禁断の音色   作:だんきち文庫

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一難去ってまた一難!?
気付いたアスカの激昂で亦しても危機に陥るシンジ!
アスカが繰り出す攻撃にシンジは撃沈してしまう。

そんなシンジにレイは…

「禁断の音色」最終話!


2年A組の3バカ息子と3アホ娘のドタバタ劇の最終話です。
ややアクションありで、ややロマンチックあり・・かも?
ご一読の上、ご感想ご批評賜れば幸いです。
宜しくお願いします。




禁断の音色 後 編

 

 

「あ〜!なんや?コイツらキスしよるんちゃうか〜!」

 

 

 

 

 

 

「ん?チョット待って!」

 

 アスカは重大な事に気付いたのだった…。

 

「アンタのトイレの話ってさっきの…?」

 

 彼女はレイの方を振り返り尋ねる様に聞いた。

 

「アンタ、アタシと入れ違いで入って行ったわよねぇ?」

 

「・・・・」

 

 レイは俯いたまま黙っていた。

 

「…て事は…!」

 

 そう言うとアスカは急に立ち上がりドカドカとシンジに詰め寄った。

 

 そしてシンジの胸ぐら掴んで言った。

 

「アンタ!アタシの音…聞いてたのね!」

 

「イヤ、その…き、聞いてないよ〜!」

 

 シンジはオドオドしながら何とかその場を誤魔化そうとした。

 

「嘘付け!このエロシンジ〜!」

 

 アスカはシンジを胸ぐらを掴んだ手で締め上げた。

 

「くっ、苦しいよ〜!アスカ止めてよ〜!」

 

 シンジは振り解こうとしたが鍛え上げたアスカの腕力は想像以上に強かった。

 

「どうなの?聴いたんでしょ!アタシの!」

 

 アスカはシンジを前後に揺さぶりながら詰問した。

 

「ぐ、ぐるじい〜!………き、聞きました…」

 

  シンジは余りの苦しさからアッサリ白状した。

 

「んまっ!やっぱり聞いてたのね!この変態!」

 

 アスカはシンジの胸ぐらを掴んだまま殴り掛かった。

 

 ポカ!パカ!バシ!

 アスカはシンジを叩き回した。

 

「うわぁ!や、ヤメてよアスカ!い、痛い!痛いよ!」

 

「この変態!変態!変態!」

 

 シンジはアスカの攻撃を両手で防御しながら反論した。

 

「そ、そんなぁ〜!オシッコの音ぐらいで…アスカ家じゃトイレとか風呂上がりなんてもっと遠慮無しじゃないか!」

 

「んま!今、ココでソレ言う?このぉ〜!花の乙女に恥かかせてイイと思ってんの ⁉︎ 」

 

 アスカは更にヒートアップしてシンジを叩いた。

 

 

「いや〜ん!惣流って…怒るとあんな暴力的になるんだ〜!」

 

 ケンスケはアスカの激昂振りを見てワザとらしく言った。

 

「もう!アスカもいい加減にしなさいよ!」

 

 ヒカリは溜め息混じりに呆れた感じで嗜める様に言った。

 

「もう、そのぐらいで堪忍したり〜な!」

 

 トウジもポリポリと頬を掻きながら呆れ口調で言った。

 

 レイはソワソワしながら見ている。

 

 レイを除いて他の三人は途中から二人が戯れ合っている事が解っていた。

 それはアスカは気恥ずかしさを、シンジは気不味さを、ソレを誤魔化す為に騒いでいるのを。

 

 

「うわ〜!」

 

 

 アスカの執拗な攻撃にシンジは堪らずその場から林の中に逃げ出した。

 

「逃がすか!」

 

 アスカはすかさず追いかける…が、その顔は楽しそうであった。

 

「お願いヤメテ差し上げて〜!」

 

 シンジはふざけ口調で笑いながらアラカシの林の中をグルグルと逃げ回った。

 

 二人の追いかけっこはまるでメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)のアニメ、トムとジェリーの如くスピーディーで、そのコミカルな動きはワーナーブラザース(WB)のアニメ、ルーニーテューンズ&メリーメロディーズを彷彿させた。

 この二人の「林の中の追っかけっこ」のシーンは天才チャック・ジョーンズの脚本演出かと思わせる程であった…と後にハンナ・バーベラは雑誌の取材で語っている。

 

 皆はそれを愉快そうに眺めていた。

 

 ソワソワとして見ているレイ以外は。

 

 

