魔族少女のエロタナティブ   作:アナリザンド

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ネゴシエーター

 

 

 

 

 今日のわたしはネゴシエーターだ。

 守るべきはみんなの命。この交渉、必ず成功させてみせる!

 幼子がごとき呼吸! すうううう。

 

「せんせー。ちっちゃなわたしのちっちゃなおねだりがあるんだけど、いーい?」

 

 いつもの部屋のいつもの椅子で、立膝のポーズをとっているゼーリエ先生に問いかけた。

 

 今日のわたしもセーラー服で、幼フランメがよくしていたあみあみポニテを垂らしている。

 靴も靴下も脱いで、素足をさらしている。いわゆるミラーリング効果。

 繰り出す声は、あどけなさで調律し、つまりは、わたしの素の声だった。

 これらの要素が混然一体となり、わたしを庇護すべき存在だと誤認させる。

 先生に対する効果は抜群なはず。

 

 先生は、魔導書から視線をはずし、ちらりとわたしを見てフンと鼻を鳴らした。

 

「なんだ? 言ってみろ」

 

 とてとてと、近づき、先生の座っている椅子に顎を乗せる。

 先生を見上げる。甘え上手な姫君の気持ち。

 

「もう少しで、一級魔法使いの試験がいよいよ始まるよね」

 

「そうだな」

 

「フリーレンがフランメの教えにしたがって、オレオールを目指してるのは知ってるよね」

 

「ああ、知ってるぞ。おまえが教えたも同然じゃないか。知らないほうがおかしい」

 

 ネットでの情報のことを言ってるのだろう。

 

 最愛の妹フェルンちゃんのことを語るなかで、そんな情報もちょくちょく漏れちゃってた可能性はある。それと、フリーレンは美人さんなのだ。透き通るような白い肌と宝石のような翆色の瞳は、人目を惹く。そこに勇者一行の魔法使いという情報も加われば、先生たちの興味を惹起してもおかしくなかった。要するに、フリーレンは既にして一級魔法使いと同等の英雄であり、有名人なのである。

 

「だからね。フリーレンが試験を受けるのを許可してほしいの」

 

「フリーレンがおまえに頼んだのか?」

 

「いいえ。そうじゃないけど」

 

 フリーレンは一級魔法使いという肩書に興味がなさそうだった。

 すぐに変わってしまう資格試験になんか興味がないのだろう。

 

 一級魔法使いの資格は、ゼーリエ先生がここ五十年くらいの間にたちあげた大陸魔法協会が付与する資格であり、たかが五十年の間にできた資格など、悠久の時を生きるエルフにとっては泡沫の夢に等しい。

 

 ゼーリエ先生も同種族だからか、その感覚はよーく存じあげている。

 

「フリーレンの力は、一級魔法使いより上だ。あいつが今更、何を求めて試験など受ける必要がある? わたしがわざわざ魔法を授けてやると言ったのに、フリーレンは要らないなどとうそぶいていた。フランメがフリーレンを弟子として紹介してきた、その日にだぞ。ありえん」

 

 あ、ゼーリエ先生。ちょっとだけ根に持ってるな。

 でも、その日はゼーリエ先生にとって特別な日だったのだろう。

 なにしろ、弟子が弟子をつれてきた日。

 つまり、フリーレンのことを孫弟子だと認識した日だったのだから。

 先生って、フリーレンのことも心の底ではかわいがってる気がするんだよなぁ。

 だって、爺婆は孫に弱いもんね。

 

「うん。フリーレンは一級魔法使いの先生たちよりも強いと思う。でもね、それだけじゃないんだよ。フリーレンは人間のことを知ろうとしているの。一級魔法使いになれば、もっとたくさんの人間と関わることになるでしょ? それは、フリーレンにとって、すごく大事なことじゃないかな」

 

「どうしてそう思う?」

 

「だって、先生の魔法も今度は受け取るかもしれないよ。人のプレゼントを受け取るのは、その人のことを嫌ってないですよーってサインだから。つまり社交性という能力の発露だからね」

 

 わたしは、先生の膝にすりすりと頭をこすりつける。

 猫ちゃんアピールだ。先生はこういうのに弱いはず。

 

「おまえが心配しているのは、フリーレンのことではないな?」

 

 声のトーンは変わらないが、先生にはお見通しだったみたいだ。

 

「大方、フェルンとかいうおまえの妹のことだろう。違うか?」

 

「違わないけど……。嘘でもないよ」

 

 魔法都市オイサーストが目の前まで差し迫った時。

 フェルンちゃんにはちょっぴり自信がないようだった。

 自分なんかが、一級魔法使いになれるのかと思っていた。

 魔法使いを名乗る――つまり、大陸魔法協会のお墨付きである魔法使い試験には等級が存在する。

 一級魔法使いはわずか45名しかおらず、十級までで2000名ということを考えれば、いかに狭き門かがわかるだろう。感覚的には英検で一級をとるのと大差ないと思われる。

 

