そして、誤字脱字報告本当にありがとうございますm(__)m!カンシャッ!
夏休みが終盤に突入する直前、学校から2年生に向けてメッセージが届いた。
『夏休み最後の3日間に特別試験を執り行います。詳細の説明を行いますので、2学年の生徒は下記の日時にそれぞれの教室へ集まってください』
今まで何の音沙汰もなかったため、「あれ?もしかして、何もない?」と最近は思い始めていたが、やっぱりあったね特別試験!
夏休み最後の3日間ということは、やはりプール施設で行う出店形式の特別試験だろうか?
そう思いながら説明の日に教室へ行くと──
「試験期間中は水泳部専用のプール施設が一般に開放されます。みなさんには、そこで出店形式の特別試験を行なってもらいます」
──予想通り、出店形式の特別試験の実施が発表された。
クラスのみんなから「マジで当たってる……」という顔で見られたけど、「原作知識です」とは言えないため笑顔だけ返しておいた。ニコッ
「それでは、試験のルールを説明します」
真面目先生が説明した試験のルールは以下の通りだ。
・2年生には各クラスに出店準備のみで使用できるプライベートポイントが1人に対し5000ポイント与えられる。
・生徒会奉仕などの社会貢献、部活動での活躍による貢献などで追加資金が与えられる。
・各クラスの出店数は最大で5店舗。
・初期費用と追加資金は最終売上に反映されないため、未使用分は没収。
・売上1位のクラスには100cp、2位のクラスには50cp、3位のクラスには30cpが与えられる。4位のクラスポイントに変動はなし。
原作の2年生編7巻で行われた文化祭に近いルールだが、出店数は3年生が行なっていた夏祭り試験と同じだな。
「追加資金についてですが……」
真面目先生の説明によると、生徒会役員の俺と溝脇と殿河以外にも部活で優秀な成績を納めている生徒が何人かいるため、追加資金は合計で5万1600ポイント支給されるとのことだ。
つまり、クラス全体では25万1600ポイント使える計算になる。
「何か質問はありますか?」
「はい!」
聞きたいことはいくつかあるけど、まずは
「他クラスの商品が売れてお会計がAクラスの店舗で行われた場合、どちらの売り上げになりますか?」
「それは……」
俺たちがやろうとしていることを察したのか、真面目先生は少し驚きながら口を開いた。
「……相手のクラスが納得していれば、Aクラス売り上げになりますね」
「なるほど」
どこからが自クラスの売り上げになるのか色々なパターンを想定してたけど、一番
これなら、AクラスとDクラスの出店を並べて、お会計をAクラスの出店だけで行えば2クラス分の売り上げが簡単に集められる。
この時点でDクラスと連携できるAクラスの1位はほぼ確実だけど、俺が実現したいのはもっと欲張った結果だ。
それを狙うためには、まだ確認しておかなければならないことがある。
「4クラスが同じ売り上げだった場合、順位ともらえるクラスポイントはどうなりますか?」
「その場合は、全てのクラスが1位として100クラスポイントを獲得できますね」
「なるほどぉ!」ニコッ
これは面白いことができるかも知れない!と考えていると、真面目先生がハッとした表情となった。
「……みなさん。ルールの再確認を行いたいので、少々席を外させていただきます。申し訳ありませんが、教室で待機していてください」
そう言い残し、真面目先生は少し慌てた様子で教室を出て行ってしまった。
気付かれたか……さすが真面目先生、勘がいいな。
「ねぇねぇ雅、なんで先生出て行っちゃったの?何が起きてるのか全然わかんないんだけど……」
次善策で妥協しようか悩んでいると、なずなが小首を傾げながら疑問を口にした。
クラスのみんなも同じ疑問を抱いているようなので、先生が出て行った理由をみんなに聞こえるよう説明する。
「全クラスで売り上げ金額を揃えて、4クラス同率1位を狙おうと思ったんだ。でも、先生に気付かれたから対策されるかも……」
「売り上げを揃えるって、値段とか個数とかを計算しながら売るってこと?」
「それもアリだけど、全商品0ポイントで売って全クラス売り上げ0ポイントで揃えるのが一番楽かな」
「「「「……」」」」
みんなが「とんでもないこと考えてる……」という顔で見てくるけど、とんでもないことをやろうとしてる自覚はちゃんとありますよ。
全商品0ポイントで配布とか、店舗の運営を学ぶというこの試験の意義自体をぶち壊す策だ。
それはさすがに申し訳ないから、学校の対応やルール次第では次善策で妥協しようと思っている。
それから約30分後。
「みなさんすみません。ルールが1つ追加されました」
新たに追加されたルールは、『商品は学校が許可した価格で販売する』というものだった。的確に対策してきたなぁ。
まぁ、このルールがあっても全クラス1位作戦はやろうと思えばできるけど……次の質問の回答次第では大人しく次善策に変更しようかな。
「先生、質問よろしいでしょうか?」
「な、何でしょうか南雲くん」
「1位が1クラスで、他の3クラスの売り上げが同額の場合の順位はどうなりますか?」
「その場合は……」
俺が何をやろうとしているのか再び察したのか、真面目先生は少し疲れた表情で質問に答えてくれた。
「……他の3クラスが同率2位となり、50クラスポイントずつ配られますね」
「なるほど!」
実行は簡単だし、結果も悪くない。よし、次善策にしよう!
