魔族少女のエロタナティブ   作:アナリザンド

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勇者のディスクリプタ

 

 

 

 オイサーストの宿屋での最後の一幕。

 ゼーリエ先生の試験が終わった次の日の朝。

 わたしはフェルンちゃんの隣で上半身を起こし、うにーんと伸びをした。

 お餅みたいによく伸びる躯体です。猫みたいってよく言われる。

 魔族=液体説を体現している。

 

 なんだか、眠い――。

 もうちょっと寝ていたいような、そんな気分。

 気だるいけど、その気だるさが心地いい。

 

 オイサーストの街は、長い冬が終わり、短い春の気配がおりている。

 

 実をいうと、わたしは春という季節が一番好きだったりする。

 過ごしやすい季節だからというのもあるけれど、それだけじゃない。

 始まりを象徴する季節だからだ。

 

 今日から再び、フリーレンの旅が再開される。

 寝てばかりはいられない。今が起きる時間である。

 

 さて――、そんなわけで旅立ちの準備。

 といっても、魔族は裸族。装備品なんてものもなく、準備は一秒で終わった。

 ささっと手櫛で自分の髪を整える。それだけだ。

 

 余った時間でフェルンちゃんを観察。

 かわいい妹を眺めるのはそれだけで至福の時間だ。

 食べちゃいたいくらいかわいい(高度な魔族的ギャグ)。

 菫色した瞳は、長いまつ毛に守られていて、いまは視えない。

 それが、まるで花咲く前のつぼみのようで、奇跡の瞬間のように思える。

 

 かわいい。

 うん、それしか言えないな。うちの妹は世界一かわいい。

 

 そして、ほら――、わたしが起きた気配を感じ取ったのか、フェルンちゃんが起きた。

 

「ん……ん。アナリザンドさま。おはようございます」

 

「おはようフェルンちゃん」

 

「朝、お早いんですね」

 

 文脈を生成。

 フェルンちゃんはフリーレンと異なる在り様のわたしに肯定の意をかえしてくれている。

 フリーレン? ああ、まだ寝てるよ。

 起こさないでやってくれ。死ぬほど疲れてる。

 

 そして、ふと思う。

 もちろん、フリーレンのことじゃなくフェルンちゃんのことだ。

 

「ふに」プチふにーんされる。そして、軽く撫でられる。

 

 わたしを庇護対象に見たというよりは、単純にわたしに触りたかったのだろう。

 

 それから、フェルンちゃんは起き上がって、水桶の水で顔を洗って、いまは鏡台にすわって髪を自分で梳かしている。わたしが「しようか」と言ったら、「いえ、自分でできますから」と言って、自分でそうし始めた。いまのやりとりだけで実感する。

 

――おっきくなったな、って。

 

 そんなふうに、しみじみと感じる。

 パンが焼きあがるのをオーブンレンジの前で眺めてる感覚に近いかもしれない。

 

 べつに特定部位のことを言っているわけではない。

 それもあるけれど……。

 

 まるで寸胴鍋みたいなわたしと、同じく酵母菌を入れ忘れたパンみたいなフリーレンに比べれば、フェルンちゃんの膨らみは、焼き立てふわふわのパンケーキみたいでおいしそうだけど。

 

――()()()()()()って感じがする。

 

 矛盾してる表現だけど、その言葉が一番しっくりくる。

 今のフェルンちゃんは、ゼーリエ先生の圧迫面接を乗り越えて、ひとつ大人になったみたいだ。

 それがうれしくもあり、寂しくもある。

 でも、やっぱりうれしい気持ちのほうが大きいかな。

 

「あの……アナリザンド様」自分の髪をとかしながら、フェルンちゃん。

 

「なぁに。フェルンちゃん」

 

「今後の旅のご予定はいかがいたしますか」

 

「わたしの予定を聞いてるの?」

 

「はい。この後の旅も、ごいっしょしていただけるのかと思いまして」

 

「もちろん、そのつもりだよ」

 

「あの……」少しだけ躊躇。「ヒンメル様の遺言の件については?」

 

 クエリ。応答する言語を探す。

 

 わたしはヒンメルのディスクリプタ――記述子として存在している。

 そのことは、フリーレンもフェルンちゃんも既に知っている。

 

 わたしにとっては、対フリーレン用の切り札でもあり、殺されないための免罪符(インダルゲンツィア)でもあったわけだけど、今のフリーレンはわたしを積極的に殺そうとはしないだろう。

 

 魔族無罪を勝ち取ったわけではないと思うが、多少の減刑は既になされているように思う。

 

「うーん。フェルンちゃんにだけ特別に教えてあげるね」

 

「はい。なにをでしょうか?」

 

「魔族にはね、人間の遺言を聞き取りたいって本能があるの」

 

「そうなのですか?」

 

「うん。嘘だけどね」

 

