ただ、パッチリおめめにしたら原作南雲とは別人のようになってしまったので、イメージが崩れたらホント申し訳ないです……。
【挿絵表示】
※あらすじ挿絵の下書きでございます!
それでは、本編をどうぞっ!( ´ ▽ ` )ノ
橘先輩の反応を見た一之瀬も夏祭りが特別試験だという可能性に気が付いたようで、即座にこちらへ尊敬の眼差しを向けてきた。
やめてぇ〜、本当に凄いのは俺じゃなくて堀北会長だからっ。
あくまでも推測だけど、夏祭りが3年の特別試験であることは他学年の生徒に話してはいけないと言われている可能性が高い。
そのため、あえて違和感を覚えさせるような説明を行い、特別試験だと気付かせるよう誘導したのだろう。もしかすると、確認のために橘先輩へ質問することすら堀北会長の思惑通りだったのかも知れない。
はっ!もしかして、橘先輩の動揺も全て演技だったのか!?
「うぅ、すみません会長……」
「構わない。意図的な発言でなければ問題ないはずだ」
橘先輩の動揺は素の反応だったらしい。本当に申し訳ない……。
今の堀北会長のセリフ的にペナルティとかはなさそうだけど、安易に揺さぶったのはよくなかったな。お詫びになるかは分からないけど、今度堀北会長の新作モノマネを披露しよう。
「話を戻すが、2人には助っ人として3年Aクラスの出店を手伝ってもらいたい。頼めるか?」
「全然オッケーです」
「私も大丈夫です」
「やりましたね会長!南雲くんと一之瀬さんがいれば百人力ですよ!」
秒で気を取り直した橘先輩がぴょんぴょん飛び跳ねながら喜んでくれている。良かった良かった。俺の心もぴょんぴょんです。
「言い忘れていたが、今回手伝ってくれる生徒にはバイト代が出る。売り上げ次第だが、少なからず色を付けるつもりだ。期待していてくれ」
「「ありがとうございます!」」
「イェ〜イ!」と声を合わせながら一之瀬とハイタッチを決める。
プライベートポイントは大切だからな。貰えるなら何ポイントでも嬉しい。
「ところで、残り2人分の助っ人枠はもう決めてるんですか?」
「まだだ。ここにいる4人で決めようと考えている」
「それなら……」
屋台の質もそうだけど、この夏祭り試験は人脈の広さも重要になってくると思う。俺と一之瀬を選んでくれたのは人脈の広さで客足を伸ばしてくれると期待してのことだろう。
となれば、残りの助っ人枠も人脈広めのメンバーで固めるのが定石だ。
「2年Aクラスの朝比奈なずなと、1年Dクラスの櫛田桔梗なんてどうでしょう?」
「良い人選だ」
橘先輩と一之瀬も同意してくれたため、その2人を勧誘することが決定した。櫛田の連絡先は一之瀬が知っていたため、俺はなずなを誘う。
というか普通にスルーしちゃったけど、「良い人選だ」っていう返答、冷静に考えると凄いな。
堀北会長はなずなと櫛田の人脈の広さを当然のように知っているのだろう。この人の情報網ってどうなってるんだ?
「あ、しもしも〜」
『雅だ〜。どしたの?』
「実はちょっと頼みたいことがあって——」
来週夏祭りが開催されることを説明した後、3年Aクラスの出店を手伝って欲しいとなずなに伝えた。
なずなはこういったイベントが好きだから、おそらく了承してくれるだろう。
そう思っていたのだが——
『えっと、ごめんね雅。実はついさっき先輩にお願いされて、夏祭りは3年Bクラスの手伝いをすることになったの』
「なん……だと……?」
——俺の完璧な計画が……一瞬にして崩れ去った。
というか、なずなが敵?それはヤヴァイ。マジでヤヴァイ!
なずなは他学年の生徒だけでなく、ケヤキモールで働く女性従業員の方々とも交流が深い。なずなが呼びかければそういった方々の集客も見込めるため、3年Bクラスの売り上げはとんでもないことになるはずだ。
夏祭り、いきなり雲行きが怪しくなってきたな……。
「なずな、俺たちはお前を超えて見せる!」
『えっ?それどういう意m——』ブチッ
なずなとの通話を終えると、「やった!ありがと〜」という一之瀬の声が聞こえてきた。あちらは勧誘に成功したようだな。良かった良かった。
櫛田にも断られるという最悪の事態だけは回避できた。
「すみません、なんの成果も得られませんでした……」
「そうか」
勧誘に失敗したことを伝えると、堀北会長は特に気にした様子もなくそう答えた。
橘先輩も「南雲くんと一之瀬さんがいれば問題ありません!」と言ってくれたけど、2人はなずなのぶっ飛んだ人脈の広さを知らないのだろうか?堀北会長の情報網的にそんなことはないと思うけど……。
「なずなに次ぐ人脈を持つ生徒を誘おうと思うんですけど、それでも良いですか?」
「構わない」
「お願いします南雲くん」
通話を終えた一之瀬も了承してくれたため、かつて堀北会長と俺をボコボコにした女子生徒。『生徒会キラー』の異名を持つ須知萌香に電話をかけた。
◇
3年の先輩方や櫛田との顔合わせも終わり、須知の協力も無事に得られ、気が付けば夏祭り本番!
