アメリカ、行きつけのカフェ(残骸)
椅子から抜け出した俺は、脳内で宇宙人からリザルト評価を受けていた。
結果はD評価。被害が少なかったのが宇宙人的には気に入らないらしい。しかし報酬はもらえた。そう、感情エネルギー収集のノルマ達成である。
やったぁ、チックとアンディの捕食者決定戦(両者相打ちにより優勝者なし)で生まれた感情エネルギーの報酬が唯一生き残っていた俺に漁夫の利で全部届いたぞ~。そういうことだった。この感情エネルギーの報酬はよくわからん仕組みで判定される。死んでも報酬が貰える時もあれば、生き残ってる奴しか貰えない時もある。判定基準は宇宙人のマスクデータであるため推察することしかできないが…感情エネルギーの発生原因を参照していると考えている。その感情が、誰によって生まれたのか。それが評価基準ではないか。と、俺は睨んでいる。ま、そんなこたぁどうだっていい。宇宙人は宇宙人の考えがあんだろう。
俺は脳裏に映る今日の報酬にほくそ笑んだ。本来なら、俺が暴れて稼ぐはずだったが…最後は殺されるし、何なら力が貧弱だから壊せるモンも少ないという明らかに感情エネルギーを稼ぐのに向いてない身体だ。ガキの身体だからな。どうしたって弱い。そんなんだからこうした棚ぼたは大歓迎だった。ビーっと俺の瞳から出力したドル紙幣をべべべっと数えてポケットに突っ込む。へへっ…と、こいつはとっときな。俺はそのドル貨幣からいくらかをカフェの残骸に叩きつけた。目的は達したぜ…迷惑料を払った俺は足早にその場を去った。日本に…帰ろう。帰りを待つみんなのためにも…。
アメリカ、魔法少女支部
いや帰りの足たるアンディが死んだら俺帰れねぇじゃん。途中まで海を渡っていた俺はUターンして魔法少女支部に、もっと言えばアンディを迎えに行った。別にアンディが居なくても帰れはするが…ビッグマムがうるさいし逆らえないのでなくなくだ。なくなく。しょうがなくね?俺はせっかちではない…せっかちではないのだが翼が生えてから飛んだ方が早くね?という思考に囚われるようになったので、魔法少女支部まで低空飛行で飛んでいく。通行人を避けんのが楽しくなってロールしながら人や街灯を回避していると、魔法少女支部の自動ドアに気付かず衝突して、首が90度以上曲がったために俺は死んだ。
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お説教部屋
空飛べると油断するよな。特にガラスとか飛んでるとほぼ見えんし。なんなら動いているものの方が良く見えない?てか動くものに目ぇいっちゃうよな。
「わかるな。動いている者は形を把握しやすい。何より止まっているものより目立つ」
だよな。やっぱガラスは悪だよ。透明ってなんだよっつーね。目に見えない。プラスチックもカスだ。誤飲したらどうするっつーね。俺達自然の生き物に優しくないんだよな。俺は飛べる生き物を代表して言った。光とか特にな。空飛んでると愉快犯的なやつがビカビカ光当ててくんのホントカスだぜ。アレ何なの?