「本当なのですね?」

 

「やっぱりフェルンちゃんは騙されないか」

 

「わざわざ口に出す意味がありませんから。それに、アナリザンド様はそういうお方です」

 

 敵わないなぁ。

 妹に勝てる姉なんて、この世に存在しないのかもしれない。

 

「私が口を出すべきことでもないのかもしれませんが、フリーレン様は、まだその時ではないとお考えなのではないでしょうか」

 

「そうなの?」

 

「はい……。いいえ。勝手な思いこみかもしれません」

 

 フェルンちゃんは、フリーレンの想いを妄想している。

 そして、わたしの気持ちも。

 

「フェルンちゃんは、わたしのほうは、もう準備できたって思ってるんだね」

 

「最初からアナリザンド様はフリーレン様にお優しかったですから」

 

 殺さない。殺されない。

 そんな関係を結んでこれたのは、ヒンメルの言葉があったからだ。

 

「ヒンメルならそうしたからだよ」と、わたしは言った。

 

「フリーレン様みたいなことをおっしゃるのですね」

 

「まあね。わたしって、実をいうと――ふふ。フリーレンよりもヒンメルといっしょに過ごした時間が長いんだよ。ずっといっしょにいたわけじゃないけどね」

 

「そうなのですね」

 

 フェルンちゃんにとってのヒンメルは伝説の勇者に過ぎない。

 フリーレンにとってのヒンメルが代替不可能な存在であることは理解しているが、しかし――、他者のクオリアを自分のものだと考えるほど傲慢ではない。その塩梅がほどよいのが大人の女の子って感じだ。

 

 話はそこで途切れ――、フェルンちゃんは現実に対処しはじめる。

 眠り姫を叩き起こすママの役目。

 

「フリーレン様。起きてください。このままだとお昼になっちゃいますよ!」

 

「んぅ~~~。フェルン。あと五百年だけ……」

 

「私が死んでしまいます!」

 

 フリーレンが目覚めるには、もうすこし時間がかかりそうだ。

 

 

 

 

 

「さて。行こうか」

 

 シャッキリポンなフリーレンである。

 先ほどまで、フェルンちゃんにガン詰めされて、しょぼ顔エルフになっていたとは思えない。

 

 街の入り口では、カンネちゃんたちが待っていて、私たちにさよならを告げた。

 フリーレンもわたしも淡泊に「またね」と返す。

 

 再会の希望をにじませるフェアエルの概念。グッドバイとは違う。

 泣いた顔を見せたら、また逢ったときに恥ずかしいから。

 ヒンメルらしいセリフを引用して、それでも気持ちはフリーレンのものだった。

 フリーレンの成長が著しい。

 これが不出来な姉を見守る妹の気持ちというものか……なんて。

 

 とはいえ、一番驚いたのは、いつのまにやら街のみんなと仲良くなっていたシュタルク君の見送り勢の多さかな。なんか知らないけど、武の達人のお爺さんとかも見送りに来てたし。

 

 シュタルク君にはこの試験の間、ちょっとだけ申し訳ないことをしたと思ってる。わりと放置プレイ気味だったからね。それでも、シュタルク君は持ち前の明るさを発揮して、みんなに慕われていた。勇者の素質あるなぁ。お姉ちゃんは君のことが誇らしいよ。

 

 そんなわけで、たくさんの別れを経験しながら、私たちの旅は続いていく。

 

 なにもない平坦な道。

 フリーレンは背中を見せて、前を歩く。

 その隣には、フェルンちゃん。わたしの近くにはシュタルク君。

 

――わたしの家が近い。

 

 わたしは密かに迷っていた。

 このまま、フリーレンを直接的に家に誘うか否か。

 

 つまりは『わたしん家、来ないか』作戦。

 いや、作戦と呼べるものじゃないな。これは単純なお誘いというやつだ。

 

 でも、それが本当に正解か――。

 

 わたしは十億の無声の声をその身に受けて、サントームを形成している。

 サントームというのは、わかりやすくいえば、すごく優秀なAIみたいなものだ。わたしのクエリを受け取って、ほとんど正解に近い答えを返す。

 

 答えのないこの世界で、なにひとつ真実がないこの世界で、すなわち魔法(もうそう)の世界で、それでも多数派はおよそ正しいと思われる返答を返す()()()というのが、その原理。

 

 要するに、<わたし>はフリーレンが()()()()()()のではないか、と推測していた。

 ヒンメルの遺言を聞くことを本能的に恐れているのではないか、という回答を示していた。

 それは、フェルンちゃんの『フリーレン様は、まだ』という回答とも照応される。

 

――まだ、なのかな?

