南雲雅?俺じゃん。   作:ざったなっつ

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 更新すると一旦下がるので前回は言えなかったのですが……お気に入り3000人突破しました!
 こんなタイトル出オチ作品を読んでくださり、本当にありがとうございますm(_ _)m!
 そして投稿頻度は遅めですが、これからも暇つぶし程度に読んでいただけると嬉しいです(>人<;)

 それでは、本編をどうぞっ(*゚▽゚)ノ




19話「祝勝会/教師陣」

 

 

 プレゼン試験が終わった日の夜。ビュッフェ形式で様々な料理や飲み物が用意されている宴会場では、Aクラスの祝勝会が盛大に行われていた。

 今回は協力してくれたDクラスの生徒も呼んでいるため、結構な大所帯となっている。そして——

 

「グラスが空いてるじゃないか。どれ、私が注いでやろう」

「いやいいよ、自分で注ぐよ」

 

——今回の祝勝会にも当然のように鬼龍院の姿がある。「また後でな!」という言葉の意味はこのことだったらしい。

 

「そういえば、雅は明日のお祭りには参加するの?」

「え?お祭り?」

 

 俺の右隣でデザートを堪能しているなずなの言葉が気になり、思わず問い返してしまった。

 

「明日からホテルの敷地内でお祭りイベントがあるんだってさ」

 

 詳しく聞くと、明日からの3日間はホテルの敷地内でお祭りイベントが開催されるらしく、スパリゾートのプールや出店目当てのお客さんで少し混み合う可能性があるとホテルの従業員さんが教えてくれたらしい。

 さすがの情報収集能力だ。なずなはもう従業員さんと仲良くなったのか。

 

「お祭りかぁ……」

 

 特別試験の翌日から開催される上に、俺たちの滞在期間と被るなんて……タイミングが良すぎる気がする。

 普通に考えれば生徒たちに楽しんでもらいたいという学校側の配慮だろうけど、何か引っかかる。

 

「そのお祭りは俺たちが参加してもいいのか?」

「いいみたいだよ。先生に言えばプライベートポイントとお祭りの出店で使える金券を交換してもらえるんだって」

「そうなのか」

 

 ということは、お祭りイベントへの参加は学校側が推奨しているわけか。

 でも、なんだろう。似たような状況に覚えがある気がする。

 

「お祭り、出店、プール、夏休み……あっ!」

 

 思い出したぁ!

 夏休みの最終日。特別に開放された学校の大型プール施設へ綾小路たちDクラスと、一之瀬たちBクラスの主要メンバーが遊びに行くという話が原作の1年生編4.5巻で描かれていた。

 その際、大型プール施設には上級生が運営する出店があり、それを見た綾小路が『まるで特別試験を見ているようだ』と心の中で呟くシーンがあったはずだ!

 結局、原作では謎のまま終わっていたけど、あれが上級生の特別試験だったとしたら……。

 堀北会長の代は夏祭り試験があったため、似たような内容の試験をもう一度行う可能性は低い。となると、あの出店は俺たちの代の特別試験である可能性が高い。

 

 ちなみに、夏休みのプール回は原作南雲が初めて登場する話なのだが、南雲は黄色い声援を浴びながらプールで遊びまくっていた。

 そのため、原作を読んでいた当時は堀北会長の代の特別試験だと思っていたけど……原作南雲なら試験中でもプールで遊びそうだからある意味納得だ。

 2年生編の無人島試験中も海で遊んでたしな。

 

「スパリゾートのお祭りイベントに重ねてきたのは意図的かも知れないな……」

 

 夏休みの終盤に大型プール施設で特別試験が行われるとするなら、明日から行われるスパリゾートのお祭りイベントは学校側があえてこの時期に重ねてきた可能性が高い。次に行う特別試験の参考にしろとか、きっとそういう意図だろう。

 もちろん俺の考えすぎかもしれないけど、備えておくに越したことはないはずだ。備えよ常に(Be prepared)だ!

 

「ありがとうなずな。参考になった」

「えっ?参考?」

「うん。参考」

 

 なずなにそう伝えた後、俺の左隣にいた鬼龍院に向けて言葉を掛ける。

 

「鬼龍院。申し訳ないけど、今からみんなの前で話す内容は他言無用で頼む」

「ふむ……何を話すのかはわからないが、祝勝会に勝手にお邪魔している身だ。これから聞く話は絶対に誰にも言わないと約束しよう」

 

 鬼龍院の言葉を聞いて安心した俺は宴会場のステージに上がり、ジャイアンばりの歌声を披露していた立花からマイクを奪い取った。

 そして、「まだ推測でしかないけど……」と前置きしつつ、先日行われた3年の夏祭り試験に似た特別試験が近々行われる可能性を祝勝会の場にいる全員に向けて話した。

 

「あ?本当にそんな試験があんのかよ」

「最初に言った通り、あくまでも推測でしかない。でも、可能性はあると思ってる」

 

 カラオケを中断されて不機嫌になっている立花にそう返しながら、去年の夏休みには特別試験が2つ行われたことや明日からスパリゾートで行われるお祭りイベントのタイミングが良すぎることなどを話した。

 ただ、根拠としてはあまりにも乏しいため、会場にいるほとんどの生徒は信じていない様子だ。

 

「とりあえず、みんなには明日からのお祭りの情報……というか、感想を是非とも教えて欲しい。お祭りに行った人たちだけでいいから、行列が出来てる出店とか、プールで泳いだ後に食べたいと思ったものとかを適当に教えてくれ」

 

 勝手にそう締めくくり、マイクを立花に返してからステージを降りた。

 本気で調べてもらう必要はないため、こんな適当な指示を出すだけで充分だろう。

 

