外れ者共は今を生きる   作:春夏 フユ

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第24話 正体不明はカゴを掴む

 「はぁ、はぁ。 あぶなかった! マジで死ぬかと思った! ラスイありがとぉ!」

 

 「私なんかに感謝して頂き、ありがとうございます!」

 

 「何だその返し」

 

 相も変わらぬラスイの卑屈さに驚いていると、テクルが俺から少し距離をとりつつ疑わしそうに言葉を発する。

 

 「本当に!! ・・・・・お前が私の尻を触ったわけじゃないんだな?」

 

 「そうだよ! 本当だよ!」

 

 「でも・・・お前以外に近くに人はいないぞ」

 

 ラスイが間に入ったことによって落ち着きを取り戻したテクルと話をした結果、何故俺が絞め殺されそうになったかが分かった。

 

 テクル曰く、潰したツキヤブリをじーっと見ていたら急に尻を触られたらしい。

 それに驚き、後ろを向いたら俺がテクルの方を見ていたとの事だ。

 誰かに尻を触られる→後ろに俺がいる→誰か=俺→ギルティー

 

 結果全身触手グルグル巻きからの絞め殺しをされそうになった。

 だがテクルの後ろにいた俺は当然そんなことしていないし、俺以外の誰かだって見ていない。

 それに肝心のテクルが尻を触られた瞬間も見てない。

 

 「・・・・本当にお前じゃないのか?」

 

 ちゃんとお話したのにテクルは未だ俺を疑っている。

 ・・・・俺、あんま信用ないのな!!

 

 どうにかしてテクルの疑惑を晴らさないと、またいつか何かの拍子にテクルがぷっつんして締め殺しされてしまうかもしれん!

 

 「・・・・え、あ、あれ? カ、カゴが無い!?」

 

 俺が無罪をどうやって早急に立証しようかと考えていると、急にラスイが慌て出しキョロキョロし始める。

 

 ・・・・・・え、今なんて言った!?

 

 「「カゴが無い!?」」

 

 俺とテクルの言葉がシンクロしたかと思い目を向けてみると、確かにラスイが地面に置いていたはずのカゴが無くなっている。

 

 ちなみに俺達が先程集めておいた(掠めてきた)植物達はテクルが俺に触手を伸ばしてきた時にばらまいてしまった。

 それらには変化が無く、依然地面に落ちたままだ。

 

 けど、そんなことよりカゴだ!

 カゴがなければこのばらまかれた植物達もポイントとして提出が出来ない!!

 

 だが、俺達がかなり焦った割には、直ぐにカゴを見つけることが出来た。

カゴの中身はラスイが頑張ったようで、しっかりと採集した物で満タンになっている。

 変にカゴの一部が壊れたりもしていない。

 

 ・・・・・しかし、明確におかしな所はあった。

 

 それは、フワフワと浮いていることだ。

 俺達の顔ぐらいの高さまで、カゴが浮いているのだ。

 

 ・・・・・!?

 

 え、誰かの魔法か!?

 

 ラスイは慌てたようにその浮いたカゴを回収しようと近づき、ガシッと掴む。

 

 「・・・・・!? このカゴ、ただ浮いてるわけじゃないです! 見えない何かが、このカゴを掴んでます!」

 

 ラスイがカゴを掴むと違和感を感じてようで、俺とテクルに情報を伝える。

 

 ラスイはカゴを引っ張ろうと試みているようだがその『見えない何か』も同時に、しかも反対方向に力を込めて引っ張っているようだ。

 「や、やっぱり何ががカゴを引っ張ってます・・・! ・・・・あれ? しょ、触角には反応しない・・・・?」

 

 力が拮抗している『見えない何か』とラスイはその場に留まり続けることが出来なかったようだ。

 両者しっかりとカゴを掴んでいるようだが、あっちにフラフラ、こっちにフラフラしている。

 

 ここでテクルが引っ張りに加勢するために触手を伸ばそうとするが・・・いかんせんラスイがカゴと密着しているのに加えて、不可抗力ながら動き回っている状態だ。

 無理に一緒に引っ張ろうとする為に触手でカゴを掴んだら、ラスイに触手が当たってしまうかもしれない。

 テクルはトラウマを克服し、ラスイに対して触手を見せる事は平気になったが・・・・強力な触手をラスイに当ててしまうのはトラウマに関係なく躊躇ってしまうようだ。

 

 そのためカゴを掴み損ねているテクルの代わりに、俺が加勢するためにカゴを一緒に引っ張る為に突っ込もうとすると。

 

 ・・・・・急にカゴが透明になった。

 

 何を言ってるか分からねーと思うが、俺もいきなり何が起こったか分からなかった。

 

 カゴだけが脈絡なしに急に見えなくなったのだ。

 カゴだけが不可視になった結果、中の植物が外から見えるようになりまるでラスイが採集した物の塊自体が浮いているように見える。

 

 ラスイは、見えなくなってこそいるが変わらずカゴがあったはず・・・・というか見えてないだけでカゴがあるところを、しっかり掴んでいる。

 その上採集した物もカゴの内部の形に沿って集合している。

 どうやら消えたわけではなく、本当にただカゴのみ透明になっだけのようだ。

 

 と、思っていた時期が俺にもあった。

 

 次の瞬間、今度は透明になったカゴに入っている物達が徐々に透明になっていく。

 

 俺とテクルは何が起こっているのか分からず、行動が少し遅れてしまった。

 

 その俺達が遅れている間に、今度は透明カゴを引っ張っていたラスイが透明になり・・・・

 

 カゴも、植物も、ラスイも。

 

 全部全部全てが。

 

 ・・・・・全く見えなくなった。 

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