かませクズ貴族転生   作:サムラビ

14 / 37
全然、話が、進まない

「――そういえばなヤツだけど、ハイレグってどういう意味なんだ?」

 

 分解すれば、ハイなレグ。高い何か、ということか。ビキニなら説明できるのだが。

 

「知らないよそんなこと……けど、ウチだって一応、お金の価値は知ってる。そんな変態みたいな格好の弱い防具が、何で300万もするのさ? ポーション3本買えるのに」

 

「――ちょっ、と…………待って。それってもしかして、ドラゴンと戦っていた時に使ったポーションのこと?」

 

 ハイレグアーマーを両手で広げたままの体勢で、水仙が忙しく表情を切り替えている。

 

「まぁ…………そうだな。ここに連れて来た以上、お前に嘘を言ってもしょうがない。アレの正式名称はチートポーション、効果は体験した通りだ。で、1本100万」

 

「はっ? 何で序二段ドラゴンとの戦いでチートポーションなんか使うの?」

「今日のお前は無自覚に人を刺しにくるんだな……」

 

「えっ? だって、水仙はタイマン最強なんでしょ?」

 

「いや、だからそれは一年後の未来の話なんよ……」

「未来? ちょっと何言ってるかわかんないんだけど……」

 

 俺がハイレベルな雑魚である事実はファーストコンタクトで伝えておいたはずなのだが。このロリについても水仙を見習って早く一皮剝けてほしい所ではある。とは言え、設定通りならここへ到着する頃には序二段先生を5ターンで倒せる感じになっているっちゃいる。

 

「…………私達、合計で何本飲んだの?」

 

 未だ話題が周回遅れしている水仙が、思い出したくもないことを聞いてくる。

 

「が……聞きたいなら教えてやろう。73本、だっ。初等部のジャリガキでも可能な簡単な計算をすれば、7300万ガバチョを俺らはあの場で消費したことになる」

 

「――なっ!? なせん………………」

「えっ? マジどゆこと?」

 

 ゴミPCのような頻度でフリーズする水仙、首を傾げ続けるローリー。こっちはとっとと話を進めたいのだが、思い通りにはいかないのが人生。俺はこの程度の理不尽には何ら反応を示すこともない。なぜならレクスになったことに比べれば、屁でもないからだ。

 

「あのさぁ、もしかして、二人とも、クソ雑魚?」

 

「お前また一段階口悪くなったな……」

「えーだってぇ……話、違う……」

 

 そろそろ、開発から埋め込まれた設定との齟齬が、限界を迎えたのかもしれない。コイツも三途の川周辺をウロウロと徘徊し続ければ何かが開けるのかもしれない。

 

「っていうか、ローリーって実際どんくらいの強さなん?」

 

 特に設定はなかった気はするが、あってもテキトーなのは揺るがんだろう。

 

「強さなんてないよ。何をされても死なないってだけ。ここで物売るのが役目なんだから、当たり前じゃん」

 

「なるほど。何か縛りとかあんの?」

「縛り? あぁ禁止事項みたいな話、か。別にないけど」

 

 何、だと。

 

「絶対死なないってどゆこと? 怪我も痛みもないとか?」

「怪我も痛みもあるけど、すぐに治るって感じ」

 

「っ……それって……」

 

 つまり最強のタンクってことやん。

 

「ローリー。頼む。お前の力が必要だ。俺達と一緒に来てほしい。割とマジで」

 

 待ちに待ったチート的存在に、俺は興奮を抑えて言葉に力を込める。

 

「何かいきなり真面目……あ、でも無理だよ。ウチ、この店から出られないから」

「はあぁぁっ!? バリバリ縛りあるやんっ! お前今特にない言うたやんけっ!」

 

「うるさっ、レクスのキレるとこホントわかんねぇ……当たり前過ぎて、縛りだとも思ってないから」

 

「っ……正に縛りそのものな現象なのに……」

 

 これも価値観の相違か。ずっとここで死んだように過ごしているのに、何故不満を抱えないのだろう。

 

「――ねぇ、レクス。私が飲んだ分って、36本? それとも37本かしら? 最後に攻撃を受けたのって、どっち、だった…………なんとなく、アンタだった気もするんだけど……」

