クライムライム   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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お久しぶりです…


死がエンタメになる世界で

アメリカ、地下闘技場

 

 

 なんてことだ。こんな奴等が存在していいのか?俺は思わず慄いた。確かに。確かにだ。愛の形は人それぞれ、五人の俺はそれぞれ別の愛の道に行ってるんだからそれをとやかく言うのはナンセンスだろう。

 しかし、しかしだ。ここまでグロいものが未だかつてあっただろうか?

 

 戦況はボクシングから異種格闘技戦へと移行していた…。

 

 チャンプはテレポートを使う生粋のモーションキャンセラーともいうべきスタイルだ。ようは後隙、前隙を距離で打ち消せるということ。認識さえしていれば攻撃は機能しなくなる。

 

 対して、挑戦者のヴァーシリー…いや、三人の女ダリア、ベラ、カタリナはそれぞれの力を昇華した異形戦闘技術ともいうべきもので対応している。

 ダリア、人の死体を保存する能力を持つ。保存というのは形を保つという事であり、損壊状態を元に戻せるという事でもある。

 ベラ、人の精神に入り込む能力。精神系は珍しいというよりグロいタイプが多い。コイツの場合は寄生タイプ。それも相乗りができるタイプだ。人の精神を土壌に自身や他者の精神を植え付けるものだろう。

 カタリナ、人を操る能力。コイツが戦闘技術の根幹。人、ひいては肉体を操るということであり、その人の肉体を十全に扱えるということだ。そして、無理することもできる。

 

 他者を殺し、他者の精神を土壌にして定着を強め、死体の保存と人を操る力で損壊を許容した攻撃を可能とする。

 

 異様に長い腕、長い脚、身体を限界まで伸ばしているのだろう。普通なら痛みで耐えられない…が、死体であることや人を操る能力で痛覚をシャットダウンしている。痛みを無視して、ダメージをある程度許容できるなら、人間はもっと無理な攻撃をすることができる。

 

 それが今、目の前に広がる光景だ。

 

 ヴァーシリー、長い脚を使い、鞭のようなローキック…!いや、伸びる…!ズームパンチならぬズームローキック!関節や骨をすべて外した肉の鞭だ。

 

 しかし打ち据えない。テレポートで距離を取る。伸びきった足に入り込むように、チャンプが間合いを詰める。遠方からテレフォンパンチの構え。当たるはずない!だが当たる…!距離の無視!慣性が残ったパンチはそのまま鳩尾を打ち据える。すかさず、ラッシュ。的確に鳩尾を狙う。嫌がるようにヴァーシリーが掴みに掛かる。

 

 良い判断だ。チャンプの弱点。それはテレポート時に他者が接触しているとラグが発生する。瞬時のテレポートはチャンプのみ出来ることだ。他者に対してはラグによって判定が残ってしまう。何言ってるんだと思うがマジで判定が残るのだ。そこに居ないのにダメージが通る。虚空を殴ると血を吐く現象が起きる。テレポラグを狙うのはイイ。

 

 長い腕につかまれた。いや、わざと掴ませたのか…!胸倉をつかまれたチャンプが頭を振った。理外…!ヘッドバットか!頭突きによって思考が止まる。たかだか一瞬、シビアだが一番気を抜いちゃいけない時間で意識が停滞した。

 

 頭に手を添える。クソッ!チャンプお得意の脳みそシェイクだ!頭をミキサーされるぞ!

 思わずマイクで叫ぶ。しかし、そうはならなかった。いや、俺もチャンプもパンサーさんも驚く結果になった。

 

 なにぃぃいぃ!!?!?歯を飛ばしただと!?

 

「人を操る能力…肉体操作と考えれば出来るかもしれませんが…まさか、こんな使い方をするとは…」

 

 人力ショットガン…!チャンプの手がズタズタになった…!

 大口開けていたヴァーシリーがさらにうがいでもするように口をゆすぐ。口を開けた。歯が生え揃っている…!?