「嫌がらせだろうな。私はあまり下を見ないようにしている。そうするしか対処法がない」
そうするしかないよなぁ。面倒くせぇ、最近とかよぉ…俺の日本で住んでるトコの…ご近所さんでカラスさんがいるの。カラスさん。最近夫婦になって新居構えたの。ラブラブでさぁ。いい夫婦なんだよ。そのカラスさんさぁ、せっかく建てた新居の木を切り倒されたって相談に来たんだよ。酷くねぇか?俺可哀想になって部屋貸したの。てか全然住んでいいって言ったんだよ。ご近所さんには仲良くしといた方がいいって言うだろ?普通に毛布とか買ってきたり、手が空いたときはお子さんのベビーシッターしてんのよ。そのお子さんが可愛んだよなこれが。普通に自分の子供見てぇに思えてきたりしてんのよ。そんなことしてたら、他ンところからもカラスさんが来てさぁ。今はウチ種別お構いなしの鳥類の託児所みてぇのになってんのね。これが捕食、被捕食のヤツも集まってんのよ。スズメとタカとか。食べねぇんだよな。なんかわからんが全体的にみんなの知性上がってんだよね。普通に鳥類の方が礼儀なってるときある。新しく預けに来たタカさんとかすげぇぜ?タケノコ持ってきたんだよ。タケノコ。でけぇの。マジでけぇの。どうやって掘ったん?思わず聞いちゃったよね。頑張ったらしい。すげぇな。あ、でな。ちゃんとさ、トイレの位置とか覚えてくれんだよ。お子さんたち。三歩歩いたら忘れるとかアレ嘘。デマデマ。失礼な風説だよな。あとたまーに鳥系の魔法少女や怪人が混じってたりすんのがビビるけど。まぁそいつらも…人間っつーより鳥寄りの奴が多くてな。ご近所さんが拾ってくんだよ。鳥に拾われる人間ってなんだよっつー話だけどな。なんか道端で放置されてるらしい。道路に放置される動物の遺体かなんかなの?まったく…世知辛ェ世の中になったモンだぜ。
俺はアンディと一緒にお説教部屋に突っ込まれていた。あの後、俺の下に向かおうとしたアンディが室内で空を飛び、ガラスにぶつかって同じくグロめに死んだのでこの部屋に閉じ込められているらしかった。ビッグマムは所用で外しており、帰ってくるまでココに居るしかないらしい。俺も同じ理由だ。チックは死んだら飢餓感がリセットされたために普通に出かけて行った。アイツイカレてんだろ。俺への執着どこ行ったんだよ。もう完璧餌としか見てねぇじゃん。酷くね?俺ヤンデレみたーいとか内心嬉しかったのに…弄ばれたってコト…!?酷い…俺はまた悲しくなってしくしく泣いた。
「カワセミ…泣くな。私が居る。」
ぎゅっと飛膜で包んでくれるアンディは優しい。元男だからか元同性に対するガードが緩い。身長差の成果、胸を押し付けられる感じになって、鼻の下がグーンと伸びる。でへへ…良い匂いがするぜ。女の匂いだ。
俺は世紀末の女を求めるヒャッハーモヒカン男みたいなことを言った。役得だぜ…そんな俺の様子にアンディは思い出したように話し始めた。
「カワセミ、お前はなぜ子供の姿になったんだ…私を理解してくれるのはお前だけだが…外からの目がとても厳しい。私はショタコンとしてあらぬ誤解を受けている。」
アンディのショタコン疑惑相談が始まった。あ?んだよ。そりゃあお前…そっちの方が同情を買いやすいだろ?そういうことだよ。俺は分割されてんだろ?非力になるっつーから、じゃあ非力に舵切ってか弱い見た目にした方がいいだろ。アレだ。カカポね。人懐っこいカカポだ。人の優しさで生き永らえているカカポを見習ってだよ。
「カカポは胸に興奮して鼻の下を伸ばさないが…理由はわかっている…がどうしても…その見た目がな。どうしたって犯罪的だ。お前がその姿である限り、私は犯罪者の汚名をかぶせられる。どうすればいい?」
どうするって言ったってなァ。俺にこの姿をやめろって言ってるようなもんだ。そいつは無理な話だぜ。でも困ってんのは助けてやりたい…ダチだからな。…そうだなぁ。
俺が怪人になるときショタを希望した。身体を分割されると聞かされた時、普通の大人を複数人でも行けたらしいが、俺はあえて子供の姿を選んだ。分割することで通常個体より非力で貧弱になるのなら最初から貧弱な見た目して同情を買えるような姿をしていればいい。それに、子供を積極的に殺そうという破綻者は少ないだろう。俺は死にたくない。そう考えての姿だった。
現に俺を殺そうと考える者は少ないが、代わりに中身が大人でガワがショタであることに希望を見出す闇のショタコン共がぽこじゃがと湧き出し俺を崇拝し始めているのが現状だった。そいつらの目が怖いんだよな。アイツ等にも派閥があって水面下で争っているから、俺に被害がないってのが救いだけどな。
