南雲くんのなが〜い夏休みがやっと描き終わりましたので、ストックが切れるまで放出させていただきますっm(__)m
暇つぶし程度に楽しんでいただけたら幸いですっ(>人<)
無事に高育へ帰還した翌日。
やっと夏休みを満喫できる!——という希望は儚く散り、学校が貸してくれた会議室で本日も生徒会業務に勤しんでいた。
夏休み中に起こった揉め事の解決や各種報告書の処理などなど、我ら高育生徒会に夏休みなどないのだ!悲しいね。
「南雲、大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題ない」
「本当に大丈夫か?」
心配してくれる桐山越しに、会議室の隅に溜まる絶望へ死んだ魚のような目を向ける。
現在生徒会室は改装工事中で使えないため、未処理の書類が会議室の隅に地層を形成しているのだ。
地層は隣の部屋にも侵食しており、そちらは橘先輩と殿河と溝脇が中心となって掘削してくれている。
そういえば、溜まってる書類を全部処理したあと、改装後の生徒会資料室に整理し直して仕舞う作業があるのか……葛城ー!一之瀬ー!早く帰って来てくれー!
「そういえば南雲、アレは渡したのか?」
「あっ、まだだった」
心の中で絶叫しながら業務をこなしていると、桐山が重要任務を思い出させてくれた。ありがてぇ、持つべきものは管理能力の高い友人だな。
そう思いながらカバンを漁り、紙箱を取り出す。
「これお土産です。先輩方でどうぞ」
先輩代表である堀北会長に渡したのは、スパリゾートのお土産コーナーに売っていたクランキーチョコだ。
本当はキーホルダーやマグカップにしようと思ったのだが、桐山たちと相談した結果無難な消え物で落ち着いた。でも美味しいよね、クランキーチョコ。
ちなみに、葛城と一之瀬の分は別で買ってある。2人には無人島&船上試験という連チャン特別試験の旅から帰って来た時に渡すつもりだ。
「学外での試験だと聞いたが、スパリゾート施設に行っていたのか」
「そうです。結構楽しかったですよ」
スパリゾートでお祭りイベントがあったため、それ目当てのお客さんで相当賑わっていたことなどを話した。すると——
「ほぅ……」
——いつの間にか堀北会長が神妙な面持ちになっている。なんで?
「あの〜、何か変なこと言っちゃいました?」
「変なこと……そうだな。この学校に限った話となるが、お前は変なことを言っている」
「えっ?」
堀北会長はふっと笑いながら理由を説明してくれた。
高育の生徒は卒業まで外部との連絡が断たれる関係上、学外の行事であっても一般人との接触はほぼできない仕組みとなっているらしい。
たしかに、無人島試験や混合合宿は学外で行ったけど、豪華客船の従業員さんや合宿先の職員さんとしか会わなかった。
部活動も同様で、大会等の理由で学外に出ることはあっても外部の人たちと必要以上に接触できないよう常に監視されているそうだ。
そういえば、原作の1年生編4.5巻で須藤がそんな話をしていた気がする。
「——以上のことから、学外の方々と接触する機会がこれほど多い特別試験は異例だと言える。自分がどれほどおかしなことを言っていたのか理解できたか?」
「り、理解できました」
原作の2年生編では、学外の人たちと交流できる文化祭や修学旅行が行われてたから特に気にしてなかったけど……言われてみるとたしかにおかしい。
実は原作で描かれてなかっただけで、月城理事長代理が来る前から外部との接触を行なっていく方針に変わり始めてたのか?う〜ん、わからん。
「それだけお前たちの学年が信用されているのだろうな」
「信用、ですか?」
どういう意味だろうと小首を傾げると、堀北会長は疑問に答えるように言葉を続けた。
「今の2学年の生徒は他学年の生徒に比べて非常に仲が良いように思う」
「たしかに、そうかもです」
我ら2学年の仲はすこぶる良好だ。
合同勉強会を始めてからというもの、お昼休みや放課後には他クラスの生徒同士で集まっている姿をよく見かける。
特別試験の前はさすがに少しピリついているけど、終わった後はみんな仲良くわちゃわちゃしている感じだ。
「その影響もあってか、2学年で問題を起こす生徒はほとんどいない。外部の人間と接触する機会を与えたのは、そんなお前たちのことを学校が信用しているためだろう。あくまでも俺個人の推測だがな」
「なるほど……」
問題を起こさないだろうと信用して、スパリゾートで開催されたお祭りイベントへの参加を許可してくれたわけか。
『高育の行事では外部の人たちと交流する機会もあるよ〜』という前例作りに利用されただけかも知れないけど、それはそれで全然OKだ。むしろもっとやって欲しい。
というかこれ、修学旅行マジであるのでは?
高育に通えているだけで満足はしてるけど……欲を言わせてもらえれば、2年生編8巻の綾小路たちのように、白銀のゲレンデを滑走したり札幌市時計台を見に行ったりダークネス・ボールッを放ったりしてみたい!