 そして遂にアスカの繰り出した飛び蹴りがシンジの背中に見事にヒットした。

 シンジはソレをまともに喰らい前方につんのめる様に転んでしまった。

 

 アニメ通りのお約束の展開…かと思いきや…

 

 シンジは運悪く転んだ拍子に太い木の根に額を打つけてしまった。

 

 シンジはその瞬間星が飛び散るのを見た。

 そして天使の羽がピヨピヨと鳴きながら頭上をクルクルと回っているのが見えた。

 

 それはレイにも見えていた。

 彼女は何か思い付いたり、思い出したりすると頭の上に電球が点る娘だからであった。(ミラクルアイテムを拾った少女 参照)

 

 そしてシンジはその場で卒倒してしまった。

 

 確かにアニメらしいと言えばアニメらしい結末だが現実ではそうは行かない。

(まぁ、ココもそうでは無いが…)

 

 アスカはまさか当たるとは思わず慌てて駆け寄った。

 皆んなも周りに駆け寄って来た。

 

「シ、シンジが逃げるからよ…」

 

 アスカはそう言いながらもシンジを抱き起こした。

 

 シンジは直ぐに意識を取り戻したが暫くは朦朧としていた。

 

「大丈夫?ゴメン…やり過ぎちゃった…」

 

 アスカはシンジの顔色を伺いながら謝った。

 

「う、うん…大丈夫。多分…」

 

 シンジは本当はまだ朦朧としていたがアスカに心配掛けたく無かったし、元はと言えば自分が悪いので平静を装った。

 

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 

 アスカは故意では無いにしろやり過ぎた事を後悔し素直に謝った。

 

 

 

 

 

 

 シンジは皆んなから少し離れたアラカシの木陰で横になりながら休んでいた。

 

 その傍らにレイがちょこんと座り心配そうにシンジを見ていた。

 

「ごめんなさい…ワタシの所為で…」

 

「いいんだ…綾波…」

 

「こんな時、ワタシ…どんな顔すればイイか…」

 

 シンジは彼女のその言葉であの過酷だった第5使徒ラミエル戦でのエントリープラグ内の会話を思い出した。

 

 今、彼女はあの時と同じ淋しくて哀しい表情でシンジを見つめていた。

 

 シンジは彼女のその気持ちと表情を和らげ様と「大丈夫…」と笑顔で言い、そしてあの時に言った台詞をそのままに返した。

 

「笑えばイイと思うよ…」

 

「わ、笑えないわ…だってお星様と天使の羽があんなに沢山…」

 

 レイは困り顔で呟く様に言った。

 

「大丈夫だから…少し休めば…」

 

シンジは彼女を気遣い、そしてこう付け加えた。

 

「綾波がそんな顔してたらボクの傷の痛みも引かないよ…だから…ほら、あの時みたいに笑ってよ…」

 

「うん…」

 

 シンジのその言葉を受けレイは小さく頷きあの時の様に柔かに微笑んだ。

 

 

「碇クン、どう…?まだ痛む…?」

 

 レイはそう言うと赤く腫れたシンジの額を気遣い覗き込む様に顔を近づけた。

 

「もう平気!綾波が笑顔見せてくれたから…」

 

 シンジは彼女が笑顔になってくれたので、大丈夫な所を見せ様と上半身を起こした。

 

 自然、二人の顔が近づいた。

 

 シンジはレイの顔の産毛が見える程の近さにドキッとした。

 

 レイもそれを意識したのか見る見る顔が赤らんだ。

 

 

 

「あ〜!なんや?コイツらキスしよるんちゃうか〜!」

 

 

 

 それをシートに座って談笑していたトウジが気付いて揶揄(からか)う様に大声を出した。

 

「えっ?」ケンスケは振り返った。

「あら!」ヒカリは首を伸ばして見た。

「チョット!」アスカも振り返った。

 

 皆の視線が二人の成り行きに注目した。

 

 その誤解を解く為に二人は大慌てで叫んだ。

 

「し、しないよ ‼︎ 」

「し、しないわ ‼︎ 」

 

 真っ赤になっている二人を見て一同は大笑いした。

 

 

 しかし、レイは気不味さからシンジから少し離れてしまった。

 

 シンジはまた寝転がった。そして思った。

 

『もし、あのまま誰も気付かなかったら……』

 

 そして少し離れたレイを見た。

 

 彼女は先程と同じく木陰の芝生にちょこんと座って本を読んでいた。

 それは何時もの彼女の姿…彼女の光景であった。

 

 

 シンジは少し寂しくなった。

 