アンディは闇のショタコン教団についても困ったことがあるらしかった。眉を下げ、心底困り果てたように言う。
「カワセミ…それについても相談がある。……私はその教団から勧誘と拷問、その両方を受けている。アイツ等からしたら、私は闇のショタコン教に殉ずる資質があるという…がそれはそれとして羨ましいからという理由で入信するに足るかどうかの試練の体で拉致され拷問される。それについても助けてほしいのだ」
いつの間にか俺を崇拝している闇のショタコン教団は自らの教義に反する異端者に容赦がない。正確に言えば、闇のショタコン教団に入信もしてないのに、俺の寵愛を受けるアンディを目の敵にしているらしかった。また、俺は4人いるが、そのどれもが先約が居るということが我慢ならないらしく、フリーになっている俺に集中しているらしいというのも分かった。中国の尾俺はそこらへんを共依存の女と上手い具合にやって、教団の開祖みたいなことをしていて、イタリアの角俺んところは闇のホモと一緒になって追いかけているらしい。ロシアの骨俺はどうしたって国の犬なので手が出せず、アメリカの爪俺はアマゾン探検隊みたいなのを作り出して、日夜追跡をしているらしかった。アンディを通して色々なことが分かったが、結局のところ、俺にコネクション…つながりを作りたいらしい。
なるほどな?俺はふつふつと湧き上がる怒りを心に焚べる。
アンディは便利な女だ。日本に居ても呼べば来てくれるし、基本話は聞いてくれる。おっぱいもデカい。都合がいい女だ。自分の理想を形にしたとあってか、美女も美女だ。さすが宇宙人に直談判を続け何百回と改造手術を受けた男…改造はそこそこの痛みや精神的負担を伴うがそれに何百回と耐えきったのだ。宇宙人から驚異的な精神力だと評価されながら、理想の女となった元男。それがアンディだ。
俺はアンディをダチと認めていたし、大体、アンディの性癖は自分自身だ。自分の理想の女になったアンディは心も理想の女になるために日々奮闘している。俺はそれを応援してやりたかった。
理想の女に肉体がなったとしても満足しなかったこの元男に、男としての誇りを感じたからだ。そうだ、中身が伴わなくちゃ意味がない。TSの行き着く先、終着点にお前はたどり着くんだ。
アンディ、お前はTSの希望なんだよ。この世にTS蔓延る昨今。男から女に変わることでの精神的変化に戸惑うキャラが多い。忌避感だってある奴もいる。女に段々と変わって、男を好きになっていくことに、未知への恐怖を感じるヤツだっている。それに美しさを感じるのも、身体が女で中身が男であることのしぐさのギャップで周りを勘違いさせることの良さもある。TSってのは奥深い。でも、アンディはそれすら受け入れて、乗り越えて、自らの理想を体現するために女であろうとしている。そう、TSの最終地点たる身も心も女になろうとしているのだ。理想の…女に。俺はその自らの性癖に邁進していく姿を見て、どうなってしまうのかその行く末を見てみたくなったのだ。
いや、俺は間違ってないと認めてほしかったのだ。
俺はショタになったのはどんなに言い訳しても心に根差した性癖に基づくモンだ。見た目がか弱そうだと同情を買いやすいとか、そうじゃない。俺は女にちやほやされたくて、おねショタに希望を見出したんだ。可愛い姿してりゃ、ちやほやされるって思ってたんだ。幼少期、俺にちょっとえっちで優しいお姉さんはいなかった。小さい子供が好きなギャルも、真面目ぶってショタに興奮する業の深い図書委員も、エッチなことに寛容な家庭教師もいなかった。それが、なんだか俺の人生が間違っているような気がしたんだ。俺はそれがなんだか酷く悲しくて、悔しくて、この世のどっかに存在する
だから、同じく性癖を突き進んでいるアンディに、俺の性癖が認められているような錯覚を感じていたんだ。お前が世に出て女として扱われるたびに、その真相を、元男であることを知っている俺は、自分もこの姿でいていいんだと言われているような勇気をもらえたんだ。
アンディ、お前は俺にとってのアンパ〇マンだ。俺に愛と勇気を教えてくれたんだ。この姿でいていいんだという愛と、胸張って性癖を突き進めという勇気を、教わったんだ。
でもお前は
俺は焚べて煌煌と燃え上がる心で、アンディの手をガッと取った。
アンディ!俺はお前のダチだ!俺はダチに貸し借りなしでやっていきたい!そう言う話はしたよな?いっつも俺が借りを作って、それにお前が応える形だった。いつもはな。たまには…そう今日くらいは…逆でもいいんじゃないか?