 

「死体を保存する能力。損壊は直される…!だから…!そんなシナジーが!?」

 

 嘘だろ。やべぇ。アツイ試合になってきた。再度の人力ショットガン。歯が射出される。嫌がるように転移した。防ぎきれなかったのか顔面から血を吹いたチャンプだが距離は取れた。テレポラグのダメージか…。皮肉気に笑う。

 

「そんなことすんのかよー。頭おかしいじゃねぇの?」

 

「『この手を早々に使わせたチャンプに……敬意を表したい…。さすがチャンプと…いったところか…』」

 

「へへっ、やっぱりだぜキング。おもしれ―試合になりそうだ」

 

 プッ、と口から血を吐き出し独特のファイティングポーズ。肩を前面に押し出した前傾姿勢…。アメリカじゃ結構メジャーのスポーツ、ラグビー。そのタックルの構えだ。チャンプも本気じゃねぇかよ…!

 

 おぉッと仕事をしなければ、俺はパンサーさんに言葉を投げながら今のを実況する。

 

 

 いやぁ、今のはすごかった!まさかあんな使い方があるとは。能力の扱い方が上手いのもそうだがローキックや掴みを見るに、中の奴等の経験も相応になきゃ出来ない芸当だ…だてに二つ名持ちじゃないってことか。パンサーさんは今の、どうみます?

 

「えぇ。私も同意見です。先のローキック。あれは足の骨や関節を外して疑似的にリーチを伸ばしつつ、脱力することで衝撃によるダメージを与えようとした…と見ています。女性のビンタが痛いのと一緒ですね。適度な脱力としなりによる痛みに訴える打撃。痛みに弱い者を相手にしていたからの技術でしょう。掴みに関してもそうですね。襟首をつかむのは相手に体を振らせない為だと思います。密着すれば行動できる余白が減りますから。

 

 それに対してチャンプのヘッドバットは最適解とも言えますね。パンチは密着してる分腕があまり触れないので有効打になりにくい。金的も考えられますが…中身が女性な分精神的ダメージも薄いでしょう。視界を塞ぐことも含めてヘッドバットを選択したなら、さすがチャンプ、というところでしょうか」

 

 ありがとうございます。さーて、そろそろ10分経つぞー!次のせり合いが1ラウンド目の最後だろう。どうなる…!

 

 おぉッと…これは…!一転して遠距離戦!挑戦者ヴァーシリー!遠距離に転じた!

 

 歯による人力ショットガン、それにプラスした爪の発射も合わせている。タスクかよ…ジ〇ジョ7部ね。だが初期タスクよりも強いと言える。なんせ、リロードがほぼ一瞬だ。しかも連射できる。回転はしていないが…数で補う寸法か…。

 

 それに対してチャンプ。転移の繰り返しで避けながらジワジワと逃げている。オイまさか…!俺は叫んだ。クソつまんねぇからだ。

 

 テメェ!休憩と乱入目当てか!?ヒキョーだぞ!さっさ戦って死ねオラァ!

 猿のように金網に張り付いてガシャガシャとする。後ろからパンサーさんに羽交い絞めにされて引きはがされた。

 

「別にいいじゃねぇかよ~。ちょっと喉乾いたんだよ」

 

 うるせぇしね!俺ァ独断で命令した。

 

 チャンプがカスなこと言うからルール変更だ!スタッフ、デス振り子を落とせッ!乱入者ッ!好きに入っていいぞ!奴を殺せェ!

 

 

 ファイトクラブだッッッ!!!!!!!

 

 

「「「「「「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 一斉に可愛い奴、野郎、色んなのが金網をよじ登っていく。一人、また一人金網デスマッチに参戦する。上からガッシャーンとデス振り子が落とされた。ドデケェ鎖が火花を散らして巻き上げられ、再度装填、落とされる…!

 

ヒュー!血塗れ肉塗れだーッ!

 

「ちょっとキングさん!良いんですかこんなこと!?」

 

 あぁ?別にいいでしょ。チャンプが悪くね?ナメたことしやがって…悪いの全部チャンプだから。

 

 少し考えて思い直したのかケロッとした顔に戻って

 

「それもそうですね。死なないチャンプが悪い」

 

 そそ。チャンプが悪い。

 

 そーこー話している中でも金網デスマッチは凄惨極まるものになっていっく。しかし、チャンプは…まぁ生きてるだろうなと思ったが、挑戦者もまだ生きていた。デス振り子によって生産される死体を能力を使って武器にしている…。

 

 友情ウィップだ!