 

「いやもうその話終わってんだけど……」

 

「っ、何も終わってないわよ。37本だとしたら、私はアンタに、3700万ガバチョを支払わなきゃならないんだから……」

 

「そゆとこは律儀なまま、だよなぁ……でも、3700万なら、そうでもないだろ? お前一応お嬢様じゃん」

 

「っ…………」

 

 コルフォート家と比べる気はないが、四条家だって腐っても大貴族。全体的には苦しいとは言え、当主の暮らしはそれなりにそれなりだろ。実際、ゲームの中でも四条家を訪れた際には、コイツの実家で美味い飯を食わせてもらうイベントもあった。食ったの主人公だけど。

 

「そうでもない訳ないでしょっ! 3700万なんて、今ある家の貯蓄額よりも……」

 

 激昂した後で青ざめる。やはり四条家の人間に金の話は鬼門だったか。

 

「えっ? ちなみに、なんだけど、お前が今個人的に持ってるお金って、大体でどんくらい? あぁこれは、必要だから聞いてるって話ね」

 

 ここで下手に推量で話を進めると、時間経過でどんどん齟齬が膨らむ予感がしてならない。

 

「っ………………20万、くらい」

「…………」

 

「えっ? お嬢様じゃないの?」

 

 まぁまぁ軽めだが、無垢な追い打ちを放つローリー。

 

 そういえばな話、この世界は一食で幾ら掛かる感じなのだろう。高校生って考えれば、20万持ってるっているのは、別に通常ラインに収まるのではなかろうか。ただ、俺からは何を言ってもマイナスの意味が付与されてしまうっぽい。

 

「とにかく、ポーションと金のことは一旦置いておこう。ホントは忘れてほしいんだけど……いや、そもそもこう考えよう。俺が勝手に使っただけで、お前は俺に頼んだ訳でもない。少なくとも、あの場で売買契約は結ばれていない。だから代金も発生しない。OK?」

 

「それは無理。でも、今払えないのは事実だから、一旦置いてもらえるのは、正直助かる。けど、どうにかして返すから」

 

「うーんまぁならそれでいい。とにかく、その話は終わりでいい?」

「あ、でも最後にさぁ、一体どうやって73本も使ったの? 二人共、お腹大丈夫?」

 

「「っ……」」

 

 子どもの素朴な疑問は、時に大人を傷付ける。俺らはまだ未成年ではあるのだが。

 

 

 そして律儀な水仙は、ドラゴンとの長い戦いをある程度カットも加えつつ説明する。主なカット部分は、カルシェラの嘔吐シーン。

 

「………………あれ? 人間と魔物の戦いって、そういう戦術が主流なの?」

 

「それは絶対に違う。けど、後から何度考えても、あのやり方でなかったら、私達はあそこで死んでいた。それだけは確かよ」

 

 自分でも言っていたが、何度も反芻したのだろう。俺としても、あの痛みと寒さが不意にリフレインされる時はあるっちゃある。

 

「にしても、二人共よく正気を保っていられるね? 人間は、危険な体験をすると、心が壊れてしまうみたいだし。それって、凄く辛いことだよね?」

 

「まぁ、心を折る暇もなかったって部分もあるけど、実際あの時は結構励まし合ったよな? 正直な話、お前以外に頑張れとか、もう少しとか言われたら理性が飛んでたかもしれんし」

 

 てめぇに俺の痛みがわかんのかぁ、的なヤツ。

 

「それは……私も同じ。途中、やっとアンタがブレスを喰らった時は、これで後10回は耐えられるって思ったし」

 

「お前最悪じゃねぇか……」

 

 確かに、半笑いでポーション飲ませに来てたけど。

 

「うん? あれ? 何か引っ掛かる…………あっ! そうだよ。レクス霊薬飲んだじゃんっ。なのに何で雑魚ドラゴンからの攻撃で瀕死になる訳?」

 

 ここで、俺自身水に流そうとしていた事実を追及してくるローリー。一応ではあるが、俺の中では既に分析済みであり、通販で買って一瞬で要らないことに気付いてしまった商品を、押し入れに封印するが如く風化させたかったのだが。

