傷ついたエルフを拾ったらめちゃくちゃ愛が重くなった件、とりあえず一緒に錬金術する?   作:名無しさん

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第5話:ありがとうございます。ベルク様

 S級ポーションを与えてから三日後、レナセールは、家の中だけだが、地に足をつけて歩けるようになっていた。

 正直、初めて見たときはエルフかどうかもわからないほどだったが、今では美人なエルフで目の保養にもなる。

 

 ここは王都の端で、部屋は10畳ほどのリビング、六畳ほどの寝室、七畳の研究室兼仕事場、トイレと風呂付き。

 洗濯は外に共同で行って干す。

 住民は家族だったり新婚だったりと様々だが俺みたいな一人は少ない。

 

「ベルク様、こちらのポーションを箱に詰めておいていいですか?」

「ああ、ただ日付を――」

「はい。日付で分けて箱に詰めておきます」

「なら問題ない」

 

 レナセールは、俺の想像以上に仕事ができるとわかった。

 一度伝えれば忘れないし、何だったら色んな提案もしてくれる。

 

 効率的なアドバイスをしてくれたのは一つや二つじゃない。

 

 また、食事面でも大きなサポートになっていた。

 

「ベルク様、昼食をお作りました。卵を少し多めに使ったのですが、大丈夫でしょうか?」

「構わない。それより、いい匂いだな」

「……えへへ」

 

 硬いパンが安く、柔らかいパンが高い。

 俺はグルメではないが、日々の食事はできるだけ美味しいほうがいい。

 

 よって高くても柔らかいパンを買っていたのだが、レナセールが硬いパンを柔らかく調理してくれるようになった。

 

 牛乳とマッシュルーム、野菜と肉でスープを作る。

 硬いパンをオーブンで温め直すと、真ん中を繰り抜き、スープを注ぐ。

 

 ひたひたになると、硬いパンも、スープの力であっという間に柔らかくなる。

 俺はすっかりこれにはまってしまって最近はこればかり作ってもらっていた。

 

 付け合せのスクランブルエッグも最高だ。

 

 ポーション作りをしているとどうしてもほかの事が億劫になる。

 正直、レナセールが来てからは健康面は間違いなく良くなった。

 

「美味しいよレナセール」

「……良かったです。お飲み物のお代わり、いつでもお申し付けください」

「はは、それぐらいできるよ」

「いえ、私の仕事ですから」

 

 少し真面目すぎるがまあいいだろう。

 

 しかし、S級ポーションがなくなったのは痛手だ。

 できれば一つ、いや二つほど作って保管しておきたい。

 

 レシピは覚えているものの、一番重要なフェニックスの尾は、王都へ来る前、森の中で偶然手に入れたものだ。

 売れば500万以上すると知っていたらおそらく作っていなかったが、あの効き目を見ればその価値は安く思える。

 

「あの……」

「どうした?」

「S級の回復薬を私なんかに使ってくださり、本当にありがとうございます」

 

 すると、俺の心を見透かしたかのようなタイミングでレナセールが頭を下げた。

 彼女は鋭い。表情に出ていたのだろう。

 

 高価なポーションを作りすぎる危険性は何度か伝えている。

 だが魔物や危険が多いこの世界で一つぐらいは手元に置いておきたい。

 

 俺ももちろんだが、レナセールの身体がいつまた悪くなるのかはわからないしな。

 

「……でしたら、レシピの材料を自分で手に入れたらいいのではないでしょうか?」

「それができたらいいんだがな。フェニックスはどこにいるのかもわからないし、討伐ランクも非常に高い。まあ、気長に考えるよ」

「そうでしたか。差し出がましくすみません」

「いや、そうやって意見を言ってくれるのはありがたい。それより、身体はどうだ?」

「凄く良くなりました。その、できればお願いがあります」

「なんだ?」

「日々の食材、必要な物は私に頼んでいただけませんでしょうか。私も、ベルク様のお役にもっと立ちたいのです」

 

 レナセールには奴隷の刻印がされている。

 背中の印が俺に危害を加えることと、一定以上離れないようにと信号を放つ。

 

 どちらかというと一人で出歩くのが大丈夫なのかと心配をしていた。

 レナセールは可愛すぎる。誘拐の話を王都で聞いた事は、一度や二度じゃない。

 衝動的に奴隷を購入したが、どうやら俺は主人に向いてないらしい。

 

「わかったいいだろう。だったら飯を食べたら街を案内する。危険な所もいくつかあるからな」

「本当ですか!? ありがとうございます。ベルク様」

 

 すると嬉しそうに声を上げた。

 そのまま食事を続けていると、俺の頬にスープの痕がついていたらしい。

 

「ベルク様、舐め(・・)――取っていいですか」

「ああ、頼んだ――ん?」

 

 相槌で返事したが、0.1秒でおかしなことに気づく。

 だが時すでに遅し、唇横にあったクリームが、レナセールの赤くて綺麗な舌にペロリと舐めとられる。

 

「はぁぁっ……美味しい。ベルク様、ありがとうございます」

 

 恍惚顔のレナセールに、なぜお礼を言われたのか分からないまま、気づけば俺はスープを平らげていた。

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