 

 友情ウィップ、それは人と人が手と手をがっしりとつなぎ合わせて、人の絆を表す友情コンボだ。ヴァーシリーはそれを死体を保存する能力と人を操る能力で疑似的に再現している。死体と死体が固く、固く、手をつなぎ合わせる。顔には無念が浮かび、滴る血はまるで涙を流しているかのようだった。一体何がそうさせるのか…死後強まる念…そうだとしたら、怨念の対象はきっと…チャンプだ。

 

 デス振り子を回避するべく転移した後隙を狙う。それはまるでワープ先を先に知っているかのようだった。どいうことだ?予知能力でもあるのか?

 

 苦々しい顔をしたチャンプが口を開いた。心当たりがある、そういう顔だった。

 

「埋め込んだな?俺に。人の精神に入り込む能力…断片でも作用するのか」

 

 ナニッ 素早く思考を回す。そうなるとつじつまが合うからだ。精神に入り込む能力、コイツだけ戦闘に寄与していないと思っていたが…そうではない。寧ろコイツが戦闘するうえで最も重要だ。心に入り込み、相手の思考を読む、疑似的な未来予知。人の精神に相乗り出来るからこその芸当…!ワープ先にあたりを付けれるはずだ。

 

 デス振り子が互いに互いの視界を塞いだ。隙を狙ってチャンプがワープ。しかし、それを呼んだヴァーシリーが対空にウィップを置いている。ウィップはまるで生き物のようにワープ後のチャンプに巻き付いた。そんなこともできるのか?!いや、出来るのだろう。人を操る能力と死体を保存する能力、役割分担できるならそれぞれに力を割ける。相互協力型というわけか…!

 

 チャンプの様子がおかしい。いや、最初から様子はおかしいのだが、逃げたり回避する様子がない。このままじゃウィップに地面へ叩きつけられるはずだ。テレポしようにもテレポラグでダメージが入る。良くて相打ちだろう。何をする?

 

 2…1…チャンプが地面に叩き付けられる瞬間だった。

 

 ヴァーシリーがザクロの如く潰れた。

 

 んだと!?どういうこった!?

 叫ぶ。叫んでから気づいた。チャンプだ。いつの間にかヴァーシリーが居たところにチャンプが居る。チャンプはヘラヘラと口を開く。

 

「ワープしても慣性が残るんだからよぉ~。利用させてもらったぜ」

 

 だが、他者が振れていたことでのタイムラグがあるはずだ!?テレポラグでお前も死んでるハズ…!

 

「ラグがあるならラグを踏まえてワープ出ししとくのは当たり前だろ」

 

 じゃあなんでお前はウィップの先に居た!?ワープ出しなら虚空を掴んでるハズだろ?!心も読まれてたはず…!

 

「当たり判定だけを挑戦者の頭上に置いたんだよ。グラフィックが残るのか、当たり判定が残るのか。その調整さえできればどっちが先でもいい。本邦初公開だぜ~。読心はあくまで俺の精神に相乗りだろ?なら俺が意識しなければするとは思わない。俺はあくまで転んだだけだぜ~。転んだ時に手を出すか足を出すか、それは無意識の行動だからな。読み取れないっつーわけよ」

 

 化け物めぇ…!俺ァマイクを掴んで中指をおったてた。うんざりするように吐き捨てる。

 

 

 終わりだ終わり!今回もカスの勝ちだ!あーあ、カス過ぎるぜ。ったくよォ!第25回チャンプ防衛戦はチャンプの勝ちだ!

 

 ガンガンガンガンガーン、俺はおざなりにゴングを鳴らした。

 

ーーーーーーーーー

アメリカ、地下闘技場、VIP室

 

 

 俺はガ〇ツの富裕層みたいな人達に呼び出されていた。着替える余裕すら与えられずバニー姿で目の前にお出しされる。

 

 なんというか…THE・アメリカの富裕層といった形の人達だ。きらびやかなドレスもそうだが、なまっちろいふとっちょの白人とか。バチクソに仕事が出来そうなイケイケの黒人だとか、そういう感じ。そいつらがワインを揺らしながら俺を詰める。

 

「チミィ、デス振り子はまだ早かったんじゃないかね?」

 

 宇宙人翻訳がそうさせるのか厭味ったらしい口調だった。

 