 みんなの熱意を甘く見ていた俺は、この時はまだそう思っていた……。

 

 

 

 

——Side:教師陣——

 

 2年AクラスとDクラスの合同祝勝会が終わり、生徒たちが就寝準備を始めている頃。ホテルの会議室では坂柳理事長と2学年の担当教諭による報告会が行われていた。

 会議室に備え付けられたスクリーンには坂柳理事長の姿が映し出されており、報告会の進行を務めている。

 

『今回の特別試験は差が生まれない結果になると思っていたんだけど、南雲くんは規格外だったみたいだね』

 

 報告を聞き終えた坂柳理事長は過去に行われたプレゼンテーション試験の結果と今回の試験結果を見比べ、渇いた笑みを浮かべた。

 高育の歴史上、プレゼンテーション試験は何度か行われているが、得票数が横並びとなるのが通例だった。ましてや、100票以上獲得したクラスが出たのは今回が初めてだったのだ。

 

『今後の特別試験も少し考えないといけないかもね……』

 

 そう呟きながら考え込む坂柳理事長へ向けて、一人の教員が言葉を発する。

 

「あの、坂柳理事長。少しよろしいでしょうか」

『なんだい?』

「実は、念のために報告しておきたいことがありまして……」

 

 南雲が所属するAクラスの担任の言葉に、坂柳理事長は心の中で僅かに身構えながら耳を傾ける。

 

「先ほど、AクラスとDクラスの生徒たちが祝勝会を行っていたのですが、そこで気になる話題を耳にしました」

『気になる話題?』

「南雲くんが、夏休み中に出店形式の特別試験がある可能性を示唆しておりました」

『……それは、本当かい?』

「宴会場に設置されている監視カメラの映像で確認したので、間違いありません。明日からお祭りイベントが行われるという噂を聞いた直後に、その可能性を考えたようです」

 

 このスパリゾートには多数の監視カメラが設置されており、高育の教職員はその映像や音声データをホテル側から提供してもらっている。

 施設の充実度だけでなく監視カメラの死角が少ないことも、ここが特別試験の実施場所として選ばれた理由だった。

 

『南雲くんは、本当にとんでもないね……』

 

 そう呟きながら、坂柳理事長は静かに思案する。

 

 驚くべきことに、南雲が推測した特別試験の可能性は正しいと言えた。夏休みの最終日に行う出店形式の特別試験の実施は、すでに決定しているためだ。

 次に考えるのは特別試験の情報が漏れている可能性についてだが、それはおそらくあり得ない。なぜなら、夏休み最終日に行う特別試験の詳細を知る者は、現時点でまだ坂柳理事長本人と信頼のおけるごく僅かな部下しかいないためだ。

 もちろん、生徒たちに近しい位置にいる各学年の担任教諭には誰一人として知らせていないため、そこから情報が漏れた可能性もないと言える。

 

(入学初日にSシステムの全容を見破ったと聞いた時からとんでもない生徒だとは思っていたけど、僕の想定はまだ甘かったみたいだね……)

 

 次回の特別試験の参考にしてもらいたいという目的でスパリゾートのお祭りイベントに宿泊の日程を重ねはしたものの、その程度のヒントで特別試験の存在に気付ける生徒が出てくるとは思っていなかった坂柳理事長は、心の中で再度驚愕した。

 そして、南雲雅に対する評価を再度上方修正する。

 

 実際はこの世界の原作知識(未来の知識)からくる推測なのだが、その事実をつゆも知らない坂柳理事長が南雲の純粋な実力だと考えてしまうのは必然だった。

 

『入学当初、彼をBクラスに配属してしまったことが悔やまれるね』

「本当にそう思います……」

 

 坂柳理事長の呟きに同意を示したのは、()()()Bクラスの担任を務める教師だった。

 彼は桐山が率いるBクラスの現状に大きな不満を抱えてはいないものの、『南雲くんがもしも、入学当初Aクラスに配属されていたとしたら……』と思わず考えてしまうほどには、南雲のことを高く評価している。

 坂柳理事長はBクラスの担任の言葉に苦笑しながら、再度口を開いた。

 

『君たちにはまだ次回の特別試験の詳細を教えることはできないけれど、生徒たちの為に引き続き業務に励んでもらいたい。よろしく頼むよ』

 

 その後もいくつかの議題について言葉を交わし、今回の特別試験の報告会は無事に終了した。

 

 

 

 

 スパリゾートから帰るバスの中で、俺は頭を抱えていた。

 

「どうしてこんなことに……」

 

 お土産が入りきらないほど膨れ上がっている俺のカバンの中には、AクラスとDクラスの生徒たちがまとめてくれたお祭りの資料がパンパンに詰まっている。

 俺は「感想が聞ければラッキー」くらいに考えていたのだが、みんなから渡された資料には各屋台の詳細な集客数だけでなく、客の年齢層や時間帯毎の集客数の変化まで事細かに記載されていた。

 なずなが渡してきた資料に至っては従業員しか知り得ないような情報まで記載されている。

 凄すぎる。みんなの熱意を完全に舐めていた。

 

「次の特別試験も頑張らないとなぁ……」

 

 バスにガタガタと揺られながら、俺は静かに決意を固めたのだった。

 

 





〜ちょこっと解説〜

・夏休みのプール回
 アニメでは夏休みの序盤に行われていましたが、原作では夏休みの最終日に行われるイベント。
 プール施設の売店で生徒が働いている描写があり、上級生の特別試験が行われている可能性があったりなかったりする。

・備えよ常に(Be prepared)
 ボーイスカウトのモットー。
 池のアウトドア知識や月城理事長代理の左手握手など、よう実には度々ボーイスカウトネタが登場するので投入。
 ちなみに私は富士章持ってるよ!
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