そして、今話5000文字くらいあります_:(´ཀ`」 ∠):イツモヨリナガイデス
そしてそして、誤字脱字報告ありがとうございましたm(__)m!
Aクラスの参加表を
そして、体は仕上がっているけどメンタルはガッタガタという微妙な状態のまま迎えた体育祭本番!
「雅、号令よろしくね」
「オッケー」
一之瀬の好感度を下げてしまったショックからまだ立ち直れてはいないが、顔には出さないよう気を引き締めてみんなを鼓舞する。っしゃあ!
「みんなぁ!絶対に勝つぞぉお!!」
「「「「「「うおぉおおおおおおーーーー!!!!」」」」」」
最初の種目の準備が着々と行われているグラウンドに、2年AクラスとDクラスの雄叫びが轟いた。
突然の大声に驚いたのか、他クラスの生徒たちはぎょっとした表情でこちらを見つめている。
「士気は上々だね」
「ああ。油断はできないけど、出だしは好調だな」
なずなにそう返しながら現状を整理する。
原作通りの流れなら、3年は赤組が勝利し1年は赤組のボロ負けで終わる。そうなると、今回の体育祭は2年の成績によって組の勝敗が決まる可能性が高い。
そのため、去年は『全力で楽しむ』という方針で体育祭に参加したが、今年の方針は『全力で勝ちに行く』だ。
雄叫びによる威圧と士気の向上がどれほどの効果をもたらすかは分からないが、やれることは全てやって赤組を勝利へ導く!
そんな決意を固めながら100メートル走とハードル競走を終えて待機場所に戻ると、立花がのっしのっしと近づいてきた。
こいつ、また一回り大きくなったな。プロレスラーみたいな体型になってる。
「まだ2競技しか終わってねぇが、Cクラスはまんまと引っかかってるみたいだな」
「だね。できればBクラスにも引っかかって欲しかったけど、そう簡単に騙されてはくれないか」
立花とそんな話をしながら、事前に仕掛けておいた策を思い返す。
今回の体育祭の必勝法は、他クラスの生徒がどの競技に出場するかが記載されている『参加表』を手に入れることだ。
しかし、参加票は体育祭の前日まで変更が可能なため、正しい参加票の入手は困難を極める。
そこで、今回はAクラスの参加票の情報を垂れ流しにし、BクラスとCクラスの参加順を誘導することにした。
流した参加票には足の速さに自信のある俺が『借り物競走』へ参加するといった意味不明な采配を複数混ぜているため、普通なら内容を疑い、裏を突いてくる。
だがしかし!流している参加票の情報は実は本物。俺が『借り物競走』に出るといった意味不明な采配は全て真実であるため、裏を突いてきた場合は俺たちに有利な参加順で戦えるという寸法だ。
結果。Cクラスは見事に引っかかってくれたのだが、Bクラスの参加順は有利も不利も取れない形となっていた。裏の裏を警戒したのだろう。
まぁ、Cクラスに有利を取れただけでも良しとするか。
「ここからは実力勝負になるな……パワーチームはどんな感じ?」
「絶好調だ。次の棒倒しで見せつけてやるぜ!」
以前からケヤキモールのジムに入り浸っていた立花には、この1ヶ月間、筋力に自信のある生徒の指導を任せていた。
その結果。100キロ超えのベンチプレスでストイックにトレーニングを続ける立花は彼らから尊敬を集める存在となっていたため、筋トレに目覚めたマッチョたちの集まりであるパワーチームのリーダーを任せていたのだ。
「「「「「うぉおおおおおおおおっ!!!」」」」」
「「「「「ひいっ」」」」」
2年の棒倒しはパワーチームの大活躍により赤組の圧勝。
いやはや、立花率いるパワーチームが白組の棒に突撃していく姿は圧巻の一言だった。
◇
そんなこんなで午前の競技は全て終わり、お昼休みも終わり、2年と3年の頑張りで赤組がリードを保ったまま午後の部へ突入。
その間にもブチギレた須藤がグラウンドを去り、お昼休みには堀北妹が校舎へ向かっていったため、イベントは原作通りに進んでいるようだった。
須藤と堀北妹には悪いけど、龍園の策が順調そうで何よりだ。
「雅、ほんとに借り物競走出るんだね」
「当然だ。今年こそは出たいと思っていたからな!」
去年は学生らしい競技に出たいという願望だけだったため、クラスのみんなの説得を受けてすぐに諦めた。
しかし、今年の借り物競走は原作で綾小路を最下位にさせた面白難易度の競技となっているため、よう実ファンとして必ず参加しようと心に決めていたのである。
「じゃあ行ってくる!」
「頑張ってね〜」
なずなのエールを受けながら借り物競走の待機場所に到着。
先に始まっていた1年の借り物競走では原作通り池は1位を取り、綾小路は最下位に終わっていた。やはり運の要素が相当強い競技のようだ。
「それでは2年生。準備してください」
俺は2年の1レース目であるため、早速スタート位置へと移動する。
「置き時計は嫌だ…置き時計は嫌だ…置き時計は嫌だ……」
綾小路を最下位に導いた借り物だけは引かないよう念じながら、合図と同時に勢いよくダッシュ!引いたクジを即座に確認した。
『恋人』
「いねぇよ!」
煽りとも取れるクジの内容に苛立ちながらも、審判に引き直しを宣言。難易度は高くてもいいからせめて実在するものをと祈りつつ、引き直したクジの内容を確認する。
『親しい後輩』
「っしゃあ!」
2つ目にしてチャンス到来!