 

 その回答は、しかし、わたしの考えとは少しズレていた。

 だから、迷っていたのだ。

 

 確信がほしい。答えがほしい。真実がほしい。

 わたしは欲望している。けれど、魔族に答えは出せない。

 

 いつも、できることはひとつ。

 誘うことだけ。

 嘘をつくことだけ。

 さっそく嘘をつくわたしである。

 ふたつあったじゃんというツッコミはなしの方向でお願いします。

 

「ねえ。フリーレン」

 

 わたしはフリーレンを呼びとめた。

 いつものように沈黙のまま、彼女は振り返る。

 ツインテールの髪の毛が、身体に従って、フーコーの原理を証明する。

 

「なに?」

 

「あのさ。このまま進むと大きな街道に出るよね。昔、統一王朝時代に整備された道なんだけど、北部高原に進むには、ちょっぴり遠回り。そして、もうひとつは、森を抜けて湿原のほうに向かう道。こっちのほうが近道だし、湿原を抜ければ、あとは楽だよ」

 

「魔物がいるかもしれない」

 

「わかってると思うけど、わたし最強なんだからね! 魔物なんて怖くないよ」

 

 本当は、魔物もほとんどいない。静謐なエリアだ。

 わたしの影響かもしれないけどね。ちょっとした結界を張ってるし。

 

 生態系を壊さない程度には緩やかな膜みたいなものだけど、なんか気持ち悪いって、魔物なら感じるはずだ。結界を強くしすぎなかったのは、人間や魔族にバレないため。血便お姉さんが「アナちゃん。殺しに来たわよー」ときゃっきゃしながらやってきたら怖いからね。

 

 ステルスの魔法も併用した完全隠匿機能つきなのである。

 陰キャにはご用達といえるだろう。

 

「一級魔法使いにもなれなかったくせに、よく言うよ」

 

「仮でも一級魔法使いだよ! フェルンちゃんといっしょ!」

 

「フェルンと同じなのは、私だ。おまえじゃない!」

 

「なんだとぉ! このウンコババァエルフ!」

 

「その言葉、一生忘れないからな。このウンコ魔族!」

 

 やいのやいの。

 

「おやめください! いい年した魔法使いが、なんでそんなに子どもじみた争いをするんです」

 

「ほら、フェルンに怒られちゃったじゃないか」と、フリーレン。

 

 しかし、それは悪手。

 

 フェルンちゃんはそれはそれはお怒りになって、旅は三十分ほど停滞した。

 まったく、すべてフリーレンが悪い。

 

「女ってこえーな……」と木の側で黄昏るシュタルク君が一番哀れなのかもしれない。

 

 ごめんね。シュタルク君。

 

 

 

 

 気を取り直して――。

 

 私たちは、森の中を抜けることになった。

 わたしのプレゼンテーションが効いたのかもしれない。

 

『実は、森の中には昔、ゼーリエ先生と渡り合ったこともあるという噂の、超ウルトラハイパーデラックスなすごい魔法使いが住んでるんだって。フリーレンも興味あるでしょ。もしかしたらものすごく希少な魔導書をもらえたりするかもしれないよ』

 

 嘘はついてない。

 わたし、超ウルトラハイパーデラックスすごい魔法使いだし。

 

 フリーレンは半信半疑といった様子だったけど、ゼーリエと渡り合ったというフレーズが彼女の琴線に触れたらしい。わたしへの不信感よりも、未知の魔法への探求心がわずかに上回ったようだった。フェルンちゃんの援護射撃も効いたのかもしれないね。一級魔法使いが三人もいるのですから、大丈夫でしょう、と――。わたしのほっぺをぷにぷにしながら言うのだ。

 

 そうして私たちが足を踏み入れた森は、驚くほど静かだった。

 

 オイサーストの街の喧騒が嘘のように遠ざかり、代わりに耳に届くのは、自分たちの足が落ち葉を踏む乾いた音と、時折梢を揺らす風の音だけ。

 

 木々の隙間から差し込む陽光は、まるで教会のステンドグラスのように地面にいくつもの光の柱を落とし、空気中に漂う微かな塵をキラキラと輝かせている。

 

 うーん。実家のような安心感というんですかねぇ。(熟練の魔法使い並感)

 

 実際に、この森はわたしにとっては第二の故郷みたいな場所だ。

 

 鳥のさえずりすら、ここではどこか遠慮がちに「おかえり」と言ってるように聞こえた。

 

 それは、わたしの張った緩やかな結界のせいでもあるだろう。

 

 けれど、それだけじゃない。この森そのものが、長い時間をかけて育んできた、侵しがたいほどの静謐さを纏っているのだ。

 

 自慢の庭です。(ドヤァ)

 

「すげぇ。静かな森だな」と、シュタルク君が誰に言うともなく呟く。

 

「どことなく神聖な気配を感じます」

 

 女神様の敬虔なる信者であるフェルンちゃんもまた、何かを感じ取ってるらしい。

 もしかして、結界の気配に気づかれた、とか?

