南雲雅?俺じゃん。   作:ざったなっつ

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〜【ようマジ】ヒロイン総選挙途中経過〜
1位:椎名ひより
2位:坂柳有栖
3位:一之瀬帆波

15位:朝比奈なずな

南雲「ドンマイなずな。痛っ!」




15話「生徒会その3/一之瀬」

 

 

 無事?に審議を終えた翌日の放課後。

 生徒会室では新メンバーの挨拶が行われていた。

 

「1年Aクラスの葛城康平です。微力ながら精一杯尽力させていただきます。何卒よろしくお願いいたします」

「1年Bクラスの一之瀬帆波です。一日でも早く力になれるよう頑張りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」

 

 新人2人の元気な自己紹介が終わった後は、堀北会長を始めとした既存役員たちが次々と自己紹介を行なっていく。

 そして——

 

「えっと、生徒会副会長の南雲雅です。よろしく〜」

「「よ、よろしくお願いします」!」

 

——最後に俺の自己紹介が終わったのだが、葛城と一之瀬はまだ少し緊張しているようだ。

 まぁ、同じ空間に凄まじいオーラを放ってる堀北会長がいるからな。気持ちは超わかる。緊張しちゃうよね。

 

「事前に伝えていた通り、副会長の南雲が教育係として業務を教えてくれる。困ったことがあればなんでも遠慮なく聞くといい。生徒会業務以外のことでも頼りになるだろう」

「か、会長、そんなにハードル上げないで欲しいです」

「お前なら問題はないはずだ。期待しているぞ」

「は、はいぃ……」

 

 俺の自信のない返事を聞き、葛城と一之瀬の表情が僅かに和らいだ。少しは緊張がほぐれたかな?

 

「それじゃあ、生徒会業務について説明しようかな」

「「はい」」

 

 真剣にメモを取る2人に、実践を交えながら生徒会業務を次々と説明していく。

 原作の流れとは少し変わってしまったけど、生徒会のメンバーが増えたことは普通に嬉しいから頑張って教えるとしy……ん?この2人、飲み込みも仕事の速度も想像以上に早いな。

 あれ?もうすでに俺より優秀じゃない?

 

「南雲副会長、書類の整理終わりました」

「こちらも終わりました!次は何をすればいいでしょうか」

「えっと、次は……」

 

 今日一日かけて教えるつもりだった業務があっという間に片付けられてしまった。

 ヤヴァイ、他に何も用意してない。一体どうすれば……あっ、そうだ。

 

「2人は思った以上に優秀だから、次は生徒会業務の中で最も重要な業務を教えよう」

 

 そう言いながら、2人を連れて給湯室に向かう。

 いつか時間がある時に教えるつもりだった業務のため、初日にその時間が取れたのはむしろ好都合だ。

 

「給湯室で行う業務なんですか?」

「そうだ。心して取り組むように」

「が、がんばります!」

「ご指導よろしくお願いいたします」

 

 緊張した様子でメモ帳を取り出す葛城と一之瀬を見ながら、業務説明を開始する。

 

「生徒会において最も重要な業務。それは……お茶汲みだ!」

「「お、お茶汲み、ですか?」」

「南雲……」

 

 たまたまコーヒーを入れにきていた桐山が「何言ってんだコイツ?」とでも言いたげな目でこちらを見ていたが、何も言わず静かに給湯室から去って行ったため、気にせず説明を続ける。

 

「堀北会長はお茶がお好きだ。何か迷惑をかけてしまっても、美味しいお茶を淹れれば機嫌を直してくれる。つまり、お茶汲みはこの生徒会の中で最も重要な業務と言える」

「お茶汲み……」

「そう言われると、たしかに重要……ですか?」

 

 葛城は怪訝な面持ちとなり、一之瀬はなんとか理解しようと頭を捻ってくれている。

 うん。ちょっと的外れな指導をしている気がしないでもないけど、ここまできて中断するほうが変なので言葉を続ける。

 

「まずは緑茶の淹れ方からだ。心して聞くように」

「「はい」っ」

 

 その後は緑茶の淹れ方を丁寧に教えたけど、2人は終始疑問に満ちた表情で話を聞いていた気がする。

 ただ、2人が自分で淹れたお茶を飲む頃には、完全に緊張がほぐれた顔をしていた。

 うん、とりあえず結果オーライだな!でも、明日からはもっとちゃんとした指導を行おう……2人が淹れてくれたお茶を啜りながら、心の中で静かにそう誓った。

 

 

 

 

——Side:一之瀬帆波——

 

 

 南雲副会長を初めて見た時の印象は、"優しい目をした先輩"だった。

 

 実際に数日間指導を受けてみると本当に優しい人で、私と葛城くんに分かりやすく生徒会業務を教えてくれるし、私たちが生徒会に早く馴染めるよう積極的に話を振ってくれる。

 ただ、ほんのちょっと抜けてるところもあるみたいで、たまに予想外のミスをしたりもする。でも抜けてるところは私にもあるから、その点はむしろ好印象だった。

 ミスをフォローしてくれた堀北会長のためにお茶を淹れている姿を見た時は、失礼だと思いながらもちょっと笑ってしまった。

 

 副会長という肩書きに最初は緊張したけど、蓋を開けてみれば話しやすくて付き合いやすい先輩だ。

 葛城くんも同じ気持ちみたいで、まだ数日の付き合いだけど南雲副会長にもう心を開いている。

 

 そう思いながら、職員室にいた星之宮先生に生徒会での出来事を話していると——

 