 試験は個人的技量を問われるものだから、フリーレンが試験に参加したからといって、フェルンちゃんの合格成否に関わるとは限らない。でも、フェルンちゃんは師匠であるフリーレンとずっといっしょに旅をしてきたのだ。フリーレンがいっしょに試験を受けてくれれば、それだけで安心できるだろうと考えたのだ。

 

「まあいい。大陸魔法協会の門扉は誰に対しても開かれている。五級以上を試験資格としているが、それは最低限の力を持っていることが前提だからだ。フリーレンなら問題ないだろう。だが――」

 

 ゼーリエ先生は、そこで一旦言葉を切り、わたしの目をじっと見据えた。その瞳には、いつもの冷徹さに加えて、何かを試すような光が宿っている。

 

「おまえもわかっているはずだ。フリーレンほどの規格外の存在が試験に参加すれば、他の受験者との間に圧倒的な力の差が生まれる。それは、本来、個々の力量を測り、才能ある者を選抜するための試験という場において、望ましい状況とは言えない。アナリザンド。おまえは三年かけてあの子たちが用意した試験をぶち壊すつもりか?」

 

 先生の指摘はもっともだ。

 フリーレンの力は他の受験者たちにとって、あまりにも大きすぎる。 

 それは、まるで大人の運動会にプロのアスリートが参加するようなものかもしれない。

 

「私は強者を求めている。フリーレンが一級魔法使いになる気があるのであれば、フリーレンひとりが合格すれば、他が不合格になったとて、余りある成果と言えるだろう。だが、そうはならない。フリーレンには野心が足りん。あいつは昔からそうなんだ。ある意味では私よりエルフらしいとも言えるがな」

 

 孫にかまってもらえなくて拗ねてるお婆ちゃんかよ。

 

「フェルンちゃんは、フランメに匹敵する魔法使いになれるかもしれないよ。ううん。フェルンちゃんだけじゃなくて、今回の試験は有望な子が多いの。先生を超えることすらできるかもね?」

 

「まるでプロデューサーにでもなったかのようなセリフだな。だが、フリーレンすら超えられんやつが、私を超えられると思うか?」

 

「みんな誰だって最初から強いわけじゃないよ。先生だってそうだったでしょ」

 

「いや、私は最初から最強だったぞ」

 

「それを証明できる人って今いないじゃん」

 

 女神様くらいしかいないだろう。

 クラフトとかいうエルフはどうだろうか。でも、その人のことあんまり知らないしなぁ。

 寿命でマウントとられたら返す言葉もない。

 実際に、先生はわたしの観測しうる限り、この星で最強の生物なのだから。

 

「私が求めている強さの最低水準というものもある。フリーレンの存在が、弱い者を合格させてしまえば、この場で一級魔法使いに合格したとしても、すぐに死んでしまうだろう」

 

「選抜を無意味にするつもりはないよ。ただ、みんなの安全を確保したいだけ」

 

「なるほど、私のお墨付きが必要というわけか。各試験官にも交渉するつもりだな?」

 

「うん。そのつもりだよ。特にゲナウ先生はちょっぴり他の先生と連携がとれていないからね」

 

「それはあの子たちの領分だ。好きにしろ」

 

「じゃあ、いいんだね?」

 

「言葉をかき混ぜて誤魔化そうとするな。それとこれとは話が別だ。フリーレンを試験に参加させれば、あの子たちの想定を超える結果になるだろう。それは私も望むところではない」

 

「え~。でもでもぉ」ぐりぐりザンド。

 

 あ、そうだ。

 いつものあれをやってみよう。

 

 ポンっと抱き枕になる魔法を使って、ゼーリエ先生を篭絡する作戦だ。

 やわらかいアナぬいになって、先生の腿肉のうえに出現するザンド。

 希少なアナぬいセーラー服バージョンだ。

 

 どや。かわいいやろ! 

 

「フン……」冷笑。あるいは余裕の笑み。

 

 馬鹿な……。

 そんな……。効かない、だと。

 

「手垢のついた魔法なんぞ。私に二度も通じると思うな」

 

 愕然とするわたし(ぬいぐるみなので表情に動きはないけど)。

 

 しかし、予想すべきことだった。このアナリザンドが、ぬかったわ!

 

 魔法の歴史というのは、克服の歴史ともいえる。

 人間がゾルトラークと防御魔法を開発したように。

 先生もまた、その長大な歴史のなかで、いくつもの魔法を克服してきたのだろう。

 つまり、耐性をつけてきたのだろうと思われる。

 先生の想像を超えるような魔法を生み出さなければ、先生には通じない!

