南雲くん2年生編、やっとスタートでございますm(__)m!
11話「よう実本編開始/綾小路との邂逅」
4月某日。ついに『よう実』の本編が始まった!
すでに入学式は終わり、学校の敷地内は支給された10万PPtに浮かれる新入生で溢れかえっている。
そんな中、俺は新入生の姿をひと目見るためにケヤキモールへ繰り出している……はずなどなく、気配を消しながら大人しく自室に引き篭もっていた。
新入生に余計な干渉をしたくないという理由もあるが、一番の理由は春休み中に学校から知らされた『緘口令』を守るためだ。
実は、5月までSシステムの詳細を新入生に話さないよう、新2年生と新3年生には学校から緘口令が敷かれている。
緘口令を意図的に破ると重いペナルティが課せられると説明されていたため、俺のように4月中は大人しく過ごすと決めた2〜3年生も少なくない。
「本当は見に行きたいけど、今は我慢だな……」
ちなみに、堀北会長から「南雲、明日行う新入生への生徒会説明をやってみないか?」というメッセージが届いたが「遠慮します」と返信して断り、鬼龍院から「南雲、明日1年生の教室を見に行かないか?」というメッセージも届いたが「遠慮します」と返信して断った。
綾小路たちに会いたいという気持ちは物凄くあるけど、しばらくは大人しくしているつもりだ。せめて今月だけは、誰からの誘いも受けるつもりはない。
◇
月日は流れ、気が付けば5月。
すでに入学式が終わってから1ヶ月以上経過したわけだが、予定通り新入生とは接触せず穏やかな日々を送っていた。
神室を追う坂柳を見かけたり、生徒会室の前で覚悟を決める一之瀬を見かけたり、カメラの死角で石崎たちをボコボコにする龍園を見かけた気もするけど……全てスルーしているので詳細は一切わからない。とても平穏な日々だ。
そういえば、5月末に行われる特別試験の内容も発表された。
ランダムに選ばれたクラスと中間テストの平均点を競い合うだけのシンプルな内容で、対戦相手は立花率いるCクラスだ。
敗北クラスから勝利クラスへ100cpが移動するというルールのため、油断するつもりはもちろんない。だが、正直言って負ける気は全然しない。
今までのテストでは平均点で立花クラスに一度も負けたことがないし、妨害工作への対策も万全だ。Aクラスは全員がボイスレコーダーを常に所持しており、女子たちはペン型の小型カメラまで常備している。加えて、俺は立花たちCクラスの弱みまで握っている。
Cクラスには純粋な学力勝負を行う以外の選択肢はないため、負ける確率は限りなくゼロに近いだろう。
そんなことを考えつつ、今日は教室の外で食事を摂りたい気分だったので食堂へと足を運ぶ。
新入生と接触しないよう最近は教室でお昼を済ませていたため、ここへ来るのは本当に久しぶりだ。なんだか懐かしい気さえするな。
「あっ、山菜定食……」
よう実ファンとして必ず食べておかなければと思い、実は入学当初に一度だけ山菜定食を頼んだことがある。
予想以上の不味さだったのでそれ以降は挑戦していないけど、初心に帰って久しぶりに注文してみるのもアリだな。
そう思い立った俺はカウンターで券と山菜定食を引き換え、空いていた席に腰を下ろした。すると——
「あの、すみません。先輩……ですよね?」
——向かいの席に座った我らが主人公、綾小路清隆が話しかけてきた。
えっ、な、なんでっ……!?
