それでは、本編をどうぞっ!
混合合宿で堀北会長と俺を倒した須知に『生徒会キラー』という2つ名が付いたり、クラスポイントを失った立花がちょっとピリピリしたり、桐山の俺へのライバル心がより一層高まったりしたが、基本的には平穏な日々が続いた。
そして、気がつけば2月。
俺は堀北会長にとある計画を打ち明けた。
「堀北会長、生徒会主催のバレンタインイベント開催の許可をください」
そう言いながら、全10ページの計画書を提出した。
「……開催時間は、妥当だな」
ふっ、俺も前回のクリスマスイベントで学びましたよ会長。
今回のバレンタインイベントは、2月14日の午後5時から午後7時までという無理のない時間を狙った。途中参加も途中退場も自由なため、部活組も気軽に参加できる仕様だ。
「だが、この部分は却下だ」
「えっ……」
リボンのついた箱の中から聖職者コスの堀北会長が飛び出し、仲が良さそうなカップルに祝福の言葉をかけて回るという今回のメインイベントは却下されてしまった。
しかし、他の部分はそのままで問題ないと言われたため、特に大きな修正もなく計画の実行が決定。
それから10日後。バレンタインイベントは問題なく開催され、大盛況の中幕を閉じた。
今回は堀北会長にコスプレをさせることはできなかったが、参加してくれた生徒はみんな楽しんでいる様子だったので満足だ。
「これ、南雲くんと桐山くんの分です」
「おおっ!ありがとうございます」
「ありがとうございます橘先輩」
イベント終了後。橘先輩が生徒会メンバー全員に義理チョコを配ってくれた。溝脇と殿河も恭しくチョコを受け取っている。
「こここ、これは、堀北会長の分です……」
「ありがとう橘」
当然だが、橘先輩は堀北会長にもチョコを渡していた。だが、俺は見逃しませんでしたよ橘先輩。
堀北会長に渡したチョコの箱、他のメンバーに渡したものより少しだけ大きいですねぇ。よくよく見るとリボンも立派だ。あれは間違いなく本命でしょうな。ご馳走様です。
ちなみに、イベント中はなずなもチョコを渡してくれたのだが、「はいこれ。ぎ、義理だから!」という本命の余地を残さないシンプルなメッセージも一緒にくださった。
だが、義理でもめちゃくちゃ嬉しいので何の問題もない。テンションも血糖値も爆上がりだ。ホワイトデーは奮発するとしよう。
◇
気がつけば3月。
来月には綾小路を始めとしたよう実のメインキャラクターたちが入学し、ついに本編が始まる。
そう考えていると——
「これから、1年度最後の特別試験の説明を始めます」
——特別試験のルール説明が始まった。
内容は以下の通りだ。
・試験の実施は2週間後。
・対決クラスはランダムに選択され、当日に発表される。
・学校側が事前に決めた全35種目からランダムに11種目が選ばれ、勝敗を競う。
・一度選ばれた種目が再び選ばれることはない。
・各種目の参加者は司令塔が状況に合わせて選出する。
・最大で一人2つの種目にしか参加できない。
・司令塔は最大で5つの種目に参加可能。
・勝ち越したクラスは+100cp。負け越したクラスの司令塔は退学。
・各種目の勝敗毎に敗北クラスから勝利クラスへ20cpが移動。
・引き分けとなった場合、新たな種目が選ばれ延長戦が行われる。
・延長戦が行われる場合、種目の参加制限は取り払われる。
原作における1年生編の最後に行われた『選抜種目試験』に似ているが、対戦クラスが当日に発表される点や対戦種目のリストをすでに学校側が用意している点など、違う箇所が結構ある。
また、ルール説明の後に学校が事前に決めた35種目のリストも公開されたのだが、学力テストやボードゲーム関連の種目が15種類。運動やスポーツ関連の種目が15種類。流行の音楽や漫画等、学校では習わない知識を競う種目が5種類という内訳だった。
対戦クラスが当日に発表されるというルールのせいで根回しが難しいため、今回の試験は本番での実力勝負になる可能性が高い。
そうなると、勝つためには最大で5つの種目に参加できる司令塔の存在が重要となってくる。
普通に考えれば、高い学力と運動能力を備え、本番のプレッシャーに強い生徒が司令塔になるべきだろう。しかし、それで万が一負けてしまったら、司令塔を務めていた生徒が退学してしまう。
そんな話をしながら、クラスのみんなに司令塔を推薦してもらったところ——
「雅だね」
「南雲だろ」
「南雲に1票」
「南雲くんでしょ」
「南雲で」
——満場一致で俺に決まった。みんな容赦ない。
「万が一負けちまっても、2000万プライベートポイントと300クラスポイントで退学は取り消せるんだろ?だったら南雲一択じゃん」
