南雲雅?俺じゃん。   作:ざったなっつ

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 佐倉の成長をほんの少しでも後押しできたら……と思って生まれた回でございます。
 それではどうぞっ( ´ ▽ ` )ノ


25話「夏休み終了!」

 

 

「うへぇ……」

 

 念のために用意していた水着に着替え、パーカーを羽織ってから移動すると、プールは結構な人で溢れかえっていた。

 だが施設自体が相当大きいため、プールに入れなくて途方に暮れている生徒とかはいないようだ。凄い施設だなぁ……。

 

「一之瀬たちは、いないな……原作と流れが変わったのか?」

 

 少し残念に思いながらプールを見回していると、大柄な男子生徒が笑顔で近づいてきた。

 

「よっ、南雲」

 

 ニカっと笑いながら話しかけてきたのは、堀北会長率いる3年Aクラスのナンバー2、藤巻先輩だ。

 

「久しぶりだな。元気してたか?」

「元気いっぱいです!」

「はっはっは、それは何よりだ!」

 

 藤巻先輩とは夏祭り試験の時に初めて話したのだが、堀北会長にトナカイコスをさせた俺のことを以前から気に入ってくれていたようですぐに意気投合した。

 今では会うたびに気さくに話しかけてくれるし、お店で会った時は毎回お菓子や飲み物を買ってくれる面倒見の良い近所のお兄ちゃんのような先輩だ。

 

「こんなところで突っ立って何してたんだ?」

「暇なのでぼーっとしてました」

「ぼーっとって、友達と一緒に遊ばないのか?」

「ひとりで来たので友達がいません」

「ぶはっ、お前ってほんと不思議なやつだな」

 

 肩を揺らしながらひとしきり笑った藤巻先輩は、「それなら俺たちと一緒に遊ばないか?」と、プールの一画を指さしながら提案してくれた。

 藤巻先輩が指し示した方向では、見知った3年Aクラスの面々がバレーを楽しんでいる。

 

「あれ?堀北会長と橘先輩はいないんですね」

「堀北と橘は昨日来てたんだ。2人っきりでな!」

「その話詳しく!」

 

 最初は複数人で行く予定だったが、急用でみんな行けなくなってしまい、堀北会長と橘先輩だけで行くことになってしまった……という流れになるようみんなで口裏を合わせたのだと、藤巻先輩は楽しそうに話してくれた。

 さすがは3年Aクラス。凄まじい団結力だ。

 

「まぁ、堀北には全部筒抜けだったけどな」

「へ?どういうことですか?」

「いつからバレてたのかは分からないが、堀北は俺たちの計画に気付いていたようでな。その上で、橘と2人でプールに来てたんだ」

「ほう!」

 

 それはもしかして、そういうことなのか?いや、まだ気が早いか。ただ、これだけは今度会った時に言わなければ……ご馳走様ですと!

 

「何もかも南雲のおかげだ。ありがとな」

「へ?俺何かしました?」

 

 昨日はたこ焼きをひっくり返していたら1日が終わっていたため、堀北会長と橘先輩の逢瀬には何も関与していない。

 そのため、感謝された理由を詳しく聞きたかったのだが、「なんでもないさ」とはぐらかされてしまった。

 う〜む……理由は不明だけど、感謝されてるならべつにいっか。

 

「それで、どうだ。一緒にバレーでもしないか?」

「それじゃあ、お邪魔してもいいですか?」

「もちろんだ。来い来い、みんなも喜ぶ」

 

 ニッコリ笑顔の藤巻先輩に付いて行くと——

 

「おっ、南雲くん連れて来てくれたか!藤巻ナイス!」

「あらあらぁ、目の保養になるわぁ」

「南雲くんも一緒にバレーしようぜ!」

「南雲く〜ん、こっちのチームで一緒にあそぼ〜」

 

——3年Aクラスの先輩方から熱烈な歓迎を受けた。凄く嬉しい。

 

「いっきまーす。そぉい!」

「ナイッサー!」

 

 その後は3年Aクラスに混じってバレーを楽しんだのだが……なんか、みなさんレベル高くないです?