この夏祭り試験は各クラスが5つまで屋台を開けるようで、3年Aクラスの屋台は会場の入り口付近にある『浴衣レンタル屋』と、会場の中間付近に固まっている『かき氷屋』、『ジュース屋』、『クレープ屋』。そして、ミスト扇風機が設置されている『休憩スペース』だった。
かき氷やクレープは定番だけど、浴衣レンタルと休憩スペースは面白い発想だと思う。せっかくなら浴衣で楽しみたいと思うお客さんは多いだろうし、手が空いたらジュースやクレープを休憩スペースで売り歩くこともできる。中々凄い策だ。
でも、かき氷やらジュースやらクレープやら、冷たい物ばかりなのはちょっと謎だ。どれも堀北会長の発案らしいけど、何か深い意図があるのだろうか?う〜む、分からん。
おっと、次のお客さんだ。
「南雲副会長、いちご練乳入りました」
「らっしゃーせー!いちご練乳一丁入りまーす!」
俺と一之瀬は現在、3年の先輩方と一緒に『かき氷屋』を切り盛りしている。
3年Aクラスは今回のために結構お高めなかき氷機を用意していたようで、ふわっふわに削った氷に特製シロップやフルーツをトッピングしたハイクオリティなかき氷は大好評だ。
お値段は少しお高めだが、開店直後から列が途切れないほどの人気を得ている。
遠くの出店ではなずながたこ焼き屋で頑張っている姿が見えるけど、行列の長さはこちらに軍配が上がっているようだ。今のところはかき氷の方が需要が高いらしい。
まぁ、浴衣を着た一之瀬の姿もこの長蛇の列を生み出している理由の一つだろうけどね。
「お待たせしました!こちらいちご練乳です」
「あ、ありがとうございますっ」
一之瀬の微笑みを受けた男子生徒が顔を赤くしながらかき氷を受け取っている。
彼はきっと、あのかき氷を食べ終えたらまたこの店へ訪れるだろう。リピーター誕生の瞬間だ。
ちなみに、着付けの知識がある須知は『浴衣レンタル屋』で、接客能力が高い櫛田は『休憩スペース』を挟んだ向こう側にある『ジュース屋』で働いている。
『ジュース屋』の行列はこちら以上の長さで、浴衣姿の櫛田に軽く手を触れられながらカードや端末によるタッチ決済をさせられている男性客のほとんどが、ジュースを速攻で飲み干して再び行列に並び直している。アイドルの握手会かな?
「それにしても、今日は暑いな……」
氷を扱う出店だからそこまで辛くはないけど、他の出店は大変だろうなと思う。
「今年一番の猛暑日になるかもって朝のニュースでやってましたよ」
「へぇ〜、そうなん……あっ」
そういうことだったのか……一之瀬が教えてくれた情報で3年Aクラスの出店のラインナップに抱いていた疑問が解消された。
おそらく、堀北会長は今日が猛暑日になる事を考慮した上で、冷たい物を中心とした出店や休憩スペースの設置を考案したのだろう。
俺は人脈の広さが勝敗を分けると考えていたが、堀北会長は天候に伴う出店の需要にも注目していたらしい。なずなの協力を得られなかったことを特に気にしていなかった理由はこの策があったからか。
「南雲副会長、どうかしたんですか?」
「いや、堀北会長は改めて凄いな〜って思ってね」
一之瀬にも今気付いた事実を伝えると、「そんなことに気が付くなんて、南雲副会長はやっぱり凄いです!」と言いながらキラキラした目でこちらを見てきた。
やめてぇ〜、本当に凄いのは俺じゃなくて堀北会長だからっ。
「堀北会長も凄いですけど、南雲副会長も凄いです。私の目標です!」
「あ、ありがとね……」
そんなやり取りがありつつ、他クラスが開催しているお化け屋敷でちょっとした幽霊騒ぎがあったり、綾小路と一緒に歩く妹さんを目撃した堀北会長がしばらく使い物にならなくなるというトラブルがあったものの、特に大きな問題もなく夏祭りは終了。
なずなバフのかかった3年Bクラスを見事に下し、結果は3年Aクラスの圧勝に終わった。
「南雲、バイト代はすでに送ってある。後で確認しておいてくれ」
「ありがとうございます!」
余談だが、バイト代は相当色をつけてくれたようで想像以上のプライベートポイントが送金されていた。
これ、時給換算で数千ポイントくらいになるのでは?ありがたやありがたや、大切に使わせていただきます!