 こうなったら――。

 

『先生……』

 

 わたしはぬいぐるみ内蔵マイクから声を出す。

 口は開いていないよ。ぬいぐるみが口を開いたら恐怖映像だからね。

 

「なんだ?」

 

『抱っこして』

 

 アナぬいのつぶらな瞳が、ゼーリエ先生のハートを貫く。

 

「小賢しい真似を……」

 

 でも、ギュってされました。

 また、勝ってしまった。

 

 

 

 

 

 少し落ち着いて。

 

 わたしは元の姿に戻るよう促され、再び先生の玉座に両腕と顎を乗せていた。

 

「いいだろう。アナリザンド。おまえの交渉に免じて、フリーレンの参加を認めてやる。ついでに安全確保とやらについてもおまえに一任しよう」

 

 準備は一任されました!

 

「やったね」

 

「だが、おまえの拙いおねだりごときで、私が無償で動くと思うなよ」

 

 いつものツンデレムーブだ。

 ごくりと喉を鳴らすわたし。夜のお供をしろとか言われたらどうしようと思わないでもない。

 まあ、アナぬい状態なら、べつにいいけどね。

 

「おまえには、フリーレンの抑止力になってもらおう」

 

「抑止力?」

 

 先生は答えず、わたしの右頬をつまむ。引っ張る。

 引っ張られる。痛い。痛い。伸びきっちゃう。

 

「先生、やだ。やめ、やめてー」

 

 わたしは両の腕をつかって、先生を止めようとするが、全然ダメだ。

 ぷるぷるする。

 

「今、私が危惧しているのは、ちょうどこんな感じだ。フリーレンの力によって、おまえの頬という試験会場は引っ張られている状態となる。それを、おまえは押しとどめようとしている」

 

 そんなのわかってるから。先生! 先生!

 伸びちゃう。伸びきっちゃう。元に戻らなくなっちゃう!

 虐待反対! マゾ虐反対!

 

「フン……」

 

 パっと離される。ふいい。

 痛くなければ覚えないって言っても、そんなに頭悪くないつもりなんだけどな。

 

「よく聞け、アナリザンド。おまえはフリーレンを()()()()()()()()()()動け。全力で邪魔をしろ。活躍させるな」

 

「わたし、フリーレンと戦ったことないよ」

 

 言い争いは何度もしてるけど。

 直接的な戦闘をおこなったことはない。

 フェルンちゃんが泣いちゃうかもだし、わたし自身も戦いたくないからだ。

 

「よかったじゃないか」

 

「え、なにが?」

 

「おまえにも魔族の本能が欠片なりともあるのだろう。何も殺し合いをしろとは言っていない。戦いを通じてしか語り合えないこともある」

 

 そんな戦闘狂みたいなこと言われましても……。

 

「先生わたし、フリーレンとは戦いたくないんだけど。なんていうか。手加減が難しい」

 

「ほう。貴様にとってフリーレンを降すなど、赤子の手をひねるより容易いということか」

 

「そうは言ってないよ。魔法の世界に絶対はないと思う。でも……うーん」

 

 単純に魔力の多寡だけで言えば、わたしの魔力はフリーレンの防御膜を貫通というか、ぶち抜いてしまって、そのまま黒く塗りつぶしてしまう。

 

 かといって、アゼリューゼを使って、無理やり命じるみたいなのもトラウマを抉るみたいで嫌だしな。あのときのフリーレンは尋常でない様子だったし。わたしにじゃないけど、フェルンちゃんに謝っていたのだ。

 

「フリーレンがおまえに手加減されたと知ったら噴飯ものだろうな」

 

 くっくっくと哂うゼーリエ先生。

 ほんと趣味がイカしてる。うさんくさい哂いをこぼしている。略してイカ臭い。

 

「先生のいじわる」

 

 プクっとフグみたいに膨らむほっぺ。

 そしたら、先生はわたしの両頬をつまんだ。

 

「ぷひゅひゅーー」必然的に息が漏れてしまう。

 

「さきほどの魔法よりもおもしろいぞ。アナリザンド」本当に楽しそうだ。「深く悩む必要などない。子どもどうしの戯れのようなものだ。フリーレンがこの千年の間にそれなりの研鑽を積んでいれば、たとえ太陽の力ですらいなせるだろう」

 

「ゼーリエ先生は、フリーレンが勝つと思ってるんだね」

 

「フリーレンとは千年ほど逢っていない。あの子がどれだけ成長したか私は知らん。前に逢った時のままだと、おまえには勝てないだろう。だが、フリーレンも成長していると踏んでいる。フランメの宣言通り、魔王を斃したのはあの子だからな。だいぶ時間はかかったが……」

 

「先生は、わたしとフリーレンのどっちのほうが好きなの?」

 