「……な、なにか用か?」
内心で激しく動揺しながらも、平静を装いながらなんとか言葉を返した。
今更気付いたが、綾小路の横には櫛田もいる。こ、この状況、どこかで見たことある気がする……。
「先輩は2年ですか?3年ですか?」
「2年だけど、君は1年生?」
「1年Dクラスの綾小路って言います」
綾小路くんね。前世から知ってます……と思うと同時に、原作で綾小路が過去問を貰おうとしていた話と全く同じ状況であることも思い出した。
どうやら、俺が気まぐれで山菜定食を注文してしまったせいでポイントに困っている生徒だと勘違いさせてしまったらしい。完全にやらかした。平穏過ぎて油断していた……。
「先輩もDクラスですか?」
「……そ、それは、君に関係のあることか?」
Aクラスだと正直に言おうか少し迷ったが、そんなことをすれば綾小路が過去問を手に入れる機会を失ってしまう可能性がある。そうなると、Dクラスから退学者が何人も出るという最悪の事態が発生するかもしれない。
ここは微かな記憶を頼りに、原作で過去問を渡していた先輩を演じるのがベストだろう。
そう結論を固めながら、静かに綾小路の言葉を待った。
「少し相談があるんです。聞いていただけたら、お礼もするつもりです」
「……お礼?」
プライベートポイントだろうな〜と思いつつ話を聞く。
「昨年の1学期、中間テストの問題を持っていませんか?もし先輩、あるいは先輩のクラスメイトの中に過去問を持っている人がいるなら、それを譲ってもらいたいんです」
「なんで俺なんかに、そんな話を持ってきたんだ?」
「ポイントに困ってる人なら、相談に乗ってくれる確率が高いと思ったからです。事実、先輩はこうして美味しくない山菜定食を食べてますし。もちろん、山菜定食が好きで食べてるってなら話は別ですけど。どうですか?」
ポイントには全然困ってないけど、困っている後輩の相談には乗ってあげたいと思ってはいた。山菜定食は気まぐれで頼んだだけだけど、好きで食べているわけじゃない。
うん、あながち間違ってはいないな。さすが綾小路だ。
「……いくら払える?」
「1万ポイント。それが上限です」
「1万5000で手を打とう。申し訳ないけど、それ以下は無理だ」
「1万5000ですか……」
本当はタダで譲っても全然いいけど、原作で要求していたポイントに倣うことにした。ごめんよぉ……。
「……分かりました。1万5000ポイント支払います」
「交渉成立だな。ポイントは先に振り込んでもらうよ」
「それは構いませんけど、もし裏切るような真似をしたら、先輩でも容赦しませんよ?退学覚悟で、あらゆる手を持って報復します」
ひえぇっ、裏切るつもりなんて微塵もございませんっ!と思いつつ、気丈なフリをしたまま言葉を返す。
「ポイントの譲渡は記録に残るから、学校側に訴えられたら俺もタダじゃ済まない。その心配は無用だ」
「そうですか」
俺の説明に一応は納得してくれたようだけど、まだ少し警戒しているみたいだな。
警戒心剥き出しの綾小路、怖えぇ……。
「先輩、1万5000ポイントお支払いするので、オマケを付けて貰えませんか。入学直後にやらされた小テスト。その解答が見たいんです」
「いいよ。でも、その心配は無用だと思うけどね」
今更だけど、綾小路の一連のセリフが原作とはちょっとだけ違った気がする……いや、綾小路がどうというより、俺の返答が原作と違うのが原因か。
勝手にそう納得し、過去問のデータを送るために綾小路と連絡先を交換した。
「もし何かあれば、また先輩に頼っても良いですか?」
「ん?いいよ」
その後は櫛田とも少しだけお喋りし、場はお開きとなった。
予期せぬ邂逅で少し動揺したけど、我らが主人公様とお話しできた上に連絡先まで交換できたのはめちゃくちゃ嬉しい。
そういえば、綾小路が最後に言っていた『また先輩に頼っても良いですか?』というやり取り、原作にもあったっけか?あったかな?まぁいっか。
とりあえず、交渉は原作通りの結果で終わらせることができたため、よう実のストーリーに大きな影響はないはずだ。
満足気な表情で考えをまとめた俺は、軽い足取りで教室に戻った。
綾小路とのやり取りは原作のセリフをほぼそのまま使わせていただきましたが、所々削ったり変えたりしております!
個人的な一番の変更ポイントは下記のセリフですね。
原作「多分先輩も、Dクラスですよね?」
↓↓↓
今作「先輩もDクラスですか?」
南雲くんは小綺麗な上に足取りも軽く悲壮感も漂っていないため、今作の綾小路は「この人、本当にDクラスか?」と疑問に思いながら南雲くんに話しかけております。
同時に、南雲くんのことに少し興味が湧いて「もし何かあれば、また先輩に頼っても良いですか?」と最後に聞いた形でございます!