沖縄や京都や東京も魅力的だけど、やっぱり原作と同じ北海道へ行ってみたいなぁ……。
「……堀北会長は北海道のお土産何がいいですか?」
「何の話だ?」
「南雲、言葉が足りなすぎるぞ……」
桐山と一緒に質問の理由を説明すると、「ふっ、ならばお茶菓子を頼む」と言われたため、「ふっ、了解です」と返しておいた。
北海道に行けるか以前に修学旅行があるかすら分からないけど、もし本当に行けたら定番の『白い恋人』を買ってこようかな。
あっ、でも『わかさいも』や『ノースマン』のほうがお茶には合いそうな気がする。うーむ、どれにすべきか……。
「桐山、北海道で買うお土産何にする?」
「……捕らぬ狸のなんとやらだな」
そう呟いた桐山は絶望の山から新たな書類の束を掴み取り、半分を俺の前に置いた。
雑談タイムこれにて終了……管理能力の高い友人による地獄の業務再開の合図だ。
葛城ー!一之瀬ー!はやく帰ってきてくれー!
◇
——Side:葛城康平——
好条件な
順位は4クラス中3位。
最終的に120cpを手に入れはしたが、Cクラスとの契約によって毎月200cp分のプライベートポイントを龍園に支払わなければならないため、結果は大きな赤字だ。
「まさか、Dクラスにしてやられるとはな……」
話によると、今回の試験結果はDクラスの堀北鈴音が打ち出した策によるものだった。
何らかの方法でAクラスとCクラスのリーダーを突き止めただけでなく、意図的にリタイアすることでリーダーを変更するという奇策を実行し、225cpを獲得したようだ。
「あの人ならどう立ち回ったのだろうか……」
船内のショップで先輩方に渡すお土産を選びながら、南雲副会長のことを考える。
同学年から退学者が出ないよう立ち回りながらも、圧倒的なポイント差で自身のクラスをAクラスに君臨させ続けている傑物。
そんな姿から、南雲副会長は『歴代のリーダーの中でも最高』と教師陣に評されているそうだ。
もしも、南雲副会長が今回の無人島試験に挑んでいたら……俺には想像もつかない策を講じて大量のクラスポイントを獲得していたのだろう。
「まだまだ精進が足りないな……」
そう呟きながらお土産を選んでいると、背後からこちらに掛けてくる足音が聞こえてきた。
戸塚だろうと当たりを付けて振り向くと——
「やっほー葛城くん」
——足音の主は1年Bクラスの中心人物である一之瀬帆波だった。
共に生徒会に所属しているという理由もあり、普段からそれなりに交流のある相手だ。
「もしかして、先輩たちへのお土産を探してたのかな?」
「その通りだ。購入は最終日にするつもりだが、買うものは先に選んでおこうと思ってな」
「おおー、葛城くんはしっかり者だね」
「一之瀬は何を買っていくか決めたか?」
「にゃ〜、私はまだかな。それどころか、もう少し遊んでから探そうと思ってたくらいだよ」
頬をかきながら恥ずかしそうに一之瀬は答えたが、船旅はまだ1週間近くあるのだ。俺のように今からお土産を探す生徒のほうが珍しいだろう。
「ご機嫌よう。一之瀬さん、葛城くん」
一之瀬と雑談を続けていると、杖をつきながら歩く小柄な少女が声を掛けてきた。
「坂柳……」
学年でもトップクラスの学力を有している才女、坂柳有栖。
Aクラスの主導権を求めて俺と競い合っている相手だ。
「あっ、ごめんね坂柳さん。葛城くんと話し込んじゃってて」
「構いませんよ。まだ待ち合わせの時間ではありませんから」
「む?2人は待ち合わせをしていたのか?」
珍しい組み合わせの2人が待ち合わせの約束をしていたという状況に驚き、思わず疑問を口にしてしまった。
「実は、坂柳さんに船の中を案内してもらう約束をしてたんだ」
「案内?」
「一之瀬さんがエントランスで船内マップを興味深そうに見つめていたので、声を掛けさせていただいたのです。無人島試験中はずっと船内にいましたので、案内できる程度には詳しいですから」
「そうだったのか……」
坂柳が何らかの策を講じているのかと一瞬疑ってしまったが、ただ普通に船内を案内するだけのようだ。
証拠もなく疑ってしまい、少し申し訳なく思う。
「それじゃっ、またね葛城くん」
「それでは失礼しますね」
「ああ、またな2人とも」
歩幅を合わせて歩く2人を見送ったあと、先輩方へのお土産選びを再開した。
〜もしも南雲くんが無人島試験に挑んでいたら〜
「俺がリーダーだぁあああ!」と叫びながらキーカードを聖火のように掲げて島中を爆走。少なくとも5箇所(できれば10箇所以上)のスポットを占有。
最終点呼の前に「俺はリタイアするぞぉおおお!」と叫びながら島中を爆走。ほてった体のまま「熱出ました!死にそうです!」と先生方のもとへ駆け寄り、リタイア&リーダー変更。
初期ポイント+300、物資購入−110、点呼失敗&南雲リタイア−35、スポット占有5箇所の場合+75、リーダー当て0。合計230cpフィニッシュ。