「えっ!一之瀬さん、あの南雲くんに指導してもらってるの!?やったじゃない!凄いことだよそれ!生徒会業務以外のことは教わってないの?特別試験のこととかは何か聞いてない?」

 

——もの凄い勢いで詰め寄られてしまった。

 

「あの、先生、急にどうしたんですか?」

「あ、ごめんね。そうだよね。他学年の話だから一之瀬さんが知らないのも無理ないか」

 

 星之宮先生はそう言うと、南雲副会長が築いた数々の伝説を教えてくれた。

 

 私と同じBクラスからのスタートだったけど、初日にクラスポイントの仕組みを見破り、即座にAクラスへ昇格したこと。

 学年全体での勉強会を定期的に開催しているお陰で、南雲副会長の代は中間試験や期末試験による退学者が一人も出ていないこと。

 特別試験では自クラスが獲得できるクラスポイントを減らしてまで、他クラスにも退学者が出ないよう立ち回り続けていること。

 そんな立ち回りを続けておきながら、Bクラスとの間には莫大なポイント差をつけてAクラスに君臨していること。

 

 他にもたくさんの伝説を残しているそうだけど、今後私たちが行う特別試験や学校のルールにも関わってくる内容だから、ここまでしか教えられないと言われてしまった。

 

「い、今の話って本当なんですか?どれか1つだけでも信じられないんですけど……」

「全部本当よ〜。もちろん、クラスのみんなの協力があってこその結果だと思うけどね。ただ、クラスの方針や作戦を決めるのはほぼ全部南雲くんだって同じクラスの子たちも言ってたから、ほとんど彼の功績と言っても過言じゃないでしょうね」

 

 星之宮先生は真面目な表情でそう答えた。

 はじめは突拍子もないことを言って私を揶揄っているだけかと思ったけど、星之宮先生の表情は冗談を言う時の顔じゃなかった。

 つまり、今話してくれた南雲副会長の功績は全て本当にあったことらしい。

 

「Aクラスへの昇格に、他クラスの救済……」

 

 南雲副会長が行っていることは、私が抱いている理想そのものだ。

 他クラスの生徒も救いながら、Aクラスの座を獲得する。言葉にするのは簡単だけど、実行するのがどれほど困難なことかは誰が聞いてもわかると思う。

 もちろん、私もその理想を実現するための活動は始めている。他クラスの生徒と積極的に交流したり、Dクラスとの協力関係を築いているのもそのための一環だ。

 でも、逆に言えばまだその程度のことしかできていない。私にはまだ、その理想を実現するための道筋は見えてないから……。

 

「南雲副会長って、やっぱり凄い人だったんだ」

 

 副会長の座に就くほどだから凄い人だとは思っていたけど、想像を遥かに超えていた。

 同時に、ここ数日間の出来事を振り返ってみる。

 失礼なことは言ってないはずだけど、南雲副会長の優しい雰囲気に甘えて砕けた口調で話すようになっていた。

 南雲副会長は特に気にしてない様子だったけど……これからは気をつけなきゃ。ちょっと反省かな。

 

「あっ、葛城くんにも教えなきゃ」

 

 職員室を後にした私はすぐさま学生証端末を取り出し、今聞いた話を葛城くんにも伝えた。

 

 

 

 

 葛城と一之瀬の指導を始めてから数日が経過した。

 

 その間にも隙を見つけては他愛のない雑談を繰り返し、帰宅途中にアイスを奢ったりもしたお陰か、2人とはだいぶ仲良くなれた気がする。

 俺の前では緊張した表情を見せることはなくなったし、一之瀬は砕けた口調で話しかけてくれるようにもなった。

 うむ、素晴らしいことだ。

 当初は事務的な関わりだけで過ごそうと考えていたけど、出来ることなら仲良くなりたいと心の奥底では思っていたからな。2人と仲良くなれたことは素直に嬉しい。

 今となっては教育係に任命してくれた堀北会長に感謝しかない。

 

「よし、今日も頑張ろっ」

 

 そう呟きながら生徒会室に入ると——

 

「な、南雲副会長。ほ、本日もご指導のほど、よろしくお願いいたします」

「ご、ご指導よろしくお願いします!」

 

——ガッチガチに緊張した2人が、ぎこちないお辞儀で出迎えてくれた。

 えっ?な、なんで?むしろ初日より緊張してない?

 

「南雲……」

 

 桐山が「また何かやったのか」とでも言いたげな目でこちらを見てくるが、本当に何もやってない。でも、自覚なくやらかしてる時もあるから何も言えない!

 

「えっと、2人ともどうしたの?大丈夫?」

「「だ、大丈夫です」っ!」

 

 ぜ、全然大丈夫そうじゃないっ!

 なぜこんなことになってしまったのか本当に謎だが、理由を聞く前にまずは場の空気を変えるか……。

 

「とりあえず、お茶でも飲む?」

 

 そう提案した俺は全集中で淹れた渾身の緑茶を2人に振舞いながら、ガッチガチに緊張している理由を少しずつ聞き出したのだった。

 

 





〜原作との類似点〜

・南雲くんの運命力
 原作南雲の頭脳と身体能力だけでなく、一之瀬を手に入れようと画策して失敗したり、綾小路との本気の勝負を望んでも叶わなかった悲しき運命力も引き継いでいる。
 そのため、堀北会長と勝負したくないと願うほど対戦の機会に恵まれ、綾小路と仲良くなりたいと思うほど警戒され、葛城や一之瀬と仲良くなれたと思ったら心の距離が離れたりする。

 しかし、原作南雲のつよつよメンタルも引き継いでいるため、彼は今日も元気よく登校する。
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