言う。

 

「オッサンこそ」

 

 こうして、ラオフェンとリーニエの一騎打ちが、森の静寂の中で始まろうとしていた。リーニエは早くレンゲ神の元へ行きたいという焦りを抱えつつも、目の前の奔放な少女との戦いに、ほんのわずかな期待を寄せているのだった。

 

「やっぱり人間とは言葉が通じないな。こっちのほうが好みかな」

 

 それはフリーレンがよく言う言葉の裏返し。

 

 しかし、魔族の言葉が人間に通じないということは、その逆もまたしかり。

 人間の言葉は魔族に通じない。あるいは、ここで神のことを言い当てることができれば、戦いを避けることはできたのかもしれないが、仲介役をしているアナリザンドがいない以上、それは避けようのない戦いだったのかもしれない。

 

 ジャキンという音をたてて巨大な戦斧を空中から取り出すリーニエ。

 模擬戦のような手加減は通用しない。

 ラオフェンは頬に汗を伝わせながらも、棒のような杖をゆっくりと構える。

 

「ラオフェン。三級魔法使い。推して参る!」

 

「リーニエ。いや、腐届き者リーニエ。神の守護者として、本気でイク!」

 

 一方、デンケンとリヒターは、ラオフェンが稼いでくれるであろう時間を信じ、カンネとラヴィーネを追跡し、森の中へと駆け出していく。彼らの額には、焦りの汗が滲んでいた。

 

(ラオフェンよ……無事でいろ)

 

 デンケンの胸中に、普段は見せない爺心にも似た感情が、微かに灯っていた。




神視点から見れば、まったく無駄な意味のない戦いである。
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