 先輩方はバレーの基礎がほぼ完璧な上に連携能力が高く、凡ミスもほとんどしない。

 藤巻先輩に至っては、バレー部じゃないのにバレー部のレギュラー陣と互角に渡り合っている。

 

「凄いなぁ……」

 

 一見するとフレンドリーで優しい先輩ばかりだけど、ここにいる一人一人が3年Aクラスに所属するにふさわしい実力を持った生徒なのだと改めて思い知らされた。

 

「俺ももっと頑張らないとなぁ……ん?」

 

 プールサイドに座りながら静かに決意を固めていると、遠くに見覚えのある生徒たちの姿が見えた。

 一之瀬率いるBクラスと、櫛田率いるDクラスの面々だ。

 原作の流れが変わったのかと思ったけど、俺が先にプールに到着していただけだったのか。

 

「……ん?んんんっ!?」

 

 よくよく見ると、露出度高めな水着を着る銀髪の女子生徒が一之瀬たちと一緒に遊んでいる……な、何故あそこに鬼龍院が!?

 

「南雲。凄い汗だが、大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……」

 

 変な汗を噴き出しながら恐る恐る鬼龍院の様子を伺うと……鼻の下を伸ばしている池と山内をプールに蹴り落とした後、何故か佐倉に壁ドンしている。

 な、何やってんだあいつ……。

 

「藤巻先輩すみません。同学年の生徒が暴れてるようなので、ちょっと止めてきます」

「おう。なんというか……頑張れよ!」

 

 藤巻先輩のエールを背に受けながら、早歩きで鬼龍院のもとへ向かった。

 

「安心しろ佐倉。お前に下卑た視線を向ける輩は私が排除してやる。だからお前はもっと自信を持て!私以上のものを持っておきながら、そんな卑屈な態度は許さん!」

「は、はいぃ……」

「まずは背筋を伸ばせ。シャキッとしろ!」

「は、はいぃぃ……!」

「お前何やってんの?」

「む?おお!南雲じゃないか!」

 

 俺に顔を向けた鬼龍院は、佐倉を壁ドンから解放した。いや、ほんとなにやってんの?

 

「にゃはは……あの〜、南雲副会長には私から説明してもいいですか?」

「む?一之瀬か。悪いがよろしく頼む」

 

 説明役を買って出てくれた一之瀬が、()()でこうなっている理由を説明してくれた。

 

 どうやら、佐倉のアイドル活動の過去を鬼龍院も知っているそうで、中学生の頃から働いて収入を得ていたという事実に深い尊敬を抱いているらしい。そのため、俺の知らないところでたびたび佐倉に絡み、密かに交流を重ねていたそうだ。

 知っている人からすれば、これはいつもの光景なのだという。

 

「佐倉は私以上のスタイルを持っていながら、それを隠そうとするのだ。私が選んだ水着を着ろとあれほど言ったのに、まさかラッシュガードを着るとは」

「は、恥ずかしいです……」

「お前は恥ずかしい体などしていない!」

「やめろバカ」

 

 佐倉のラッシュガードに手を掛ける鬼龍院を止め……力強っ!全然止まらないんだけど!

 

「南雲、もっと優しく触ってくれ」

「意味深なセリフもやめろ。というか、お前が佐倉さんにもっと優しくしろ」

「佐倉が本気で嫌がることはしていない」

「えぇ、今普通に嫌がってなかった?」

 

 佐倉の様子を伺うと、すすすっと鬼龍院の影に隠れてしまった。これは、どっちだ?

 

「南雲、よく見ておけ」

 

 言いながら、鬼龍院は目を細めて佐倉に向き直る。

 

「佐倉、私に強引に迫られるのは嫌か?」

「ふぇっ!?」

 

 佐倉の顎をクイッとしながら、吐息が当たるほど距離で鬼龍院が問いかけた。

 い、イケメンだ!見た目は際どい水着を着た美少女なのに、何故か物凄くイケメンに見える!

 

「い、嫌じゃ……ない、です……」

「ほらな」

「ほらなって……」

 

 口では否定してるけど、圧に屈しただけの可能性もある。ほんとにこれ、どっちだ?

 俺では判断がつかないため、事情を把握しているであろう綾小路に助けを求める。

 

「南雲副会長。少なくとも、佐倉は鬼龍院先輩のことを悪くは思っていません」

「ほんとに?」

「はい。水着姿になるのは本当に嫌がっていますが、鬼龍院先輩のことはむしろ好ましく思っているはずです」

 

 綾小路が視線を向けると、佐倉は鬼龍院の背後からおずおずと顔を出した。

 

「鬼龍院先輩のことは、その……好き、です……。でも、水着は、嫌です……」

「どうだ南雲!」

「結局水着は嫌がってるだろ」

 

 あーだこうだと鬼龍院としばらく言い合った結果、佐倉の水着姿を晒すことはなんとか諦めてくれた。

 だが、佐倉の姿勢矯正は諦めていないようで、「もっと胸を張れ!」と言いながら佐倉の両肩を掴み、無理やり背筋を伸ばしている。

 

