イナズマイレブン ラストリベリオン(現在募集中) 作:チェリブロ
フットボールフロンティア。有名な中学サッカーの大会である。全国の中学校がそれぞれの思いを胸に鎬を削り、幾多のドラマを生み出してきた。
かつて伝説を作り上げてきた選手達は成長し、大人になった。成長した彼らは次の世代にバトンを渡す。思いを受け取った次世代の選手達の手によって、また伝説が作られた。
いつの時代も試練を乗り越えてるヒーローが現れる。伝説を残したヒーロー達が残したバトンは世代を越えて受け継がれていき……また次の世代が動き始めていた。
『いやぁー、今年のフットボールフロンティアも盛り上がりそうですねぇ』
現在は五月。新入部員も新しい環境に少しずつ馴染んで来た頃。テレビでは中学サッカーの話がされていた。フットボールフロンティア、誰もが憧れるサッカーの大会。まだまだ先の話ではあるが有名な大会とだけあってこの時期から取り上げるメディアも少なくない。
『ええ、なんといっても新世代が台頭してしているのが素晴らしいですね。時代の移り変わりと言えばいいんでしょうか?昔を知るものとしては少し寂しさもありますが……新しい時代の始まりをこの目で見ることができるのは感慨深いです』
『次世代のヒーローが現れる日も近いのでしょうか。今回はそんな新世代の中でも最注目!!今もっとも熱いチーム、聖英学園へ取材に行ってきました!!』
映像が切り替わる。画面には広々とした校舎が映し出され、様々な設備や教室が紹介される。再注目とだけあって気合いの入り方がよくわかるり一通りの解説が終わると、メインであるサッカー用のグラウンドを背景に監督と思わしき男の話が始まった。
『我々は常に切磋琢磨し、実力を磨き上げる。選手達も自惚れることなく頂点を目指し続ける。その姿勢が強さの秘訣です。常に競争の環境に身を置くことによって驕ることがないからこそ前に進み続けることができる』
聖英学園は数年前から他校と併合し、規模を大きくしている。併合した学校は分校として扱われており、知識を共有したり、競い合い、お互いの力を高め合っている……という話だ。
『お話ありがとうございました。では最後は期待の一年生である━━━━━━━』
監督からの話が終わると最後に一年生ながら期待されている選手が現れる。この物語は新たな伝説を刻む、彼らの物語━━━━━━
━━━━━━━ではない。
最後の一言を聞く前にボロボロで小さなテレビの電源を消す。一時的に無音となり、今度は話し声に変わった。
「くひゃひゃ、優勝やて。さっすが本校のお偉いさんは違いまんなぁ。ワタシらのことなんか眼中にもありまへんわ」
口火を切ったのは眼帯に青いロングコート、さらに青グコートと同じ色のグローブに変わった関西弁を話すとにかく目立つ生徒。普通なら校則違反になりそうなものだが、ヘッドホンやゴーグルの普段使いが許されるこの世界ならアリなのかもしれない。
「強い選手はみんな本校に引っ張られるからね。普通にやれば負けない。なくて当たり前だろうね」
「全部持っていった挙げ句、こっちには感謝の一言もなしとは驚かされるね。当然悪い意味でだけど」
ここにいる者達は先程までテレビに映っていた学校の話をしていた。もっとも内容は良い話ではない。あるのは明確な敵対の意思だ。
彼らは訝刻分校サッカー部員。元々は強豪校として名の馳せたチームであり、全国大会にも出場できるほどには実力のあるチームだった。
しかし新チームの台頭、加えて立地の悪さが災いして徐々に低迷。悪循環から抜けることができず、強豪と呼ばれたのは過去の話となってしまった。
とはいえ過去の栄光は彼らにとって関係ない。別に昔強かろうが輝いていようが、今を生きる彼らにはどうでもいいこと。そう、問題なのは今の扱い。最終的に分校として取り込まれるとどうなるのか……見ての通りである。
「まー、逆に良かったんじゃない?これでいつも感謝してますー、ありがとうございますー、なんて言われた日にはこっちも反逆しにくいしねー」
「へへっ、そうだな!むしろ潰すための大義名分ができていいかもな!おーし、ぜってぇ負けねぇぞ!!!」
「あ、あの……本当に反逆なんてするんですか……?」
形はどうあれ先程のテレビの話題で盛り上がるなか、一人がおずおずと手を上げる。
「なんだよ?無理って言いたいのか?」
「い、いや……たしかに僕らも頑張ってますけど、さすがに戦力差が……向こうは選手も監督も施設もなんだって揃ってるのにこっちには何もないですし……」
厳しい視線を向けられ怯むも、少年は自分の考えを述べた。
「たしかに厳しい戦いになるだろうな。戦いにすらならないかもしれない。とはいえ諦めるというわけにもいくまい」
「グレンはんは精神よわよわ貧弱者やからねぇ。別に逃げてもええんやでぇ?足引っ張られてもうても困るしむしろその方がええかもしれんわなぁ?ひゃひゃひゃ」
「うぐぅ……」
彼の言ってることは間違いではないのだが、正しいからといって止まる理由にはならない。手痛いカウンターを食らって押し黙った。
