魔物娘搾精世界でVとして生き残る方法 作:匿名希望
人生に大きな変化が3回あったとしたら、俺はきっと3歳、5歳、7歳の時を挙げると思う。
3歳の時、頭をぶつけた。その瞬間「前世の記憶」が蘇り、ついでに超能力を操れるようになった。能力は読心。すごそうに見えるが、オンオフの習得に時間がかかったわ、使うとすごい疲れるわでペットの歳三(ハムスター)の思考を読み取って餌をあげるくらいしか使い道がなかった。
と、いうかパッと見で転生前と同じような現代世界にしか見えず、ニュースも戦争などを映すことがなかった。もし能力者バトルものの世界なら巻き込まれたくないな……と思っていたが、今も巻き込まれていない。
5歳。幼稚園の年長になって買い物にも着いて行くようになった俺は、ツノの生えた人や光輪(ヘイロー)を輝かせ、羽を生やした人種を見つけた。
正確には、人ではなく悪魔や天使だった訳だが。母さんに買い物の後「ツノとか羽が生えた人いた!」と聞いてみれば、悪魔や天使の人達よと教えてもらった。もしスーパーの中で聞いていたら俺の貞操は大変な事になっていたかもしれないが、一旦割愛する。
そして10歳、この世の残酷さを知った時。それは叔父の結婚だった。
叔父は甥である俺や家族にはとても優しい人だったが、一つ悪癖があった。魔族差別主義……とでも言うのだろうか。今日び流行るような考え方ではない自覚はあるのか、酒が入った時にぽつぽつと周りに漏らしていたくらいだが、やれアンドロイド族とやらのせいで仕事の査定がとか、淫魔なんてふざけた名前の奴らと仲良くできるかだとか。
両親もこれにはあまりいい顔をしなかったが、直接喧嘩になるような事もなく叔父を宥めて終わりと言うのがたまに見る光景だった。
そんな叔父が異種族と結婚したという。
それも乳魔と呼ばれる淫魔族の人らしい。幼い頃(と言っても転生していたので思考は大人だが)の俺や両親も大層驚いたが、差別的な思想が愛で溶かされるなんてロマンチックよね、なんて母は笑っていたし、概ね歓迎ムードだった。
俺もなんとなくすげー、くらいに思っていた。結婚式で、興味本位で新郎新婦達の心を読むまでは。
(助けて助けて助けて助けて助けて助けてもうイキたくないでもおっぱい気持ち良くてふわふわでやだ助けてくれ兄貴、俺はまだ俺でいたい嫌だ嫌だこんなの辛いでも気持ち良いこれが終わったら逃げられない助けて誰か)
(結婚式が終わったらまたぶち犯してミルクたくさんあげて何も考えられなくしなきゃ❤︎私以外何も❤︎)
あ、これバカエロよりの世界だ。しかも食われるのヒトオスじゃん。
魔物娘搾精世界。
すんげえ頭の悪そうな字面だが、今俺のいる世界はそういうものらしい。
10年くらい前に魔王が地球に現れ、国際交流を平和的に行う。魔界は厳しい気候だから人間が侵略できないし、魔物は一人一人が銃でも碌に傷付かない。おまけに魔法とかいう人間には使えないらしい技術もある。
そんなわけでご都合主義的に魔物の人達の中でも選ばれた人たちがこちらに来て留学や交流をしているらしい……のだが。
変わり果てた叔父を見て察した俺は、読心能力を使って魔物の人達を探る事にした。今思えばかなり危ない橋を渡っている気がするが、どのみちこれに失敗したら今まともに生活できているか割と怪しいのでヨシ!
(ぬぷぬぷえっちしたい……いいな〜あの子、なんで彼女いるんだろう。私のが絶対えっちうまいのに!)
(早く人間さんを救済しなければ……先日の救済はとても良かったですわ)
(ご主人様に会いたい、どこか理想のご主人様は……)
(人間ってなんでこんな良い匂いがするんだ!クソッ!私は絶対に人間には屈しない!)
……と、まあこんな感じで魔物娘達は総じて肉食だった。予想通りである。ついでに言うと不思議なくらい雄個体を見かけない。いませんねえ!じゃあどうやって交尾したり増えたりしてるんやろなあ!あっ(察し)。
もう一度言うが、この世界は魔物娘搾精世界だ。名付けたのは俺だが、絶対に間違っていないと思う。
前世ではあった「魔物娘」というジャンル。要するに今いるような天使や悪魔とイチャイチャするジャンルの中でも細分化されたジャンルに、「魔物娘搾られ」がある。正式名称は知らん。
ここまで聞いてくれた諸兄には分かると思うが死の寸前、或いは死ぬまで魔物娘にエナジードレイン(意味深)をされるというM男性向けのシチュエーションである。
それが現実になった……のが、多分この世界なんだと思う。思ったより優しいのか、あくまでこの世界の魔物娘達は可愛がっている、両想いックスをしているだけみたいな認識の人が多いし、男側も魔法で死なないように絶倫にされるらしいが、それはそれで無限地獄では……?
そうしているうちに高校生になり、俺はVtuberになろうとしていた。