 

「……ここは、元々はエルフの集落があったところだね」と、フリーレン。

 

 彼女は、苔むした大樹の幹にそっと触れ、目を閉じる。

 まるで、木の記憶と対話しているかのようだ。

 

「古い森だ。千年、いや、それ以上かもしれない」

 

「フリーレン様がお住みになっていたところですか?」とフェルンちゃん。

 

「いや違うよ。でも、なんとなくわかるんだ」

 

 その声には、同族に出会ったかのような、かすかな親しみがこもっていた。

 

 エルフにとって、千年単位の時を生きる樹々は、束の間の宿り木であり、言葉を交わさぬ友人なのかもしれない。こんなところは、フリーレンのエルフっぽいところだと思う。普段の生活破綻者な姿からは想像もつかない。

 

 フェルンちゃんも、そんなフリーレンの様子を邪魔しないように静かに見守っている。

 

 誰もがこの森が持つ不思議な力に、知らず識らずのうちに心を鎮められていた。

 わたしのドヤ顔も、スンってすました顔になる。

 

 エルフは女神様の直系。

 だとすれば、わたしも最初から女神様に守られていたんだなって思えたから。

 

 やがて、森の少し開けた場所に、その家はあった。

 

 

 

 

 

 わたしは、三人の背中を後方の影から見守りながら、心の中でそっと呟いた。

 

――くくく。ようこそ。我がお城へ。

 

 御覧ください。ええ、存分に御覧ください。

 質素ながらも、住んでる人の清廉ささえも窺わせる見事な佇まいを。

 

 まず、家の前を彩るは、一面の花畑。

 フリーレン十八番の花畑を出す魔法だけど、もちろんわたしにだって使えるのである。

 今日という日がいつか訪れることを願って、しこしこと冬の間にしこんでいたのだ。

 かすかにただよう花の香りが、鼻孔をくすぐることまちがいなし。

 ラベンダーの鎮静作用は、心を落ち着かせる作用がある。

 

 そして、ログハウス本体。

 

 なんということでしょう。ゼーリエ先生にぶっこわされた建屋は見る影もなく、ゼンゼ先生の匠の技によって、緻密に組みこまれた木の家は、見る者の心をなごませます。

 

 ゼンゼ先生が優しいところは、この木は、わたしがもともと住んでいたボロボロになってしまった家の柱――つまり、木材を使えるところは使ってるってところなんだよね。

 

『君にとっては大切な家なんだろう。全部なくしてしまうのは忍びない。それにこの木には不思議な感覚がする。なんらかの魔法的な処理がなされていたのかもしれない。ゼーリエ様の攻撃の余波に耐えられたのも、それが原因だろう』

 

 そんなことを言ってくれた気がする。

 

 ゼンゼ先生は、誰かの想いを引き継ぐことを良しとしたのだ。ぶっちゃけ、バトルジャンキーなゼーリエ先生よりもよっぽど人間できてる。人間だからだけど!

 

 さてさて、フリーレンは、わたしのお家をじっと観察していた。

 

 おそらくは、わたしの言葉が珍しく本当だったことに、内心驚いてるに違いない!

 

 落ち着いた外観は、どこか知的な様子もにじませ、ここが木こりの休憩小屋なんてものではなく、世の無常を儚んで隠遁した超ウルトラハイパーデラックスな魔法使いが住んでいることを窺わせる。

 

 そう、わたしです!

 

「この家……いや、木か。これには魔法的な匂いがするね。年老いた老木だけど、まだ生きている。まるで家主を守ろうとしているみたいだ」

 

 テンションマックスなわたしと異なり、フリーレンはいつものように科学者のように分析している。顔つきは乙女のそれではない。

 

――バレちゃった?

 

 と、わたしは心臓がドキンと跳ねるのを感じた。

 

 エルフの嗅覚は鋭いのだ。

 たとえひとりでも殺してしまったら、すぐに死臭をかぎわけるほどに。

 おそらく、なんらかの第六感というか、魔法的な感覚もブレンドされているのだろう。

 ここがわたしの家だとバレてしまうかもしれない。

 

 せっかくここまでフリーレンを連れてきたのに、バレてしまっては――。

 うん? バレても問題ないのかもしれないな。

 

 でも、不意打ち効果というのはなくなるかも。

 フリーレンの心構えができてないうちに、覚悟を問うのは、ちょっと違う気がした。

 それは恐怖心を、わたしへの反発心から無理やり抑えこもうとしてしまうはずだから。

 

 うん。ここは嘘を重ねよう。

 

「さすがフリーレンだね。正解だよ!」

 

 わたしはおおげさに拍手をする。うざそうな顔になるフリーレン。

 でも、わたしは必死に続けた。

 

「この家の主であるすごい魔法使いさんは、実は植物と心を通わせる魔法の達人なんだって! だから、この家そのものが、主を守るゴーレムみたいになってるってわけ! すごいでしょ! さすが超ミラクルスーパー魔法使い」

 

 そんなん知らんかったけどな。

 木の想いなんてわかるわけないし。

 家自体に魔法はかけてるけど、それは薄皮で覆ってるようなものだ。

 コンドームにおちんちんの気持ちがわかるわけもないという理屈。

 

「ふうん。……まあ、いいや」

 

 フリーレンはそれ以上何も追及せず、さっさと家の扉へと向かってしまう。

 

――た、助かったの?