 あっ、2人の絡みを見ていた池と山内がまたプールに蹴り落とされた……ドンマイ2人とも。

 

「あの、南雲副会長。みんなでバレーとかどうかな〜と思ってるんですけど、一緒にやりませんか?」

「おっ、いいね。やろうやろう」

 

 その後は一之瀬の発案により、原作の流れ通り1年Bクラス対1年Dクラスのランチを賭けたバレー対決……ではなく、みんなでゆるめのバレー対決を行うことになった。

 原作のように一之瀬が挑発したことで堀北妹も参加していたけど、一番驚いたのは——

 

「佐倉、来い。私が手取り足取り教えてやる」

「は、はひぃ……」

 

——原作にはない佐倉の参戦だ。

 鬼龍院に終始振り回され続けていたようだけど、綾小路が止めようとしていなかったため、たぶん問題ないのだろう。

 まだうまく判断できないけど、佐倉も本気で嫌がってはいない気がする。

 

「あっ、そうだ。みんなー!お昼の前にこれあげるよ!」

「にゃっ?」

 

 パーカーのポケットから取り出したるは、2年生のごく一部の生徒のみが配ることを許されている出店の50%割引券だ。

 どのクラスの出店でも使えるけど、2年Aクラスの出店をそれとなくおすすめしながら全員にプレゼントした。

 

「にゃっ!ありがとうございます。南雲副会長っ」

「南雲副会長、ありがとうございます」

「南雲先輩あざまっす!」

 

 三馬鹿はひったくるように割引券を奪っていったけど、Bクラスのみんなは礼儀正しく受け取ってくれた。

 バレーの合間に話す機会があったけど、神崎も柴田もみんな本当に良い子たちだ。機会があればまた一緒に遊びたいな。

 

「綾小路くんには多めにね」

 

 みんなにバレないよう、綾小路にだけは4()()()の割引券を渡しておく。

 

「そんなに食べるつもりはありませんが……」

「違う違う。()()()()()()()()にも配っておいて欲しいんだ。綾小路くんの分と、その友達が複数人で来てることを考えて4人分ね」

「っ……!」

 

 アニメだと堀北妹が奮闘してたけど、原作では軽井沢が女子更衣室の盗撮を防いでいた。

 どこにいるかは分からないけど、今頃はプール施設のどこかで友達と3人で遊んでいるはずだ。

 

「……南雲副会長は、どこまで知っているんですか?」

「えっ?どこまで……?」

 

 ヤバい……調子に乗って原作知識を披露し過ぎたかも知れない。

 プール回の真の功労者である軽井沢を労う意味も込めて、ただ割引券を渡してほしかっただけなんだけど……盗撮の件を把握していると思われたようだ。

 いや、実際に把握はしてるけども。

 

「えっと……今回の件は誰かに知られたらマズイでしょ?だから、俺は何も知らないよ」

「そう、ですか……」

 

 なんか、得体の知れないものを見る目を向けられている気がする……。

 気を遣って返答したつもりだったけど、色々間違ったかも知れない。

 だ、誰か正解を教えてください!

 

「あy——」

「南雲!桐山の出店を冷やかしに行くぞ!」

「ちょっ……!」

 

 雑談でもして綾小路の好感度を取り戻そうとした直後、鬼龍院に強制連行されてしまった。

 出店エリアに到着するとランチタイムで混み始めていたため、そのままAクラスの出店を手伝うことになり……綾小路たちとは合流できずにその日は終了。

 綾小路へのフォローは叶わなかったけど……また遊ぶ機会はあるだろうから、きっと大丈夫だろう!

 

 そう自分に言い聞かせながら、売り上げ金を各クラスに分配した。

 

 

——出店試験終了時点のcp——

 

Aクラス:1674→1774cp

Bクラス:580→630cp

Cクラス:558→608cp

Dクラス:230→280cp

 

 






 綾小路の警戒レベルが天元突破し、原作南雲のいないよう実最新刊の発売が残り1週間となったところで、南雲くんの夏休み無事に終了!

 突然の連続投稿に付き合ってくださったみなさま、本当にありがとうございましたm(__)m!
 おかげで楽しく投稿を続けることができました!

 ストックがチャージできましたら、また投稿を再開する予定でございます!
 さすがに、次は半年もあけません_:(´ཀ`」 ∠):ガンバリマス……!

 それでは、また新学期に!╰(*´︶`*)╯
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