 じーっと観察する。

 フリーレンには負けたくない。

 こう見えてもわたしも魔族。プライドだけはいっちょまえなのだ。

 ジェラってるわけじゃないよ! たぶん。

 

「おまえからそんな言葉が出るとは珍しいな。そんなに私のことが好きなのか?」

 

 ニチャアって哂うのやめて。怖いから。

 

「大好きに決まってるでしょ! まったくもう」プリプリザンドである。

 

「なら、()()()()()()()()()()()()。私は勝者が好きだ」

 

「先生って本当に、バトル大好きエルフだよね」

 

 バトルジャンキーじゃなきゃ、ただのツンデレエルフなのに。

 

「私はもとよりそういう存在だ」

 

「わかったよ。先生。わたしなりの勝ち方を目指すね」

 

 ゼーリエ先生は鷹揚に頷く。

 

「好きにしろ……。だが――」

 

「だが、何? 言葉を切らないでよ先生」

 

「ふ……。抱き枕になる魔法はやめておけ。あの子には効かないだろう」

 

 先生はイメージしたのだろう。

 抱き枕になる魔法を使って、アナぬいになるわたし。

 フリーレンに抱きつくわたし。

 ポイって捨てられて、そのままゾルトラークされるわたし。

 キタネェ花火状態になるわたし。爆発オチなんてさいてー。

 

 うん。やめとこう。マジでそうなりそう。

 

「おまえは時折、私の想像を超えてくる。期待しているぞ。アナリザンド」

 

 先生に期待されたら、黙ってはおけない。

 真剣にフリーレンと戦うことを検討しよう。

 

「がんばるね。先生」

 

 そして、もしもフリーレンに勝ったら、褒めてもらおう。

 

 

 

 

 

 今日もわたしはネゴシエーター。

 ゼンゼ先生に髪の毛をツインテにしてもらい、今日もバッチリかわいい。

 おお、()()()だ。正確には角ごと包みこむように髪の毛を巻いて、猫の耳を形作っている。

 さすが髪の毛に対してはこだわりがすごいな。

 

 べつに無償でしてもらったわけじゃない。ちゃんと報酬は払っている。

 抱き枕になる魔法を使い、アナぬい状態で先生と寝たのだ。もちろん文字通りの意味で。

 卑猥なイメージは一切ないので、そこのところは誤解なきよう。

 なんだか、わたしばっかり得してる気もするが、それはさておき。

 

「先生も猫好きなの? にゃぁん?」

 

「君は角カバーをあまりつけていないみたいだからな」

 

「ごめんなさい。なんか息苦しくて……」

 

「誰だって最初はそういうものだ。着けてるうちに慣れる」

 

「でも、先生も――」

 

「君と同じ理由かもしれない。なんとなく面倒くさいんだ」

 

 ゼンゼ先生が毎日同じような服を着ているのも同じ理由らしい。

 服を選ぶとか、着飾るとかが面倒くさいらしい。

 正確には、その時間が惜しいと考えている。

 

 二次試験の試験監督官を務めるらしいゼンゼ先生は、平和主義らしく、最初から受験生たちの安全に気を配っていたようだ。そのため、寝る間も惜しんで、あの迷宮――シュピーゲルがいたダンジョンの難易度調整をしていたらしい。

 机の上には、ファイト一発系のドリンクの瓶が何本も転がっており、わたしは心配だったのだ。

 そして、だから、いっしょに寝たわけである。わたしが抱き枕になると、先生は安眠できる。

 すっきりした様子のゼンゼ先生は少し回復した模様。よかった。

 

 最後にブラシで髪を整えてもらうときに、先生に対して振り向く。

 

「――というわけで、ゼンゼ先生。いっしょについてきてくれる?」

 

「ゲナウの説得か……。正直なところ気は進まないな」

 

「どうして? ゲナウ先生ってぼっち力高めだから、いっしょに試験官するゼンゼ先生がいれば、ゲナウ先生も首を縦に振りやすいと思うんだけど」

 

「はっきり言えば、一級魔法使いは、私も含めてどいつもこいつも変人揃いだよ。戦闘狂で人の話を聞かないやつばかりだ。その中でもゲナウは、血も涙もないやつと呼ばれている」

 

 うわぁ。なかなかえぐみのある評価だ。

 ただし、いまのわたしは、マスターアナちゃんなのである。

 

「血も涙もない人とも信頼関係を築くのが、交渉人の役目なんだよ」

 

 歴戦の交渉人ぶって、わたしは言った。

 

「そうか……。ただ、まあゲナウもゼーリエ様ファンクラブの立派な一員だし、ゼーリエ様が是と言ったことを無碍にはしないだろう」

 

 一級魔法使いって、ゼーリエファンクラブだったんだ……。

 まあ、そうだろうねとは薄々気づいていたけど。

 そもそも会員番号一番のレルネン先生からして、猛烈なゼーリエ信者だからな。

 