溝脇の言葉にクラスの全員が頷く。
どうやら、俺の退学が決まっても取り消してくれるつもりらしい。
「そこまで信頼してくれるのは嬉しいけど……俺、結構不得意な事多いぞ?」
勉強は大丈夫だと思うけど、運動はトラブル回避のために鍛えた逃げ足の速さくらいしか自信がない。
リストにあるボードゲームのほとんどはルールを知ってる程度の実力だし、スポーツ関連の種目は足を引っ張らない程度に立ち回るだけで精一杯だと思う。
「それでもやっぱり、司令塔は雅にお願いしたいかな。負けた時のことは考えたくないけど、雅が司令塔になって負けたなら納得できると思うんだよね。みんなもそんな感じでしょ?」
「同意見だ」
「いつも通り気楽にやっていいよ〜」
「プライベートポイントもクラスポイントも、またすぐ貯められるだろうからね」
みんなからの温かい言葉が目に沁みる。
「わかった。そこまで言ってくれるなら、俺が司令塔としてみんなを導く。今年度最後の特別試験、絶対に勝つぞ!」
「「「「「おーーっ!!!」」」」」
みんなの気合いも入ったところで、さっそく試験までの計画を話し合った。
まず、俺を除くクラスのみんなで話し合い、担当する種目を最低でも一人3つ選んで2週間ひたすらにその種目の練習だけをしてもらう事にした。確率的に、3つ押さえればその中から1種目は選ばれる可能性が高いため、得意な分野を伸ばして精鋭を育てる作戦だ。
俺はその逆で、苦手な分野の練習に時間を注いだ。司令塔である俺は最大5種目に参加できるため、得意を伸ばすよりも苦手をなくしたほうが良い。
そう考え、休み時間は流行の音楽や漫画やファッションについて学び、放課後は色々な運動部にお邪魔して指導を受け、家ではオンライン対戦で様々なボードゲームをひたすらに練習した。
そして、気が付けばあっという間に2週間が経過。試験当日を迎えた。
「対戦クラスは……」
「どうやら俺たちのようだな」
そう答えたのは桐山だ。
廊下に張り出されていた対戦表には——
【選抜種目試験】は下記のクラス同士で執り行う。
・Aクラス対Bクラス。
・Cクラス対Dクラス。
——対戦相手がBクラスだと書かれていた。
「司令塔は南雲か?」
「そうだけど、そっちはもしかして桐山?」
「当然だ」
いつもの無表情イケメンフェイスで、桐山はそう答えた。
「ちょっと聞きたいんだけど、退学回避の2000万プライベートポイントって貯まってる?」
「残念ながら貯まってないな」
Bクラスに支給されているプライベートポイントは平均すると一人あたり7万くらいだ。そのうち1万PPtは毎月Aクラスに支払われるため、実質6万PPt。節約して毎月一人4万PPt貯めていたとしても、クラスで月に貯められるポイントは160万。それを12ヶ月で1920万か。
特別試験や部活等で手に入るボーナスポイントを合わせれば2000万に届きそうではあるけど、これはあくまでも理想値だ。実際に貯まってるポイントはもっと少ないだろう。
「言っておくが、敗北した時に2000万ポイントがあったとしてもそれを使うつもりはない」
「えっ!何でだ?」
「この1年、Aクラスに負け続けたのはリーダーである俺の責任だ。今回の試験で退学のペナルティがなかったとしても、どこかで責任を取る必要がある」
「……それは、クラスのみんなと話し合った結論なのか?」
「話し合ってはいないが、リーダーが責任を取るのは当然の事だ」
それが桐山の責任の取り方か……やっぱり頭が固いなぁ。
「言っておくが、負けるつもりは毛頭ない。お前は自分の退学の心配だけしておくんだな」
桐山はそう言い残し、自分の教室に戻っていった。
これは、ちょっと面白くないな……。
そう思った俺は試験開始前に与えられた30分の休憩時間を使い、クラスのみんなへ声を掛けた。
「みんなちょっと聞いて欲しい。今から、この試験に
そう言いながら試験後に実行したい計画を口にすると——
「ま、雅ならそう考えるよね〜」
「いいんじゃね?うちのリーダーがそうしたいなら俺は賛成だ」
「むしろ南雲くんらしくて安心したわ」
「賛成〜」
——みんな快く了承してくれた。本当に優しいクラスだ。
「ありがとうみんな。それじゃあ気を取り直して、Bクラスに勝つぞー!!」
「「「「「おーーーっ!!!」」」」」
こうして、退学のペナルティを懸かけた今年度最後の特別試験が始まった。
下記のキャラクターを出す時はこんなイメージで描いております!
須知萌香
イメージ:軽井沢と松下のハーフ。
立花賢人
イメージ:龍園の皮を被った石崎。