傷ついたエルフを拾ったらめちゃくちゃ愛が重くなった件、とりあえず一緒に錬金術する?   作:名無しさん

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第15話:ピカピカの武器

 サーチのおかげで、レナセールはたまに寝顔を見せてくれるようになった。

 一度だけ俺が朝食を作って起こすと、彼女は飛び起きて申し訳なさそうに謝罪したが、その後、焦げた卵焼きでとびきりの笑顔を見せてくれた。

 

 回復薬と状態異常薬は、無事に配給ルートを確保し、念願の浴槽も手に入れた。

 まだ住居を快適にしたい気持ちはあるが、それよりも目標の為に一歩進めようとした。

 

 それは、S級ポーションの素材の一つである『フェニックスの尾』を手に入れることだ。

 ただ、錬金術師の俺がそんなのを買ってバレると命を狙われかねない。

 

 よって、来るべきに備え、二人で装備を整えながら、少しずつ狩りも始めようと話し合った。

 レナセールが冒険者の指を落として以来、王都の外には出ていないが、いつか別の国にも行ってみたい気持ちもある。

 

 

「凄い。剣、弓、盾、装備がいっぱいですね」

「だな。俺も数えるほどしか来てないが、何度見ても圧巻される」

 

 俺とレナセールは装備屋を訪れていた。

 フェニックスと戦って勝つなんて思ってもないが、錬金術師だからといっていつも丸腰では威圧感がなさすぎるだろう。

 

 この世界において装備は、人間相手の魔除けみたいな効果がある。

 デカい斧を担いだ大男と、華奢でひ弱そうな男が歩いていた場合、どちらが狙われやすいか容易に判断ができる。

 

 冒険者の共通認識だが、錬金術師は頭がよくても腕はないと思われている。

 実際その可能性は高いと思うが、だからといってサボってもいいことにはならない。

 

「こんにちは、何をお探しですか?」

 

 若い男性かと思っていたが現れたのは若いお姉さんだった。

 この世界の住人は、美人が多い。

 何となくホッとし、欲しいものを伝える。

 

「短剣と魔法の指輪がほしい。切れ味や魔力が特別強いものではなく、できるだけ丈夫なものが欲しいんだ」

「畏まりました。お調べしますね」

 

 お姉さんは、俺の希望通りいくつか用意してくれた。

 西の地方の精鉄で作られた短剣、オークが踏んでも壊れないとされている指輪。

 

 魔法の杖は持ち運びが面倒だ。

 レナセールは素早い動きができるので、本格的に狩りをしない俺たちならこれが妥当だという判断になった。

 

 少し予算オーバーだったが、確かにしっかりとしていた。

 

 俺の目は少し特別製である。

 

 スキルを心の中で発動すれば、武器の良しあしが何となくわかる。

 材料をしっかりと見極められる為に付随しているスキルなのだろう。

 

 念の為いくつかの店を回ったが、ここが一番安かったので購入した。

 

「ベルク様、私の分まで本当にありがとうございます」

「いつも言ってるだろう。俺の為だ。だがここからが長いぞ」

「はい。これから朝一番は競りに出ます。予算など詳しくまた教えていただけますでしょうか?」

「わかった。紙に書いて渡そうと思ったが、レナセールなら一発で覚えるか」

「はい」

 

 ニコリと微笑む彼女に、俺は頭の中でレシピを思い浮かべた。

 

 丈夫な物を選んだのは、攻撃力や魔力なんて後からいくらでも追加、錬成できるからだ。

 もちろん最初から付与はしない。

 

 練習用の武器も安く手に入れ、試す。

 

 レナセールと違って俺は強くない。

 

 だが武器は強くできる。

 

 毒や麻痺効果のある短剣だって材料さえあれば作れるだろう。

 

 武器屋になれば今よりは儲かるかもしれない。

 だがそれを大量生産していると、いつかきっと危険が付きまとう。

 

 だからこそ俺は地道に、それでいてしっかりと足場を固めた上で、今より幸せになりたい。

 

 焦りは禁物、それが、この世界で俺が決めたルール。

 

 

 自宅に戻ると、レナセールは武器を貸してくださいと言って、綺麗に拭きはじめた。

 錬成する前は、しっかりと雑菌を落とす。

 

 彼女は、一度伝えてからそれをしっかりと覚えている。

 

「悪いなレナセール」

 

 いえ、と答えると思っていた。

 しかし彼女は、武器を眺めながら不敵な笑みを浮かべる。

 

「私以外の女性が触れた武器を、ベルク様に持ってほしくありませんから」

 

 その夜、レナセールは夜通し武器をピカピカに磨いていた。

 

「もう寝よう……レナセール」

「いえ、まだです」




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