「ゲナウ先生もそうなの?」

 

「もちろん」ゼンゼ先生はまったく悩むことなく、そう述べる。

 

「そんなふうには見えないけど」

 

「だから、血も涙もないなんて言われているんだろう。でも、心の底では案外そうではないかもしれない。冷笑主義者ではあるかもしれないけれど、私が沈黙主義者であるのといい勝負だな」

 

「ふうん。じゃあ、冷笑主義者のゲナウ先生にはどんな手が有効だと思う? 鳥の真似でもすればいいの?」パタパタザンドになるわたし。

 

 でも、そうなると猫型の髪って微妙だ。

 猫と鳥って相性悪そうだし。

 

「そういえば……」

 

 よく考えたら、ゲナウ先生と話が通じたのって、青い翼を出す魔法を唱えたせいなんじゃ。

 鳥萌え認定されちゃってたり?

 

「特に奇をてらう必要もないと思う」ゼンゼ先生は柔らかく否定した。

 

「どうしてそう思うの?」

 

「一応、彼とは同僚にあたるからな。君よりは彼を見ていた時間が長い。ゲナウにとって、鳥は単なる愛玩対象ではない。自由の象徴であり、完成された美しさであり、そして、手の届かない理想でもあるのだろう」

 

 ゼンゼ先生は、ゲナウ先生の青い魔法の鳥の話を知らないはずだ。

 それなのに、わたしよりもずっとゲナウ先生のことに詳しいみたいに思えた。

 

「彼は、魔法に対しても同じような完璧さを求める傾向がある。無駄がなく、効率的で、そして何よりも美しい魔法を好む。だから、中途半端な説得や、感情に訴えかけるようなやり方は、おそらく逆効果だろうな」

 

「ふむふむ。じゃあ、論理的で、しかもゲナウ先生の美学に響くような提案が必要ってことかぁ」

 

 なかなか難しいお題だ。でも、逆に燃えてきた。

 ネゴシエーターアナちゃんは、単なる使者ではなく、ランクアップした交渉人なのだ。

 

「ふふ……」

 

「どうして笑うの。先生」

 

「いや馬鹿にしたわけではないよ」

 

 ゼンゼ先生が指先で、わたしの猫耳風の髪型をそっと撫でた。

 そうやって撫でられると、わたし、ネコシエーターになっちゃう。

 

「ゲナウは、予想外の出来事や、理解を超えた存在に対して、表面的には冷笑的だが、内心では強い興味を抱くタイプだ。気づいてないかもしれないが、君がまさにそういう存在だよ」

 

「つまり、ありのままのわたしでいいってコト!?」

 

 そんな、アナと雪の女王みたいなことがあっていいんだろうか。

 

「まあ、あまり気負わなくていい。心配なら私も同行し、君の交渉を見届けよう。ゲナウの機嫌が悪ければ、私が盾になる。あの時の再来だ。君も覚えているだろう」

 

 ふたりで戦った月の神殿の思い出。

 

「先生、大好き。頼りにしてるね」抱き着く魔法。いや物理。

 

「はいはい。よしよし」ゼンゼ先生は、髪の毛で、優しくわたしの頭を撫でてくれる。

 

 よし! ゼンゼ先生という心強い味方もゲットしたし、ゲナウ先生との交渉、頑張るぞー!

 

 血も涙もない冷笑主義者で、鳥好きで、ゼーリエ様ファンクラブ会員で、でも心の底では何かを求めているゲナウ先生。考えてみれば、属性盛りすぎでしょ。

 

 でも、わたしはなぜか一度はゲナウ先生に勝ってるらしい。なぜだかわからんが、ラッキーパンチでも当たったんだろうか。

 

 ちょっと不思議に思いながら、わたしはゼンゼ先生とともに、ゲナウ先生の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 ゲナウ先生は、わたしとゼンゼ先生の姿を認め、すぐに部屋の中に招き入れてくれた。

 血も涙もないとか言われてるらしいけど、同僚を拒むほど狭量ではないらしい。

 ちゃんとお茶も出してくれた。

 若干、野草っぽい匂いがするのは、部屋のなかにいる鳥のせいかもしれない。

 

「それで、なんだ?」

 

「あのね。ゲナウ先生。わたし一級魔法使いの試験を受けることになったの。ゼーリエ先生にそうしろって言われたんだよ。それで、他の受験者の警備も引き受けることになったの」

 

「ほう……。それで?」

 

 まったく声の調子が変わらない。

 手札を見せない交渉術は、ゲナウ先生のやり方だ。

 逆にやりにくい。

 

「それでね。()()()()()()()物申します。ゲナウ先生はもっと他の受験者の安全に気を配るべきです。例えば、ゼンゼ先生はレルネン先生に協力を申し出てて、緊急脱出用ゴーレムを貸し出すつもりだよ。先生も同じようにしてほしい」

