南雲雅?俺じゃん。   作:ざったなっつ

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 アニメだとほぼ全カットされましたが、1年生編4.5巻は面白い話ばかりなので是非ともおすすめしたい……_(:3 」∠)_




23話「2人で占い」

 

 

 綾小路と櫛田と共にカフェへ行った翌日に葛城と一之瀬を連れてお茶しに行くという夢のような展開が続いているが、まだまだ俺の夏休みは終わらない。

 

 というのも、もしも高育に通う機会があれば参加したいと……いや、必ず参加しなければならないと思っていた重大イベント。『夏休みの占い』にまだ行っていないからだ!

 

 えっ?占い?と思われるかも知れないが、原作の1年生編4.5巻で行われていた占いはただの占いではない。

 原作で綾小路と伊吹が占ってもらった際は、「遠回りせず真っすぐ帰るように。余計な道を通ると長い足止めを食らうやもしれぬぞ」と忠告され、それを無視して遠回りしながら帰宅しようとした2人は……停電によってエレベーターに閉じ込められていた。

 

 そう、この時期にケヤキモールで行われている占いは、占いという名の予言なのだ!

 まぁ、原作で占いが当たったのはただ偶然かもしれないけど、記念にもなるので絶対に占ってもらいたいと思っていた。

 

 ただ、その占いは誰かとペアを組まないと参加できないという鬼畜ルールがあるため、1人では行けない。

 そこで、現在絶賛ペア捜索中なのだが——

 

『うぅっ、雅と行きたいのは山々なんだけど、実は色んな女子グループの子たちともう何回も行ってて……。"そんな頻繁に来るもんじゃないよ"って、前回注意されちゃったんだよね……』

 

『すまん。俺もう行っちまったんだよなぁ、最近できた彼女t……』ブチッ

 

『悪いが興味ないな。そういうのは信じない主義なんだ』

 

——同じクラスのなずな、溝脇、殿河に悉く断られ、心が折れかけていた。

 昨日お茶会をした1年ズを誘おうかとも思ったけど、葛城は興味なさそうだし、一之瀬はなずなみたいに何度も連れて行かれてそうだからなぁ……。

 

 そう思っていると——

 

「ん?メッセージ?」

 

——とある人物から、『直接会って話がしたいんだが、時間を作れるか?』という願ってもない連絡が来た。

 なんて素晴らしいタイミングだと思いながら『ついでに占い行きませんか!?』と返すと、『まぁ、別に構わんが……』と()()了承してくれたため、即座に日時を決めて約束を取り付けた。

 

 そして約束の日の当日。

 

「お待たせしてすみません」

「待ってはいない。今来たところだ」

 

 待ち合わせ場所であるケヤキモールの前にいたのは、我ら高育生徒会のボス、堀北学生徒会長だ。

 まさか堀北会長と占いに行ける日が来るとは……カフェといいお茶会といい、こんな夢のような出来事ばかり続くと逆に不安になるな。占いで怖いこと言われませんようにっ。

 

「うげっ、凄い混んでますね」

「いつもこれぐらいの混み具合だそうだ。人気と聞くからな」

 

 ケヤキモールの5階に上がると、占い待ちの列が迎えてくれた。

 この様子だと1時間以上の待ちは確定だろうなぁ……。

 

「結構待つことになるかもですけど、大丈夫ですか?」

「構わない。その間の話題には事欠かないだろうからな」

 

 列に並びながらなのは申し訳ないけど、逆にちょうど良かったかも知れない。堀北会長が言った通り、話さなければならない話題があるからだ。

 

 そう思いながら、堀北会長と共に原作で綾小路と伊吹を占っていたと思われるお婆さん占い師の列へと並ぶ。

 

 

「ちょっ、あの2人って……」

 

「えっ……えぇっ!?」

 

「尊すぎでしょっ……」

 

「占う必要なく今日は最高の日だわ」

 

