魔物娘搾精世界でVとして生き残る方法 作:匿名希望
「…………緊張する」
「ご主人様、頑張ってください(小声)」
シアが応援してくれているが、本当に緊張する。
今、これから俺は初のコラボ配信を行うのである。
Vtuber即落レン。
人間が魔界に向けて配信を行うという特殊な形態から、人間のいない魔界ではかなりの需要を誇る配信者となっている。投げ銭とランキングを見た時はおったまげた。俺もう大学の学費まで自分で払えるよ……。
既婚である事から出会いは諦められているが(※アンドロイド族などのネットストーキングをシアが防いでいる事を知らない)、つがいを見つけるためのお得情報を発信する事から「人間だから」だけではない理由で人気も出始めている。承認欲求が満たされまくってとても良い。
そういう訳で、最近はゲーム配信をメインでやっていた。やりながら、コラボ相手を厳選していたのだ。
今までずっと視聴者の人達は婚活!ラブホ!と忙しかったし、こっちも大変なので普段の楽な配信を楽しんでもらおうというやつだ。同時に、コラボ相手とゲームやトークをする練習にコメントを使っている。
人間がやるという事で今までの動画よりは再生数が落ちるものの十分見てもらっている。人間キャラが死んで悲しそうにする周りの中、平然と話を続けるのが異様に見えて面白かったらしい。
「そんな訳で。コラボ相手は2候補います」
「何候補いたの?最初は」
「121です」
どうやらラブホ撮影がバズり、そのおかげで知名度がかなり上がったらしい。承認欲求的には嬉しい。貞操的にはやや怖い。
「よく絞ってくれたね……ありがとうね……」
「いえ。これくらい造作もない事です。ご主人様のためならば、いくらでもやり遂げましょう」
綺麗なカーテシーだが、結構疲れてる事が読心で分かる。これは今晩は頑張ったほうがいいな……。それはそれとして。
「候補の2人について教えて?」
「はい。1人目が、リリアナ・ネイ。怠惰な人間としてのガワで活動しております。本体は恐らく吸血鬼でしょう」
「そんなところまで調べたの?でも吸血鬼なら、口調は大丈夫なの……?」
「普段の配信を見るに、貴族モードは出てないですが……」
吸血鬼。カッコいい・財力がある・土地や城もあるという優良物件であり、最近のフィクションの影響もあって現代人から親しまれている。のだが、致命的な弱点がある。十字架じゃないよ。
彼女らは、人間を見ると緊張のあまり高圧的になるのだ……!主に部下に厳しく当たる時の態度に変わるため、人間界に入る事のできたエリートヴァンパイアでも結婚はかなりの難易度を誇る。スパダリでも見つけないと無理だよ。
いずれ、話してみたいなと思っていたがなるほどヴァンパイアか……。
「僕に対して高圧的になるって事?」
「左様でございます。恐らくそれを覚悟してなんとか普段通りの口調で来るか、人間と話したいあまり何も考えず先走ったかでしょう」
「あー……次の人は?」
「この方はミュゼ・キラキラ。ヒトメスのギャル?という見た目をしていますが、配信で自己紹介してましたが淫魔ですね」
「淫魔かあ」
淫魔は……特に説明する事がない。
ケツも乳もタッパもデカく、人間に友好的すぎて引かれる。学生などは同級生にアタックして番を見つけることが比較的できるという話も聞くが。
「リリアナもミュゼも大手配信会社『パンデモニウム』に所属しているので、何かポカがあった時も向こうと相談できると思いこの2人にしました」
「なるほど……」
「どうされますか?」
「……ミュゼさんで」
「畏まりました」
個人的にテンパって高圧的になる吸血鬼をからかいまくって遊ぶのはすごく、すごく面白そうだが……初コラボという事で、こっちがポカをやらかす可能性もある。調子に乗りまくって結婚相手を増やすわけにはいかない。
その点サキュバスなら友達感覚で話せるし、向こうも既婚者だからアタックも控えめか皆無のはず。
ミュゼさんにコラボ打診のメールを打ち、彼女の配信を見てしばし勉強するのであった。
【初コラボ!】ゲーム配信するよ【ミュゼ・キラキラさんと】
チャット▼
・ミュゼの女郎許せねえ
・私もレンきゅんとコラボしたかった!!!!!!!!!