「もう、そういうこと言ったら駄目ですよ?ほら、おにぎり作ってるから、元気だしてね。はい、皆さんもどうぞ」
また別の部員が現れ、一人一人におにぎりを配る。どうやらマネージャーの子らしく、たくさんのおにぎりを作ってきたようだ。
「おっ、悪いね!腹が減っては練習できないからな!」
「……あんたもグレンも本校生だったはずなのにね。グレンは実力を出しきれず、怪我して回復の見込みがないと判断されたあんたも即刻分校落ちか」
「あはは……私達だけじゃありません。他にも落とされた人はいっぱいいます。みんなどうしてるのかな……」
「やつらのことだ。丁重な扱いということはまずないだろう」
テレビの話だと本校は仲間達と切磋琢磨しているという話だった。ここまでの流れでわかる通り、実際の内情はまったく違う。
分校の扱いは酷いものだ。本校でプレーできる選手は選ばれた者。それ以外は選抜から漏れ出たどうでもいい選手、という扱いだ。分校にいるのは残り物だけ。生存競争に負けた弱者と見なされる。
そんな残り物達は本校をさらに発展させるために動かされる。本校からすれば分校は使い勝手良い道具としか思われていない。
一応分校で結果を残せば本校に上がることは理論上可能ではある。裏を返せば仮に分校に優秀な選手がいたとしても基本的に本校に引っ張られる。すべて本校に集約されていく。
もっとも落ちればほぼ上がることはできない。そのぐらい差がある。これが本校と分校の違いだ。分校では本校に勝てない、そのようにできている。切磋琢磨なんてものではない。実態はサンドバッグ兼使い捨ての駒といったところだろう。
「やはりこれ以上、本校の支配は見過ごすことはできない。俺達が勝って支配を終わらせなければもっと酷いことになる」
この流れはどうすることもできない。それでも諦めない者もいた。本校を打ち倒し、支配から脱却する。そう、彼らは反逆を目論んでいるのだ。
「せやねぇ……ただ、まだまだ力が足りまへんで。今全力でかかっても返り討ちにされるんがオチや。仕掛けるタイミングミスって本校から監視されるっちゅーことなったらチャンスはなくなってまんで。そういう意味ではグレンはんみたいに慎重にならんとあきまへんわなぁ」
「でもよぉ、慎重にしたらしたで本校の勢力が増しちまうだろ?あんまりチンタラしてる暇もねぇだろ?いつまでも黙ってたらやられちまうぞ!!」
言ってることは双方正しい。負けてしまったら、本校の監視の目が強くなるのは明白。そうなれば反逆の機会はなくなる。あったとしても遠い未来になってしまうだろう。
かといって悠長にしていれば本校の勢力はさらに拡大するのも明らか。時間が経つほど規模を拡大し、手がつけられなくなる。どちらにしても反逆のチャンスは失われる。
「起爆剤があれば話は変わるんだが、そう都合よく出てくるわけもないよな……。よし、暗い話ばかりしてもらおうか仕方ないな!全員集まったら気を取り直して練習だ!気合い入れて━━━━━━」
とにかく今は待つしかない。決定的なチャンスを狙い、それまではジッと耐え忍ぶ。そしてチャンスが来た時のために力を溜めようと今後の方針についてまとめていたタイミングで部室のドアが勢いよく開いた。
「……ここか?ふむ、ここのようだな。サッカー部の部室は。まあ部室と呼べるほど大層なものではなさそうだが……」
開口一番随分な言いようだ。心当たりはある。たまに暇な本校の人間がいびりに来るため、わざわざ足を運んでくることがある。今回もそれだろう。
「なんだお前は!!来ていきなり罵倒かよ!!バカにしてんのか!!」
「ふむ、そんなつもりはなかったのだがな……すまない。よほど上から偉そうに見下してくるやつらが憎たらしいらしいな」
「お、おお……なんだよ……?」
しかしそうではない。よく見ると制服は分校のもので間違いない。つまりこの学園の生徒か、生徒になった者だろう。
「自分達の苦しみを理解せず、胡座をかいてるやつらに吠え面かかせてやりたいといったところか?……その意気や良し。俺様がキサマらを勝利へと導いてやろう」
周囲は憮然とした顔で声の主を見つめるが、件の人物は意に介さず話を続ける。なかなかの強メンタルの持ち主だ。
「ふーん……あなた何者なのかなー?」
誰だか知らないが開幕煽りで不審に思われるのも無理はない。対して相手はその言葉を待っていたと言わんばかりに目を見開き、宣言する。
「この俺様の名前を聞くというわけか?いいだろう。気になるのであれば教えてやろう。たとえ気にしていなくとも名乗りは必要ゆえ、名乗らせてもらうがな……
俺様の名は深帝 統邪。そうだな……地の底から胡座をかいて愉悦してる奴らを叩き潰すためにここへ来た、としておこうか」
輝かしい伝説を作るために追いやられた者達による反逆の物語が動き出していた。
時系列的にはGOよりも後、恐らくヴィクトリーロードが一番近いと思います。さすがに設定がわからなさすぎるので時系列はそのぐらいの完全パラレル世界だと思ってください。あとバランス調整が難しいので化身などの要素は廃止してます。
活動報告にて募集を開始しているのでよろしければ見ていってください。