 

「警備隊長が、試験を受けるのか。他の受験者たちに試験内容が漏れないのか?」

 

 そこですか。

 まあ、心配な要素ではあるだろうけど。

 

「そんなことはしないよ。わたしが試験を受けるのは他の受験者さんたちとは違う理由なの。ゼーリエ先生に特命を受けたんだから」

 

 胸をそらし、ゼーリエ先生のお墨付きがあることを主張する。

 一級魔法使いであり、ゼーリエ先生の弟子であるゲナウ先生は、ゼーリエ先生の命令を無視できないはずだ。それが、常識ってもんでしょ。

 

「ふむ……。大魔法使いゼーリエが、魔族ごときに篭絡されたか」

 

「ゲナウ。その言葉は、ゼーリエ様の弟子として看過できない。言葉には気をつけてもらおう」

 

 言いながら、空中に向かって、髪の毛でシャドーボクシングしている。

 ゼンゼ先生、むしろ煽ってませんかね!?

 そういえば、ゼンゼ先生も立派なゼーリエファンクラブの一員なのだった。

 いまさら気づいても、もう遅い。

 

「おそらくだが、ゼーリエにとってはどうでもよかったのだろう」

 

「どういうこと?」わたしは聞いた。

 

「ゼーリエ様にとって、人の生き死ににはさほど頓着はしないということだ。貴様が受験者たちの安全を主張したところで、たいした意味はない。一級魔法使いは選別というプロセスを経ずとも必然的にそうなるとな。わからんでもないが業腹だ。だから不満が口をついて出た。聞き苦しかったのなら謝罪しよう」

 

「つまり、ゼーリエ先生はゲナウ先生がいなくても別にいいやって思って、わたしを警備隊長にしたって考えてるの? それは違うと思うけど。先生はあの子たちが三年かけて準備した試験を壊すつもりかって最初怒ってたんだから」

 

 わたしの言葉に、ゲナウ先生は一瞬だけ眉をひそめた。本当に一瞬だけだったが。

 鉄仮面でもかぶってるのかしらん。

 

「ゼーリエが怒るだと……、それは初耳だな」

 

 そしてゲナウ先生がゼンゼ先生に視線を飛ばす。

 

 裏をとろうとしているのだろう。ゼンゼ先生は何も言わず、ただ頷いた。

 

「言葉の綾だったが、どうやらゼーリエ様が貴様に気を割いているのは確かなようだな。あの方が、試験の準備ごときに感情を動かされるとは珍しいことだ。一体、何が彼女の琴線に触れたのやら」

 

「アナリザンドの魔法だろうと思う」ゼンゼ先生ナイスアシスト。

 

「魔法? 魔族の魔法。――呪いか」

 

「そう。むしょうに対象をメチャクチャにしたくなる魔法……キュートアグレッションだ」

 

 キュートアグレッションとは、子猫などを見たときに猫かわいがりしたくなる衝動のことをいう。

 ゼンゼ先生も結構、冷静沈着なイメージあるけど、わたしのことメチャクチャにしたかったの?

 

「ふむ。よくわからないが、こいつにゼーリエ様は敗北したというのか?」

 

「そういうわけではないよ。だが、片膝くらいはついたかもしれない。かくいう私も、気絶するほど寝こまされた。今まで喰らったなかで一番アブナイ魔法だった……」

 

 ゼンゼ先生? そんな魔法使った覚えありませんけどー!?

 アナちゃんは危険性のない安全な魔族ですよー。

 

「なるほどな。ならば、ゼーリエ様が目をかけておく理由もわからんでもない」

 

 納得されちゃった……。

 なんだか腑に落ちないけど、いまさら否定するのも交渉がリバースしちゃうので、このまま進めることにする。

 

「ともかく、ゼーリエ先生も、ゲナウ先生のことを軽んじてるわけじゃないよ。強い者は確かに生き残るだろうけど、強くなる可能性のある者は弾いちゃうよね。死んだらそれまでだもん。それはゼーリエ先生にとっても好ましくないんじゃないかな」

 

「一理はあるな。あのお方がそのような些末なことに気を巡らすとは思えんが……」

 

「ゼーリエ先生が、先生たちのブログにメチャクチャ丁寧に返信しているのは、先生たちのことを大事に想ってる証拠だよ」

 

「……あれは、暴力の一種だろう」

 

「まあ……それは……えっと教育的指導ってやつです」

 

「……まあいいだろう。貴様の言うゼーリエ様の真意をこれ以上問いただす意味もない。子どもの戯言の時間は終わりにしよう」

 

 ゲナウ先生は、ふっと息を吐き、まるでスイッチを切り替えるように、その表情からわずかに残っていた人間味のようなものを消し去った。再び、冷徹な試験官の顔に戻ったという感じだ。