「カワセミ…」
女の顔をするアンディを引っ張り上げる。俺より背が高いアンディは俺を見下ろすが、その目は捕食者というより情欲に塗れていた。俺は一瞬悪寒が走るも、性癖が勝った。そう、アンディがもし理想の女になった暁には俺のおねショタのおね側に付き合ってもらうためだった。着々と女になりつつあるアンディに、俺は自分の性癖が満たされる時が近いことを自覚した。へへっ、アンディは俺のモンだ。俺のダチを拷問しやがって…!許せん…!俺はみなぎる怒りを怪人としての力に変えた。
感情は最も効率の良いエネルギーと、宇宙人は言った。それはつまり、一人の感情の爆発が莫大なエネルギーを生むということだ。俺達地球人はその言葉が嘘ではないことを漫画やアニメで知っていた。少年ジャンプの主人公達が怒りを燃やして、敵を打ち倒すということは王道と呼ばれるくらいありふれたものだったからだ。今更それに理由付けされた、その程度の認識だった。しかし、俺達は少年ジャンプの主人公ではないので、感情をエネルギーに変換させることは出来なかった。
怪人、魔法少女、この二つはどちらも感情と呼ばれるものをエネルギー源とする。感情を燃やすということは文字通りエネルギーに変えるということだった。俺達は宇宙人に改造されることで少年ジャンプの主人公になれる。酷く歪で人工的なものだった。でもそれでいい。大事なのは俺達は行き場を無くした感情の使い道を作ることができたという事。不倫された女の怨恨、彼女をNTRた男の悲哀、ダチを助けたいと思う友の怒り、それらが全て力へと変わる。俺達は宇宙人の手を借りて今一歩新たなステージへと進んだのだ。
俺はレアキャラだった。俺はその異常な精神から複数人に分割された。それはエネルギーの入力が複数あるということだ。俺単体では雑魚だ。しかし、俺は俺が複数人いることによって一つの感情を爆発的に生むことができる。一人で怒りを燃やすよりも複数人で怒りを燃やすことができる。劣化版元気玉みたいなノリが出来る。ドラゴンボールね?数少ない俺の長所だ。
俺に怒りをわけろぉ!
脳裏で他4人の俺の声が響いた。
『俺の日頃の…
『ホモ野郎への怒り…貸してやるよ。その代わり、俺を助けろ』
『ふ"ー"ふ"ー"(怒りを絶やすな)』
『俺は…犬じゃ…ねぇ…!!…うっ!』
約一名死んだ気がするが俺は4人から力を借りることができた。
俺に生えた翼は大きく、強く生える。まるでドラゴンの翼だ。
角が生える。枝分かれした角は太く、固く、雄々しい鹿の角だ。
尻尾が生える。長く、しなやかに。鱗が生えそろった蛇の尾だ。
爪が生える。鋭く、刃物のように。何でもきり裂けそうな爪だ。
体全身が脈動する。堅固に、強固に。土台となる体が崩れないように、生き物としての変化に耐えられるように。鋼の如く…!
俺は完全体となった。身長は特段変わらなかったものの、翼に加えて、角や爪、尾や骨と通常の俺より確実に強くなった強化フォームだ。
俺はお説教部屋の扉に尾を振り抜いた。生えてなかったはずのものの使い方が分かる。それは俺じゃない俺が積んだ経験によるものだった。遠心力、骨の強化もあり格段に威力が上昇した尾の薙ぎ払いは、容易く扉を打ち砕いた。遠心力に持ってかれそうになりながら、アンディを見る。
行こうぜ。カチコミだ。
「カワセミ…!」
ガッと抱きつかれた俺は、角が邪魔して胸の感触を味わえないことに不満を持ちつつも、尾っぽをアンディの魅力的な足に絡ませることで味わう感触に、グーンと鼻の下を落としながら長くなった鼻の下をこするのだった。
ーーーーーーーーー
闇のショタコン教団、小教会
「「「「「ショタァーーーーー!!!!!」」」」」
キャーー!!!!!