 

 堀北会長がいるためか、先に並んでいた人たち(主に女子生徒)にキャーキャー騒がれてしまった。

 まぁ、堀北会長と出かける時はいつもこんな感じだから、もう気にならないけどね。

 

「そういえば、()()は読み終わったぞ」

「以前おすすめした『機動従士ボムダム』の小説ですね」

「違う。『提案書』だ」

「あっ、そっちですか」

 

 堀北会長が口にした『提案書』というのは、原作の2年生編から登場した新システム。『OAA(over all ability)』と『クラス移動チケット』の提案書のことだ。

 原作通りの時期から導入できるよう近々根回しを始める予定なのだが、その前に堀北会長の意見を聞いてみたいと思い、先日提案書を渡していたのである。

 

 ちなみに、列に並んでいる人たちはこちらをチラ見しながらキャーキャー騒ぎ続けているため、俺たちの声は聞こえていないようだ。

 まだ計画の段階だから、聞かれても問題はないけどね。

 

「全生徒の評価の可視化に、ポイントを使わずクラス移動を可能とする権利。どちらも中々に興味深い試みだと思う。俺の任期中に実現するのは難しいだろうが、生徒会長として出来る限り協力しよう」

「……ふぇっ?」

 

 意外すぎる堀北会長の言葉に、思わず変な声が出てしまった。

 

 新システム——特に『OAA』——は、良くも悪くも生徒たちに大きな影響を与えてしまう。

 そのため、保守的な方針を好む堀北会長には反対されると思ってたけど……賛成してもらえるどころか、協力まで約束してもらえるとは思わなかった。

 

「どうかしたか?」

「いえ。堀北会長には反対されると思ってたので、ちょっと驚きました」

「ふっ、確かに少し前の俺なら……いや、お前が提案していなければ反対していたかも知れないな」

 

 驚く俺を横目で見ながら、堀北会長は言葉を続ける。

 

「この2つのシステムを導入すれば、生徒間の競争意識は今以上に活発になる。そして、多くの問題も発生するはずだ」

「俺もそう思います」

 

 もとはと言えば、「実力のある生徒は上へ!それ以外は知らん!」的な思想を持つ原作南雲の考えたシステムだ。当然ながら、問題点は存在する。

 たとえば、『クラス移動チケット』を手に入れるために手段を選ばない生徒も出てくるだろうし、『OAA』は能力差別を助長するだろう。だが——

 

「お前のことだ。デメリットを充分理解した上で、システムを導入したほうが生徒のためになると考えているのだろう?」

「そうです」

 

——これらのシステムには多大なメリットも存在する。

 『クラス移動チケット』の存在は実力以下の評価を受けている生徒に逆転のチャンスを与えるし、『OAA』の評価を上げるために努力する生徒も増えるはずだ。

 

 原作の大まかな流れをなるべく崩したくないという俺の我儘もあるけど、これらのシステムが生徒に良い影響を与えると信じているからこそ、原作通りに導入しようと思ったのである。

 

「であれば、俺から言うことは何もない。お前の判断を信じよう」

「あ、ありがとうございます!」

 

 予想以上の信頼度の高さに目頭が熱くなりながら、その後は提案書の修正点や理事長に伝えるタイミングについて話し合った。

 ついでに、葛城のプレゼントの件が解決したことも伝えると——

 

「そうか、それは何よりだ」

 

——という特に驚いた様子もないセリフが返ってきたため、俺に相談してから解決するまでの流れを読んでいたのだろう。

 もしかして未来視とかできるのかな?