 

「さぁ!ほな昼からのプログラムと課題、消化しに行こか!」

 

 爪楊枝を咥えたままトウジはヨイショと立ち上がった。

 

「そうね。そろそろ行かないと」

 

 ヒカリは片付けを終えて立ち上がりスカートの前をパタパタと叩いた。

 

「碇はそのまま横になってなよ。先生には気分悪くて休んでるって言っとくからさ!」

 

 ケンスケは荷物を纏めてシンジの脇に置いた。

 

「ファースト!頼んだわよバカシンジ。それと荷物番!」

 

 アスカはシンジの看護をレイに託す様に言った。

 

 

「うん…」

 

 レイは微笑んで頷いた。

 

 そして皆んなは二人を置いて午後からのプログラムに行ってしまった。

 

 

 皆んなが見えなくなるとレイはシンジの側にそっと座り直した。

 

 シンジは近くに来たレイを見て嬉しくなった。

 

 

「碇クン…ココ…」

 

 彼女は少し恥ずかしそうに言うと自分の膝をポンポンと叩いた。

 

 そして顔を少し赤らめて照れながら言った。

 

「膝枕…」

 

「えっ ⁉︎ あっ!う、うん…」

 

 シンジは戸惑いながらもそっと彼女の膝に頭を乗せた。

 

 

 

 木漏れ日が差す芝生の上…

 

 爽やかな風が柔らかく二人を包む…

 

 

 その気持ち良さからシンジはウトウトしていた。

 

 

 シンジはレイの膝枕の上である光景が頭の中で思い出すかの様に浮かんで来た。

 

 だが、それは見たことも無い光景だった。

 

 シンジは目を瞑ってその光景を追ってみた。

 それは広く深い静かな水の中の様な場所で、彼女の膝枕で何かを語り合っていた様だった。

 

 シンジは更にその光景を追った。

 その温かく静寂な空間はLCLで満たされていた。

 その中で膝枕をする彼女…それに横たわっている自分…

 

 その二人は生まれたままの姿だった。

 

 嬉しいのか…哀しいのか…そんな感情も湧かない世界…

 ただ、彼女のその表情には寂しさだけが映し出されている…

 

 シンジはその先を追うと何が見えて来るのか…?

 そして、その空想の世界に浸り続けて良いのか…?

 

 不安な気持ちと同時に彼の中にある思いが湧き上がった。

 

 

 

『駄目なんだ…ココにいちゃ…!』

 

 

 

 そして、シンジはその空想を振り切る様に目を開けた。

 

 

 その目に飛び込んだのは真っ青な空と…

 

 眩い程に光りを移す樹々。

 

 それに緑が滴る様な木の葉や色とりどりの草花に…

 

 耳に届く小鳥の囀りと微かに吹き漂う風の音。

 

 そこに香り立つ芝生と土の匂い…

 

 そして、目の前で膝枕をして本を読んでいるレイがいる。

 

 

 シンジは何故かほっとした。

 

 シンジは束の間だが眠っていた様だった。

 

 

 

 レイは目覚めたシンジに気付いた。

 

 彼女は読んでいた本を閉じ、さっきと同じくシンジの赤くなった額を見た。

 

 そしてその傷にそっと手を当てた。

 

 その手はそのままシンジの髪を優しく撫でた。

 

 

 

 

 

 撫でながらレイは囁く。

 

 

 

 

 

 

 

「碇クン…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナニ?綾波…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?さっきの…何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきの…続き…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木漏れ日が差す芝生の上で…

 

 

 爽やかな風が柔らかく二人を包む…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その中で二人は…今、

 

 

 

             幼き唇で触れ合う…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  (おしまい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 <次回予告>

 

 さあ〜て!来週のイカリさんは〜 (葛城ミサト)

 

 冬月です。

 初投稿の「聖誕祭前夜譚」での私の渋い役どころ如何でしたか?

 多分、次の出番は当分無いかと思うので日がな一日、一人将棋ばかりしてます。

 それも飽きて来たので近頃では Mark 09 のパイロットを着せ替え人形の様にしてゼーレの少年と楽しんでます。

 まぁ、彼女も満更でもない様ですが…。

 

 

 さて、次回は、

 

 シンジ、初めての○○○で○○⁉︎

 

 アスカ、なんで○○○○なのよ!

 

 レイ、じゃあ○○○○でもすれば?

 

 の3本です!

 

 

 

 来週もまた見て下さいね〜!

 

 

 

 

 ンが、ぐ、ぐ…

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

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