 

「アナリザンド。お前が警備隊長とやらを名乗り、受験者の安全確保を主張する以上、具体的な方策があるのだろうな? レルネンのゴーレムを導入すると言ったか。詳細を聞こう。ただし、試験の厳格さと公平性を損なうような提案は一切認めん。その覚悟はあるか?」

 

「もちろんあるよ」

 

「では、おまえにも試験の内容を話さねばならんな。ゼーリエ様は貴様自身には特命を与えてるらしいが、不必要な情報を得ようとしたり、他の受験者に与えたりはするなよ」

 

「うん。あ――、だけど、試験内容はわかってるよ。ズバリ隕鉄鳥(シュティレ)でしょ」

 

「ほう……なかなかやるな」

 

 ゲナウ先生とゼンゼ先生は揃って、わたしの情報収集能力に驚嘆しているようだった! 

 ふふん。ふふん! ここぞとばかりに、胸をそらしまくるわたし。

 

 種を明かせば簡単なことで、エーレちゃんといっしょに行ってた、あの森がいつのまにかゼーリエ先生の創ったであろう結界に覆われていたからなんだけどね。

 

 あ、これ、試験会場だって気づいたわけです。

 

 不必要なことを言わない。これも交渉の極意。

 わたし、もしかしてマスターアナちゃんになっちゃった?

 

「受験者の誰かが気づいたか……」ゼンゼ先生、それは言わないで。

 

「ふん。デンケンかヴィアベルあたりが怪しいだろうな。今年の受験者は本当に有望そうだ」

 

 ゲナウ先生も、あっさり見抜きやがった。

 折角わたしの手柄にしようとしたのに。三十秒くらいしかもたなかったんですけど!

 

「それでは当然知っているだろう。私が何を懸念しているか」

 

 そんなわたしの哀しみは一切歯牙にもかけず、淡々と具体案を迫るゲナウ先生。

 まあ、いいよ。

 

「シュティレは魔力に敏感なんだよね。魔力で創られたゴーレムはシュティレも反応しちゃうかもしれない。それが先生の心配ごと」

 

「そうだ。鳥は繊細な生き物なんだ。おまえのようにフワフワと生きている魔族とは違ってな」

 

――ふわふわザンドですか。そうですか。

 

「その点についてはちゃんと対案を用意しているよ」

 

「なんだ? 言ってみろ」

 

「ブルグ先生の魔法をゴーレムに組みこむの」

 

「……ステルス。もともとは鳥の属性でもあるな。鳥型の魔物は探知されにくいとされている。翼の形状や魔力を吸収し反射することが、そのような性質をもたらしていると予測されるが、彼の魔法も似たようなものだろう。興味深くはある」

 

 ゲナウ先生にとって、ブルグ先生はけっこう高評価だよね。

 一級魔法使いというプロ同士、響き合うものがあるのかもしれない。

 あるいは単純にウマが合うのかもしれないね。

 

「それで、アナリザンド。貴様は前もってブルグを説き伏せていたというわけか」

 

「うん。まあ……」

 

「歯切れが悪いな。まだなのか?」

 

「いや、話はちゃんと通しているよ。レルネン先生も快諾してくれたし」

 

「ほう……貴様をみくびっていたようだ。ずいぶん用意がいいじゃないか」

 

「まーねー」

 

 

 

 

 

 わたしが言いよどんだ理由は――まあ、言えないわけでもないけれど、ブルグ先生の名誉にもかかわることだからである。

 

 わたしは、ブルグ先生にこうなることを予想して、前もって訪ねていた。

 

 もちろん、先生が好きそうなセーラー服姿で、素足でぺたぺたと廊下を歩いていったのである。

 

「ブルグお兄ちゃん。今日はお願いがあってきました」

 

 ペコリと頭を下げるわたし。

 

「ま、またなのか。今度はなんだ」

 

「たいしたことじゃないよ。お兄ちゃんが開発したステルスの魔法をレルネン先生のゴーレムに組みこんでほしいんだぁ♡」

 

「できないわけではないが……。一級魔法使いにとって自身の魔法はアイデンティティでもある。それを容易く他者の創った被造物に組みこむというのは」

 

「お兄ちゃん、疲れてるよね?」

 

「え?」

 

「なんだか、すごく疲れてそう。ほら横になって」

 

 わたしは無理やりブルグ先生の腕を引っ張って、ベッドに横たわらせたのです。

 両の手を左足でセットし、見せつけます。そのまま黄金の左足でブルグ先生のお腹のあたりを蹴って、うつぶせにします。力はいれてませんが、ブルグ先生は電撃を受けた魚みたいに跳ねて一回転しました。

 

「お兄ちゃん。足でふみふみしてあげようか?」

 

「う……そんな、そんなことで」

 