 はぁ、いや、アレはダレるような真似したチャンプが悪いでしょう。時間稼ぎされると客も萎えますよ。絵面が変わらなさすぎる。

 

「それはそうだがねぇ。もっと二人で戦わせてもよかったんじゃないかと思うんだよ。そうすればまだ勝てる可能性があっただろうに」

 

 どうやらこのグチグチ言ってくるお偉いさんは先の賭けマッチで挑戦者に賭けたらしい。それで負けたので俺に責任取って辞めさせて、プラス良いように使いたいらしい。ただの八つ当たりじゃねーか。俺は側のウェイターからワインのボトルを分捕ってラッパ飲みする。んく、んく、っプハァ。うめ、たけぇワインはうめぇ。

 

 そうは言うがね。アンタ。チャンプはいつだって手を抜いてたんだぞ。今回の当たり判定ワープもそうだろう。隠す理由がなくなったから出しただけ。つまり、もう新しいやり方や技術を身に着けている可能性がある。秘匿主義ここに極まれりだな。だが、逆に技術を出させたって点を褒めた方が良いと思うぜ。出すだけの相手だったってことだからな。チャンプに勝つなんて万に一つあるかないかだ。手堅くいけゃよかったものの…。

 

 と、ここで助け船が出された。イケイケの黒人さんだ。割って入るようにして口を開く。

 

「Mrイーグル、確かに彼は独断で動くことが多いかもしれないが、それによって得られた利益は計り知れないものだろう?スタッフからの人気も高く、仕事の適性も高い。逃がすには惜しいと思うがね」

 

「だがね、Mrアリゲーター。何事にも限度というものがある。必ず結果を出すからと我の強い者を自由にさせるのかね?その短い足を掬われたいならそうすればいい」

 

「強さの象徴たる貴方が臆病なことを言う。足元ばかり気にするから降って湧いた幸運を見落とすんだ。それに、足を掬われるかどうかは器量次第というもの。貴方の体はそんなにも太いのに懐は狭いとはなんともチグハグだね」

 

「どうやらまた鞭で打たれたいらしいな?」

 

「KKKだと吹聴しているのかい?」

 

 凄まじい勢いでギスっていく…。何?何なの?困惑してるとそっと近くのレディが耳打ちしてくれた。

 

「(彼らはちょっと利権のあれこれでよくぶつかってるのよ。犬猿の仲ってやつね。Mrアリゲーターはチャンプに賭けていたから多少でも儲けたはずよ)」

 

 なるほどね。耳から囁きで興奮した俺にとってちょっと何言ってるかわからなかったが、とりあえず黒人さんをよいしょしとこう。長いものには巻かれろってね。

 

 あんちゃん。あんたはチャンプに賭けたのかい?まー1.何倍とはいえ儲かっただろう。どうだい?飯でもおごってくれれば酌の一つ、してやるが。

 

「ふふっ、それは何とも嬉しい提案だが妻に怒られるからね。やめておくよ。君はいささかコンプライアンスに引っかかる」

 

 そりゃそうかい。とりあえず、俺ァ帰っていいのかい?ちぃとばかしやることがあるんだが。

 

「まぁ待て。タダで帰すわけないだろう。賭けたのは私とはいえ…だ。それはそれ。これはこれというもの」

 

 なまっちろい太っちょ白人…イーグル?だったかソイツが待ったをかける。

 なんだい?俺に何させようってんだい?

 

「貴様に娘を預けたい。貴様は空が飛べるのだろう?旅行として日本に連れてってもらいたい」

 

 あぁ?なんだって俺に頼むんだよ。そりゃ、飛行機なんて飛ばそうモンなら面白半分で撃墜されるだろうが…にしたって金持ちのお偉いさんなら護衛やらそういう高級旅行会社でも頼めばOKじゃねぇかよ。

 

「それが出来たら苦労しない。というのも、娘がお前を指名なのだ。曰く、興味があると。何を企んでるか知らんが…これでも父だ。情の一つもある」

 

 凡そ情が感じられるような話しぶりじゃないが…まぁよござんしょ。で、娘さんとはいつ会うんだ?