 

「では次の方どうぞ」

 

 いつの間にか結構な時間が経っていたようで、堀北会長と俺の番になっていた。

 なんかもう満足している自分がいるけど、気を取り直して薄暗い部屋へと入っていく。

 

「まずは──料金の支払いを」

「アッハイ」

 

 雰囲気台無しだな〜と思いつつ、料金表を見る。

 原作を読んで知っていたけど、改めて見ると最低5000ポイント以上って中々だな。まぁ、予言レベルのお言葉が聞けるなら安いけど。

 

「付き合わせてる身なのでここは奢りますよ」

「気を遣わなくて結構だ。俺も気にはなっていたからな。自腹で好きなプランを選ぶ形にしよう」

 

 堀北会長はそう言ったあと、「一番高いプランをお願いします」とお婆さんに伝えていた。

 実は占いに興味があったのかな?それなら最初に誘えばよかった。

 

「あんたはどのプランにするんだい?」

「俺も一番高いプランでお願いします」

「ほう、何か知りたいことはあるかい?」

「来年度の卒業までに降り掛かる問題とか、注意しなければならないこととかを知りたいです」

「随分と具体的だねぇ……」

 

 お婆さんはそう呟くと、俺の名前を聞いてから占いを始めた。

 結果は……まぁ、たまに的を得ている言葉がありつつも、よくある占いのイメージ通りのことを言われた感じだった。面白い体験だったから満足だけどね。

 

 堀北会長は、「あんたはもっと素直にならないと後悔を残した2年間を過ごすことになるよ」という注意を受けていた。

 これ、たぶん妹さんとの話な気がする。やっぱりこの占い師凄いな。

 

「金髪のお主にひとつ忠告じゃ」

「えっ?」

 

 占いが終わって部屋から出て行こうとする直前、なぜか俺だけが占い師に呼び止められた。

 

「無人島の海岸で、感情の薄い目をした男に殴られる未来が見える。備えておくことじゃな」

「……マジですか?」

「マジじゃ」

 

 それ、2年生編4巻で起こった南雲腹パン事件じゃん!

 綾小路と仲良くなれたのに、結局そのイベント発生するのかよ……。

 

 

「南雲、大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……」

 

 堀北会長に付き添ってもらいながらなんとか帰宅した俺は、綾小路に腹パンされる悲しい未来を変えるため、天井を見上げながら必死に考えを巡らせ続けた。そして——

 

「……よし、綾小路ともっと仲良くしよう!」

 

——綾小路の好感度を今まで以上に稼ぐことに決めた。

 来年の無人島試験で何かやらかしちゃっても、「はははっ、雅は仕方のないやつだなぁ」と笑って許してもらえるくらい仲良くなれば、腹パンは回避できるはずだ。

 

 そうと決まれば、早速メッセージ。

 

『こんばんわ。突然で悪いんだけど、綾小路はもう占い行った?』

『……まだ行ってません』

『もしも行くことがあったら、ちゃんと携帯端末充電してから行ったほうがいいよ。世の中何が起こるか分からないから!』

 

 原作で綾小路と伊吹がエレベーターに閉じ込められていた時は、2人の携帯端末の充電がほとんどなく、助けを呼ぶのに少し苦労していた。

 そもそもイベントが発生するかも分からないけど、充電さえしっかりしていれば綾小路なら原作よりもスマートに脱出できるはずだ。

 

『……わかりました』

 

 綾小路の返信がちょっと冷たい気がするけど……うん、きっと気のせいだな!

 

「『またいつかカフェ行こうね』っと」

 

 不安が幾分か解消されたおかげか、その日はいつも通りぐっすり眠れた。

 

 






〜それぞれの心境〜

・堀北学
 占いの結果が妹に関わる話かも知れないと思い、この日は眠れなかった。妹に素直に接しようか未だ検討中。

・綾小路清隆
 その後エレベーターに閉じ込められたが、充電が満タンだったお陰で原作よりも少し早く脱出できた。
 南雲に対する警戒レベルはさらに上昇したが、『教材』として興味を抱き始めている。

・占い師
 感情の薄い目をした『黒髪の』男だということを伝え忘れたが、悪い結果にはならないため、別にええかと思っている。
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