◇
後片付けを終えて夏祭り会場から帰宅する途中。一緒に帰っていた須知が少し緊張した様子で口を開いた。
「南雲くん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな」
「いいけど、どしたの?」
先ほどまでとは雰囲気が明らかに違う。なんだろ?
「南雲くんは、最終的にどういう形を目指してるの?」
「ん?どういう形……?」
質問の意図が分からず小首を傾げると、須知が慌てて説明を始めた。
「ごめんっ、わかりづらい質問だったね。えっとね——」
須知は俺がDクラスと結ぼうとしている契約内容を耳にしたようで、その契約内容が何を意味するのか詳しく聞きたいと説明してくれた。
Dクラスを救済するための何らかの策なのか、Dクラスを支配して今後の特別試験を本気で勝ちに行くつもりなのか、その真意を知りたいそうだ。
「なるほど……」
確かに、俺が思い描いている構想を知らなければ色々疑うのも無理ないか……。
「ん〜」
「急に変なこと聞いちゃってごめんね。話したくなければ無理に話さなくてもいいから」
「いや、別に話したくないわけじゃないんだ」
計画の全容は話してもいいんだけど、それを伝えると2年生がまだ知るはずのない——俺は原作知識で知っている——この学校の隠しルールについても話す必要がある。
でも、須知は口が固そうだから大丈夫か。全部話しちゃおっ。
「まず、今までの立ち回りを変えるつもりはない。特別試験では退学者が少なくなるよう立ち回るつもりだし、合同勉強会も今まで通り開催して中間や期末試験での退学者は出さないつもりだ」
「そうなんだ……」
須知の緊張が少し和らいだ気がした。
きっと、俺が退学者をバンバン出すような立ち回りを始めないか心配していたのだろう。
そんなことをするつもりなんて微塵もないから大丈夫よ。面白くないし。
「そして結論からになっちゃうけど、最終的にはAクラスが貯めたプライベートポイントを他クラスへ配ろうと思ってる。どれくらいになるかはまだ分からないけど、少なくとも2000万ずつは配れるはずだ。できればもっと配りたいけどね」
「……えっ?」
鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている須知に、計画の詳細を説明した。
Dクラスと交わそうとしている契約と似たようなものをBとCクラスとも交わしたいと思っていること。
契約後は特別試験で取得できるクラスポイントが最大値になるよう全クラスで協力し合い、主にAクラスへクラスポイントが集まるよう調整すること。
それらの計画に協力してくれた見返りとして、Aクラスが貯めたプライベートポイントを卒業間近に他クラスへ配ろうと考えていることなどだ。
本来なら3年にならないと知ることができない隠しルールだが、卒業時に持っているプライベートポイントはそのまま現金化して持ち出せることも併せて説明した。もちろん、ここだけの秘密でという言葉も添えてある。
「配る予定のポイントはそれぞれのクラスで話し合って使い道を決めて欲しいと思ってる。Aクラスに誰かを移動させてもいいし、卒業後の学費や生活費にするためにクラスの全員で均等に分けても構わない。もちろん、使い道に迷う時は相談に乗る」
「な、なにその壮大な計画……」
一緒に戦ってきたクラスメイトのためにも、Aクラスの座を譲るつもりは一切ない。その上で、今まで通り退学者が少なくなるよう立ち回りつつ、卒業後のための資金やAクラスへ移動できる可能性を他クラスにも残す。
それが、俺の思い描いている『同学年のほぼ全員救済計画』の全容だ。
できれば各クラスに4000万ずつは配りたいけど、不確定要素が多いからそこまではまだ約束できない。
「あっ!せっかくならもうAクラスと契約してみない?契約書は用意してあるよ」
「えっ、ちょっ、い、今はいいかな」
説明した勢いのまま勧誘してみたが、案の定断られてしまった。残念。
Dクラスとの契約が上手くいったらまた話を持ちかけようかな。
「なんていうか……南雲くんってホントにとんでもないね」
「え?えっと、ありがと?」
そう答えると、須知は苦笑しながら自室に帰っていった。
〜ちょこっと解説〜
・南雲くんのパッチリおめめ
今作南雲くんは目を細めながら他人を見下した事がないため、原作南雲先輩よりおめめがパッチリ。
・お化け屋敷の幽霊騒動
『ようマジ』の夏祭りイベント内のシナリオで起こった騒動。坂柳の浴衣姿が激カワ。
・綾小路と堀北妹が一緒にお祭り散策
『ようマジ』の夏祭りイベント内のシナリオで起こった流れ。綾小路と堀北妹の浴衣姿が激エモ。