 背中をつつつっと、足でなぞるわたし。

 

「汚れてるかもって心配? 大丈夫だよ。三ミリくらい浮いてきたからね♡」

 

 魔族は飛行魔法が得意なのだ。

 

 ふみ。ふみ。

 

「ほらほら。気持ちいいでしょ♡」

 

 わたしの体重は軽い。ブルグ先生は案外筋肉質で、わたしが乗ったくらいじゃビクともしない。どこか別のところがビクっと反応していたが、気のせいだろう。

 

「どうかな~。だんだんレルネン先生のゴーレムに魔法を組みこみたくなってきたでしょ?」

 

「うっ。うう……」

 

「ねえ。なんか言ってよ♡」

 

「あ、アナリザンド」

 

「うん?」

 

「か……」

 

「か?」

 

「顔もお願いします」

 

 さすがに気持ち悪かったけど、ちゃんとしてあげました。

 

 わたしの交渉術は一級魔法使いを篭絡するくらい容易いのだ。

 

 ちなみに、レルネン先生については、セーラー服の構造が気になっているようだった。この服をどうやってゼーリエ先生に着せるかイメージできなかったのだろう。

 

 もとから、ゼンゼ先生とは協力体制を築いていたみたいだし、特に断る理由もなかったので、レルネン先生を説得するのは簡単だったのである。

 

 

 

 

 

「――とりあえず、これで技術的な困難は解決できたよね」

 

 わたしはゲナウ先生に結果だけを報告した。

 

 ゲナウ先生は顎に手をあてて、考えているようだったが、特に断る理由は……ないよね?

 

「そのゴーレムを導入するとして、具体的にはどうやって受験者の安全を確保する?」

 

「普段はステルス性能をフルに発揮して、みんなの目には留まらないようにする。そして命の危機が迫ったときは、受験者の盾になって時間を稼いだり、そのまま試験区域を離脱したりするよ」

 

「では、どうやって命の危機を判断する? その判断が甘すぎれば受験者たちをすぐに脱落させてしまうだろうし、厳しすぎれば安全確保という意味合いは薄れる」

 

 ゲナウ先生は真面目だ。

 想像の翼を広げて、鳥のように未来を見据えている。

 

「それは、私がデータを提供した」ゼンゼ先生のナイスアシスト再び。

 

「うん。ゼンゼ先生は何度も試験を受け持ってきたからね。どんな時に受験者が命の危機にさらされるか、有用なデータを持ってたの。それでレベルを設定したよ」

 

「なるほどな……悪くはない」

 

 よし。好感触。

 あと一息だ。

 

「もちろん。先生がゴーレムたちの行動を決定することもできるよ」

 

「レルネンが、ゴーレムの行動決定権を渡す、だと……」

 

 わずかにゲナウ先生の鉄面皮が崩れる。

 ブルグ先生も言ってたけど、基本的に一級魔法使いが得意の魔法を他者にひけらかすことはないのだ。それは、レルネン先生がゲナウ先生のことを信頼している証でもある。

 

 まさかゼーリエ先生にセーラー服を着せるという野望のために、大切なゴーレムを犠牲にしたというわけではないだろう。

 

「うん。ゴーレムはあくまでも伝書鳩みたいなものなの。ゲナウ先生の意志を伝えるためのね。例えば、この子はちょっと力不足だな。危ないから試験は残念だけど不合格だなと思ったら、ゴーレムを起動させて、不合格にすればいい」

 

「自由、か……」

 

 いまだ!

 わたしは、対ゲナウ先生用の魔法を唱える。

 

――ディガドヒンメル。

 

 ゲナウ先生のディガドナハトを模倣し、青色の翼を顕現させる魔法だ。

 

「先生。ぱたぱたザンド~」背中の羽を動かして、鳥アピールをするわたし。

 

 実際には魔法の力で飛翔しているので、羽を動かす必要はない。

 

「……伝書鳩のつもりか?」

 

「うん」

 

 効果はいまいちのようだ。絶対ウケると思ったのに。

 すとんと地面に降りる。

 ゲナウ先生の顔つきはさきほどから変わっていない。

 

「どうかな?」

 

「……まあいい。もとより私はゼーリエ様の弟子だ。言われたことくらい無難にこなすさ」

 

 やった! 交渉成立だ。

 

「じゃあ、ゼーリエ先生にそうなったって報告してくるね」

 

 そのままパタパタと慌ただしく、わたしは廊下を駆けていく。

 

「鳥のようなやつだな。もういなくなった」

 

 残されたゲナウ先生がそう言って、ゼンゼ先生は、こう口にする。

 

「すぐに戻ってくるよ。今の彼女は伝書バトなんだから」

 

 

 

 

 一級魔法使い選抜試験が、ついに始まる――。

 

 

 

 

 

 

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