 

「さっきから何でこの子はドラゴンを雑魚呼ばわりなの……それで、レイヤクって何?」

 

「……えっとねぇ、ステータス……まぁ要は守備力を高めるポーションなんだけど、俺って超弱いじゃん? だからせめて簡単に死なないようにって思って沢山飲んでみたんだけど、元々が雑魚過ぎてその効果すら薄まってたみたいで。つまり効きが悪かったって話」

 

 というか、そう考えなければ起きた現象が説明できない。

 

 おそらく、俺の守備は元々一桁とかで、しかも霊薬1本辺りの上がり幅が1未満で固定だったのではないかと思われる。細かい推量では、2本で1上昇した計算ではないかと思っている。後、きっと俺はHPも他の面子と比べるとアホみたいに低いんだろう。

 

「まぁ、大抵のゲームを見渡しても、チュートリアルバトルの敵キャラが守備力高めなんてあり得ないし」

 

「うん……ほぼ何言ってるかわかんないけど、それだけ使ってやっと人並の耐久力になったってことだね。なら良かったじゃん。もし他のステを選んでたら、一撃目で昇天だったかも」

 

「実は俺もそう思っている」

 

 ここは、毒パ戦略という概念に感謝しておくべきであろう。守備力万歳。

 

「その霊薬って……いや、止めとく」

 

 発言の行き着く先を見極めたのか、水仙は首を横に振る。

 

 こちらとしても、出来るだけ水仙とはお金の話題にならないよう配慮したい所ではあるが、まぁまぁ無理だとも思う。

 

「はい。ではもうこれ以上の振り返りは思い出してもまた今度で。とりあえず、水仙はそれを着て。というか……他にも色々考えなきゃならんことがあんのに、ここに来ると実家のように寛いじゃう部分もあるからなぁ……」

 

「いや来店二回目だから……」

 

 今更だが、今度来る時は飲み物や軽食も持参しようと思った。

 

「……ねぇ? もう決定してるかのように軽く言ってくれてるけど、何で私がこんな意味のわからない格好をしなきゃならないの?」

 

「静かにキレる気持ちも分かるけど、とにかく話が進まんからまずは着てくれ。大丈夫、俺を信じてくれ、頼む……」

 

「何か凄い絵面だけど……」

「いいから先に説明して」

 

「駄目、か……」

 

 どうやら、ノリと勢いで押し切ることはできないようだ。

 

「店長。この防具の効果を説明してあげて」

 

「さぁ? そっちのページのヤツはわかんない。それこそ、レクスは知ってる様子だったじゃん。この前も変な服買ってったし」

 

「忍び装束だ。変な服ではない。そしてこのハイレグアーマーも完全なパクりだが、その起源をパッと答えられる者がそうはいない程度には深い歴史を持った由緒正しき礼装だ。雑な扱いは控えてもらおう」

 

「うわぁその感じメンドくさっ」

 

 いやそもそもお前んトコが扱ってる商品だろうが。

 

「――で補足すると、戦力強化の一環として、水仙には有効な魔法を習得してもらいたい」

「……塔の帰りにも言ってた話よね。戦闘中も、何故か酷評されたし……」

 

「二人共、魔力属性は『金』だよね。同じ魔法を習得していくってこと?」

 

 ローリーがそう思うのも無理ないが、その視点は不正解である。

 

「いや、俺には魔法の才がない。まぁ知らんけど、全部妹に吸われたんだろう。それより、ローリーはどう思う? 水仙が使える魔法って『アリアン・フィールド』と『ピットフォール』だけなんだけど」

 

「っ……」

 

「……その前に、レクスが使える魔法は?」

 

「『バインド』と『ドゥルーガ』に……一緒に習得した『キャビネット』だな」

 

「『ドゥルーガ』は防御魔法としては悪くないんじゃないの? 人間が魔法を習得するには才能もそうだけど、魔法そのものとの相性も関係ある訳だし」

 

 相性という設定は初耳だが、確かにそうでなければ各キャラの習得魔法が固定である意味が分からない。だがしかし。

 