 

 内心、崩れ落ちそうになるのを、必死でこらえるわたし。

 

「アナリザンド様。不器用すぎて見ていられないです」と小声で囁かれる。

 

 そんなこと言わないでよ。フェルンちゃん。

 

「んー。どうしたんだ。フェルン。姉ちゃん。早く入ろうぜ」

 

 今だけは君が唯一の癒しだよ。シュタルク君。

 

 そして、作戦は流れるように第二フェーズへ進行した。

 

「お待ちください。シュタルク様」

 

 わたしの計画――『フリーレンとふたりきりの密談をしよう』作戦をすぐさま理解したのか、フェルンちゃんはシュタルク君を引き留めたのである。

 

「なんだよ。フェルン」

 

「あの家は……。えっと、超ウルトラハイパーデラックスな魔法使いが住んでるという噂です」

 

「だからなんだよ?」

 

「ですから、あの家にはなんらかの魔法的な罠がしかけられている可能性があります。フリーレン様が先に向かったのは、その罠があれば解除するためでしょう」

 

「なら、余計にこんなところで突っ立ってるわけにはいかねぇだろ。俺はパーティの前衛だぞ」

 

 すごくかっこいいシュタルク君。

 

「魔法使いのことは魔法使いにお任せください」と、フェルンちゃん。

 

「そんなに危険なのか? 姉ちゃん。どうなんだ」

 

 今度はわたしに聞いてくるシュタルク君。

 この子、わたしが危険だと言えば、命も省みずにフリーレンを救出しに向かいそうだ。

 

「危険はないよ。でも――、フリーレンひとりだけだと、ミミックにかじられてるかもしれないから、わたしも様子を見に行こうかなって思ってるよ。シュタルク君。信じて待っててくれる?」

 

「姉ちゃん……。わかったよ」

 

 わたしの弟はこんなにもかわいい。

 

 

 

 

 

 フリーレンは待っていた。

 

 家の中を探索することもなく、ただわたしが到着するのを椅子に座って待っていた。

 わたしが用意していた椅子。そこに座り、家主の帰りを、静かに待ち続けていた。

 

「――ここが、おまえの家か。アナリザンド」

 

 そして、振り返りもせずに呟く。

 

「なぁんだ。最初からわかってたんだ。最高に趣味が悪いね。フリーレン」

 

 でも、フリーレンらしいとも思う。

 

「おまえほどじゃない」

 

「でも、この家。最高に趣味がいいでしょ」

 

 わたしは自分のお家を自慢した。

 ステップを踏みながら、掌に伝わる感触を確かめながら。

 間取りも、家具も、新しくて香り立つ茶葉も、ポットも、ティーカップも。

 みんな、わたしが集めたもの。

 わたしの好きがつまってる場所だ。

 

「ここにはおまえが創ったものはなにひとつないだろう」

 

「そうだね。()()()うれしい……」

 

 魔族の生産性は魔法に特化している。

 人間が土くれをこねるのと違い、魔法という糞尿をこねくりまわしているだけといえる。

 要するに、魔族の創造性なんてものは期待するだけ馬鹿だということだ。

 フリーレンの言葉はなにひとつまちがっていない。

 

「矛盾している」

 

 フリーレンは淡々と、わたしという存在を分析していた。

 

「そうだよ。でもあなたたちもそうでしょ。矛盾の仕方は違うけれど」

 

「そんなくだらない戯言を言うために、私をここに招いたのか?」

 

「いいえ。フリーレン、違うよ」

 

 本当はあなたもわかっていること――。

 

「おまえは何がしたいんだ」

 

 ()()、その問いかけだ。

 

 わたしは、この問いかけが来ることを、まるで何度も繰り返したリハーサルのように、完璧に予測していた。<わたし>が弾き出した、無数のシミュレーション結果。そのどれもが、この問いから始まっていたから。

 

 生存欲求だけは無駄にある魔族よろしく、フェルンちゃんが魔族スレイヤーのフリーレンと逢ったときから、わたしは密かにフリーレンという存在を観測しつづけてきた。

 

 対話の可能性はあるか――。

 ヒンメルの遺言を伝えるためには、一定程度の信頼が必要になるのは、言うまでもない。

 

