外れ者共は今を生きる   作:春夏 フユ

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第20話 今日は採集祭を開始する

 今日は8月18日、採集祭当日。

 参加者達は皆ギルド前に集まっている。

 3人1組が前提だからかかなり多く、どうやら他の街から来ている人もいるようだった。

 

 「皆様、採集祭のご参加誠にありがとうございます。 いつもはこのギルドの受付をしていますが、今日は採集祭の説明などの事をさせて頂きます。 今回の司会担当[ケウシャ]です」

 

 参加者達の前で大きな声で話し始めたのは、あのベビィスライムの時の受付さんだ、そんな名前だったのか・・・・・

 

 「そしていつもギルドで鑑定しているカンテじゃ。 よろしく皆の衆」

 

 ケウシャの隣に立っているのは、同じくベビィスライムの件の時にいた俺達をからかってビビらせてきた大柄な爺さんだ。

 

 「それでは。 皆さん知っているかと思いますが、今一度採集祭の由来について説明致しましょう!!」

 

 皆さん知ってる・・・・?

 ・・・・俺は知らないんだが。

 

 「採集祭はギルドと街が密接な関係にある、このイズリラを更に盛り上げる為に誕生した行事です。 ギルドのクエストは基本的に討伐クエストや護衛クエスト、捕獲クエスト等様々ありますが、その中で採集クエストはよく軽視されがちです・・・・」

 

 ケウシャは少し嘆く様なポーズをとりながらも、全参加者に聞こえるほどの大音量で話している。

 多分声大きくする魔法使ってるな。

 

 「しかし! その軽視されがちな採集クエストに目を向けたのがまだイズリラが小さかった頃の町の長、イズルさんでした。 採集クエストも経済に多大な影響を与える大事なもの。 更に採集クエストにだって討伐クエスト等を凌駕するほどの難易度のものもある。 採集クエストは初心者がやる簡単なものという認識の現状を変えたい!! それが採集祭の始まりです」

 

 嘆く様なジェスチャーから一変、力強く拳を握り熱弁するケウシャ。

 

 「そうじゃったのか!! 知らんかったわい!!」

 

 そして何も知らないカンテ。

 

 「いやなんで知らないんですか。 毎年説明してる時もカンテさん隣にいますし、なんならつい先程事前に説明もしたはずですけど。 あと去年もそう言ってませんでした?」

 

 「この歳になると忘れっぽくてのぉ・・・・」

 

 「それも去年言ってましたね。 まったく、いつになったら覚え・・・・」

 

 ケウシャがカンテに説教でも始めそうな雰囲気になるが、今自分が何の役割をしているのか思い出したのだろう。

 進行役であるケウシャは気持ちをリセットする為にかわざとらしい咳払いをして、説明を再会する。

 

 「・・・・まぁ、カンテさんはほっといて次に採集祭のルール説明を致します。 採集祭の舞台は【赤みががった森】です。 イズリラの冒険者なら特に馴染みが深いですね。 参加者の皆さんはそこにある様々な植物を採集して頂きます。 植物は希少性、見つけにくさ、質、大きさ、様々な観点からポイントを付けさせて頂きます」

 

 「わしが鑑定してポイントを付けるんじゃよ。 迅速かつスピーディに鑑定したるわい」

 

 「参加者の皆様は植物を今から配る採集祭用のカゴに入れて、満杯になったら赤みががった森の周辺に設置された特設受付に持ってきて下さい。 尚、時間切れ30分前になった場合は満杯でなくとも持ってきてください」

 

 「満杯になって提出された植物はそこで初めてポイントとして確定するんじゃ。 逆に言えば提出しなければどんなレア物だろうと0ポイントじゃ。 提出時の品質もポイントに考慮されるから、急いで満杯にして腐る前に提出するのをおすすめするぞ?」

 

 「また、制限時間は開始時刻の12時から5時までですので夜行性の危険な魔物は出ないはずです。 もし何らかの理由でで起こしてしまい襲われても自己責任となります」

 

 「ちなみに魔物を倒して持ってきてもポイントにはならんぞ? あくまで『採集』の祭りじゃからのう!! 勝手に討伐するのは自由じゃが時間が勿体ないわい!」

 

 「禁則事項として、他の参加者への明確な害意がある攻撃は禁止させて頂きます」

 

 「後で〔制約石〕っちゅーもんを皆につけてもらうのじゃが、その石はさっき言った禁止されてる行為をすると感知する。 禁止行動を感知した制約石は身につけている者を強制的に失格者エリアに飛ばす効果を持つんじゃ」

 

 「その制約石を破壊したり無理矢理外そうとしても失格と見なされますのでご注意下さい。 つけている参加者本人が深刻な怪我をおった場合も安全上の理由で失格者エリアに転移されます」

 

 「あと、制約石の他にも〔撮影石〕っちゅー物も渡されるぞ。 ボタンを押すと周囲を動画として撮影し始めるんじゃ。 音声だって綺麗に録れる。 この撮影石を使って撮った動画を祭り終了後に特設受付に渡すと、提出された中で最も良かったものにも優勝賞金とは別枠でお金が貰える。 まぁちょっとしたボーナスじゃな。 渡さずに自分だけの思い出としてこちらに渡さず持ち帰るのも可能じゃ。 あ、制約石の方は終われば返してもらうぞ」

 

 淡々と説明するケウシャと、途中から真面目に説明するカンテ。

 

 ・・・・交互に説明していた2人の説明も、どうやら終了したようだ。

 

 「・・・・大方の説明を終えましたかね」

 

 「そうじゃの」

 

 「ではギルド前に集まってくださった皆さん、今この時から採集祭を・・・・開始しますっ!!」

 

 「「「「「オォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」」」」」

 

 説明が終わったかと思えばいきなり開始を宣言される。

 すると俺達以外の参加者は皆一斉に叫び、走る体制となる。

 

 「あ、ちゃんとこれ取ってから行くんじゃぞ」

 

 カンテとケウシャが、死角で見えなかったが近くに置いてあっただろう大きな箱を持ち、中身をぶちまけた。

 

 ぶちまけられた物は全部で三種類。

 いかにも頑丈そうな立派な背負い籠、赤い石が嵌め込められた腕輪、中央が押せそうな出っ張りになっている青い石。

 

 他参加者達は皆、無造作に地面にばらまかれた先程言われていたカゴ、制約石、撮影石を回収し赤みががった森にダッシュで向かい始める。

 

 初参加故にてっきり皆で赤みががった森に移動してから始まるもんだと勘違いしてた俺は、他の参加者にもみくちゃにされてからワンテンポ遅れて三種のアイテムをラスイとテクルと回収し急ぎ森に向かうのだった。

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