・なんかお祈り組おるな
・前のゲーム配信良かったです!次は「ウーマンコミュニケーション」というゲームの配信をお願いします!
「こんばんは〜即落レンと」
「みんな見てる!?勝ち組になったミュゼ・キラキラでーす!ヒトオスきゅんと話せるなんてアタシも徳を積みまくった甲斐があるってもんよ」
チャット▼
・◎ね
・滅べ
・おっぱいしわしわになって萎め
・裏切り者!裏切り者ォ!
「知らねえ!アタシはヒトオスきゅんと話すためならリスナーをいくらでも裏切る!レンくん!第二婦人の席って空いてる!?」
「俺は今の奥さんだけを愛してますので……」
横でシアが狂喜乱舞(読心した)している。シア1人でも下半身の負担がすごいのに増えたら死んじゃうよ。キリ◎はどうやってハーレム管理してんだろうね。
「残念……奥さんが羨ましいなあ。そんなに愛されるなんて……」
「ミュゼさんは魔界住みなんですよね?」
「そう。だから人間に会ったことなんてないの!魔王様の宮殿とかには詰めてる外交官の人がいるらしいけど、会えるわけないし……」
シア曰く、魔界はとても過酷らしい。
治安は悪くないのだが、単純に気候が人間向けではないとか。暑くなったり寒くなったりは序の口、毒ガスが発生したり魔力によって凶暴化した怪物、魔物がいるとか。
ミュゼさんの言った通り外交官などはいるが、魔王の加護がある魔王城や一部の特殊な領域にしかいられないらしい。
「そう!だからね、1回お話ししてみたいな〜って思ったの!Vやってて良かったって本当に思ったよ」
「そこまで言っていただいて……ありがとうございます!」
なお、未婚の場合コラボを申し込んだ時点で気があるとされ……。
まあこの人は魔界住みで人間界に来れないため、誤解させても人間界に来れないんだが。シア曰く魔物の中でも能力と理性の強さが両立したエリートのみが生活できているらしい。魔界のメイド族なんかは人間に仕える事を夢見ながらヴァンパイアやドラゴンの世話をしているとか。
「じゃあ、今日は一緒にリズムゲームでもしよっか。ヒトオスきゅんとシンクロしたいな❤︎」
「それくらいならいいですけど、俺リズムゲーム下手ですよ」
「全然大丈夫!視聴者のみんなも同時におんなじ曲をかけて、レンきゅんと踊った気分になろう!」
チャット▼
・ミュゼやるじゃん
・レン君とシンクロ!?
・実質ケーキ入刀みたいなもの
・結婚してくれる……てコト!?
・黙れ
最後、シア……。
彼女のフォローのために「妻一筋なので」と言うと心の中でガッツポーズをしていた。読心ってそんなニュアンスも読み取れるんだ……。
「残念〜!じゃあさじゃあさ、スコアが上だった方が相手に言う事を一個聞いてもらうってのは?」
「言っておきますがエッチなお願いは「しない!しません!先っちょだけだから!」
チャット▼
・私ともして❤︎エッチなお願いする❤︎
・ミュゼは何を考えてるんだ?エッチなお願いしなかったら女として終わりだよ
・オラッ!肉布団になれ!永久就職しろ!
「……まあ、それなら」
そんなわけで音ゲーのスコア対決をしたが、ものの見事に負けた。ミュゼさん、やりこんでるな……!?
そこで彼女から提案されたのは、こんな事だった。
「あのさ、レン君レン君❤︎オフ会しない?魔界で❤︎」
続きは未定。
次回、フリージア頑張る。