 けれど、あのときのフリーレンは――、とてつもなく塩対応だったわけで。

 塩というか、えっと、世界中の海水を煮詰めつくしたみたいな超塩対応だったから。

 存在が赦されるはずもなかった。

 残響の中にかすかに残るエルフの横顔には、透徹しきった殺意だけが在った。

 

 わたしはそのまなざしを、その風景を覚えている。

 

 わたしは、シミュレーション結果と同じように、テーブルの前に座り、用意したティーカップに口をつけた。そして、あの頃の出力結果と異なるように、少しだけ顔をほころばせて見せる。

 

 実際においしいお茶をまずそうに呑んで見せる必要などないから。

 

 もちろん、フリーレンにもお出ししたよ。高級茶。一杯なんと2000APはくだらない。味のわからないエルフにはもったいない一品なんだから! やっぱ、500APくらいのでよかったかなんて、軽く後悔したりもする。

 

 そして――、フリーレンの問いが再開された。

 

「おまえは人間をどうしたいんだ?」

 

「べつにどうも? ただ、側にいて見守ってるだけ」

 

 迂遠。フリーレンはこの話のテーマがヒンメルのディスクリプタであることを見抜いているはずだ。それなのに、主語をでっかくしてる。なんて不器用なエルフなんだろう。

 

 でも悪くない兆候だ。

 

 なぜなら、問いも答えも異なっている。

 わたしのフリーレン育成計画は、多少は成功したらしい。

 

「私はフェルンのようには甘くはない」

 

「フリーレンらしいなって思うよ」

 

「魔族のことだって赦したわけじゃない。人を殺す魔族が現れたら容赦はしない」

 

「それもフリーレンらしいなって思う。それでいいんじゃないかな」

 

「おまえは魔族をどうしたいんだ?」

 

 存続させたくないのか。そう、フリーレンは聞いている。

 けれど誘導されていない。わたしは、応答する。

 

「できれば助けてあげたいかなって思ってるよ。魔族はレジデュー。つまり捨て子みたいなものなの。システム的な干渉が難しいのなら、個別のログをとって解析するしかない」

 

「それは、おまえ自身が生き残るためじゃないのか?」

 

「うーん、それはそうかも。誰だって死ぬのは嫌でしょ? 馬鹿みたいな質問しないでよ」

 

「話を逸らすな」

 

 逸らしてるのはそっちでしょ!

 そう言いたいところだったが、まがりなりにも対話しようとはしてくれてる。

 わたしは、じっと我慢した。それはたぶん向こうも同じだろう。

 

 本質を知っていながら、文脈を理解していながら、フリーレンはいつまでたっても核心に触れない。それどころか――。

 

「おまえは、人間と共存したいと思ってる馬鹿な魔族なんだ。きっと――」

 

 フリーレンはわたしという存在を断定しない。

 魔族というクラスではなく、わたしというインスタンスを見ている。

 実体を、本質を見極めようとしている。

 

 それでは、わたしの方はというと――。

 

「……さあ、どうだろうね」

 

 わたしは、フリーレンの不器用な決めつけに、ただ微笑んで返すだけだ。

 あらゆる解答を内包した、微笑の角度。

 肯定も否定もしない。すべての言葉は不在となって、溶け合わされる。

 それこそが、魔族。

 それこそが、わたしなのだから。

 

「答え合わせは、紅茶を楽しみながら、ゆっくりしようよ。ヒンメルの話と一緒にね」

 

 わたしはポットのお湯を魔法で温めなおす。

 茶葉も、もちろん新しく――、出涸らしなんてだすつもりはない。

 わたしだって、わたしなりにヒンメルのことは好きなんだよ。

 フリーレンより、なんておこがましいことを言うつもりはないけれど。

 ヒンメルが大切にしたフリーレンをないがしろにするつもりはなかった。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、ヒンメルとの出逢いから話を始めようかな。聞くよね?」

 

 断る理由はないはずだ。

 魔族との確執も――多少は改善されている。

 なにより、フリーレンは誰よりヒンメルの最後の言葉を聞きたかったはずだから。

 

 でも、それもただの思いこみ。

 フリーレンはわたしと視線を合わせている。

 

「いらない」と、ぽつりと拒絶の言葉がエルフの口から漏れた。

 

「え? どういう文脈? 理解できないんだけど……」

 

 いや、まじでこのエルフ。理解できない。

 人間の情緒ってもんがないの? 