 

「今だ」

 

 ナニっ

 

 さっき耳元で囁いてきたレディがHiと声を出す。

 

「私ジェシカ。ジェシーって呼んで。キング」

 

 オッ という感じで俺の心が反応する。金髪碧眼、完璧なアメリカ美女って感じだ。ラメが入った赤のドレスがチープに見えそうだが、やっぱり中身がいいとなんでも似合うね。きめ細かい肌とぷるんとした唇に目を奪われる。

 

「ちょっと私、ジャパンに行ってみたいの」

 

 へぇっ、何が目的なんだ?今の日本なんざ魔境も魔境だ。なんせ、日本人に眠る侍の血がそうさせるのか、時代が逆行しちまってる。名を変え、形を変えているがやってることは一騎打ちや果し合いの応酬だ。スポーツの体とか言ってるが…

 

「そうそれ。私ジャパンのデススポーツ…デスポーツが気になるのよ。動画で見たけどあんなファンタスティックな催し、ナマで見たいと思うじゃない?」

 

 なんだと?俺は思考が止まった。彼女はデスポーツに興味があるらしい。確かにあれは日本特有のものだが…如何せん血生臭すぎる。

 

 アレをか…。

 

 親御さんの言うことはごもっともだった。アレに興味を示すのか…。ちょっと将来が心配でならないだろう。なまっちろい太っちょ白人を見つめる。静かにうなずかれた。なるほど…ナ…。

 

「ねぇ、ダメ?私、デスケンドーとデスバスケが見て見たいわ。」

 

 その二つかぁ…。俺ぁ遠い目をした。

 

 デスケンドー。元々剣道にデスを付けていた酷く安直な物だったが元のスポーツの人達に怒られたのでカタカナにした経緯を持つ。内容はシンプルだ。真剣を持ち合って、面、小手、胴、首への突き。この四種を持って相手を惨殺した方が勝ちというもの。ようは果し合い、一騎打ちだ。一応のルールとして切りかかる時に切りかかる部位を叫ばなくてはいけない。

 

 デスバスケ。これはバスケットボールを持たず、相手の頭を捥いでコートに入れると得点となるデスポーツだ。相手メンバーの人数減らしと得点獲得が同時に行える画期的なゲームでもある。トラベリングは存在しない。頭がバウンドしないからだ。ダブルドリブルもない。頭が跳ねないからだ。割と戦略性があると人気のゲームでもある。ボールが自走するからな。

 

 なんでこんなものがまかり通るのかって?そりゃ命の価値が限りなく低くなってるんだぜ?死が軽いんだよ。だったら人がぶつかり合う戦いが娯楽になるのは至極当然ってわけだ。時代が逆行してんだよ。コロッセオの剣闘士とほぼ同じじゃねーか。

 

 …おーけい、良いだろう。俺はデスポーツの方々に口が利く。というかデスポーツの成立に噛んでるからな。あんたの立場もあるし、VIP席で見れるだろうよ。

 

「わお!それはうれしい話ね。私、ツインズに会ってみたいわ。中々に攻撃だもの」

 

 ツインズか。デスバスケのチームの一つだ。攻撃的っつーか、ワンマンチームに近いな。エースを引き立たせるためのチームだ。味方の頭すら捥いでコートにぶつける姿はいっそ鮮烈でもある。得意技は双子のメンバーの頭を捥いで連続で得点する「ツインバスター」だ。

 ボールを一つしか持っちゃいけないというルールはないため、複数の頭を持ってポイントしまくるのがミソだ。もちろん、味方が減る為防御が弱くなる。それを許容しても勝てるのがツインズだな。

 

「エースもいいけど、双子のコンビネーションが凄いのよ!だって自ら頭を分離するのよ!?」

 

 キャッキャとはしゃぐレディ。頭おかしいこと言ってるというのはわかる。だが、それがまかり通ってしまう世界になったのだ。この世界の汚染を受け入れなくてはならない。はいはいと聞き流しながらスマホを取り出す。

 

 一先ず俺は連絡を飛ばすとすぐに返事が来た。OKらしい。まぁアメリカのVIPが来るってのはうれしいことだろう。ワンチャン出資してくれるかもしれないからだ。

 

とりあえず許可取れたから俺の方のゴタゴタが終わったら連絡しますわ。

 

「お願いね!」

 

 そうして俺はちょっと頭のおかしい金髪美人のチャンネーの連絡先をゲットした。

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