「哀しいから一回しか言わないけど、俺が『ドゥルーガ』で硬く出来るのは爪先だけだ」

「カスじゃん」

 

 口悪っ。

 

「『キャビネット』の習得で理解したけど、少なくとも、レクスに水仙の魔法を馬鹿にする資格はないんじゃない。でも……本当に二人共雑魚なんだね。何でここに来られたのって……質問は不毛か」

 

「ホントに何なのこの子……」

 

 俺が同じことを言ったら暴力を振るうのだろうが、相手の見た目が児童ではそうもいかない様子の水仙。

 

「特にレクスの『バインド』が効く相手なんて、そもそも魔力がない相手に限定されるだろうし、水仙の『ピットフォール』はそもそも魔物には効果が見込めないヤツだよね」

 

「うーん……煽る意図はなくて、単純に何で『ピットフォール』覚えたん?」

 

「っ……小さい頃に、絵本だと思って読んだだけ。正直、この前までは魔法の習得には関心がなかったの。それ以外に考えなきゃならないことが沢山あったから」

 

 シナリオ上の都合だが、このゲームでの魔法習得はレベルアップではなく、ストーリー進行に依存している。大抵一段落した後の数日後、その間に魔導書を読んだって話でサラッと魔法が増えているって感じだ。実際に暮らしてみると、只々不自然。

 

「まぁいい、つまりだ。そのハイレグアーマーを着ることで、とある魔法の習得が可能になるんだよ。とにかく、メンバーには出来る限り強力な魔法を覚えてもらって、その後はレベリング……じゃなくてその、魔物倒して修練を積んでいくって話」

 

「っ……何でコレを着ると魔法が習得できる訳?」

 

 ちゃんと説明したというのに、水仙はややキレ気味。

 

「尤もな返しだけど、じゃあ何で、チートポーションを飲むと、瀕死の重傷が瞬時に回復されるんだ? 霊薬にしても飲むだけで身の守りが高まるなんて、不自然じゃないか?」

 

「っ、確かに……そうね。ここで売られている商品の全てが、この世界の常識からはかけ離れているってことなの……」

 

「うん、そうだよ。だから本来、二人の強さで来るような所じゃないんだけどね」

 

 こちらも確かに、縛りなく知っていることは何でも話す感じのローリー。

 

「でも、何で有料――そっちのページの商品については分からんの?」

 

「そっちのは後で足されたヤツなんだよ。買う側が分かってるから問題ないってことなんじゃないの? 実際そうだったみたいだし」

 

 テキトーな返しだが、己の存在に疑問を感じていない時点で、そういうベクトルの話を気にしない方が辻褄が合っているとも思える。

 

「……ちなみになんだけど、このアーマー? を着ると……そもそもコレって、ほとんどの部分が守られないし、ブーツの方が覆う箇所が広いんだけど……っ、どんな魔法が習得できるの?」

 

 言いつつ、水仙は改めて明確な拒否を表情で示す。

 

「『ウルス・インヌ・ゴルシアス』だ」

 

「禁呪……大魔法じゃないの……」

 

 そもそも、この魔法は二周目以降で水仙ルートに入らない限り習得は不可能。何故なら一週目ではここに来られないし、水仙ルートでなければ店頭にコレが並ばないから。

 

 そしてこの魔法はパーティ全体に二度の完全防御を施すという、大抵のRPGならぶっ壊れ確定のチート魔法なのである。

 

「各属性魔法を作った祖と言われている人間しか使えなかったってヤツでしょ。確かに、水仙がそれを使えるなら、世界最強っていうのもいずれ本当になるのかもしれないね」

 

「で、ここにあるのが当の魔導書。水仙、コレ読もうとしたことある?」

 

 思い出したくもないが、才能弱者の俺では頭痛を貫通して失明のリスクが伴うという、正に禁呪な書物だった。

 

「そんなの、思い出したくもないわよ……一文字見ただけで目が焼けるように痛くなるし、誰でもそうなるって話よ」

 

「あ、何だ。俺がショボいって理由じゃなかったのか……」

 