同じ赤組にはとても親しい後輩である葛城がいるため、実在する上に難易度はベリーイージーだ!
「……はっ!待てよ?」
葛城に協力を求めるために1年Aクラスの待機場所へ駆け出そうとした直後。我、天啓を得た。
ここで葛城ではなく白組の一之瀬に協力を求めれば、心の距離を僅かでも縮めることができるのでは?つまりこれは借り物競走で1位を取れるチャンスではなく、一之瀬の好感度も稼げる
刹那の時間でその回答に至った俺は、即座に反転。1年Bクラスの待機場所へ突撃した。
「な、南雲先輩だっ……!」
「わっ、ほ、本物だぁ……」
「あばばばばばっ!」
「……髪色凄っ」
髪色凄いよね!俺もそう思う!と心の中で共感しながら、ざわめく1年Bクラスの面々を見回した。すると、ストロベリーブロンドの美少女はすぐに見つかった。
一之瀬の髪色も凄いから、見つけやすくて非常に助かる。
「一之瀬!申し訳ないんだけど、一緒に走ってもらえない?これ!『親しい後輩』!」
「にゃっ、ひゃいっ!」
一之瀬が即座に応じてくれたおかげで、他の走者に大差をつけながら見事に1位でゴール。
赤組と白組の生徒が手を繋ぎながらゴールする姿が珍しかったのか、ギャラリーからは温かい拍手が贈られた。
「別の組だったのにわざわざ協力してくれてありがとね。本当に助かったよ」
「ぜ、全然ですっ。むしろ、その……ありがとうございましたっ!」
そう言い残した一之瀬は、顔を真っ赤に染めながら待機場所へ走り去ってしまった。
好感度は下がってないと思うけど、上がったかどうかはよくわからない……あと、なぜ感謝されたのかもわからない……。
「俺がモテない理由ってこういうところなのかなぁ……」
綾小路みたいに誰かを『恋愛の教科書』にするつもりはない(そもそもできない)けど、本とかブログとか動画とかで、女性の心の機微について真剣に勉強しようと心の中で誓った……。
その後、四方綱引きや男女混合二人三脚も終わり、赤組有利のままラスト競技の『1200メートルリレー』へ突入。
アンカーの待機場所には原作通り堀北会長や綾小路、柴田の姿もあ……えっ?