というわけで、真面目先生の退室と同時にクラスのみんなへ作戦の概要を説明。全員の了承を得たため、桐山と須知と立花を集めて協力を呼びかけた。
「Aクラスの出店で会計をさせることで、売り上げをAクラスが独占。他のクラスは売り上げ0ポイントで同率2位。よくそんな策を思い付けるものだな……」
「しかもそれが妥協案で、本当は全クラス1位を狙ってたってのも凄いよね……」
「ってか、急なルール追加って南雲のせいだったのかよ。お前ほんととんでもねぇな……」
3人は驚きを通り越して少し呆れながらも、悪くない策だと理解は示してくれた。
だが、1位を諦めきれない桐山と須知はまだ渋っていたため、「うちには切り札がある」と言いながらスパリゾートのお祭りイベントでみんなが集めてくれた資料をチラ見せした。すると──
「い、いつの間にそんなものを……」
「もしかして、事前に今回の試験予測してたの!?」
──と驚いた後、
そんなこんなで、計画と準備に丸一週間を費やした出店試験。いざ開幕!
試験の結果はすでに決まっているものの、売り上げ金から準備資金を差し引いた額は各クラスの生徒たちのものになるため、全員が本気で試験に挑んでいる。
お会計は全てAクラスの出店で集めているが、クラス毎に売り上げは個別で記録しているため、最後はしっかり分配する予定だ。
ちなみに、表向きの記録は全てAクラスの売り上げということになるため、差し引かれる準備資金はAクラスが使用した分だけとなる。
脱税してる気分だけど、ルール通りだから無罪だよ!
「それにしても、まるで地獄だな……」
「あはは〜、逆に楽しくなってきたかも!」
忙しすぎてハイになっているなずなと一緒にたこ焼きをくるくると返す。
普段は使えない場所がやはり珍しいのか、プール施設は初日からとんでもない数のお客さんで賑わっていた。
そういえば、原作にもそんな描写があった気がする。たしか、初日が予想以上の激混みだったから、2日目以降は一度行った人は行けないとかなんとか……。
つまり、原作通りなら初日が一番キツいはずだ!
「っしゃあ!頑張るぞー!」
「おっ、雅もテンション上がってきたねぇ!」
そんなこんなで怒涛の1日目を終えると、原作通りプール施設の入場に制限が掛けられた。
結果。2日目はだいぶ楽になり、3日目ともなると初日の地獄が夢だったのかと思うほど人の流れは落ち着いた。
「暇だ」
「暇だねー」
正確には暇というわけではないけど、列ができてもすぐに捌ける程度の人数なので全然忙しくはない。
つまり、ちょい暇だ。
「雅、今日はもう上がっていいんじゃない?」
「え、いいの?」
「昨日もほぼ休憩なしで頑張ってくれてただろ」
「南雲くんスマイルのおかげで相当稼げたからね〜」
「初日ほどは混まないだろうから、南雲は自由にしてていいぜ」
「ん〜……それなら、お言葉に甘えようかな」
クラスのみんなが口々に休め休めと言ってくれたため、まだ午前中なのにも関わらず俺だけお休みをもらってしまった。
でも一応特別試験中だから、勝手に帰ることはできない。そうなるとやることがな……あっ!
「プール!」
怒涛の2日間のせいで忘れてたけど、原作通りなら今頃プールのほうで一之瀬クラスと堀北クラスの一部メンバーがみんなで仲良く遊んでいるはずだ。
せっかくなら、それを見に行くとしよう。
俺は急いで更衣室に向かった。
次回、佐倉に壁ドン&顎クイ!