俺はガキ特有の甲高い声で悲鳴を上げ、腰を抜かしてビビり散らかした。特定された闇のショタコン教団の支部に当たる…小教会、近くにあったところでカチコミをかけた。扉を蹴破って入った俺に対して中の人間たちの第一声がソレだった。
「ショタぁ…!ショタァ…舐めさせろぉ…!」
「ショタ…ショタ…ぐえっへへへへへ」
「膝小僧…膝小僧が居る…」
「ばぶみぃ…ママみィ…」
闇のショタコン教徒は、まるでゾンビの如く、俺に近づいてい来る。しかも一人一人の性癖が違って見えた。最初の奴はスタンダードなショタコンだろう。どうやら舌でショタ成分を味わいたいらしかった。二番目の奴はぐへへへと笑うもののどこか距離を置いてこちらの様子をうかがっている。ストーカー気質か?いやこの雰囲気…シチュエーションオタクだろう。ショタが好きというよりショタが出るシチュエーションが好き…そういうヤツと見た。三番目は極まったショタコンだ。ショタを膝小僧と認識するくらい異様な執着を見せている。四番目は業が深い。ショタにばぶみを見出したヤツだ。
「カワセミに近づくな」
アンディが一歩前へと出る。俺はアンディに縋りついた。怖ぇ…怖ぇよアンディ。俺を落ち着けるようにアンディは頭を撫でたが…それが闇のショタコン教団に殉ずる信徒の逆鱗に触れたようだった。
「ア"!?」
「死にたいらしいなァ!?異端者がよォ…!」
「テメェの死体でソファを作ったらさぞかし座り心地はいいだろうなァ!?」
「磔刑に処してやるぜ~!!!」
なに!?なんなの!?急に世紀末のヒャッハーみたいになったショタコン共に恐怖するしかなかった。男だけならまだわかる。男は結構ヒャッハーになるもんだ。怪人になるとそれが顕著になる。内に秘められた北斗の拳の世紀末パワーが俺達をおかしくするのだ。しかし、男二人に女二人だ。ちなみに、女は3番目と4番目…膝小僧に異様に執着するヤツとバブミを見出したヤツだった。そんなのが、急にヒャッハーして死体でソファとか、磔刑とか言い出したからそのデカすぎるギャップにビビり散らかしている。
「待ちなさい!」
俺が尻餅ついて床をずりずりと這って逃げていると、小教会の奥から一喝の声が響いた。小教会は暗くじめッとしている。まるで邪教の集会場だ。光は少なく、日の光に当たることはできない集まりだと暗示しているようだった。
その奥、深い深い闇に隠された人影が徐々に徐々に姿を現していく。シスター服を着ているその女。髪は金髪でロングだ。胸はそこそこでケツもそこそこだ。身長もそれほど高くなく、特徴といった特徴がまるでない。普通のアメリカ人に見える。そのはずなのに、どこか目を引く。吸い寄せられる魅力がある。一挙手一投足が、人である限りは抗えない魔性として心を乱してくる。本能で理解する。コイツは色魔だ…!
色魔。そう呼ばれる男がいる。色欲のために、女をとっかえひっかえする生来の女たらし。そんな男に与えられる言葉。
魔法少女と怪人が蔓延るこの世の中で、色魔というのはある一人の怪人を指す。
両性具有…というより男にも女にもなることができる。どこにいるかも不明、能力だってわかっていない。しかし、共通する話として、抗えない魅了を持つ。その魅力にやられた男女は数多く、国の要人だっているほどだ。影響力がまるで掴めない。宇宙人は言う。人類の到達点の一人だと。
宇宙人に認められた者の一人。
「我らが神よ…信徒の非礼を使徒たる私に免じてお許しください」
圧巻の土下座を見せた色魔は俺を神と崇める闇のショタコン教団の使徒であるらしかった。
tips
怪人の改造は肉体を心に近づける技術であるため、心が複数ある場合は肉体も複数に分割される。しかし、たまに心が一つであるのに分割しなければいけない時がある。それは、心が異様にデカすぎて、人間の枠からはみ出た個体がいるからだ。
人の枠を限界まで使って心を詰め込まれた者…それは普通の怪人より特異な姿になる。
感想評価よろしくお願いします。