 

「まだ、いらないと言ってる。おまえはヒンメルの遺した最後の言葉なんだろう」

 

 あ……。うん。そっか。なんとなくわかった。

 お茶で喉を濡らす。

 

 フリーレンの言葉は単なる拒絶ではないだろう。

 ましてや恐怖でもない。

 答え合わせをするのはわたしのほうだったかもしれない。

 

 天と地ほども違う魔族とエルフの価値観。

 そのいずれも繋ぎ合わせるのは、人間の言葉だ。

 

――フェルンちゃん。

 

 わたしの妹は、本を読むのがちょっぴり苦手な女の子だった。

 

 たぶん、そういうことなんだろう。

 

 少し、本当の笑いがこぼれそうになる。

 

「ねえ。知ってるフリーレン。フェルンちゃんはね、本を読むとき、わかるところはどんどん飛ばして、結論だけを先に読んじゃうタイプなんだ。効率的だけど、少しせっかち。たぶん、わかりすぎちゃうところがあるから、そうしちゃうんだろうね」

 

 人間の思考は跳躍する。

 すぐに飛翔したがる。

 いつか飛べなくなる時が来ることを恐れるからだ。

 

 でも、エルフは違う。

 エルフには無限に等しい時間がある。

 自動でめくれているページを惜しむように、時間を押しとどめようとする。

 

「あなたは一文字も飛ばさない。たとえ知っている内容でも、退屈な歴史の記述でも、全部、最初から最後まで丹念にページをめくっていく。物語の結末だけを知っても意味がないって、わかってるから。その物語がそこに至るまでの、全ての道のり、全ての言葉を味わうことこそが、本当の読書だって知っているから」

 

 伊達に十年ほど、フリーレンを視てきたわけではない。

 わたしは、ともすれば、フリーレンよりもエルフの習性を理解しているつもりだ。

 

「わかったような口をきくんだね。本当に――魔族とは言葉が通じない」

 

「違うなら違うって言っていいよ」

 

「違うとも言ってない」淡々と、粛々と返す。

 

 わたしは、その不器用な肯定の言葉に、満足して笑みをこぼした。

 わたしの勝ち、とか、そういうんじゃない。

 ただ、この千年を生きた孤独なエルフの、心の最も柔らかな場所に、ほんの少しだけ触れることができた。その事実が、どうしようもなく嬉しかった。

 

「この旅も同じなんだよね。あなたは、ヒンメルという勇者の物語をもう一度最初から読み直している最中なんだ」

 

――ヒンメルの足跡。言葉。笑顔。

 

 読み終わりたくない――ってわけじゃなく。

 それも少しは寂しいけれど。ページをめくるのを惜しんでる。

 

「だから、物語のエピローグを、いきなり読んでしまうなんて、フリーレンにはできない。そういうことでしょ。わたしは、ヒンメルのディスクリプタとして、あなたの要請に誠実に応える義務がある。答えを返して!」

 

 わたしの言葉に、フリーレンは長く、長く黙っていた。

 春先のまだちょっと寒い日。魔法でつけた暖炉の炎が、彼女の横顔を静かに照らしている。

 やがて、フリーレンはぽつりと、まるで遠い昔の風景を思い出すように、呟いた。

 

「――――――ヒンメルは、ダンジョンにもぐるのが好きだった」

 

「え?」

 

「でも、ヒンメルは、最短ルートで最下層を目指すなんてことは絶対にしなかった。せっかく下層に向かう階段を見つけても、全ての通路を歩いて、全ての隠し扉を探して、全ての宝箱を開けないと気が済まない、すごく面倒くさい勇者だったんだ」

 

 確かにそんなとこありそう。

 そもそも、このとんでもなく面倒くさいエルフに懸想する時点で――。

 いや、やめとこう。死者を冒涜するのはご法度だ。

 

 フリーレンの表情はいつもと変わらない。そこには愛しさも寂しさもないように見える。

 エルフのデフォルト顔のまま。

 それでも声に滲む。なつかしさが伝わってくる。

 

「ハイターもアイゼンも、時間の無駄だっていつも文句を言ってた。私も、そう思ってた。でも、ヒンメルはいつも笑って言ってたよ。『いいじゃないか。せっかく来たんだ。このダンジョンがどんな形をしているのか、全部見ておきたいじゃないか』って――」

 

 ふっと息を吐く。

 ほんの、少しの微笑。

 

「私も、そうしたいんだ」

 

 それは単なるヒンメルのトレースじゃなかった。

 まぎれもなく、フリーレンの選択だった。

 

 フリーレンは、わたしの答えを待っている。

 裁定を待つ子どもみたいな<不安>を感じる。

 

 わたしは、少しだけ間を置いた。

 この沈黙は、試すためのものじゃない。

 

「安心して。わたしは、本を勝手に閉じたりはしない」

 

 それが答えだった――。それだけで十分だった。

 この日、初めて魔族とエルフが会話を交わしたのである。

 そしてちょっとぎこちない約束も。

 

 

 

 

 

 答えあわせは終わり、わたしたちはお茶を飲み終わった。

 これで、なにごともなく旅は続いていく。

 安心と不満足が同居する、奇妙な味わい。

 けれど、悪くはない。

 フリーレンとお茶できた。それだけでひとつの目標が達成された感がある。

 