「ふふっ、ははっ、あはははははっ!」
「鬼龍院!?」
各クラスのエースがピリピリした雰囲気で待機する中に、鬼龍院が高笑いを決めながら颯爽と現れた。
鬼龍院のことを知らない生徒たちは、その異様な登場の仕方に驚いている。
「南雲ならアンカーを選ぶだろうと考えて私も参加したのだ。そしたらまさか、堀北学生徒会長と綾小路までいるとは……造語はあまり好きではないが、一石三鳥という状況は本当に存在したのだな!」
鬼龍院は嬉しくて仕方ないのか、「はーっはっはっは!」と高笑いを続けている。
体育祭めちゃくちゃ楽しんでるじゃん。
「おっ、始まった」
「出だしは須藤が1位か。さすがだな」
あれ?鬼龍院が須藤の身体能力の高さをなぜ知って……と一瞬疑問に思ったけど、そういえばプールで一緒にバレーしてたな。2人でとんでもないスパイク打ち合ってたわ。
「やっぱり4番手までくると3年Aクラスが1位か。さすがだな」
「2年Aクラスも2位ではないか。さすがだぞ」
そんなことを言い合いながら鬼龍院と一緒にリレーの様子を見守っていると、1位だった3年Aクラスの女子が躓き転んでしまった。そういえばそんな展開あったな……。
原作ではこの時点ですでに1位だった2年Aクラスがリードを広げ、南雲が堀北会長に捨てゼリフを吐いてからバトンを受け取り、走り去っていた。
これが原作の強制力か。と思いながら様子を伺っていると——
「大丈夫!?怪我してない!?」
「みーくん。ダメだよ、私に構わず早く行って!」
「君を置いていけるわけないだろ!」
——すぐ後ろを追う形で走っていた溝脇が転んだ女子に駆け寄り、ピンク色の空間を作り始めた。
は?なにあれ?
「あの2人は夏休みの始め頃から交際しているそうだ」
「えっ!そうなんですか!?」
いつの間にかすぐ側まで来ていた堀北会長が簡単に説明してくれた。なんでも、あの2人は橘先輩が仲介を務めて誕生したカップルなのだそうだ。
「はっ!占いに誘った時に溝脇が言ってた彼女ってあの人か!」
謎の伏線回収に驚いている間も、リレーは続いていく。
溝脇が足を止めたことで順位は一気に変動し、現在の1位は1年Bクラス、2位は2年Aクラス、3位が3年Aクラスという状況になっていた。
「……ふむ。堀北生徒会長、ちょっといいだろうか」
「なんだ?」
リレーの様子を伺っていた鬼龍院が、不意に堀北会長へ話しかけた。
「提案なんだが、私と南雲と堀北生徒会長。そして綾小路で一斉にスタートするのはどうだろう?」
「ほう……」
綾小路が「なぜオレまで?」という顔をしているが、鬼龍院は気にせず話を続ける。
「この様子なら総合得点は赤組の勝ちで決まりだ。それならば、最後くらい遊んでも構わないと思うのだが」
「悪くない提案だ」
「あの、オレの意見は……」
鬼龍院はバッと振り向き、綾小路に視線を向けながら口を開いた。
「爪を隠すのは戦略として理解できるが、足の速さくらいは見せても構わんだろう。お前は余計なことなど考えず全力で走ってくれるだけで良い」
ん?まるで綾小路の足の速さを知っているような発言を……あっ、そうか!佐倉をストーカーから助ける場面に鬼龍院もいたということは、その時に綾小路が走る姿を見てるのか!
「……わかりました。駆けっこくらいは本気でやりますよ。鬼龍院先輩には佐倉がお世話になってますから」
「ふははははは!感謝するぞ綾小路!」
俺には何の許可もないけど、まぁいっか。こんな面白展開に参加できて普通に嬉しいし。
「あ、あの……」
「柴田くんは気にせず走って良いからね。ほら、バトン来たよ」
「えっ、あっ、うっす!」
あたふたしている柴田の背中を押した後、程なくしてバトンを渡してきたクラスメイトに「ごめん、ちょっと変なことするわ」と謝ってその場に待機した。
異常事態に気づいたギャラリーが騒いでいるが、気にせずストレッチを始める。
「ご苦労だった」
「あ、え、ああ……」
「ふむ、ご苦労」
「えっ?」
続けてバトンを受け取った堀北会長と鬼龍院もその場で待機したため、まさかの事態にギャラリーは相当困惑している。
「綾小路。本気で走らなければ佐倉を1日着せ替え人形にする」
「なんの脅しですかそれ。言われなくても今回は本気を出しますよ」
上機嫌な鬼龍院が綾小路に謎の発破をかけている。俺も堀北会長にしとこうかな。
「堀北会長。本気で走らないと橘先輩にかっこ悪い姿を見られちゃいますね」
「ふっ、恋人のいない男には負けんさ」
「……」ブチッ
絶対に勝ぁつ!恋人の有無なんざ勝敗に微塵も関係ないことを証明してやんよ!!
「もうすぐだな」
「負けません!」
「ふははははは!」
「なんだこの状況……」
四者四様の言葉を呟いた直後。櫛田から綾小路にバトンが渡り、原作にはない4人の戦いが始まった。
姫野「(私も大概だけど)……髪色凄っ」