 だとしても、すぐに俺自身のショボさは揺るぎないことに気付くのだが。

 

「それはそうと……もしも『ウルス・インヌ・ゴルシアス』が使えれば……ただ、本当に強力な魔法なのかは、分からないけど……」

 

「……ローリーは、どういう効果か知ってる?」

 

 何とかポーカーフェイスを保てた。知ってて不自然なことは知らない体でいた方が何かとスムーズであろう。

 

「二度の完全防御でしょ。世界に散らばる伝説の魔物と戦うなら、必須になる魔法だって話だけど」

 

「二度? それってつまり、ドラゴンの攻撃でも、二回までなら完全に耐えられるってこと?」

「いやだから、ドラゴンじゃなくても二度完全防御だって。しかも効果は周囲の味方全体」

 

「っ!? こ、これを……着れば……」

 

「ローリー先輩、試着使用ってことで、タダで使うのは……」

 

「駄目に決まってんだろ……そんなの、ポーションの中身飲んで瓶を返すようなもんだよ」

 

「そっか……つまり、水仙の罪悪感だけがハードル……とにかく、水仙ちょっと奥の部屋に籠ってそれ装備して、本読んじゃって」

 

「あ……そう、よね……別にアンタに見せる必要はない、のよね……」

 

 考えなくても当然の話ではあるのだが。

 

「悪い悪い。最初からそう伝えておけばよかったんだけど、ワンチャンこの格好をすること自体に強い拒絶があるのかと思って」

 

「強い拒絶自体は本心だけど……」

 

 それについてもそりゃそうだな話、か。

 

「てか、肩と腰のが無かったら水着だね、コレ。何で水着にブーツなの?」

「まぁ……時代じゃね?」

 

 正直な話、個人的嗜癖で言えばリタの忍び装束の方が遥かに好みではある。

 

「よし。まとまった所で、お金のことはマジで気にしないでほしい。実際、魔法はパーティ全体のために使われる訳だし、覚えてほしいのは俺な訳だし。じゃ、店員さん、一括で」

 

「いやそもそもローンとか組ませねぇし……」

 

 行き場を失いかけていた100万カバチョ金貨3枚を、ローリーにしっかりと手渡す。

 

「あ、そういや『キャビネット』はやっぱ便利だよね。こういう生活魔法は慣れれば無詠唱でも使えるし」

 

「えっ? それって、誰でも?」

「そりゃ、誰でもじゃなきゃ便利じゃないっしょ」

 

 何言ってんのって目をされるが、俺のショックはコイツには共感できないだろうから黙って凹んでおくことにした。

 

「……わかった。最後に確認するけど、コレを装備すれば、問題なく読むことが出来るのよね?」「うん、間違いない。多分、サイズも合うはずだから」

 

 だってお前しか装備できないから。

 

 真面目に返したからか、水仙はハイレグアーマー、拷問器具にもなる魔導書を抱えて力強く頷き、カウンタ―の奥の部屋へと移動し、ちゃんとドアを施錠する。

 

「ローリーって、寝るの?」

「えっ? うーん……たまに?」

 

 チラっとベットが見えたのだが、きっと何となくって理由で用意されている寝室なんだろうな。まぁ、誰も気にしない所は徹底的に雑な作りだからなぁ、このゲーム。

 

「レクスでも……そっか。知らないんだよね。アレって、どういう話なんだろ。ちょっと、興味あるかも」

 

「確かに。戻ってきたら、2分位にまとめてどんな話だったか聞いてみよっか。あ、っていうか、やっぱローリーでも禁呪クラスになると読むのは無理な感じ?」

 

「あ、そっか。でも、下手したら目が焼けるような痛みなんでしょ? それなら別に――――」

 

 

「――――キャアアアアァァアァァァァッ!? 目があぁぁぁぁっ! 目があああぁぁぁっ!?」

 

 

「「――――っ」」

 

 不意に滅びの光を浴びた人みたいな叫びが、狭い小屋に響き渡る。

 

「…………」

「…………」

 

 俺とローリーは、やや引き攣った笑いを浮かべながら、互いに顔を合わせて暫し停止を余儀なくされた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。