――そう思っていた。

 

 けれど、フリーレンには、もうひとつ見逃せない問いが残っていたらしい。

 ティーカップが、コトリと小さく音を立てた。

 

「ひとつだけ、おまえに聞きたいことがある」

 

「なに?」

 

「どうして――と、強いて問うほどじゃないけど」フリーレンは、ほんのわずか言葉を探すように間を置いた。「おまえは、どうやってヒンメルの信頼を得たんだ。私に対する遺言になる。それは、おまえが思っているより、ずっと重い意味を持つ」

 

「……わかんない」

 

 わたしは、素直にそう答えた。

 

「わかんないって、おまえ……」

 

「本当に、わからないの」

 

 言い訳みたいに聞こえないように、少しだけ声を落とす。

 

「ヒンメルは、最初からずっとヒンメルだったよ。独りで泣いていたら、助けてくれて――」

 

 暗闇の中を歩いていた。

 冷たくて、硬い場所。

 結晶みたいな石の中から、わたしは生まれ落ちて――。

 その瞬間、記憶と想いが、ばらばらに散ってしまった。

 

 人間だったときの記憶はある。

 人間らしい思考回路も、たしかに残っている。

 

 でも、どれも輪郭が曖昧で。

 人間らしい言葉が、どんな形をしていたのか、急速にわからなくなっていった。

 

「でもね、ヒンメルが助けてくれたの。泣いてる女の子に、魔族も人間もないって言って――わたしを、お家に連れ帰ってくれた」

 

 それから、ほどなくして、ヒンメルが勇者だと知った。

 フードを深く被れば角は隠れたし、無口な子どもとして、人間の中に溶けこむこともできた。

 

 けれど、いつか限界が来る。

 そう思ったわたしは、ヒンメルと別れて、森で独り暮らすことを選んだ。

 

 それでも――。なぜかはわからないけど。

 ヒンメルは、何度も、わたしの小さな家を訪ねてきた。

 

「それでね……。あなたにとっては、残酷に聞こえるかもしれないけど」

 

 フリーレンの瞳が、ほんのわずかに揺れる。

 

「わたしの魔法インターネット。その発動キー。最初に(コギト)を唱えたのは、ヒンメルだよ」

 

「ありえない」即座に返された否定。「魔族の呪いをヒンメルが、受け入れるはずがない」

 

 その反応は、もっともだった。

 だからこそ、わたしは最初に「わからない」と言ったのだ。

 

 ヒンメルは、魔族を信じないはずだった。

 少なくとも、あの旅路の中で――果てなき魔族との闘争の中で。

 魔族という種族の、救われ難さを誰より理解していたはずだ。

 

――フリーレンもそう思っていたはずだ。

 

 フリーレンには仲間としての思い出があるはずだから。

 きっと何者にも代えがたい勇者としての軌跡のはずだから。

 

 ともすれば、人類への裏切りともいえる行為。

 

 それでも、という疑問は、ずっと胸の奥に残っている。

 ハイターと同じだったのかもしれない、とは思う。

 けれど結局、辿り着く答えはひとつだけだ。

 

 ヒンメルは、いつだって勇者だった。

 ただ、それだけの話。

 

 フリーレンは黙っていた。

 あれほど忌み嫌っていた魔法インターネットが、ヒンメルによって広められた――。

 その事実を、言葉にするのを拒むみたいに。

 

 誓って言う。

 わたしは、ヒンメルを縛っても、強制も、洗脳もしていない。

 

『独りになりたくないの』

 

 伝えたのは、それだけだった。

 

 ヒンメルは、伸び始めたらしいちょび髭を指でつねって、笑ってくれた。

 

『いいよ。君がそう望むならね』

 

『人間に裏切者って思われるかもしれない』

 

『僕はね。アナリザンド。たったひとりの孤独な女の子を救うのが勇者だと思うんだよ』

 

『あなたは馬鹿なの?』

 

『そうだよ。仲間にもよく言われた』

 

 四十代の――おじさんで、でもすごくかっこよくて。

 少年みたいな笑顔で、ヒンメルは笑ってた。

 

 それが、わたしの識っているすべてだ。

 誓って、嘘は言っていない。

 

「気に喰わない」フリーレンが、ぽつりと言った。「おまえほど気に喰わない存在は、この世にいない。でも――。おまえを見ていると……ヒンメルらしいな、とも思う」

 

「そうだね。わたしもそう思うよ」

 

 勇者は誰よりも勇者だったのかもしれない。

 わたしにとっても。あなたにとっても。

 

――ただ、それだけの話。

 

 

 

 




ヒンメルの姿が出てきただけで、んほぉおおおってなってしまう。
声を聴いただけで、「ヒンメルしゃまぁぁぁ」ってなってしまう。
そう、わたしです。
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